僕のポルトガル時代13-14シーズンを戦った監督たちの出世具合がハンパない件

ポルトの新監督にセルジオ・コンセイサオンが就任した。本サイトのニュース記事に使う写真を探していると、当時ポルトを率いていたパウロ・フォンセッカと、当時アカデミカ監督であったコンセイサオンが並んで写る写真があることを思い出した。

そういえば、僕がポルトガルに住んでいた2013-14シーズンの監督たちは、このフォンセッカやコンセイサオンを含め、今では世界中にその名が知れ渡りつつある。そう思い、ポルトガルリーグ14-15シーズン開幕前に執筆した全1部クラブの監督人事の記事を読み返すと、当時は世界的にはまだまだ無名で、当然日本でも知られていないが、今ではここ日本でもその名が知れ渡るほどに、大出世を遂げている監督が続々と見つかった。

そこで今回は、僕がポルトガルに住んでいた13-14シーズンにはまだまだ無名だったものの、今ではすっかり世界的に有名になった監督たちを紹介していきたい。

(以下、順位と所属クラブは13-14のデータ)

1位 ベンフィカ
ジョルジ・ジェズス(現スポルティング)

なかなか海外クラブを率いる経験がないことから、世界的にはイマイチ知名度があがらないジョルジ・ジェズスだが、当時13-14シーズンのポルトガルでの知名度は今回紹介する監督の中でもトップ。この年は、不調に沈んだリーグ3連覇王者ポルトを上回り、見事ベンフィカにタイトルを取り戻した。翌シーズンは、国内3冠とELでも2年連続決勝に進出するなど、急速にその評価を高め、現在はスポルティングでベンフィカ時代の成功を再現しようとしている。

2位 スポルティング
レオナルド・ジャルディン(現モナコ)

13-14シーズンの1年間だけスポルティングを率い、見事前年7位のチームをCL圏内に引き上げたのが、今ではフランスリーグ制覇とCLベスト4進出ですっかり有名になった現モナコ監督レオナルド・ジャルディン。この年ポルトガルリーグを率いた監督の中でも、その出世具合は圧倒的だろう。

また、当時のスポルティングに所属していたのは、RSBセドリック・ソアレス(サウサンプトン)やCBマルコス・ローホ(マンチェスター・ユナイテッド)、FWイスラム・スリマニ(レスター)、そして現在もクラブでプレーするポルトガル代表MFウィリアン・カルバーリョアドリエン・シウバなど、レオナルド・ジャルディンが抜擢した若手~中堅の選手たちの知名度の上がり具合も、眼を見張るものがある。

3位 ポルト
パウロ・フォンセッカ(現シャフタール)

この年は、アンドレ・ビラス・ボアスビトール・ペレイラが達成したリーグ3連覇中のポルトに4連覇をもたらすという重責が課せられ、そのプレッシャーに負けたのか、残念ながら途中解任となり、ビッグクラブには相応しくないというレッテルを貼られてしまったフォンセッカ。しかし、前年に弱小パソスをリーグ3位に導いた手腕に疑いの余地はなく、その後はブラガに50年ぶりにカップ戦のタイトルをもたらし、今シーズンはシャフタールでウクライナリーグとカップ制覇の2冠に輝くなど、名誉挽回に成功。ウクライナリーグ最優秀監督に輝き、その知名度はうなぎのぼりだ。

4位 エストリル
マルコ・シウバ(現ワトフォード)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

レオナルド・ジャルディンにつぎ、当時からの出世具合がハンパないなのが、エストリルを4位に導いたマルコ・シウバだ。クラブの英雄として最期のシーズンを送った13-14の翌年には、スポルティングの監督に就任。クラブ会長との不仲を理由に1年で解任されたが、スポルティングに7年ぶりのタイトルをもたらしていた。またこの年は、田中順也があのブラガ戦での直接FKを披露するなど、日本でもよく知られる監督となった年であった。

その後は、オリンピアコスでリーグ開幕17連勝21戦無敗の新記録を打ち立て、今シーズンはハル・シティでプレミアリーグを席巻するなど、すっかり世界のフットボール界ではホットな監督へと出世。来季はワトフォードを率いることが決まっている。

6位 マリティモ
ペドロ・マルティンス(現ビトーリア・ギマラインス)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

マリティモでの集大成となった13-14シーズン、ペドロ・マルティンスはクラブを6位に導き、翌年にはリオ・アベが監督として抜擢。この中堅2クラブを上位に導いた手腕が評価され、今シーズンはビトーリア・ギマラインスへ。見事、ライバルのブラガを抑え、リーグ4位に躍進した。いよいよポルトガルリーグを飛び越え、オリンピアコスなど海外クラブが注視し始めるなど、国内で知る人ぞ知る優秀な監督という立場から、ポルトガルリーグではトップクラスの名将として評価を高めつつある。

8位 アカデミカ
セルジオ・コンセイサオン(現ポルト)

13-14シーズンにポルトを解任されたパウロ・フォンセッカにとって、当時アカデミカを率いていたセルジオ・コンセイサオンは忘れられない存在となった。僕がこの写真を撮影したコインブラでの一戦でポルトはまさかの敗戦を喫したが、この辺りから、フォンセッカの手腕に疑問が噴出し始め、後の解任へと繋がった。

選手としては有名だったが、13-14シーズンのコンセイサオンは、監督としてはまだまだ駆け出しの存在。しかし、その後はブラガを4位、降格圏に沈んでいたギマラインスを10位に導くなど、国内では指折りの若手監督のひとりに。今季は初めてトップチーム監督として海外リーグに挑戦し、モナコでリーグ制覇を達成したレオナルド・ジャルディンとともに、ナントでその知名度を高めた。そして来季からは、古巣ポルトを指揮する。

10位 ビトール・ギマラインス
ルイ・ビトーリア(現ベンフィカ)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

この監督は、まるでノーマークだった。13-14シーズンのギマラインスはリーグ10位で、前掲の監督人事の記事でも、書く内容に困ったのはご覧の通り。

しかし、翌年にギマラインスを5位に導き、そのまた翌年にはベンフィカの監督に就任すると、シーズン序盤は解任の噂が生じるなど苦戦したが、終わってみれば初年度からリーグ制覇とCLベスト8進出を達成。今季はベンフィカにリーグ4連覇をもたらし、すっかり国内No.1の評価を得る名将へと出世した。

このルイ・ビトーリアの手腕は若手育成の面でも発揮され、彼がベンフィカで重宝した若手選手は、下記の通り、続々とビッグクラブへと羽ばたいていった。

レナト・サンチェス→バイエルン
ゴンサロ・グエデス→パリ・サンジェルン
エデルソン・モラエス→マンチェスター・シティ
ビクトル・リンデロフ→マンチェスター・ユナイテッド(移籍合意が正式発表の段階)

11位 リオ・アベ
ヌーノ・エスピリト・サント(現ウルバーハンプトン)

リーグでは11位ながら、この年ポルトガルカップとリーグカップの2つのカップ戦で決勝に進出するなど、実は大躍進を遂げていたリオ・アベ。そんなクラブを率いていたのが、ヌーノ・エスピリト・サントだ。翌年にはバレンシアへ羽ばたき、日本を含めた世界中のフットボールファンから「誰だ」と声が相次いだが、その実力はスペインで実証済み。前年にポルトガルの中位クラブであるリオ・アベを率いていたとはにわかに信じがたいほどの出世を遂げた。今季はポルトを1年で退任することになったが(辞任とされているが、おそらく独裁者ピント・ダ・コスタ会長の圧力による事実上の解任だろう)、チームは得点力不足に悩まされ引き分けまみれとなるなか、ホームでは無敗と実は良い成績を残していた。継続性のなさというポルトの悪い癖が出た監督人事となったが、ヌーノ・エスピリト・サントは、友人ジョルジ・メンデスのツテで早くも新たな挑戦の場を獲得。来季はイングランドチャンピオンシップのウルバーハンプトンを率い、名誉挽回に挑む。

他にも、13-14シーズン当時はアロウカを率い、その後はアポロン・リマソールを経て、今季エストリル監督に途中就任したペドロ・エマヌエルや、当時はベレネンセスを降格から救い、今ではCLにも度々登場するマッカビ・テル・アビブを指揮するリト・ビディガルなどもいた。

ポルトに住んでいた当時は、アンドレ・ビラス・ボアスも去り、選手としてはラダメル・ファルカオやフッキ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョらも退団し、パウロ・フォンセッカ率いるポルトへの期待感の薄さも相まり、「ポルトガルリーグの谷間の時期に不運にもポルトガルに来てしまった」と物足りなさを感じていた。実は毎週ドラガオン・スタジアムで観戦していたリーグ戦の監督席には、今ではすっかり世界的な名将の仲間入りを果たそうとしている「監督の原石」が大量に眠っていたのは知る由もなかった。

16-17季ポルトガルリーグのベスト11を考えよう。メガクラブが狙う注目選手たちが揃う!

2016-17シーズンのポルトガルリーグが幕を閉じた。監督就任1年目でいきなりリーグ優勝を果たしたルイ・ビトーリア率いるベンフィカのリーグ4連覇を阻むべく、昨季は惜しくも勝ち点2差でリーグ優勝を逃したスポルティングは、国内屈指の名将ジョルジ・ジェズスに2年目を託し、ポルトはバレンシアで株を上げたクラブOBヌーノ・エスピリト・サントを招聘し、2012-13シーズン以来となる王者奪還を目指した。

しかし、終わってみればまたもベンフィカが圧倒的な強さを見せつけ、難なくリーグ4連覇を達成した。ポルトは、最後にリーグ王者に輝いた12-13シーズンぶりにホームで無敗を達成するも、アウェイでは勝ちきれない状態が続き、5位以上の上位チームでは最多となる10回のドローを記録。エスピリト・サントはわずか1年で退任となった。スポルティングは、新エースFWバス・ドストがゴールデンブーツ賞が目前に迫るほどのゴールを量産したが、フェイレンセやベレネンセスなど下位チームに歴史的な敗戦を喫すなど、ベンフィカを止めるべき2チームが低調な結果に終わった。

しかし、やはり今季のポルトガルリーグでもベンフィカ、ポルト、スポルティングの「3強」の選手たちが主役を演じた。例年通り、来季もビッグクラブがこぞって獲得に乗り出すであろう注目の選手が多く登場した今季のポルトガルリーグについて、ふとぽるが独自にベストイレブンを選定する。

フォーメーション
1-4-4-2

GK
エデルソン・モラエス(ベンフィカ)

クラブとブラジル代表の先輩であるジュリオ・セーザルから完全にレギュラーを奪取。失点数はリーグ最少となる18にとどめた。マンチェスター・シティらが獲得を狙っており来季の移籍は必至か。

RSB
ネウソン・セメード(ベンフィカ)

6アシストを記録し、攻守にわたりベンフィカの右サイドを蹂躙。ほとんどの試合で90分間出場するなどフル稼した。エデルソンと同様、マンチェスター・ユナイテッドなどプレミア方面からの関心が強く、今季限りでの退団が有力か。

CB
ビクトル・リンデロフ(ベンフィカ)

クラブのレジェンド、ルイゾンに代わるディフェンスリーダーとして、セメードと同様にフル稼働。今季唯一の得点となったスポルティングとのリスボン・ダービーで見せた豪快な直接FKなど、まだまだ隠し持つ武器は多く、今後の活躍を期待させるパフォーマンスを発揮した。ただし、マンチェスター・ユナイテッドが強い関心を抱いており、こちらも同様に移籍の噂が絶えない。

CB
フェリペ(ポルト)

新加入ながらいきなりポルトの守備の要としてチームにフィット。圧倒的な高さ・強さを武器にホーム無敗に貢献し、今季3得点と得点力も発揮した。レアルがぺぺの後継者として注目しており、その去就に注目が集まる。

LSB
アレックス・テレス(ポルト)

左サイドからの高精度クロスを武器にアシストを量産。リーグ2位となる8アシストを記録し、ポルトガルリーグのDFでは最も多くのゴールを生み出した。貴重な左利きのプレースキッカーとしても評価を高め、加入初年度ながらポルトの中心選手となった。

CMF
ウィリアン・カルバーリョ(スポルティング)

毎年安定的なパフォーマンスを発揮し、スポルティングでの4年目を迎えた今季は、負傷に悩まされたキャプテン、アドリエン・シウバに代わる中盤のリーダーとしてフル稼働。毎年退団が噂されており、今季はマンチェスター・シティが強い関心を抱くなど、いよいよ移籍の時期が迫ってきている。

CMF
☆ふとぽる選定リーグ年間MVP
ピッツィ(ベンフィカ)

ベンフィカでの3年目を迎えた今季、キャリア最高となるパフォーマンスを発揮。CLや代表戦を合わせ驚異の全51試合に出場し、リーグでは2010-11シーズン以来の2桁得点となる10ゴールを記録するだけでなく、アシストランキングでも2位となる8アシストを記録した。まさにベンフィカをリーグ4連覇に導いた功労者であり、ふとぽるはピッツィを今季のリーグMVPに選定した。

RMF
ジェウソン・マルティンス(スポルティング)
→アシスト王 10アシスト

レギュラーとしてトップチームに定着した昨季から今季は大きく飛躍。得点王に輝いたバス・ドストとリーグNo.1の破壊力を持つコンビを形成し、リーグで唯一2桁となる10アシストを記録してアシスト王に輝いた。チームのエースにボールを供給するその優れた能力を評価し、CLで対戦し衝撃を与えられたレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドが、ペレス会長に獲得を進言したとか。

LMF
ヤシン・ブライミ(ポルト)

昨季はチームMVP級の活躍をしながら、監督が代わった今季はシーズン前半を干され、ベンチを温める日々が続いた。それでも、シーズン後半に好調だったオタービオ・モンテイロの負傷を機にレギュラーを奪還すると、クラブ史上最悪となる4戦連続スコアレスドローを記録していたチームに得点力をもたらし、後半戦の追い上げの原動力となった。もしブライミをシーズン当初から出場させていたらと、事実上の解任を迫られたエスピリト・サント監督も後悔していることだろう。

CF
バス・ドスト(スポルティング)
→得点王 34ゴール

イスラム・スリマニとテオ・グティエレスの2枚看板が退団し、ジョルジ・ジェズス監督も「今のFW陣で彼ら2人と同じようなゴール数を記録するのは不可能」と諦め気味であったスポルティングにおいて、バス・ドストは周囲の期待を遥かに上回るペースでひとりゴールを量産。同監督が「ポケットモンスターを市場に探しに行く」と当時大ブームとなっていたポケモンGOになぞらえていたが、スポルティングは念願のモンスターをゲット。今季のポルトガルリーグでも最大のサプライズとなった。2位チキーニョ・ソアレスの19ゴールを10ゴール差以上も突き放すリーグ戦34ゴールを記録し、スポルティングの得点全体の50%を越える圧倒的な得点力で16-17ポルトガルリーグの得点王に輝いた。

CF
チキーニョ・ソアレス(ビトーリア・ギマラインス→ポルト)

当初は、若き10番として活躍していたエースFWアンドレ・シウバの負担を減らす目的でポルトが冬に好調ビトーリア・ギマラインスから獲得。しかし予想外の活躍ぶりを見せ、ポルト加入直後、リーグ6試合連続ゴールを決めるなど9得点を量産し、シーズン後半はそのアンドレ・シウバをベンチに追いやりワントップの座に君臨した。「ニュー・フッキ」などとクラブのレジェンドと比較されるほどの活躍をし、リーグ得点ランキング2位の19ゴールを記録してシーズンを終えた。

監督
ルイ・ビトーリア(ベンフィカ)
初就任ながらリーグを制した昨季に続き、リーグ2連覇を達成。ベンフィカにリーグ4連覇をもたらし、文句なしの選出。今季は昨季ほど若手選手を抜擢することはなかったが、今シーズンのベンフィカを支えたのは、紛れもなくルイ・ビトーリアが初年度に大抜擢していた選手たちであった。シーズン前半は、冬にパリ・サンジェルマンへ巣立ったゴンサロ・グエデスが、昨季の得点王ジョナスの負傷を埋める活躍。また、シーズンを通して、上記ベストイレブンにも選出したエデルソン・モラエスやネウソン・セメードが後方からチームの守備を支えた。まさに、ルイ・ビトーリアは、昨季植えた種からなった実を今季収穫するような、驚異のマネジメント力を見せつけた。

<惜しくも選外となった選出たち>

GK
イケル・カシージャス(ポルト)

昨季はイージーなミスが続き批判を浴びることが多かったが、今季は安定的なパフォーマンスを発揮。ふとぽるとしても悩みに悩んだが、リーグ優勝GKであるエデルソン・モラエスを優先した。

LSB
アレハンドロ・グリマルド(ベンフィカ)

ファビオ・コエントラン、ギリェルメ・シケイラらに継ぐ、ベンフィカのLSBとして久しぶりに登場した逸材。シーズン序盤の活躍は見事であったが、11月に怪我を負い、4ヶ月の長期離脱を強いられたのが無念。

CF
コンスタンティノス・ミトログル
ジョナス(ベンフィカ)

ミトログルは16ゴール、昨季のリーグMVPで得点王のジョナスは負傷離脱に悩まされながら13ゴールを記録。ともに平均以上の活躍をしたが、バス・ドストやチキーニョ・ソアレスらが残したインパクトに比べると少々劣るため選外とした。

CF
アンドレ・シウバ(ポルト)

トップチーム定着初年度ながら10番を背負い、シーズン序盤にゴールを量産。得点王が有望視されたが、チームの失速とともに自身のゴール数も減少した。後半戦は、新加入チキーニョ・ソアレスの勢いに負け得点ランキングでも徐々に下位に沈む。最終的に3位タイとなる16ゴールを記録したが、終盤にはスタメンの座も奪われるなど、バス・ドストやソアレスに比べ、シーズンを通じた安定的な得点力を発揮するには至らなかった。

CF
ムサ・マレガ(ビトーリア・ギマラインス)

ポルトから戦力外となり、活躍の場を求めてレンタルで加入したギマラインスで大爆発。エースとして13ゴールを記録し、クラブは3位に輝いた2007-08シーズン以来、実に9年ぶりに、北部のライバルであるブラガを上回り、リーグ4位の快挙を成し遂げた。しかし、やはり3強のFW陣に比べるとインパクトは薄く、今季も3強の選手のみが選ばれたベストイレブンに、3強以外から入り込むには至らなかった。

以上、今季のポルトガルリーグベストイレブンを選出した。この中から今季もビッグクラブ移籍が実現する選手が間違いなく登場するだろう。

【コラム】マルコ・シウバとレオナルド・ジャルディンは、「新たなジョゼ・モウリーニョ」となり得るのか

「あの発言は本当にナンセンス。おそらくこのクラブは彼にとって大きすぎるのだろう」

2016-17シーズンも佳境に差し掛かり、選手の疲労も溜まる中、ELロフトフ戦後に、マンチェスター・ユナイテッド監督ジョゼ・モウリーニョが口にしたスケジュールへの不満。これがクラブのレジェンド、ロイ・キーンの逆鱗に触れた。

世界一の名監督の1人という名声を不動のものとしたこのジョゼ・モウリーニョは、このところ、その絶対的な求心力を徐々に弱めつつある。2004年に母国ポルトガルの強豪ポルトでヨーロッパ王者に輝き、その後、チェルシー、インテル、レアル・マドリードなど、欧州を代表するビッグクラブをリーグチャンピオンに導いた「スペシャル・ワン」も、今や復活を目論むマンチェスター・ユナイテッドでリーグ5位と低迷し、アレックス・ファーガソン時代の栄光を取り戻す任務を果たせずにいる。

自らが崇拝する英雄に陰りが見え始めたとき、人々がとる行動は2つ。その復活を信じて崇拝を続けるのか、または、それを見限り、新たな拠り所を探すのか。当然、ジョゼ・モウリーニョの絶対性に疑問が噴出したいま、彼に代わる次世代の英雄の出現を望む声は強まっている。

ーーージョゼ・モウリーニョの後継者は誰なのか。

その筆頭候補であったアンドレ・ビラス・ボアスは、プレミアリーグで2度の解任を経験した後は、ロシアのゼニトで監督を務めるなど、欧州フットボール界のメインストリームから離脱。今では中国のクラブ上海上港を率い、「もう1人のスペシャル」と題された本が出版されるほど巨大な期待を浴びたのも今や過去の追憶に。

ジョゼ・モウリーニョの腹心から始まった正統後継者への道のり。先頭をひた走っていたビラス・ボアスが自らコースを外れたいま、あとを追っていた2人のポルトガル人指揮官が揃って先頭に躍り出た。

今季途中からハル・シティを率いるマルコ・シウバ、そして、モナコで3シーズン目を迎えるレオナルド・ジャルディン。ともに、モウリーニョが、かつてボビー・ロブソンのもとでアシスタントコーチを務めたスポルティングを率いた共通点を持つ。マルコ・シウバは、モウリーニョの後を追うかのようにイングランドへ渡り、彼が最も称賛を浴びるプレミアリーグで急速に評価を高めた。レオナルド・ジャルディンは、モウリーニョが2度の王者に輝いたCLの舞台で、ヨーロッパ全土にサプライズを巻き起こしている。今や「ネクスト・モウリーニョ」の名声を手中に収めつつあるこの2人は、果たしてスペシャル・ワンの後継者になる得る人物なのだろうか。

マルコ・シウバは、39歳の若手監督であり、トップチーム監督としてのキャリアはわずか5年。それでも、毎年所属クラブの歴史にその名を刻み込んできた。監督としてのステップアップの速さと、短期間で数々の偉業を成し遂げた実績こそが、マルコ・シウバにジョゼ・モウリーニョとの比較論が止まない最大の理由だろう。

監督1年目には、選手として引退したエストリルをポルトガル2部で優勝に導き、2年目には2部上がりのクラブを1部で5位に押し上げた。エストリルでの最期となった3年目には、クラブ史上最高となるリーグ4位に導き、弱小クラブを3強に比肩するチームに育て上げた。翌年、エストリルの英雄として惜しまれながら、ポルトガルの3強の一角、スポルティングへ。クラブ会長ブルーノ・デ・カルバーリョとの不仲を理由にわずか1年で解任されたが、監督としてのキャリアは4年目ながら、ポルトガル屈指の古豪に7年ぶりのタイトルをもたらした。

ビッグ・イヤーを置き土産にポルトからチェルシーへ巣立ったモウリーニョと同じく、トップチーム監督として5年目となる年に、マルコ・シウバも初めて海を渡った。行き先は、ギリシアのオリンピアコスであった。一見遠回りをしたかに見えたこの決断こそが、マルコ・シウバをジョゼ・モウリーニョへと急速に近づけた。

新指揮官マルコ・シウバ率いるオリンピアコスは、開幕からの勢いそのままに、リーグ17連勝を飾った。その後も、22節に初めて負けるまで、開幕から21試合無敗という偉大な記録を打ち立て、眼を見張るような圧倒的な強さでギリシアリーグを制した。その勢いはヨーロッパの舞台でも変わらず、マルコ・シウバにとって初挑戦となったCLでは、アーセナルとバイエルンらが同居する厳しいグループで善戦。アーセナル戦に至っては、敵地エミレーツで勝利を収め、ギリシアクラブとしては初めてイングランドから勝ち点3を持ち帰った。

そして、監督として6年目の16-17シーズン、プレミアリーグで最下位に低迷していたハル・シティが、ジョゼ・モウリーニョのようにアーセン・ベンゲルを打ち負かしたこのポルトガル人指揮官を、残留のキーマンとして呼び寄せた。監督就任記者会見では早速、ジョゼ・モウリーニョと比較されるも「私はスペシャル・ワンではない。マルコ・シウバだ」と、熱を帯びていた比較論を一蹴した。

母国の若者のプレミアリーグ挑戦を、モウリーニョも陰ながら支えた。未来ある青年への過度な期待を案じ、その共通点を認めながらも、メディアに冷静さを求めた。

「マルコ・シウバにとって、私と比較されるのは良いことではない。またフェアでない。ただ、我々のキャリアの初期に類似点はあるね。どちらもポルトガルの小さなクラブで監督を始め、のちに強豪クラブに行った。彼は素晴らしい姿勢を持った賢い青年だ。ポルトガルでは最も優れた若手監督として知られている。ここプレミアリーグでは困難に直面するだろうが、彼にとっては良い機会となるだろう」

ハル・シティをプレミアリーグ残留へ。イングランド初挑戦となった39歳の監督には、荷が重い難題であった。しかし、エストリル、スポルティング、オリンピアコスで着実に実績を積み上げてきたマルコ・シウバは、自身がこの難題に挑戦するに値する監督であることをその手で証明した。スウォンジーとの一戦を勝利で飾り、幸先の良いデビューを果たすと、続くプレミアリーグ初戦ボーンマス戦も、3-1で納得の勝利。2月にはいきなりビッグクラブとの3連戦が控えていたが、モウリーニョ率いるマンチェスター・ユナイテッドに引き分け、ユルゲン・クロップ率いるリバプールには2-0で完勝した。オリンピアコス時代に下したアーセナルこそ、今回は勝利とはならなかったが、3連敗が妥当であるとみられたこの連戦で勝ち点4をもぎとった。

また、リーグカップ戦の準決勝では、ジョゼ・モウリーニョと直接対決。2戦合計では敗北したものの、セカンドレグでは、ハル・シティに、マンチェスター・ユナイテッドから40年ぶりの勝利をもたらすなど、着実にチームに変革をもたらしている。

モウリーニョの牽制も虚しく、監督就任会見以後も、マルコ・シウバを「ニュー・モウリーニョ」「リトル・モウリーニョ」などと評する声は強まった。ただし、この活躍ぶりに、ジョゼ・モウリーニョは「マルコ・シウバの仕事ぶりには驚いていない。彼が良い監督であり、チームを改善できることは分かっていた」とコメントを残すなど、その評価は本家のお墨付き。現在、ハル・シティは、18位に位置しているが、降格圏脱出まであと勝ち点3差に迫った。契約は今季限りとされているが、マルコ・シウバ本人が「残留にはミラクルを引き寄せる力が必要」と語ったように、一時は最下位に沈んでいたクラブに「大逆転残留」の奇跡をもたらすことができれば、来季もハル・シティを率いるマルコ・シウバの姿を見られるかもしれない。まずはハル・シティをプレミアリーグに残留させること、そして、自らもチームに留まること。この最初の壁を乗り越えたとき、プレミアリーグで「スペシャル・ワン」と称されるなど特別な存在となったジョゼ・モウリーニョへ通ずる道が拓かれるだろう。

視点をフランスに移そう。ジョゼ・モウリーニョが指揮を執った経験のないこの国で、もう1人の「ネクスト・モウリーニョ」が、欧州全土をかき回す台風の目となっている。リーグ・アンで、王者パリ・サンジェルマンを上回り首位に立つモナコ。若いチームを率いるのが、42歳の青年監督レオナルド・ジャルディンだ。

大多数のポルトガル人の若者と同じく、ジョゼ・モウリーニョも一度はプロサッカー選手になることを夢見た。しかし。ジャルディンは違った。父親によると、昔からプロのサッカー監督になることを目指していたようだ。夢を叶えるため、クリスティアーノ・ロナウドの出身地としても有名な故郷マデイラの大学でスポーツ科学を修めた。そして、24歳の頃には早くも監督コースを終え、最年少でレベル4のライセンスを取得し、目標を実現させた。ジャルディンが次に見据えた未来は、モウリーニョも立つ監督としての頂。27歳の頃には、その具体的な道のりを描いていたのかもしれない。カマーシャという地方クラブでトップチーム監督としてひっそりとデビューし、その後は、アベイロ地方のベイラ・マルやポルトガル屈指の強豪ブラガ、初の海外挑戦であったオリンピアコスを経て、2013年に幼き頃より憧れたスポルティングの監督に就任した。当時エストリルを率いたマルコ・シウバがやってくる、ちょうど前年だった。

ブラガを率いた頃から徐々に頭角を現していたジャルディンにとって、スポルティングの監督を務めた1年間はキャリアの転換期となった。現在はサウサンプトンでプレーするセドリック・ソアレスや、マンチェスター・ユナイテッドのマルコス・ローホ、スポルティングの現キャプテンであるアドリエン・シウバやポルトガル代表の中核ウィリアン・カルバーリョ、そしてレスターに所属するイスラム・スリマニなど、現在ヨーロッパ各国で活躍する選手をまとめ上げ、前年7位に沈んだ古豪を2位にまで復興させた。

この活躍ぶりが、大富豪の資金を手にクラブの改革を進めていたモナコの目に留まる。今でこそ「ミラクル・レスター」の立役者として有名となったクラウディオ・ラニエリ監督の後任を探していたモナコは、まだ世界的には名の知れていないジャルディンを大胆にも抜擢。ラダメル・ファルカオにハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョなど、ジャルディンの母国ポルトガルから多くのスター選手を獲得して推し進める大型補強と比べ、微々たる監督人事であった。

しかし今となっては、当時の経営陣の決断にに異を唱えるものはいないことだろう。ジャルディンは、ポルトとインテルでCLを制したジョゼ・モウリーニョの如く、特に欧州の舞台でその名を知らしめた。スポルティング時代と同じく、若手から中堅の選手が構成する勢いのあるチームを作り上げ、モナコでの監督初年度には、モウリーニョが幾度となく舌戦を繰り広げてきたアーセン・ベンゲル率いるアーセナルを敗退に追い込み、自身初となるCLでベスト8に進出した。そして今季は、スペインで「モウリーニョvsグアルディオラ」の一時代を築いたペップ・グアルディオラをもCLの舞台から葬り去った。監督就任当初から手塩にかけてポルトガルを代表する選手にまで育て上げたベルナルド・シウバをチームの中心に据え、マンチェスター・シティとの2戦合計6-6となった激しい打ち合いを制した。ジャルディンが飾った勝利は単なるモナコのサプライズではなく、それまでCLに7度出場し、その全てで少なくとも準々決勝には勝ち残っていたグアルディオラを、初めてベスト16で敗退に追いやる監督になるなど、自身の評価にも箔をつけた。グアルディオラ率いる「最強バルサ」相手にリーガ・エスパニョーラを制したモウリーニョですらなし得なかった並外れた偉業である。

レオナルド・ジャルディンの快進撃は一体どこまで続くのだろうか。奇しくも、ジョゼ・モウリーニョがポルトで奇跡のCL制覇を成し遂げた当時の決勝の相手はモナコであった。ディディエ・デシャン監督に率いられ欧州最強の座を決めるファイナルに駒を進めたクラブの歴史を繰り返し、ポルトの歴史を変えたモウリーニョのように、奇跡のCL優勝を成し遂げたとき、世界は約10年前にポルトの監督としてビッグイヤーに口付けをするジョゼ・モウリーニョの姿を思い起こし、「新たなモウリーニョ」が誕生したと声を荒げることだろう。

ともに、ジョゼ・モウリーニョの後継者レースで先頭を競い合う、マルコ・シウバとレオナルド・ジャルディン。前者がプレミアリーグで、後者がCLの舞台で、それぞれモウリーニョがチェルシーとポルトで成し遂げたのに匹敵する奇跡を起こしたとき、ここ数年間結論の出ない「ネクスト・モウリーニョ」論争に決着がつくことだろう。

(本稿に記述した年齢や順位などの数字は、2017/03/25時点のデータです)

【動画付き】クリスラン、フレイレ、ドゥポワトル。J加入の噂がある3選手をまとめてご紹介します

ポルトガルリーグ所属の3選手にJリーグ移籍の噂が浮上した。ブラガのブラジル人FWクリスランにはベガルタ仙台、シャービスのブラジル人CBレアンドロ・フレイレには清水エスパルスと、それぞれ具体的なクラブ名が挙げられた。また、もし移籍が実現すれば最大の大物となるポルト9番ローラン・ドゥポワトルには、具体的な移籍先は報じられていないが、代理人が日本への移籍の可能性を調査しているとの報道が伝えられた。

ポルトの9番とはいえ、このドゥポワトル含め、3選手は世界的にはまだまだ無名な部類に入る選手である。果たして、来日が噂される彼らはどのような選手なのか。プレー動画とともにその経歴と特徴を紹介していきたい。

クリスラン

クリスランは、1994年生まれ24歳のブラジル人FW。186センチという長身と利き足の左足が特徴だ。母国ブラジルからポルトガルへ初上陸したのは、昨季2015-16シーズンのブラガ。今季2016-17シーズンは、トンデーラへレンタル移籍したが、12試合で1ゴールと振るわず、チームも1部で最下位に。半年でブラガにレンタルバックしても出場機会に恵まれず、ポルトガルで活躍したとは言えない選手である。

しかし、クリスランはブラガの前に所属していた母国ブラジルのペナポレンセではエースとして大活躍。しなやかな身体と長い手脚を活かし、繊細かつ豪快なプレーで得点を量産していた。ゴール前でのポジションに優れ、強烈なシュートを左足で振り抜くだけでなく、長身を活かしたポストプレーやヘディングからのゴールも得意としている。しかし、クリスランの強みはその長身だけではなく、スピードのある飛び出しや、1人で戦況を打開できる突破力など、地上戦で発揮されるものも。まさに、FWとして必要な素質をバランスよく備えており、1人で状況を変えられる強力な外国人選手が目立つJリーグでも、存分に活躍できるだろう。

レアンドロ・フレイレ

レアンドロ・フレイレは、1989年生まれ27歳のブラジル人CB。クリスランと同様に187センチという長身が特徴的だ。ポルトガルへの初上陸は、2010-11シーズンに加入した強豪ビトーリア・ギマラインス。続いて移籍したナシオナルでも、主に控え選手としてプレーしていたが、転機となったのは、昨季2015-16シーズンのアポロン・リマソール(キプロス)移籍。東欧の地でポルトガル人監督ペドロ・エマヌエルに率いられ、44試合で3ゴールと才能を開花させた。その活躍もあり、今季は2部上がりのシャービスへ加入しポルトガルへ復帰。初めてチームの守備の要として認められ、若き名将ジョルジ・シマオン(現ブラガ)のもと、小クラブの7位躍進の立役者となった。

フレイレの武器は、打点の高いヘディング。屈強な身体を活かし、敵の攻撃を跳ね返す力はもちろん、セットプレーでは攻撃面でもチームの得点に貢献する。また、フィード力に優れ、ディフェンスラインから攻撃を組み立てる能力も優れている。その中でも、フレイレ最大の特徴は、守備における粘り強さ。ギリギリのところで脚を投げ出し、相手の攻撃をシャットアウトする迫力は、チームの守備の要と言うに相応しい。加入するJクラブでも、ディフェンスリーダーとしてチームの守備力強化に貢献できるだろう。

ローラン・ドゥポワトル

ローラン・ドゥポワトルは、1988年生まれ28歳のベルギー人FW。クリスランとフレイレを優に超える191センチという身長が最大の特徴だ。ドゥポワトルにとってキャリアのピークとなったのは、ゲンクで過ごした2シーズン。87試合で30ゴールとエースとして得点を量産した。その活躍が認められ、今季2016-17シーズンに鳴り物入りでポルトへ加入。2020年までの長期契約、違約金は4000万ユーロで、与えられた背番号は、ドミンゴス・パシエンシアやベニー・マッカーシー、ラダメル・ファルカオにジャクソン・マルティネスなど、クラブのレジェンドが代々引き継いだエースナンバー9番と、まさにスター待遇であった。

ドゥポワトルのポジションを開けるため、ポルトは前シーズンに獲得したムサ・マレガとソク・ヒョンジョンをレンタルに出し、バンサン・アブバカルからは9番を剥奪し、ベジクタシュへ貸し出した。しかし、彼ら屈強な3選手の役回りを一身に背負うはずだったドゥポワトルは、ポルトガルリーグへの適応に苦しみ、シーズン前半を12試合で2ゴールで終えた。チームを引っ張る若きエース、アンドレ・シウバディオゴ・ジョッタの2人の若手FWの陰に隠れ、スター待遇で加入したベルギー人FWは、他クラブへ出場機会を求める立場に転落してしまったのだった。

ドゥポワトルの特徴は、何と言っても191センチという圧倒的な高さと身体の強さ。相手を背負った場面での強さやヘディングでの得点力は言うまでもなく、地上に落ちたボールを、相手ディフェンスから抜け目なく奪い去る巧みさ・強さも武器である。ただ、Jリーグへの適応問題に関して言えば、ポルトでディオゴ・ジョッタやオリベル・トーレス、オタービオ・モンテイロらが小気味好くパスワークを繋いだ中で、1人異質な存在となったように、日本のサッカーにうまく馴染めるかは、一か八かの賭けとなりそうだ。

以上、Jリーグへの加入が噂されるクリスラン、レアンドロ・フレイレ、ローラン・ドゥポワトルの経歴と特徴を、プレー動画とももに紹介した。ポルトガルリーグから到来することが予想される彼らが、日本のスタジアムで輝く姿を是非とも見てみたいものである。

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絶望からの歓喜。12年を彩る4色の涙。「監督」ロナウドがついに手にした最後のピース

開始直後のまさかの負傷離脱。監督への「転身」。そして12年間を彩った「4色の涙」。初の主要国際タイトルを獲得したポルトガル代表において、やはり話題の中心はこの男が独占した。

EURO2016決勝。フランスとの決戦。ポルトガルにとっては、自国開催となった2004年にギリシアに敗れて以来、12年ぶりとなるヨーロッパ王者をかけた戦い。全世界が注目したのは、当然、マンチェスター・ユナイテッド時代からの盟友ナニとツートップを組んだクリスティアーノ・ロナウドだった。欧州CLからバロンドールまで、あらゆるタイトルを勝ち取った男が、未だ勝ち得ない代表でのタイトル。12年ぶりに目前まで迫った機会を、母国国民も固唾を飲んで見守った。

きっとクリスティアーノがどうにかしてくれる。そう思っていたに違いないポルトガル国民は、試合開始数分で悲壮感に包まれることになる。

フランス代表パイエから激しいタックルを浴びせられたロナウドは、それ以降終始具合を気にしていた左足を抱え、17分に突然倒れ込んだ。一度ピッチを離れ、応急処置としてアイシングを終え強行出場。しかし、ロナウドがこの試合にかけた溢れんばかりの想い、ポルトガル国民が一旦は感じた安堵感が、23分に悲劇に変わった。

再度ピッチに倒れこんだロナウドの目には大粒の涙が浮かんでいた。溢れ出る想いをもう体が受け止めきれない。これ以上プレーできないことを本能的に悟ったロナウドを、絶望の涙が襲ったのだった。

2004年の決勝。まさかの敗北を喫した若きロナウドが流したあの悔し涙とは違う。今の自分には、その悔しさを味わうことすらできないのだ。やるせない絶望感を抑えきれないロナウドは、担架で運ばれトンネルの暗闇へ。ロナウドにとってのEUROは儚く幕を閉じた。

チームの大黒柱を失ったポルトガル代表メンバーだったが、勝利を望む熱き火を消すことはなかった。ピッチに立てないキャプテンを必ず優勝台に連れて行こう。そう口を揃えるかのように、残されたメンバーは一丸となって死闘に臨んだ。

気迫のセーブで幾度となく決定機を阻止したルイ・パトリシオ。ロナウドを破壊したパイエに報復するかのように飛び蹴りを食らわしたセドリック。レアルの盟友の後を継ぎ、チームを後方から支えたペペ。足を痙攣させながらも、敵エースグリーズマンを抑え切ったジョゼ・フォンテ。名手コエントランの不在を感じさせないほどピッチを駆け回ったラファエル・ゲヘイロ。チームに落ち着きを与えた若きMFウィリアン・カルバーリョ。猛獣のようにボールを追いかけ回した驚異の18歳レナト・サンチェス。攻守にわたり体を張り続けたジョアン・マリオ。交代後にはロナウドに足をぶっ叩かれることになるなど知る由もなく、彼のために決死のプレーを見せたアドリエン・シウバ。盟友ロナウドなき後、若きチームを鼓舞し続けたナニとクアレスマの両雄。焦るチームを引き締めたベテランMFジョアン・モウティーニョ。そして、ブラジルW杯では戦犯に挙げられながらも、この日歴史的な決勝点を挙げたエデル。

ピッチに立つ全員が、優勝杯を掲げさせるために死に物狂いで駆け回った。そう、テクニカルエリアでジョゼ・モウリーニョの如く感情を爆発させるあの男に。

ロナウドのEUROはまだ終わっていなかった。そこには、選手としてはプレーできないが、フェルナンド・サントス監督を凌駕する存在感を発揮する「監督」ロナウドの姿があった。

喜怒哀楽を剥き出しにし、声を荒げる名将ロナウドに、歓喜の瞬間は突然に訪れる。大会にあたり「ヨーロッパいちのストライカーになる」と豪語していた途中出場のエデルが、有言実行となる美しいミドルシュートをゴール左隅に沈めた。ピッチサイドで雄叫びをあげるメンバーの中心にいたのはもちろんロナウド。「インポシーベウ!」ポルトガル語で「信じられない!」。現実を現実と受け止められない顔をしたロナウドの目には、優勝が眼前に迫った希望感から、またもや涙が浮かんでいた。

試合終了のホイッスルを聞いたポルトガル代表の面々は我を忘れ踊り狂った。左足を負傷したはずのロナウドも、この瞬間だけは痛みを忘れて飛び跳ねた。ピッチを後にする際にナニへ託した母国の誇りキャプテンマーク。盟友から再度腕章を譲り受けたその腕で、ついにロナウドが「ポルトガル代表のキャプテン」として、初めてチャンピオンズカップを掲げた。

一体何度王者のトロフィーを掲げただろうか。そんな男でもこの優勝杯は格別だ。幾度となく公に口にしてきた念願の代表での初タイトル。12年前に一度手にしかけたからこそ、その喜びは計り知れないものだったのだろう。

12年前の悔し涙、そして今宵流した絶望の涙と希望の涙。ロナウドがタイトルを願って止まなかった12年間を彩る、4色の涙を締めくくったのは、チャンピオンズカップを掲げながらその目に走らせた、歓喜の涙だった。

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ポルトガルメディアが神戸戦のウーゴ・ビエイラを紹介「Jリーグでまた1点」

『Record』

ヴィッセル神戸戦でゴールを決めたポルトガル人FWウーゴ・ビイエラを、またもポルトガルメディアが紹介。『Record』が報じた。

タイトルは「横浜マリノスが勝利した試合でウーゴ・ビエイラがゴール」とし、「ウーゴ・ビイエラが、Jリーグでまた1点。この日曜日、ポルトガル人FWは、第16節ヴィッセル神戸を迎えた一戦で横浜マリノスの勝利を締めくくった。84分のゴールにより、ウーゴ・ビエイラはリーグで6ゴール目を記録。この勝利により、横浜マリノスはリーグ5位となった」と報じた。

Jリーグでの得点量産により、ウーゴ・ビエイラには、日に日に母国メディアからも注目が集まっている。

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U-21ポルトガル代表10番、スポルティング移籍濃厚に。選手本人がクラブ間合意を明かす

『maisfutebol』

セリエAサンプドリアに所属するブルーノ・フェルナンデスのスポルティング移籍が濃厚となった。ポーランドで行われたEURO2017をグループステージ敗退で終え、母国ポルトガルに帰国した同選手は、サンプドリアとスポルティングですでにクラブ間合意に達していることを明かした。

「僕が知っていることは、すでにサンプドリアとの合意があり、僕との契約に関心があるということ。まだ代理人とは話していないが、今日か明日にもでも会ってニュースを待つよ」

ポルトガルのプロチームでプレーした経歴がない異色のキャリアを持つブルーノ・フェルナンデスは、母国のビッグクラブでプレーすることについてはこのように語った。

「いつも、ビッグクラブのひとつでプレーすることは大きな誇りだと言ってきた。特に僕はポルトガルでプレーしたことがないからね。そしてスポルティングは、歴史のある偉大なクラブ。そこでプレーできるのは、間違いなく大きな喜びであり誇りだ」

ブルーノ・フェルナンデスは、母国ではボアビスタのユースチームでプレーし、その後イタリアはノバーラのU-20へ移籍。同クラブでプロデビューを果たしてからは、ウディネーゼ、サンプドリアと、セリエAのチームを転々としてきた。リオ・オリンピックと先日のU-21代表でも10番を背負ってきた期待の若手選手は、母国ポルトガルのビッグクラブへプロとして帰国するのだろうか。

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ポルトのヘスス・コローナが、ドルトムント移籍間近か

『O JOGO』

ポルトのメキシコ人FWヘスス・コローナに退団の時期が迫っているようだ。

バルセロナやミランからの関心が噂されていたコローナだが、『Jueque Balón』は、同選手がドルトムントへの移籍で合意に達したことを報道した。

昨季は序盤戦こそ、U-21ポルトガル代表FWディオゴ・ジョッタらにスタメンの座を譲ったヘスス・コローナだが、シーズン後半にレギュラーを奪取。昨季は、計41試合に出場し、6ゴールを記録していた。

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ポルト、ブラジルの至宝インテルFWガビゴウに興味。選手の代理人がポルトに好印象とも

『zerozero.pt』

エースFWアンドレ・シウバをミランへ放出したポルトが、前線の新たなオプションとして、インテルのガビゴウこと、ガブリエウ・バルボーザに興味を寄せているようだ。『GloboEsporte』が報じた。

ブラジルメディアによると、インテルの新監督ルチアーノ・スパレッティは、ガビゴウを構想に入れておらず、同選手の代理人は、ポルトが選手が成長するには理想的な環境であると考えているという。

3000万ユーロでインテルに加入したブラジルの至宝だが、昨季はわずか10試合に出場して1ゴールを挙げたのみ。再起をかけて、ポルトの名門クラブへの移籍を決断するのだろうか。

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久保裕也ポルト移籍の条件とされたドゥポワトルのプレミア移籍が決定

『zerozero.pt』

ポルトのベルギー人FWローラン・ドゥポワトルが、ハダースフィールドへ移籍することが決定。来季より1部に昇格するクラブと2年+1年の延長オプション付きの契約を締結した。

鳴り物入りでポルトに加入し、9番を背負うなど期待されたドゥポワトルだが、昨季はわずか13試合に出場し2ゴールをあげたのみ。3年の契約を残し、1年でポルトを退団することとなった。

先日は、日本代表FW久保裕也の獲得のため、年俸が高額なドゥポワトルをヘントへ復帰させるプランがポルトガルメディアによって報じられていたが、同選手の古巣への移籍は消滅。ヘントから久保を獲得する際に、ドゥポワトルを差し出す交渉の可能性はなくなったが、ミラン移籍のアンドレ・シウバに続きFWのポジションが空いたことで、ポルトは今後、前線の補強を積極的に推し進めるだろう。

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日本発!ポルトガルサッカー総合情報サイト

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