ポルトっていまどんな感じ?中島翔哉は活躍できるの?ポルティスタの私が気になる疑問に答えます。

私とポルトとの出会いは、若きジョゼ・モウリーニョが、アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドと戦ったあの伝説の一戦です。ポルトが勝ち越しゴールを決めた瞬間、モウリーニョが我を忘れてタッチラインを爆走したあのビクトリーラン。生では見ていなかったのですが、何かの映像で記憶しており、それがいまのポルトガルへの情熱に至ります。

本格的に試合を見出したのがポルトガルに留学していた2013-14シーズン。それからは帰国後も、定期的にポルトの試合はフォローしています。ポルトに1年間住んでいた頃には、クラブのソシオになり、ドラガオン・スタジアムの徒歩圏内に住み、毎週スタジアムに足を運んでいたものです。なので、日本人の中では、まあまあポルトについて詳しい方なのではないかと自負しております。

そんな愛するポルトに、この度日本人が加わりました。ポルティモネンセで大ブレイクし、なぜか一度カタールを挟んでポルトガルに戻ってきた中島翔哉くんです。もちろん日本人の加入はポルティスタの私にとっても歴史的な大事件で喜ばしいことなのですが、一方で、日本人選手がこのビッグクラブで通用するのかという心配も当然感じるところです。

この記事を読んでくださっている皆様は、日本代表、中島翔哉、ポルト、このどれかに少なからず興味がある方々かと思います。だからこそ、同じような疑問を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

果たしていまのポルトはどんな感じなのか、その中で中島翔哉は活躍できるのか、ポルトを長らく追っているものとして、少し考えてみたいと思います。

ポルトの現在地

まずいまのポルトはどんな感じなのか。一言で言えば「いちサイクルが終わり迎える転換期」でしょう。

昨年はリーグ2位に甘んじましたが、CLでは優勝したリバプールに敗れることになるベスト8まで進みました。正直、グループステージ敗退やベスト16敗退が多いポルトガル勢にとっては大健闘です。その前年には、5年ぶりにリーグ優勝を果たしました。いまもチームを率いるセルジオ・コンセイサオン監督は、モウリーニョが保持していたクラブ歴代最多勝ち点記録を塗り替えました。つまり、クラブ史上最も勝ち点を稼いだ、歴代で最も勝負強いチームだったのです。あのフッキやファルカオ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョらがアンドレ・ビラス・ボアス監督のもとEL含む4冠を達成した2010-11以来でしょう、これほど強いポルトを見たのは。

そんな黄金世代が、今年大解体されてしまいました。GKイケル・カシージャスは心筋梗塞の影響で現役続行が不透明な状況。守備の要であった2人のブラジル人、エデル・ミリタオンはレアル、フェリプはアトレティコの、それぞれ隣国の首都クラブに引き抜かれ、そこにキャプテンであるエクトル・エレーラもついていく始末。絶対的チャンスメーカーのヤシン・ブライミについては、毎年引き抜かれる詐欺に遭い、ついに契約満了で詐欺が真に。アフリカネーションズカップで怪我をしていまは無所属ですが、ポルトにはもう戻りません。彼らはまさにこのコンセイサオン時代を彩った黄金の主軸メンバー。当然、彼らの退団がチームにとって大打撃であることは言うまでもありません。

そんな状況下でポルトに加入したのが、日本代表の中島翔哉くんというわけです。ブライミの後継者と期待され、同じ背番号8番を託されました。そして、念には念を、ポルトは同ポジションにコロンビア代表ルイス・ディアスも補強して、熾烈なレギュラー争いが起こる環境を意図的に作り出しました。また、ミリタオンが務めた右SBには、こちらも代表選手アルゼンチン人のレンゾ・サラビアを獲得。多くの主軸が抜けた穴を、彼らよりも将来性豊かな若き代表選手で補い、走り出したのが今シーズン、という状況です。

中島翔哉の可能性

当然、中島翔哉くんには、ブライミのように左サイドをドリブルで八つ裂きにし、前線に控える屈強な味方FWのゴールをお膳立て、自らも相手ゴールを脅かし、時には相手のカウンターアタックを猛追して汗を掻く、ゴール前に敷くブロックの一員になる、そんな役割が期待されるはずです。そう、特に守備面はポルティモネンセ時代とは全く違う役割を。

今季もセルジオ・コンセイサオン監督は4-4-2と4-3-3を併用して長いシーズンを戦うことでしょう。下記が個人的に予想する新シーズンのスタメンです。

<予想スタメン>
(斜線で選手を区切ったポジションは、現状同率想定でレギュラーの予測は困難)

4-4-2
GK バナー
RSB レンゾ・サラビア
CB ぺぺ
CB ディオゴ・レイテ/イバン・マルカーノ
LSB アレックス・テレス
CMF ダニーロ・ペレイラ
CMF オリベル・トーレス/セルジオ・オリベイラ
RMF ヘスス・コローナ
LMF オタービオ・モンテイロ/中島翔哉/ルイス・ディアス
CF チキーニョ・ソアレス
CF バンサン・アブバカル/ゼ・ルイス

4-3-3
GK バナー
RSB レンゾ・サラビア
CB ぺぺ
CB ディオゴ・レイテ/イバン・マルカーノ
LSB アレックス・テレス
DMF ダニーロ・ペレイラ
CMF オリベル・トーレス
CMF オタービオ・モンテイロ
RWG ヘスス・コローナ
LWG 中島翔哉/ルイス・ディアス
CF バンサン・アブバカル/チキーニョ・ソアレス

※なお、イケル・カシージャスは現役引退が有力視、ムサ・マレガはプレミアリーグ移籍が有力視されているため、上記には含んでいません。

おそらくGKがバナーでは壊滅するため、何としてもカシージャスの後釜は移籍ウィンドウ閉幕までに補強するはずです。
そして、どちらのシステムでも変わらない4バックは、おそらくこれが有力。ローマから復帰したマルカーノに、若手ディオゴ・レイテがどこまで食らいつけるか。

肝心なのは、4-4-2と4-3-3のMFの構成、もっと言うと、現在ポルトの左サイドアタッカーで最も序列の高いオタービオが、ウインガーとして使われるか、インサイドハーフとして使われるか。それによって、中島翔哉くんのスタメン争いの熾烈度が大きく変わってくるでしょう。

オタービオは非常に器用な選手です。昨季も2トップ採用時には、ヤシン・ブライミを差し置いてLMFのスタメンを張ることも多く、3トップ採用時には、インサイドハーフに据えられて、LWGにブライミまたはムサ・マレガを置く攻撃布陣のオプションも作り出せる、1家に1台欲しいキープレイヤーです。

コンセイサオンは対戦相手に応じてシステムを使い分けます。中島翔哉くんは、4-4-2の場合はオタービオと新加入コロンビア代表の若手FWルイス・ディアスの3人でLMFのポジションを争い、4-3-3の場合はディアスとLWGをめぐり一騎打ちといったところでしょうか。なお、もしムサ・マレガが残留した場合、本来ワントップの彼をLWGに据える荒技もオプションとしては残ります。

このように、ポジション争いとしては、基本的にはコロンビア代表の新加入ルイス・ディアスとの競争がベースにあり、そこにチームの要オタービオがどこまで関わってくるか、というのが概観かと思います。果たして、中島翔哉くんはそんなポルトの中で活躍することができるのでしょうか。

結論としては「攻撃は周りを使う判断をよく、守備は味方との連動。チームのいちピースとして約束事を守れば、十分に試合に使われ、あの個性があれば活躍できる」でしょう。

サッカーダイジェストさんにこんな記事が載っていました。セルジオ・コンセイサオンは中島翔哉にとって「決して相性がいい監督とは言えないかもしれない」とのことです。その理由として「規律とハードワーク」を「ことさら要求」する、オリベル・トーレスのように「守備に貢献できない選手は評価されない」と述べられています。

「決して相性がいい監督とは言えないかもしれない」とは、いろんな炎上リスクを想定して相当マイルドにした表現になっていますが、結局明確な立場をとるなら「守備ができない選手は使わない監督であり、中島翔哉は守備できないから相性悪いよ」ってことなのでしょう。まあ総論間違ってはいないのですが、ざくっと「守備ができないから相性悪い」と言ってしまうことには正直違和感があります。
(そもそも、本職がトップ下のオリベルがセントラルハーフの守備をできないことと、サイドアタッカーがサイドアタッカーの守備ができないことも、前提が違いすぎて一律に比較できないです)

たしかにセルジオ・コンセイサオン監督は、守備ができない選手は使いません。しかしそれは「ことさら要求」しているわけでもなんでもなく、一般的なヨーロッパの監督が求めるそれです。コンセイサオンの守備の要求に応えられない選手は、ヨーロッパのどの中規模以上のクラブに行っても活躍できないのではないかと思います。まず明確に示しておきたいのは、「コンセイサオンが求める守備とは、ヨーロッパで求められる一般基準の守備である」ことです。相手との関係性から適切に判断されたポジショニング、味方と連動してはめる誘導、前進・後退の判断、1対1で奪い切る能力、などなどであり、このようなヨーロッパで活躍するには一般的に備えてなくてはならない守備の最低基準を、コンセイサオンも全選手に求めているというだけです。つまり、何も特別な守備力が求められているわけではなく、中島翔哉くんとの「相性」でも何もないわけです。

なんなら、攻撃の観点から言えば、かなり相性の良い監督です。コンセイサオン率いるポルトにおいて、戦術兵器となっているのは左SBのアレックス・テレスです。3トップだろうと2トップだろうと、彼が大外レーンを陣取り、左サイドのアタッカーを追い越して高精度クロスを上げ、それにムサ・マレガやチキーニョ・ソアレスら空中戦最強の肉弾兵が合わせる形は、ポルトの黄金パターンです。

加えて、4-4-2を採用する際には、ポルトのFW陣は前線で構えたいタイプが多く、1列目と3列目には広大なスペースが空きがち。昨年まではここをエクトル・エレーラが圧倒的な運動量で埋めていましたが、今季代わりとなるオリベル・トーレスにはそこまでの機動力は見込めません。

大外はアレックス・テレスが配置する、1列目と3列目の空間が開く。この2つの条件が揃うとどうなるか。中島翔哉くんの大好物なカットインができるスペースが空きます。彼は現状では、このようなシーンにおいて、カットインをして強引にシュートまで持ち込む傾向にありますが、アレックス・テレスを有効に使う・使わないの判断を適切にして相手を混乱させ、自らのプレー選択の幅を広げる判断が磨かれると、コンセイサオンが彼を使わざるを得ないくらいの得点貢献はできるはずです。

このように、攻撃面では彼の価値が出しやすいチームの全体設計になっています。ただし、カウンターを受けるリスクやアレックス・テレスに預けたときの攻撃の破壊力を考慮したうえで、中島翔哉くんがベストな選択肢を判断・実際に体現できるか。ここだけは攻撃面においても懸念点ではあります。ベタ引きでカウンター一本を狙ってくるチームが多いポルトガルリーグでは特に。

一方の守備。これはコンセイサオン監督との相性どうこうではなく、ポルトの守備戦術を構成する一員として、いち監督から求められる連動ができるかどうかのみです。そして、ポルティモネンセ時代には攻め残り要員としてある種免除されていた守備を、ポルトに来ていきなりできるのかという部分は正直心配です。

ここで大まかなポルトの守備原則をおさらいしましょう。昨季、CLリバプール戦を前に下記のコラムを書かせていただきました。そこに書いたのは、主に下記の守備原則です。

・アタッキングサードでは、FWとWG/SMFが相手ディフェンスラインにプレッシャーをかけて、ロングボールを蹴らせて回収する
・ミドルサードを突破されディフェンシブサードに侵入されると、撤退して守備ブロックを形成する

WGもしくはSMFを任されるであろう中島翔哉くんには、このような相手をはめるポジショニングや前進・撤退の判断を、90分間を通じて、相手選手を見ながら味方と連動して体現し続けないといけません。加えて、前述の通り、彼の後ろにつけるアレックス・テレスは攻撃に持ち味のある選手です。(ポルトガルリーグのアシストランキングで上位常連) 当然、強豪ポルトに一矢報いようとする、または宿命のライバルの撃退に燃えるその他全17チームは、ここをカウンターの起点と利用することは言うまでもありません。カウンターに備えバランスを考慮したポジションを取り、実際にカウンターを食らった際には、自分がどんなに攻め疲れていようと、猛烈に守備に戻らないといけません。上記ができない選手を、セルジオ・コンセイサオンは「使わない」というわけです。

徒然と書きすぎたのでここでまとめます。

攻撃時には、1列目と3列目のスペースにカットインで侵入した際、周囲を使う判断を含む最良のプレー選択。(ちなみに、ポルトファンはボールを持ちすぎてカウンターをくらう選手には、Passa a bola, caralho! (パス出せよクソ野郎!)と容赦ないです。あのリカルド・クアレスマもよく罵られていました)
そして守備時には、チームの守備戦術に連動した判断とポジショニングを90分間体現し続ける能力と、カウンターに備えるバランス。

不思議ですね。中島翔哉くんに足りない能力が、ポルトではちょうど求められます。弱点を克服できるかできないか、簡単に言ってしまえば、それこそが彼がポルトで試合に出場し続け、活躍できる条件であると考えます。

彼はよく言います。「サッカーを楽しむ」と。彼の中で楽しむとはどういう定義なのかは推し量れませんが、私個人の考えでは「弱点を認識して克服するプロセスを経て選手として一段上のステージに登り、世界でもトップレベルのタレントが揃うポルトというメガクラブにおいて、チームの一員として活躍する」こと。これを体現することが「サッカーを楽しむ」ということなのではないでしょうか。ぜひ、彼が言う「楽しむ」とはこのことであることを願い、ポルトに迎え入れられた初の日本人を、同じ日本人としてその活躍に期待したいと思います。

名古屋グランパスMF深堀隼平が移籍したビトーリア・ギマラインスってどんなクラブ?

名古屋グランパスMF深堀隼平が、ポルトガルの名門ビトーリア・ギマラインスのBチームに移籍することが決定した。

一部のポルトガルメディアでは、1年半の期限付き移籍とも報じられていたが、名古屋グランパス公式によると、レンタル期限は2019年7月31日までの約半年。ポルトガル1部に所属する名門クラブのBチームの一員として、まずはポルトガル2部リーグを戦うこととなった。

ポルト、ベンフィカ、スポルティング、近年だとブラガのような「ポルトガルの4強」ともいえるクラブと比較して、このビトーリア・ギマラインスの知名度は日本では圧倒的に低い。深堀の新天地は一体どのようなクラブなのか。基本情報に加え、その特徴を2つご紹介したい。

基本情報

ビトーリア・ギマラインスの正式名称は、「Vitória Sport Clube」。論展開の分かりやすさを重視するため、不恰好は承知で日本語的に表記するなら「ビクトリーSC」だ。

実はポルトガル1部にはもう1つ「ビクトリー」の名を冠するクラブが存在する。それが、かのジョゼ・モウリーニョの生まれ故郷「セトゥバル」に拠点を置く「Vitória Futebol Clube」である。

両者をポルトガル語で略すと「Vitória SC」と「Vitória FC」。違いは単に、前者が総合スポーツクラブであり、後者がサッカークラブであるというだけなのだが、これではあまりにややこしい。

そのため、前者「Vitória SC」を「Vitória de Guimarães」、つまり「ギマラインスに拠点を置く方のビクトリークラブ」を意味する【ビトーリア・ギマラインス】、後者「Vitória FC」を「Vitória de Setúbal」、つまり「セトゥバルに拠点を置く方のビクトリークラブ」を意味する【ビトーリア・セトゥバル】と呼び分けることが一般的である。

ビトーリア・ギマラインス
Vitória SC=Vitória Sport Club
→区別のため、Vitória de Guimarães

ビトーリア・セトゥバル
Vitória FC=Vitória Futebol Clube
→区別のため、Vitória de Setúbal

そして、今回深堀が移籍したのが、Vitória SC、つまり、サッカー以外のスポーツチームも抱える国内の名門「ビトーリア・ギマラインス」というわけである。

ここまでが基礎情報となる。それではビトーリア・ギマランイスの2つの特徴についてご紹介したい。

ポルトガルTier2の代表格。安西海斗が移籍したブラガとのミーニョ・ダービーは激アツ!

ポルトガルリーグの覇権を争うのは、紛れもなくポルト、ベンフィカ、スポルティングの「Três Grandes」すなわち「3強」であろう。ポルトガルの伝統的な分類に従うのであれば、この3強という切り方は正しい。しかし近年の戦績から、20年近くに渡りリーグタイトルを独占しているポルトおよびベンフィカの力が突出していることから「2強」、もしくは、スポルティングおよびブラガを加えた5位以下とは実力差がかけ離れている4チームを「4強」とする括りが現実的になっている。この4クラブが、ポルトガルリーグの頂点に立つTier1層であることに異論はないだろう。

当然、世界でもその名が知れ渡っているのはこれらTier1クラブであるが、ポルトガルには他にも有力な名門クラブは多く存在する。4強と比べてシーズンごとの浮き沈みは激しいものの、常に順位表の上位にランクインするポルトガルを代表するクラブの一角である。

17-18シーズンにはミゲウ・カルドーゾ監督に率いられ5位に大躍進を遂げた「リオ・アベ」は、近年常に上位に名を連ねる。「マリティモ」はマデイラ島のホームスタジアムで3強相手に度々番狂わせを演じて優勝争いを混沌に陥れ、3強以外でポルトガルリーグ優勝経験のある2クラブである「ベレネンセス」や「ボアビスタ」も、近年はかつての強さを取り戻そうとしている。

これらTier2クラブの中で突出しているのが、ビトーリア・ギマラインスだ。16-17シーズンには4強の一角ブラガを陥落させ、リーグ4位と大善戦。ポルトガルの3大タイトルのひとつポルトガルカップでは、2012-13シーズンに見事優勝に輝き、2016-17シーズンは惜しくもベンフィカに敗れたが準優勝の栄誉を手にしている。

3強体制に風穴を開ける最右翼がブラガだとすると、このギマラインスはブラガを含む4強体制を揺るがす最有力候補と言えよう。最大のライバルであるブラガとは、これまでリーグ4位の座を熾烈に争ってきた。

ブラガとギマラインスは、ともにポルトガル北部ミーニョ地方に拠点を置き、ポルト以北において覇権を争う2大クラブである。「土地の格」という意味では、ポルトガル初代国王アフォンソ・エンリケスの生誕地であり、「ポルトガル誕生の地」とも称されているギマラインスに軍配が上がるが、「サッカークラブとしての格」という意味では、ブラガがわずかに優勢である。クラブの実力が似通っていることもあり、両者が激突する「ミーニョ・ダービー」は、ベンフィカ対スポルティングによる「リスボン・ダービー」に次ぐ、ポルトガル屈指の名勝負となっている。(ちなみに、ポルト対ボアビスタによる「ポルト・ダービー」は、両者の実力差が如実であるために、盛り上がりに欠ける感は否めない)

奇しくも、ブラガのU-23チームには、柏レイソルMF安西海斗が同時期に加入している。2人の日本人が「ミーニョ・ダービー」で対戦する未来を、想像せずにはいられない。

エース格の多くがポルトへ!ビッグクラブへの入り口はここにあり

3強以外のクラブに移籍するメリットのひとつが、3強へのステップアップのチャンスが大きいことだろう。ポルトガルの移籍市場は明確な弱肉強食の構図となっており、国内で目覚ましい活躍をすれば、シーズン途中であろうと問答無用で3強に引き抜かれる。仮に3強への移籍が叶わずとも、その他海外クラブへの道も大きく拓ける。それはポルティモネンセ中島翔哉の移籍を取り巻く報道を見れば明らかだろう。

ビトーリア・ギマラインスは、近年多くの有望選手をポルトに輩出している。エース格がシーズン途中であろうと引き抜かれるが、彼らは新天地でも主力として活躍し、ポルトガルを代表する選手に成り上がるケースが少なくない。

例えば、セルジオ・コンセイサオン監督率いるポルトFW陣の2大看板であるチキーニョ・ソアレスとムサ・マレガは、ともにギマラインスでエースを張ったストライカーだ。ソアレスは、16-17シーズンにギマラインスで得点を量産し、その冬の移籍市場でポルトへ途中加入。加入直後からリーグ戦6試合連続ゴール・計9ゴールを記録して、新加入選手としては約70年ぶりとなる大記録を打ち立てる、衝撃的な活躍を見せた。

ムサ・マレガの場合は少し事情が異なり、当初マリティモでの活躍が認められ、ポルトに途中加入したが、半年間で結果を残せず、翌年ギマラインスに貸し出された。ポルトからレンタルに出されるケースは、有望な若手選手を除き、大抵はいわば戦力外の意味合いが強い。ポルトへのレンタルバックは叶わず、その行く末は、国内中位クラブや、トルコなど海外リーグへの完全移籍だ。しかし、マレガはギマラインスでその得点力を再び示し、見事1年でポルトに復帰。翌シーズンには絶対的なエースとして、得点ランキング3位となる22ゴールを記録した。

他にも、MFアンドレ・アンドレは、15-16シーズンにギマラインスからポルトに加わり、その後CLやクラシコなどの大舞台で印象的な活躍を残した(その後、ポルトで出場機会を失い、ギマラインスへ復帰)。近年、ギマラインスから加入した多くの選手が、ポルトでも変わらずインパクトを残していることから、両者間では、レンタル移籍含めて今後も定期的な取引が行われることは想像に難くない。当然、深堀にとっても、Bチームからのスタートとなり道のりは遠いが、Aチームのレギュラー格になってしまえば、ビッグクラブ行きについて無限の可能性が拓けるわけである。深堀はそれほどに魅力的なチームを選んだといえよう。

以上、深堀隼平が移籍したビトーリア・ギマラインスの基礎情報および2つの特徴をご紹介した。深堀は、一旦はポルトガル2部でのプレーとなるが、約半年間でそのポテンシャルを示し、まずは名門ギマラインスのAチームまで登りつめて欲しい。

柏レイソルMF安西海斗が移籍したブラガってどんなクラブ?5つの特徴をご紹介

川崎フロンターレMF板倉滉が、あのマンチェスター・シティへの完全移籍を決め、日本のサッカー界を震撼させたこの日、首都圏ではもうひとつのビッグディールが成立した。

モンテディオ山形にレンタル移籍していた柏レイソルMF安西海斗が、ポルトガル1部SCブラガに移籍することが正式発表されたのだ。

さすがにマンチェスター・シティのインパクトによって霞んでしまった感は否めないが、ブラガといえばポルトガルリーグで上位常連のれっきとしたメガクラブ。クラブの格という意味では、かつて相馬崇人が所属したマリティモや、金崎夢生・中島翔哉ら日本人選手の獲得を進めるポルティモネンセなどを優に超え、田中順也がプレーしたスポルティングに次ぐ、まさに名門中の名門だ。

なかなか日本では知られることのないこのブラガというクラブ。今回はその5つの特徴をご紹介したい。

ポルトガル3強に割り込まんとする勢い著しい新興クラブ

ポルト、ベンフィカ、スポルティングが「3強」として名を馳せるポルトガルにおいて、この3強体制撃破に最も近しいのが、ブラガだ。

正式名称は「Sporting Clube de Braga」。ポルトガル南部に位置する首都リスボンの2強がベンフィカとスポルティングだとすると、北部の2強と言えるのがポルトとブラガだ。これまでの最高順位は2009-10シーズンに記録したリーグ2位。その後2011-12シーズンにも3位に輝くなど、見事3強喰いを達成している。

その合間の2010-11シーズンには、ドミンゴス・パシエンシア監督のもとELで決勝進出。アンドレ・ビラス・ボアス率いるポルトとのポルトガル勢対決に敗れてはしまったが、ヨーロッパ全土にその名を轟かせた。

昨季2017-18シーズンはリーグ4位、今季2018-19シーズンはここまでスポルティングを抜きリーグ3位。(2019/01/15時点) 今季こそは3強撃破を再現しようと、後半戦の巻き返しに意気込んでいる。

今がまさに旬!チームを率いるのは歴代最高監督

ブラガといえば、ポルトガルでも屈指の「名監督輩出クラブ」だ。ベンフィカで10つのタイトルを獲得したジョルジ・ジェズスや、モナコでCLベスト4に輝いたレオナルド・ジャルディン、シャフタールで注目を浴びるパウロ・フォンセッカ、ポルトで国内最高タイの公式戦18連勝を記録したセルジオ・コンセイサオン、そして次世代の名監督候補筆頭ジョルジ・シマオン。

今やヨーロッパを舞台に活躍する上記歴代のポルトガル人指揮官に比べ誰よりも勝ち点を稼いだのが、現監督アベル・フェレイラだ。

アベル・フェレイラが2017-18シーズンに積み上げた勝ち点は、クラブ歴代最多の「75」。 ベンフィカが招聘を狙うとも噂されているポルトガル最注目の指揮官がチームを率いている。

クラブOBはあのスペイン代表FWや鹿島でプレーした大男

ポルトガル代表の名選手ティアゴ・メンデスや、2016-17シーズンにベンフィカでリーグMVPに輝いたピッツィなど、監督だけでなく選手についても、多くのスターを輩出してきたブラガ。実はあまり知られていないが、スペイン代表のレジェンド、ジエゴ・コスタが人生で初めてプロ契約を締結したクラブでもある。その他、日本人に馴染みのある選手で言えば、2011-12シーズンに鹿島アントラーズでプレーした長身FWカルロンが、鹿島以降に所属したチームでもある。

かつては日本人選手も所属

2002-03シーズンには、日本人MF廣山望もプレー。実は日本人と馴染みの深いクラブでもある。

ホームスタジアムは衝撃の断崖絶壁!

ホームスタジアムのEstádio Municipal de Bragaは、世界でも有名な珍(?)スタジアム。ゴール裏が断崖絶壁になっており、初めてスタジアムに駆けつけた観客は、まったく試合に集中できない衝撃のスタジアムである。

以上、ブラガについて基本的な5つの特徴をご紹介した。

ブラガは2部に所属するBチームも保有しており、安西は当面Bチームでプレーする可能性もあるだろう。その中で実力を示し、見事トップチームに昇格できれば、ポルトガル屈指の若手監督の指導を受けられ、ひいてはベンフィカなどすでに多くのOBが移籍を実現させている、さらなるビッグクラブへの道も拓ける。是非とも今後の活躍に期待したい。

【保存版】18-19季、ポルトガル1部全18チームの監督人事と3名の注目監督を紹介!

2017-18シーズンのポルトガル1部リーグは、ジョゼ・モウリーニョが記録したクラブ最多勝ち点数を更新する史上最高のシーズンを送ったポルトが、5年ぶりのリーグタイトルを獲得して幕を閉じた。リーグ5連覇を目指したベンフィカは主力選手の穴を埋められないまま、後半戦の猛追も実らず2位に。積極補強を敢行したスポルティングは、クラブの大混乱に巻き込まれ期待外れの1年を送った。
相変わらず3強が上位を独占する1年となったが、その中でも、4位ブラガはクラブ史上最多勝ち点を稼ぎスポルティングに肉薄。国内屈指の戦術家に率いられたリオ・アベも5位と躍進するなど、近年上位常連となっているクラブが、新たな監督のもとリーグを席巻した。

今季もリーグのタイトル争いはポルトとベンフィカを中心に繰り広げられるだろう。しかし、スポルティングがいまだ混乱を引きづる中、ブラガらにも3強体制の撃破を狙えるまたとないチャンスが訪れる。その他中小クラブにも、将来のポルトガル人監督界を背負って立つであろう有望な指揮官が控えており、彼らの躍進にも注目が集まる。

それでは、2018-19シーズンのポルトガル1部リーグを戦う全18チームの監督人事と、注目すべき3人の指揮官を紹介する。是非とも、新シーズンに向けた監督名鑑としてご活用いただきたい。

1位ポルト:セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(契約延長)

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アンドレ・ビラス・ボアスビトール・ペレイラが無敗優勝を含むリーグ3連覇を達成してから約5年の月日が経過した。その間、ライバルのベンフィカがトロフィーを掲げる瞬間を4度も見届けてきたポルトがついに王座を奪還した。

かつてジョゼ・モウリーニョが率いたポルトでプレーし、監督として古巣に舞い戻ったセルジオ・コンセイサオンは、恩師が自身初のリーグタイトルを獲得した2002-03シーズンに記録した勝ち点86のクラブ記録を塗り替える偉業を達成。新たに勝ち点88の記録を打ち立て、クラブ史にその名を刻んだ。これは、ベンフィカが15-16シーズンに達成したリーグ歴代記録に並ぶ数字。リーグ公式のベストイレブンには最多の5名を輩出し、監督自身も最優秀監督賞に輝くなど、まさにコンセイサオン率いるポルトがリーグを象徴する1年となった。

クラブは同監督の手腕を評価し、1年の契約延長を締結。ボビー・ロブソンやジョゼ・モウリーニョ、アンドレ・ビラス・ボアスなど、クラブのミュージアムに銅像を擁する偉大な先人を追い越した未来のレジェンド候補のもと、王者の新たな歴史の針が動き出す。

2位ベンフィカ:ルイ・ビトーリア

ルイ・ビトーリア(続投)

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自身リーグ3連覇、クラブとしてはリーグ5連覇を目指したシーズンだったが、エデルソン・モラエスビクトル・リンデロフネウソン・セメードらビッグクラブに羽ばたいた主力選手の穴を埋められず、シーズン開幕のスタートダッシュに失敗した。CLは6戦6敗という不名誉な記録を打ち立て早々にグループステージ敗退。シーズン折り返しの時点で、ポルトガルカップとリーグカップの2つのカップ戦からも早々に姿を消した。

タイトルの可能性が残されたリーグ戦では、序盤のつまずきを猛烈な勢いで取り返し、一時はポルトから首位を奪還したが、終盤に迎えた事実上のタイトル決定戦、ホームのクラシコでは、ポルトMFエクトル・エレーラに劇的な決勝点を浴びて万事休す。5連覇を目指したシーズンは、主要タイトル無冠で幕を閉じ、涙を飲んだ。

タイトル奪還を狙う今季もチームの指揮を託したのはルイ・ビトーリア。背水の陣で臨むシーズンは、国内タイトルの奪取はもちろん、予選から出場するCLでの上位進出も必須となる、まさに勝負の1年だ。成果を残せなければ、4年目を迎える同監督の長期政権が終わりを告げる可能性も否定できないだろう。クビを切られないため、そして、いよいよ欧州のトップステージへと飛躍するためにも、リーグタイトルの奪還とCLベスト16進出は最低ノルマだ。

3位スポルティング:ジョゼ・ペゼイロ

ジョルジ・ジェズス(来季:アル・ヒラル)
→ジョゼ・ペゼイロ
(前:ビトーリア・ギマラインス)

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天国から地獄へ。希望から絶望へ。そんな言葉が当てはまる1年だった。

レアル・マドリードからファビオ・コエントラン、バルセロナからジェレミ・マテュー、ローマからセイドゥ・ドゥンビア、そしてサンプドリアからポルトガル史上最高額タイとなる違約金1億ユーロを設定したブルーノ・フェルナンデスら、近年稀に見る大型補強を敢行し、2001-02以来実に17シーズンぶりのリーグタイトルが期待されたシーズン。この年リーグMVPに輝いたブルーノ・フェルナンデスの想像以上の活躍もあり、シーズン序盤はポルトと熾烈な首位争いを演じ、中盤にはポルトガルリーグカップのタイトルを獲得。順風満帆な1年が期待されたが、シーズン終盤に1人の傲慢な男によりクラブは泥沼へと足を踏み入れていく。

事の発端は、ELアトレティコ・マドリード戦の敗北。当時のクラブ会長ブルーノ・デ・カルバーリョが、一部の主力選手を自身のSNSで公然と批判した。最後まで選手との間に生まれた亀裂は修復せず、シーズン終了後にはソシオにより会長が罷免される事態に陥った。また、期待外れのシーズンに終わったことへの不満から、覆面を被った50名のフーリガンが練習場に押し入り、選手・コーチらを襲撃する未曾有の大事件も勃発。カップ戦の決勝を控える中、エースFWバス・ドストらが心身ともに深い傷を負った。そして直後、シーズン2冠を目指したポルトガルカップ決勝では、格下アービスにまさかの敗北を喫した。この大混乱を受けて、ルイ・パトリシオウィリアン・カルバーリョ、ブルーノ・フェルナンデス、ジェウソン・マルティンスなど、この年ロシアW杯にも出場したチームの主軸選手が、痺れを切らしてこぞってクラブとの契約解除を申し出た。

結局、シーズン最後の最後まで混乱は収束せず。前会長時代に新監督として招聘されたシニシャ・ミハイロビッチが、会長交代により試用期間中にクビにされ、新監督には前年にビトーリア・ギマラインスでリーグ9位に終わったジョゼ・ペゼイロを古巣復帰させるゴタゴタな監督人事を敢行。主力選手が一斉に退団しチームは崩壊、新監督への期待感も醸成されず、新たな1年を迎えることとなった。

新会長を中心とする新たなマネジメント体制の尽力実り、リーグMVPブルーノ・フェルナンデスや、チーム得点王バス・ドストらはクラブと再契約を締結。ペゼイロ監督期にプロデビューを果たしたルイス・ナニが3度目の古巣復帰を果たすなど、明るい兆しも。しかし、クラブ・サポーターが、彼ら世界レベルの選手たちがフットボールに集中できる環境を醸成できない限り、前年以上の悲劇、つまり3強の一角から引きずり降ろされる可能性も十分。マネジメント、現場ともに大刷新された新体制のもと生まれ変わり、ポルトガル屈指の名門としての面目を保てるか。

4位ブラガ:アベル・フェレイラ

アベル・フェレイラ(契約延長)

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クラブレゴードとなる勝ち点75を積み上げ、史上最高のシーズンを送ったブラガ。3位スポルティングには同3差まで詰めより、5位リオ・アベとは同24も引き離すなど、「ポルトガルの4強」の地位を確固たるものにした1年となった。シーズンを通したドローの回数は3で、優勝したポルトの4を超えるリーグNo.1。引き分けの試合を勝ちに持っていく粘り強さを発揮していた。

ジョゼ・ペゼイロ、ジョルジ・シマオンと監督交代を繰り返す非常事態となった一昨季から、挽回を期したシーズンに歴史を築いたアベル・フェレイラ。その功績を評価して、クラブは同監督と2021年までの長期契約を締結した。リーグ3強のうち、足元をすくえる可能性が最も高いであろうスポルティングは、かつてブラガを泥沼に陥れた凡将ジョゼ・ペゼイロを招聘して、クラブは会長交代により大混乱に陥るという願ってもない状況。昨季はあと白星1つ分にまで迫った3強撃破を叶える環境は、これ以上ないほどに整った。

5位リオ・アベ:ジョゼ・ゴメス

ミゲウ・カルドーゾ(来季:ナント)
→ジョゼ・ゴメス(アル・タアーウン)

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トップチーム監督初年度で、ソリッドなサッカーをチームに植え付け、リオ・アベを5位に導いた稀代の戦術家ミゲウ・カルドーゾは、フランス1部ナントに引き抜かれる。シャフタールで名アシスタントコーチとしてにわかに話題を集めていた次世代の名将は、わずか1年で国外のトップリーグへと活躍の場を移した。

後任には、サウジアラビアのアル・タアーウンで指揮を取っていたジョゼ・ゴメスを招聘した。近年はハンガリーのビデオトンやこのアル・タアーウンなどで監督を務めるなど、欧州の表舞台からは長らく遠ざかっていた47歳。ヌーノ・エスピリト・サントペドロ・マルティンス、ルイス・カストロにミゲウ・カルドーゾら国内屈指の名将が積み上げで強化をしてきたクラブを任せるには少々荷が重い。ブラガに次いで3強体制への対抗勢力としてのポジションを確固たるものにするのか、それとも新監督のもとかつての凡庸な中位クラブへと戻ってしまうのか。分岐点となる1年を迎える。

6位シャービス:ダニエル・ラモス

ルイス・カストロ
(来季:ビトーリア・ギマラインス)
→ダニエル・ラモス(前:マリティモ)

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昇格3年目の弱小クラブを6位と大躍進させたルイス・カストロが、不本意なシーズンに終わった北の古豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれる。代わって、マリティモを2シーズンにわたりリーグ6位(2016-17)、7位(2017-18)と上位にキープさせたダニエル・ラモスと2年契約を締結した。

ダニエル・ラモスにとっては、2部リーグ時代の2004-05シーズン以来の古巣復帰となる。 マリティモで積み上げた1部リーグでの経験を古巣に還元し、前監督が残した偉業を超えないまでも、最低でも1桁順位はキープしたいところだ。

7位マリティモ:クラウディオ・ブラガ

ダニエル・ラモス(来季:ジャービス)
→クラウディオ・ブラガ
(前:フォルトゥナ・シッタート)

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マリティモを上位に定着させたダニエル・ラモスは、昨季6位と大健闘したシャービスの新監督に就任。代わって、オランダリーグのフォルトゥナ・シッタートからクラウディオ・ブラガを招聘した。

クラウディオ・ブラガは、これまでPSVやユトレヒトなどオランダの名門クラブでユースチームを率いた経験を豊富に持つ。昨季はオランダ2部でフォルトゥナ・シッタートの監督に途中就任すると、クラブを16年ぶりの1部昇格に導いた。ポルトガルリーグでの指導は、2014-15にサンタ・クラーラでアシスタントコーチを務めたのが最後で、トップチーム監督としての経験はない。ゼニトなどでプレーした生え抜きのレジェンドFWダニーが10番を背負って復帰したメモリアルシーズンに、オランダで築き上げてきた異彩のキャリアを持つポルトガル人監督のもと、さらなる上位定着に向けて一皮剥けたい。

8位ボアビスタ:ジョルジ・シマオン

ジョルジ・シマオン(契約延長)

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成績不振に陥ったミゲウ・レアウを早々に見限ったボアビスタ。この思い切った決断は、ちょうど一昨年にブラガで途中解任の憂き目にあって以来フリーの身となっていた国内最高峰の若手監督ジョルジ・シマオンの招聘という幸運を呼び込んだ。次世代のポルトガル人監督を背負って立つであろう41歳の若き名将のもと着実に順位を回復させ、昨季は8位とまずまずの成績に。クラブはその手腕を評価して、シーズン途中の3月に早々と1年の契約延長を決断した。

ポルトガルリーグ優勝経験のある5クラブの一角として、そろそろ古豪復活といきたい「ポルト第2のクラブ」ボアビスタ。ブラガで途中解任され、前途洋々なキャリアが一時後退した若き名将のもと、クラブ・監督ともに名誉挽回の大躍進となるか。今季のポルトガルリーグで台風の目となれる期待感は十分だ。

9位ビトーリア・ギマラインス:ルイス・カストロ

ジョゼ・ペゼイロ(来季:スポルティング)
→ルイス・カストロ(前:シャービス)

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リーグ4位の座を引っさげ、3強体制の撃破とELでの躍進を狙ったビトーリア・ギマラインス。しかし、ELに出場する3強以外のクラブにとってもはやジンクスと言えよう、国内リーグとの両立にやはり失敗。たまらず、クラブは国内屈指の名将の評価を得つつあったペドロ・マルティンスの解任を決断した。後任として、ポルトガルリーグでは、ポルト、ブラガ、そしてこのギマラインスと、3クラブ連続での途中就任となった「名ピンチヒッター」ジョゼ・ペゼイロのもと、何とか1桁順位を確保し、北の強豪クラブの面目は保った。

双方の合意のもとジョゼ・ペゼイロとの契約を解消した今季は、ポルトBで2部リーグ優勝、リオ・アベでリーグ7位、そして昨季は弱小クラブのシャービスでリーグ6位と着実に監督としてのステップアップを遂げてきたルイス・カストロと2年契約を締結した。就任会見では「ヨーロッパの舞台を目指す」と、上位進出をサポーターに誓った同監督。昨季の監督交代時にファーストチョイスとしながらも引き抜きが叶わなかった56歳のポルトガル人監督に、古豪復活を託す。

10位ポルティモネンセ:アントニオ・フォーリャ

ビトール・オリベイラ(来季:パソス・デ・フェレイラ)
→アントニオ・フォーリャ(前:ポルトB)

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5年連続、記念すべき自身10度目の1部昇格を果たした「昇格王」にとって、2004-05シーズン以来となった1部リーグでの挑戦は、大成功のまま幕を閉じた。元鹿島アントラーズ・現浦和レッズFWファブリシオは、3強の各エースに次ぐ得点ランキング4位タイの15ゴール、中島翔哉はリーグで唯一となる2桁ゴール2桁アシスト(※)を記録するなど、攻撃的なプレーヤーが大躍進。(※ポルトガルリーグ公式の記録はアシスト数が7となっているが、ポルトガルサッカーデータベース『zerozero.pt』の記録に準拠し10アシストとした)4強以外のチームでは最も多くの得点を積み上げたチームとなり、破壊的な攻撃力で昇格1年目ながらポルトガルリーグを席巻した。

中島翔哉の恩師ということで日本での知名度も上がったビトール・オリベイラは、クラブからの契約延長オファーを拒否して新たな挑戦へ。2部に降格した古巣パソスに1992年ぶりに復帰し、90-91シーズンに自身が成し遂げたクラブの1部昇格に再度挑むこととなった。そして、クラブは新たにポルトBを率いていたアントニオ・フォーリャを招聘。育成力に定評のある名門クラブの下部組織での経験を、若く攻撃的なタレントを多く要するチームに還元し、今季もダークホースとなれるか。

11位トンデーラ:ペパ

ペパ(契約延長)

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降格の恐怖と戦い続けた一昨季からは一転、37歳の青年監督がシーズン開幕から指揮を執った昨季は、11位と大健闘。監督自身も、ポルトとブラガでそれぞれクラブの最多勝ち点記録を更新したセルジオ・コンセイサオンとアベル・フェレイラと並んで、ポルトガルリーグ年間最優秀監督賞にノミネートされる飛躍の年となった。
その手腕が評価され、1年の契約延長を勝ち取ったペパ。上位クラブへのステップアップが叶うきっかけとなるシーズンとしたい。

12位ベレネンセス:ジョルジ・シラス

ジョルジ・シラス(続投)

ドミンゴス・パシエンシアの解任に伴い、プレーヤーとして4シーズンを過ごした古巣に監督として復帰したジョルジ・シラス。一昨季に現役引退したばかりながら、昨季はいきなりピンチヒッターとしてトップチーム監督に。そして、今季はシーズン開幕からポルトガル屈指の古豪で監督を務めることとなった。

リーグタイトルを獲得したことのある5クラブの一角であるベレネンセスは、近年はスペイン人監督フリオ・ベラスケスや、国内のビッグクラブでの指揮経験が豊富なドミンゴス・パシエンシアら、監督選びで試行錯誤を続けている。これまでの人事とは異なる、キャリアの浅い監督の招聘が、古豪復活の起爆剤となるか。

13位アービス:ジョゼ・モッタ

ジョゼ・モッタ(続投)

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リカルド・ソアレスとリト・ビディガル、2度の監督交代を経た苦難のシーズンだったが、シーズン末にプレゼントが舞い降りる。フーリガンの暴動でまともな練習がままならなかったスポルティングを決勝で下し、クラブ史上初の主要タイトルとなるポルトガルカップ王者を戴冠した。幸運にもカップ戦王者となり、リーグ王者ポルトとのスーペルタッサを戦う権利を得たジョゼ・モッタが、今季もチームを指揮する。

14位ビトーリア・セトゥバル:リト・ビディガル

ジョゼ・コウセイロ(来季:ポルトガル代表テクニカルディレクター)
→リト・ビディガル(昨季:アービス)

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一昨季に13クラブが監督交代に踏み切ったポルトガル1部で、監督の座を死守した5人の監督であったジョゼ・コウセイロがついに退任。今季は新たに、昨季1月にアービスの監督を解任されて以来フリーとなっていたリト・ビディガルを招聘した。
同監督は、15-16シーズンに弱小アロウカをリーグ5位に導いたことで評価を高めた監督。昨季は無念の監督途中交代となったが、近年下位でもがき苦しむセトゥバルをアロウカ時代のように上位に導けるか。

15位モレイレンセ:イボ・ビエイラ

プティ(来季:未定)
→イボ・ビエイラ(前:エストリル)

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マヌエル・マシャード、セルジオ・ビエイラと2度の監督交代を敢行し、3人目プティのもと何とか1部残留を果たした。今季1年契約で招聘したのは、昨季途中就任したエストリルで1部残留に失敗し、現エバートン監督マルコ・シウバが一時はリーグ4位に導いた新興クラブを2部に降格させたイボ・ビエイラ。2014-15シーズンに昇格して以来、しぶとく1部に残り続けたクラブだが、今季は正念場を迎える。

16位フェイレンセ:ヌーノ・マンタ

ヌーノ・マンタ(続投)

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当時38歳だった一昨季に、ジョゼ・モッタの後任としてシーズン途中にトップチーム監督デビューを果たしたヌーノ・マンタ。1部昇格初年度のチームを残留に導くどころか、リーグ8位と大成功を収め、その評価を急上昇させた。しかし、さらなる躍進が期待された昨季は、リーグ16位で何とか降格を免れる低調な出来に終わる。ナイジェリア代表でチームの10番を背負ったエテボ・オグヘネカロの穴を埋められず、失意のシーズンを過ごす結果となった。
昨季の不本意な成績もあり、かつてのリーグ8位の栄光は忘れ去られつつある中、名誉挽回を図る勝負の1年となる。

2部1位ナシオナル:コスティーニャ

コスティーニャ(続投)

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一昨季にまさかの2部降格を味わったマデイラの名門クラブは、自国開催のEURO2004や2006年ドイツW杯などで母国の代表を背負ったレジェンド、コスティーニャ監督のもと、1年での1部復帰を達成。監督自身も、2部リーグの最優秀監督に選出された。

1部リーグでの指揮は、13-14シーズンのパソス・デ・フェレイラ以来。当時は、前年にリーグ3位の偉業を成し遂げたパウロ・フォンセッカの後任という難しいタスクをこなせず、シーズン序盤に監督交代の憂き目にあった。2部リーグ最優秀監督の称号を引っさげたかつての名プレーヤーが、1部リーグの壁に再挑戦する。

2部2位サンタ・クラーラ:ジョアン・エンリケス

カルロス・ピント(来季:アカデミカ)
→ジョアン・エンリケス
(前:パソス・デ・フェレイラ)

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アソーレス諸島の小クラブを15年ぶりに1部へ導いたカルロス・ピントは、「レベル3のライセンスを保持していない」との理由で契約更新にこじつけず。代わって、45歳のジョアン・エンリケスに1部残留の望みを託した。

ただし同監督は、昨季パソスをシーズン途中から率いて残留に失敗し、かつてはパウロ・フォンセッカのもとリーグ3位にまで登りつめた新興クラブを13年ぶりの2部に突き落とした当事者。監督就任発表に際して、クラブはモノポリーでジョゼ・モウリーニョやレオナルド・ジャルディン、ビトール・ペレイラらポルトガル人監督のレジェンドを通過して新監督に辿り着く、ユーモア溢れるビデオを公開して反響を呼んだが、開幕から結果を残せないようであれば、解任モノポリーを真っ先にゴールしてしまうだろう。

注目監督ベスト3

1位 アベル・フェレイラ(ブラガ)
昨季は就任1年目ながら、獲得した勝ち点数でクラブレコードを樹立。成熟を図る2年目に、スポルティングが主力を大量に失い、会長も交代する大転換期へ。3強食いが射程年内に迫った。

2位 ジョルジ・シマオン(ボアビスタ)
ブラガではシーズン途中の監督就任ということもあり、チームを立て直せず自身も途中解任に。それでも、パソスやシャービスを上位に躍進させた評価は色あせず。今季1年間で古豪ボアビスタの復興に成功すれば、翌シーズンは自身2度目のビッグクラブ挑戦も起こり得ない夢ではない。

3位 ルイス・カストロ(ビトーリア・ギマラインス)
シャービスを6位に躍進させた手腕は見事の一言。ポルトではピンチヒッターとしての監督途中就任であったため、ギマラインスのような強豪クラブをシーズン開幕から指揮するのは初。キャリアの分岐点となる1年になりそうだが、結果を残せばその評価はうなぎ登りになることだろう。

以上、2018-19シーズン、ポルトガル1部リーグ全18チームの監督人事と3名の注目監督を紹介した。今季こそ3強を食う監督は現れるのか、そして、ジョルジ・シマオンやペパ、ヌーノ・マンタら中位クラブの青年監督にとって、過去を振り返ったときにキャリアの転換期となったと言えるシーズンになるのか。ポルトとベンフィカを中心に激戦が繰り広げられるポルトガルリーグであるが、上記のような、2強以外の要素にも是非とも注目いただきたい。

僕のポルトガル時代13-14シーズンを戦った監督たちの出世具合がハンパない件

ポルトの新監督にセルジオ・コンセイサオンが就任した。本サイトのニュース記事に使う写真を探していると、当時ポルトを率いていたパウロ・フォンセッカと、当時アカデミカ監督であったコンセイサオンが並んで写る写真があることを思い出した。

そういえば、僕がポルトガルに住んでいた2013-14シーズンの監督たちは、このフォンセッカやコンセイサオンを含め、今では世界中にその名が知れ渡りつつある。そう思い、ポルトガルリーグ14-15シーズン開幕前に執筆した全1部クラブの監督人事の記事を読み返すと、当時は世界的にはまだまだ無名で、当然日本でも知られていないが、今ではここ日本でもその名が知れ渡るほどに、大出世を遂げている監督が続々と見つかった。

そこで今回は、僕がポルトガルに住んでいた13-14シーズンにはまだまだ無名だったものの、今ではすっかり世界的に有名になった監督たちを紹介していきたい。

(以下、順位と所属クラブは13-14のデータ)

1位 ベンフィカ
ジョルジ・ジェズス(現スポルティング)

なかなか海外クラブを率いる経験がないことから、世界的にはイマイチ知名度があがらないジョルジ・ジェズスだが、当時13-14シーズンのポルトガルでの知名度は今回紹介する監督の中でもトップ。この年は、不調に沈んだリーグ3連覇王者ポルトを上回り、見事ベンフィカにタイトルを取り戻した。翌シーズンは、国内3冠とELでも2年連続決勝に進出するなど、急速にその評価を高め、現在はスポルティングでベンフィカ時代の成功を再現しようとしている。

2位 スポルティング
レオナルド・ジャルディン(現モナコ)

13-14シーズンの1年間だけスポルティングを率い、見事前年7位のチームをCL圏内に引き上げたのが、今ではフランスリーグ制覇とCLベスト4進出ですっかり有名になった現モナコ監督レオナルド・ジャルディン。この年ポルトガルリーグを率いた監督の中でも、その出世具合は圧倒的だろう。

また、当時のスポルティングに所属していたのは、RSBセドリック・ソアレス(サウサンプトン)やCBマルコス・ローホ(マンチェスター・ユナイテッド)、FWイスラム・スリマニ(レスター)、そして現在もクラブでプレーするポルトガル代表MFウィリアン・カルバーリョアドリエン・シウバなど、レオナルド・ジャルディンが抜擢した若手~中堅の選手たちの知名度の上がり具合も、眼を見張るものがある。

3位 ポルト
パウロ・フォンセッカ(現シャフタール)

この年は、アンドレ・ビラス・ボアスビトール・ペレイラが達成したリーグ3連覇中のポルトに4連覇をもたらすという重責が課せられ、そのプレッシャーに負けたのか、残念ながら途中解任となり、ビッグクラブには相応しくないというレッテルを貼られてしまったフォンセッカ。しかし、前年に弱小パソスをリーグ3位に導いた手腕に疑いの余地はなく、その後はブラガに50年ぶりにカップ戦のタイトルをもたらし、今シーズンはシャフタールでウクライナリーグとカップ制覇の2冠に輝くなど、名誉挽回に成功。ウクライナリーグ最優秀監督に輝き、その知名度はうなぎのぼりだ。

4位 エストリル
マルコ・シウバ(現ワトフォード)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

レオナルド・ジャルディンにつぎ、当時からの出世具合がハンパないなのが、エストリルを4位に導いたマルコ・シウバだ。クラブの英雄として最期のシーズンを送った13-14の翌年には、スポルティングの監督に就任。クラブ会長との不仲を理由に1年で解任されたが、スポルティングに7年ぶりのタイトルをもたらしていた。またこの年は、田中順也があのブラガ戦での直接FKを披露するなど、日本でもよく知られる監督となった年であった。

その後は、オリンピアコスでリーグ開幕17連勝21戦無敗の新記録を打ち立て、今シーズンはハル・シティでプレミアリーグを席巻するなど、すっかり世界のフットボール界ではホットな監督へと出世。来季はワトフォードを率いることが決まっている。

6位 マリティモ
ペドロ・マルティンス(現ビトーリア・ギマラインス)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

マリティモでの集大成となった13-14シーズン、ペドロ・マルティンスはクラブを6位に導き、翌年にはリオ・アベが監督として抜擢。この中堅2クラブを上位に導いた手腕が評価され、今シーズンはビトーリア・ギマラインスへ。見事、ライバルのブラガを抑え、リーグ4位に躍進した。いよいよポルトガルリーグを飛び越え、オリンピアコスなど海外クラブが注視し始めるなど、国内で知る人ぞ知る優秀な監督という立場から、ポルトガルリーグではトップクラスの名将として評価を高めつつある。

8位 アカデミカ
セルジオ・コンセイサオン(現ポルト)

13-14シーズンにポルトを解任されたパウロ・フォンセッカにとって、当時アカデミカを率いていたセルジオ・コンセイサオンは忘れられない存在となった。僕がこの写真を撮影したコインブラでの一戦でポルトはまさかの敗戦を喫したが、この辺りから、フォンセッカの手腕に疑問が噴出し始め、後の解任へと繋がった。

選手としては有名だったが、13-14シーズンのコンセイサオンは、監督としてはまだまだ駆け出しの存在。しかし、その後はブラガを4位、降格圏に沈んでいたギマラインスを10位に導くなど、国内では指折りの若手監督のひとりに。今季は初めてトップチーム監督として海外リーグに挑戦し、モナコでリーグ制覇を達成したレオナルド・ジャルディンとともに、ナントでその知名度を高めた。そして来季からは、古巣ポルトを指揮する。

10位 ビトール・ギマラインス
ルイ・ビトーリア(現ベンフィカ)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

この監督は、まるでノーマークだった。13-14シーズンのギマラインスはリーグ10位で、前掲の監督人事の記事でも、書く内容に困ったのはご覧の通り。

しかし、翌年にギマラインスを5位に導き、そのまた翌年にはベンフィカの監督に就任すると、シーズン序盤は解任の噂が生じるなど苦戦したが、終わってみれば初年度からリーグ制覇とCLベスト8進出を達成。今季はベンフィカにリーグ4連覇をもたらし、すっかり国内No.1の評価を得る名将へと出世した。

このルイ・ビトーリアの手腕は若手育成の面でも発揮され、彼がベンフィカで重宝した若手選手は、下記の通り、続々とビッグクラブへと羽ばたいていった。

レナト・サンチェス→バイエルン
ゴンサロ・グエデス→パリ・サンジェルン
エデルソン・モラエス→マンチェスター・シティ
ビクトル・リンデロフ→マンチェスター・ユナイテッド(移籍合意が正式発表の段階)

11位 リオ・アベ
ヌーノ・エスピリト・サント(現ウルバーハンプトン)

リーグでは11位ながら、この年ポルトガルカップとリーグカップの2つのカップ戦で決勝に進出するなど、実は大躍進を遂げていたリオ・アベ。そんなクラブを率いていたのが、ヌーノ・エスピリト・サントだ。翌年にはバレンシアへ羽ばたき、日本を含めた世界中のフットボールファンから「誰だ」と声が相次いだが、その実力はスペインで実証済み。前年にポルトガルの中位クラブであるリオ・アベを率いていたとはにわかに信じがたいほどの出世を遂げた。今季はポルトを1年で退任することになったが(辞任とされているが、おそらく独裁者ピント・ダ・コスタ会長の圧力による事実上の解任だろう)、チームは得点力不足に悩まされ引き分けまみれとなるなか、ホームでは無敗と実は良い成績を残していた。継続性のなさというポルトの悪い癖が出た監督人事となったが、ヌーノ・エスピリト・サントは、友人ジョルジ・メンデスのツテで早くも新たな挑戦の場を獲得。来季はイングランドチャンピオンシップのウルバーハンプトンを率い、名誉挽回に挑む。

他にも、13-14シーズン当時はアロウカを率い、その後はアポロン・リマソールを経て、今季エストリル監督に途中就任したペドロ・エマヌエルや、当時はベレネンセスを降格から救い、今ではCLにも度々登場するマッカビ・テル・アビブを指揮するリト・ビディガルなどもいた。

ポルトに住んでいた当時は、アンドレ・ビラス・ボアスも去り、選手としてはラダメル・ファルカオやフッキ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョらも退団し、パウロ・フォンセッカ率いるポルトへの期待感の薄さも相まり、「ポルトガルリーグの谷間の時期に不運にもポルトガルに来てしまった」と物足りなさを感じていた。実は毎週ドラガオン・スタジアムで観戦していたリーグ戦の監督席には、今ではすっかり世界的な名将の仲間入りを果たそうとしている「監督の原石」が大量に眠っていたのは知る由もなかった。

中島翔哉、ポルトより好条件のベンフィカオファーを拒否か

『zerozero.pt』

ポルトへの移籍が決定した中島翔哉だが、加入以前に、ベンフィカからポルトを上回る条件のオファーが寄せられるも、拒否していたことが判明。ポルトガルメディア『O JOGO』が報じた。

同名メディアによると、ベンフィカのオファーはポルトが提示したものよりも年俸が40%ほど高額であり、かつ、アル・ドゥハイルの懐に入る移籍金もポルトの1200万ユーロを300万ユーロ上回る1500万ユーロが提示されていたようだ。それでも中島は、ポルトでのプレーを望み、好条件のオファーを断っていたという。

中島の正式加入に際して、ポルトのピント・ダ・コスタ会長は、他クラブが中島の獲得を狙っていたことを公言し、「彼は今やポルトの選手であり、いつも獰猛な鳥が目標を叶えられるわけではない」と例えていたが、そのクラブこそが、獰猛な鳥の象徴であるワシをチームロゴに据える最大のライバル、ベンフィカであったようだ。

かねてよりポルトでプレーする夢を語っていた中島翔哉。その強い想いはポルトガルリーグ王者ベンフィカをもってしても曲げられなかった。

©FutePor -ふとぽる-

18-19季ポルトガルリーグ各種賞が発表!年間MVPは2季連続ブルーノ・フェルナンデスに!

ポルトガルリーグが来たる19-20シーズン開幕を前に、前年18-19シーズンの各種賞を発表した。

1部の年間MVPには、スポルティングのポルトガル代表MFブルーノ・フェルナンデスが、昨季に続いて選出。リーグ優勝を果たしたベンフィカのピッツィとジョアン・フェリックスとともにノミネートされていたが、MFながら33試合で20ゴールという驚異の成績が評価され、元ポルトのフッキや、ベンフィカのジョナスらに続き、2年連続の栄冠に輝いた。

1億2600万ユーロでアトレティコ・マドリードへの移籍が決まったベンフィカのジョアン・フェリックスは、年間MVPが期待されていたが、年間最優秀若手選手賞に選出。レナト・サンチェスネウソン・セメード、ルーベン・ディアスに続き、4シーズン連続でベンフィカの選手が同賞に輝いた。

年間ベストイレブンには、逆転優勝を果たしたベンフィカよりポルトの選手が多く選出。ポルトから5名、ベンフィカから4名、スポルティングから2名が選ばれ、例年のごとく、ポルトガルの3強が同賞を独占する形となった。なお、最優秀監督賞には、ベンフィカを大逆転優勝に導いたブルーノ・ラージュが選ばれた。

GK
イケル・カシージャス(ポルト)
DF
アレックス・テレス(ポルト)
エデル・ミリタオン(ポルト)
ジェレミー・マテュー(スポルティング)
グリマルド(ベンフィカ)
MF
エクトル・エレーラ(ポルト)
ブルーノ・フェルナンデス(スポルティング)
ジョアン・フェリックス(ベンフィカ)
FW
ハリス・セフェロビッチ(ベンフィカ)
ラファ・シウバ(ベンフィカ)
ムサ・マレガ(ポルト)

各種賞の詳細は、下記の通り

ポルトガル1部リーグ

最優秀選手賞 ブルーノ・フェルナンデス(スポルティング)

最優秀監督賞 ブルーノ・ラージュ(ベンフィカ)

最優秀若手選手賞 ジョアン・フェリックス(ベンフィカ)

最優秀ゴール賞 ジョバネ・カブラウ(スポルティング)

得点王 ハリス・セフェロビッチ(ベンフィカ)
23ゴール
次点:ブルーノ・フェルナンデス20ゴール、ラファ・シウバ17ゴール

最優秀ゴールキーパー賞 イケル・カシージャス(ポルト)

フェアプレークラブ賞 ベレネンセス
フェアプレー個人賞 エデル・ミリタオン(ポルト)
最優秀ピッチ賞 ポルティモネンセ

ポルトガル2部リーグ

最優秀選手賞 ルイス・カルロス(パソス)

最優秀監督賞 ビトール・オリベイラ(パソス)

最優秀若手選手賞 ジョッタ(ベンフィカB)

得点王 ピレス(ペナフィエル)

最優秀ゴールキーパー賞 リカルド・リベイロ(パソス)

フェアプレークラブ賞 ベンフィカB

フェアプレー個人賞 ルーベン・フレイタス(マフラ)

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ポルト会長、中島翔哉の獲得について語る

『O JOGO』

ポルトが日本代表FW中島翔哉の獲得を正式に発表。ポルティモネンセ時代から獲得を目指していたピント・ダ・コスタ会長が、中島の獲得が実現したことに対する喜びを語った。

「中島はポルトでプレーしたいという夢を持っていた(※中島はポルトガルメディアに対して「ポルトでプレーするのは夢」と公言し、ポルトガルで大きく取り上げられていた)。そのため、ポルト対ポルティモネンセの試合の後に、私は中島とそのことについて会話をしたが、彼は代理人のテオドロ・フォンセッカの願いでもあるその気持ちを表明してくれた。しかし、それはポルトにとっても、長年抱いていた夢であった。我々が獲得を長らく狙っていた選手であり、監督もそのクオリティを高く評価していた。幸運にも全てがうまくいき、彼は今日、ポルトのユニフォームを着ることができた。彼にとっても良いことだろう」

ポルトは昨年から中島の獲得を目指していたが、結果的に同選手はカタールのアル・ドゥハイルに3500万ユーロで移籍。今回のポルト移籍も強豪クラブが存在し、実現には苦労したことを明かした。

「契約は簡単ではなかった。彼は遠方の国でプレーしていたが、私が初めてテオ(代理人)と接触したときから、彼がポルトに来てくれることを確信していた。彼にスカウトを送りこんで獲得を試みクラブも存在したが、幸いにも、彼が他のクラブに行ってしまうことは避けられた。彼は今やポルトの選手であり、いつも獰猛な鳥が目標を叶えられるわけではないのだ」

記者に「完璧な両思いですね?」と聞かれた際には、「まさにそうだ」と語り、「彼自身の意思と我々の意思がなければ、彼がいまここにいることはなかっただろう。彼には他の選択肢もあったが、コンタクトを開始した初日からポルトでのプレーを望んでくれた。彼の価値については、信頼というよりも期待をしている」と、両者の願いが一致した移籍となったことを公言。最後に、中島がポルトでプレーしたいという希望を抱いていたことが今回の移籍の実現に繋がったことについて、会長自身の補強に際してのポリシーを語った。

「ますますこのユニフォームを100%想ってくれる選手が必要になってきている。これは私が契約に乗り出す際に、理想と考えている選手の特徴だ」

一部現地報道では、中島はアル・ドゥハイルで受け取っていた高額年俸を減俸してまで、今回のポルト移籍を望んだとされる。その想いが、ピント・ダ・コスタ会長を動かし、両者の夢が一致する結果となったのだろう。

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中島翔哉、「登竜門」ポルト移籍正式決定!日本人初の偉業、気になる契約の詳細は?

2018-19シーズンをリーグ2位で終えたポルトガルの強豪ポルトが、日本代表FW中島翔哉の加入を正式に発表した。

クラブの公式発表によると、ポルトはアル・ドゥハイルより中島の保有権のうち50%を1200万ユーロで獲得したことで合意。契約期間は2024年6月30日までとなる5年の長期契約となった。違約金は8000万ユーロが設定され、かつてスポルティングの田中順也に付けられた6000万ユーロを大幅に上回った。

CLを2度制した強豪ポルトに日本人が加入するのは初の偉業。アジア人としてはビトーリア・セトゥバルから移籍した韓国人FWソク・ヒョンジュン以来2人目となった。なお、背番号は中島自身が後釜とされているアルジェリア代表FWヤシン・ブライミが背負っていた8番となった。

移籍に際して、中島はクラブの公式SNSが配信する動画インタビューに応答。「ポルトのユニフォームを着て、一員になれてすごく嬉しい」と、念願を公言していた移籍が実現したことへの喜びを口にした。

ポルトは、近年ベンフィカとともに、ポルトガルの2強として肩を並べる国内いちのビッグクラブであり、CLの常連として2003-04シーズンにはジョゼ・モウリーニョ監督のもと欧州王者にも輝いたヨーロッパ屈指の強豪チームである。クラブの愛称は「ドラゴンズ」であり、文字通り欧州のメガクラブへの「登竜門」として、数々のスター選手を輩出してきた。その一人が、中島がかつて所属した東京ヴェルディでもプレー経験がある元ブラジル代表フッキであり、他にもコロンビア代表ハメス・ロドリゲスやラダメル・ファルカオなど、ポルトを経由して欧州のサッカーシーンを代表するプレーヤーへと成長した例は多い。

各国の代表クラスが並み居るドラゴンズの一員としてこの登竜門を潜り抜け、夢のメガクラブへと羽ばたけるか。中島翔哉にとっては、勝負の一年となるだろう。

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