サッカーキングさん、捏造疑惑は因果応報。あなたの名鑑と弊サイト記事の類似性は極めて不自然

事の発端は今月11日。移籍市場が閉幕したので選手名鑑を買いに本屋へ出かけた。いつも買う『footballista』の名鑑が出版されておらず、『Number』の名鑑にはスポルティングの情報が含まれていなかったため、わざわざ普段は買わない『WORLD SOCCER KING』(以下、キング)の名鑑を偶然にも購入した。ベンフィカ、スポルティング、ポルトというポルトガルの3強クラブの情報を最低限掲載していたからだ。

他の大手サッカーメディアはポルトガルのチームをどのように紹介しているのか。ポルトガルサッカーマニアの筆者としては気になる疑問を解消するため、わざわざ普段は買わない同誌を購入した。しかし、家に帰り早速ポルトのページを開くと目を疑うような箇所を発見した。

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キングの名鑑が記載したディオゴ・ジョッタの紹介文が、異常なまでに弊サイトの選手名鑑と酷似している。「ポルトガルのフェルナンド・トーレス」とは弊サイト特有の表現であり、キングの名鑑が言う「異名」は存在しない。「プレースタイルや風貌から」と共通する文章から始まるキングの名鑑の文面は、同誌が発売するずっと前に弊サイトの選手名鑑ページで紹介したそれと、類似しているでは片付かないほど類似している。

「これは…」と思い、他クラブのページを見渡すと、あちらこちらに弊サイトの下記記事を見て書いたであろうと思わざるを得ない文面が散見された。

(ここからは一般論であり、キングの「盗作」を断定する意図はないが)「盗作記事」を見つけるのは第3者には難しい。このような名鑑に載る情報は客観的な「事実」や「データ」が多いため、同じ情報を扱っていても、明確に盗作したと訴えることはできない。その情報は「不変の事実」だからだ。

現にTwitterではこのような意見を目にした。

しかし、盗作が事実であろうとなかろうと、「パクられたな」というのは盗作された側にはすぐに分かるものである。数ある情報や言い回しの中から、偶然とは思えないほど共通するキーワード。そのキーワードが文面に登場する順序。そして、その直感を最も支えるのは、文章の構造である。書いて消して、書いて消してのプロセスを繰り返して完成するのが記事であり、書き手はその構造を無意識に脳に蓄積している。だからこそ、第3者には分からなくても、「パクられた」側は文構造の類似性、そして無数の選択肢がありながら1つの文面に不自然に共通するキーワードの多さから、盗作されたことを直感的に感じる。この意見のように共通する「情報」の一部分だけを取り上げ「それは誰もが知っている事実だからパクりではない」と主張するのは的外れと言える。そういう次元の問題ではないのだ。

例えば、先のディオゴ・ジョッタの例で言えば
・19歳ながらU-21ポルトガル代表に選出されている
・強豪アトレティコに引き抜かれポルトへレンタルされた
・バルセロナも獲得に関心を寄せていた
など、扱うべきテーマは多岐に渡るが、わざわざ「ポルトガルのフェルナンド・トーレス」という弊サイトが言い始めたキーワードを掲載しているのだ。

また、下記をご覧いただきたい。これはディオゴ・ジョッタの次に筆者が直感した酷似箇所である。もう一度述べるが、着眼点は「客観的な事実・情報の共通性」ではなく、「無限の選択肢が存在しながら不自然に共通するキーワードと文章の構造」である。弊サイトが8月頭に作成した前掲の監督まとめ記事の構造とそれを支えるキーワードが、キングの名鑑と酷似している。

(雑誌の写真は『WORLD SOCCER KING』の「完全版ヨーロッパサッカーガイド2016-2017シーズン選手名鑑」より、本記事の事実を裏付けるものとして撮影)

<ベンフィカ>

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リーグ戦と「リーグカップ(この表現もポルトガルリーグ杯などの表現も考えられる中、一致)」を制した

さらに若手選手を大量に輩出した

「若手とベテランが融合した」「理想的なチーム」になると推測(ここも、わざわざ「理想的な」というキーワードが共通するのは不自然)

「絶対王者」の地位を「確立」する機会(「絶対王者の地位を確立」「絶対王者のステータスを確立」というだけのキーワードの不自然な類似性)

また、監督紹介部分では、CLベスト8に進出した戦術論など無数のテーマがありながら、わざわざ共通して「若手の大抜擢」を取り上げ、レナト・サンチェスゴンサロ・グエデスネウソン・セメードという名前が共通している。

<スポルティング>

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「勝ち点2差」で惜しくもリーグ王者を逃した

ジョルジ・ジェズスは「就任2年目」

ベンフィカ時代には多くの主力選手を失いながらも国内3冠を達成(キングの名鑑ではこれを「ベンフィカ時代から『やり繰り』のうまさには定評」と言い換えしたのみ)

文章の構造と取り上げるキーワード及びその順序が不自然に一致している。また、監督紹介部分では、ベンフィカ時代の国内3冠やEL2年連続決勝進出など特筆すべきテーマが無数にありながら、弊サイトが紹介した「シーズン終了後に2019年までの契約延長を果たした」件を、わざわざ記載した。

<ポルト>

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クラブの危機的状況

「チームの再建」を「クラブの元GK」に「託す」(キングの名鑑ではクラブの元選手という部分を、「OB」と言い換えたのみ)

1年目であろうと絶対的な結果が求められる(「絶対的な」と「目に見えた」という表現だけの違い)

また、監督紹介部分では、リオ・アベやバレンシアでの実績を評価され、「古巣の再建を託された」と、取り上げる事実とキーワードが酷似している。

単発で見れば「偶然だろう」と思われるかもしれないが、これほど多く文章の構造とそれを支えるキーワードが一致するのは、弊サイトの記事を参照していない限り起こり得ないとは言えまいか。盗作元のキーワードと文構造が盗作文に不自然に残るこの現象が起こる理由は、「丸パクリ」ではない文章にする、もしくは盗作が疑われた際に、完全なる引用ではない形で「偶然にも同じ事実を扱っているだけ」と主張するために、文の末節的な要素である形容詞等を言い換え、異なる事実を加えるなどの脚色するが、文章の背骨であるキーワードや文構造に関しては、言い換えようとするとゼロから別の内容を考える労力がかかるためだ。

こうした経緯で、わざわざ1200円を出してまで購入したその日に、弊サイトからの記事転用を確信した。さらに、昨今メディアを賑わす「エアインタビュー」騒動を受け、「もしかしたら他にも…」と思いこの日確認しなかった箇所を後日チェックすると、さらなる衝撃を受けた。日本語の情報が世に少なく、弊サイトが取り上げることの多い以下3選手の紹介文についても、限りなく黒に近いグレーなものであった。

<ゴンサロ・グエデス>

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・「クリスティアーノ・ロナウド」の後継者的な要素
・「昨季」「CLポルトガル人最年少得点記録」を「更新」
(取り上げる情報とその順序がどちらも一致。キーワードも類似)

<ネウソン・セメード>

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・「昨季」「トップチームデビュー」から「わずが半年でA代表」に抜擢
・「圧倒的な攻撃力」「快足サイドバック」
(取り上げた情報が2点とも一致。順序を入れ替えたのみ。また「圧倒的な攻撃力」を「超攻撃的」(「圧倒的」に引っ張られわざわざ「超」と付けるからこそ不自然)に言い換え、「快足」(弊サイトでは「快速」と誤字)というキーワードが一致)

<ブルーノ・フェルナンデス>

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・優れた技術と豊富な運動量を兼ね備えた現代的なファンタジスタ
・リオ五輪ポルトガル代表の10番を背負った
(こちらは弊サイトの名鑑と紹介記事の2点の両方から転用したと推測。弊サイトの選手紹介を「卓越したテクニック」と「豊富な運動量」と一言でまとめ、「現代に最適化したファンタジスタ」や「現代的な動けるファンタジスタ」を「現代型プレーメーカー」と言い換えたのみ。さらに弊サイトが頻繁に取り上げ名鑑にも記載する「リオ五輪10番」という情報も一致)

いかがだろうか。

事の発端は、前述のディオゴ・ジョッタの箇所であり、本件は「転用した」と明言できる。「ポルトガルのフェルナンド・トーレス」という異名は弊サイトが名付けたのだから。さらにそれだけではなく、ベンフィカ、スポルティング、ポルトという3クラブの紹介文における文構造及びキーワードの類似性、そしてゴンサロ・グエデス、ネウソン・セメード、ブルーノ・フェルナンデスという3選手の紹介文における情報やキーワードの不自然な共通性などからも、キングは名鑑を作成するにあたり、弊サイトを閲覧し許可なくその情報を転用したと99.9%断定する。しかし、本記事がここまで取り上げてきた盗用は状況証拠であり絶対的な証明はできないし、もしかしたらこの中に完全オリジナルな文章が1つや2つあるかも分からない。また、盗用を訴えても「文章は完全に一致していない」(※完全に一致しないように巧妙に転用されている)「たまたま同じ客観的情報を取り上げているだけ」と言われればそれまでだ。弊サイトは「盗用」を断定するつもりも訴えるつもりはなく、キングによる盗用が事実か否かの判断は、ここまでお付き合いくださった読者の皆様に委ねたい。

したがって、筆者は本記事でジャーナリズムの在り方論的な綺麗事を主張するわけでもないし、キングの名鑑に引用元を明記せよと訴えるつもりもない。

ポルトガルサッカーページのためだけにお金を払って購入し、それなのになぜ自分の書いた文章を読まないといけないのか。筆者がただ1つ望むのはこれだけ。

1200円返せよ…

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ポルトガル3強、16-17夏の補強診断。最も的確な補強を実現させたチームは!?

16-17シーズン夏の移籍市場が閉幕した。世界的な大型補強の余波に晒され、例年以上に名プレーヤーが巨額の富を残し流出したポルトガルリーグであるが、その覇権を争う「3強」はこの移籍市場でライバルに打ち勝つ補強を実現できたのだろうか。以下、ベンフィカ、スポルティング、そしてポルトの補強実績を評したい。(以下、主な移籍リストは全選手を網羅したものではないことご了承ください)

ベンフィカ

目玉補強
ラファ・シウバ


(ポルトガル代表の若手選手の中で実績No.1と言えるスーパースターを獲得)

リーグ3連覇中のベンフィカは、退団選手の穴を的確に埋める「ピンポイント補強」で、効率的かつ効果的なチーム強化を実現した。

チームを長年支えたエースの10番ニコ・ガイタンの後釜には、「ディ・マリア2世」との呼び声高いフランコ・チェルビ、そして、昨季ブラガの10番を背負ったリカルド・オルタの実弟であるU-21ポルトガル代表アンドレ・オルタを補強。さらには、スポルティングからの移籍志願で干され、昨季ベンフィカが獲得を決定させたWGアンドレ・カリージョがいよいよ本格的に加入する。

また、EURO2016にて大ブレイクし、バイエルンに引き抜かれたレナト・サンチェスの代替には、U-20ブラジル代表のキャプテンを務めたダニーロ・シウバを獲得。そして何と言っても、今季最大の目玉補強はポルトガル代表期待の若手ラファ・シウバ。ポルトとの争奪戦を制し、ブラジルW杯にも参加した念願の若手代表MFの獲得に漕ぎ着けた。(ただし、デビュー戦で早速負傷離脱の不運に見舞われた)

ポルトガル王者にしては例年ほど選手の入れ替えはなく、メガクラブからの主軸選手引き抜きもガイタンとレナトのみに抑え、ビクトル・リンデロフゴンサロ・グエデスネウソン・セメードなど各国代表クラスの慰留に成功。まさしく、リーグ4連覇へ視界良好といったところだろう。

補強採点:90点
放出採点:60点
マーケット総採点:150点

主な移籍
【放出】
レナト・サンチェス→バイエルン
ニコ・ガイタン→アトレティコ
タリスカ→ベジクタシュ(レンタル)
【加入】
フランコ・チェルビ←ロザリオ・セントラル
ダニーロ・シウバ←ブラガ(レンタル)
アンドレ・カリージョ←スポルティング
アンドレ・オルタ←ビトーリア・セトゥバル
ラファ・シウバ←ブラガ

スポルティング

目玉補強
マルコビッチ


(ベンフィカ時代にはリーグMVP級の活躍でジョルジ・ジェズスとともにリーグ制覇を経験)

ベンフィカとポルトに比べ、マーケット閉幕間近まで穏やかな補強を進めていたスポルティングだが、残り1週間で急激な舵取りを強いられた。チームの中心選手であった欧州王者の10番ジョアン・マリオと、エースFWアルジェリア代表イスラム・スリマニが、それぞれ最高4500万ユーロと3500万ユーロもの大金を残し、欧州の強豪クラブへ引き抜かれたのだ。

トップ下でも右サイドでも戦える攻撃的MFジョアン・マリオの後釜には、アーセナルのジョエル・キャンベルをレンタルで獲得し、さらに監督ジョルジ・ジェズスの教え子マルコビッチをリバプールから補強。しかし、監督自身が「彼らは2年間何も成し遂げていない」と、メガクラブからレンタル加入する選手に過剰な期待を寄せるメディアを抑制した。

また、ジェズスが「ポケモンを探しに行く」と例えて獲得に漕ぎ着けた新エース候補バス・ドストを昨季30ゴール以上を記録したスリマニと「同じような特徴を持っている」と比較しながらも、昨季のグティエレスとスリマニのコンビほど得点を量産できるかについては「現在のFW陣では疑わしい」と厳しい目を向けた。

クラブからの退団意思を示したキャプテン、アドリエン・シウバの慰留には成功したが、ジョアン・マリオとスリマニ放出の影響は甚大。マーケット閉幕間際に大量獲得した新戦力の活躍次第で、昨季惜しくも逃したリーグ王者の座を奪還できるかどうかが決まるが、小粒な選手が揃った感は否めない。マルコビッチがベンフィカ時代のパフォーマンスを取り戻せるかなど、補強の成否はかなりの未知数だ。

補強採点:70点
放出採点:50点
マーケット総採点:120点

主な移籍
【放出】
アルベルト・アクイラーニ→ペスカーラ
アンドレ・マルティンス→オリンピアコス
ジョアン・マリオ→インテル
テオ・グティエレス→ロザリオ・セントラル(レンタル)
イスラム・スリマニ→レスター
カルロス・マネー→シュツットガルト(レンタル)
【加入】
ベト←無所属
エリアス←コリンチャンス
アンドレー←コリンチャンス
ジョエル・キャンベル←アーセナル(レンタル)
マルコビッチ←リバプール(レンタル)
バス・ドスト←ウォルフスブルク
ルーク・カスタイニョス←フランクフルト

ポルト

目玉補強
オリベル・トーレス


(リーグベストイレブンの輝きを放った14-15シーズン以来の復帰)

未だ、フッキやラダメル・ファルカオ、ジャクソン・マルティネスら歴代の名ストライカーの後継者を見つけられず、試行錯誤を繰り返すポルト。昨季チームを指揮した現スペイン代表監督フレン・ロペテギが得点力不足解消をかけて整備したFW陣、すなわち、ソク・ヒョンジョンやムサ・マレガ、バンサン・アブバカルらを一斉に放出。代わりに、アトレティコMFオリベル・トーレスを復帰させ、昨季パソスで2桁得点を記録したワンダーボーイ、ディオゴ・ジョッタを同じくスペインのメガクラブから補強した。さらに、小柄な技巧派MFに加え、ゲンクの点取り屋ベルギー代表FWローラン・ドゥポワトルという191センチの長身FWを獲得。トルコリーグへ放出した余剰新戦力3名全員が備えた高さ・強さを1人の9番に集約させた。

このように的確に余剰戦力を放出し、攻撃陣を刷新したポルトだが、その他のポジションでは理想の補強とは程遠い結果となった。リオ五輪ポルトガル代表10番ブルーノ・フェルナンデスはポルトの誘いに乗らずイタリアに残留。ポルトガル代表MFラファ・シウバはよりによって最大のライバル、ベンフィカへ譲り渡し 、レンタルでの復帰を画策したマンチェスター・シティCBマンガラもバレンシアに強奪されるなど、補強の成果はいまひとつ。極め付けは、チームの浮沈を左右するのが、彼ら補強組ではなく、Bチーム上がりの20歳、新10番アンドレ・シウバという事実だろう。新戦力の活躍いかんよりも、開幕から好調を維持し、ポルトガル代表デビューも果たした新エースが、ジャクソン・マルティンスの如く得点を量産できるかが最重要な鍵となる。

ただし、今季のポルトは主力選手を1人も欠くことなく新シーズンを迎えることに。ナポリ移籍が間近にあったエクトル・エレーラや、エバートンへの移籍が濃厚とされたブライミらの残留に成功した、チームの土台はほぼ変わらず、新任監督というハンデを乗り越えられるだろう。

補強採点:70点
放出採点:90点
マーケット総採点:160点

主な移籍
【放出】
ブルーノ・マルティンス・インディ→ストーク・シティ(レンタル)
ジョズエ→ガラタサライ(レンタル)
アルベルト・ブエーノ→グラナダ(レンタル)
ムサ・マレガ→ビトーリア・ギマラインス(レンタル)
ソク・ヒョンジョン→トラブゾンスポル(レンタル)
バンサン・アブバカル→ベジクタシュ(レンタル)
【加入】
フィリペ←コリンチャンス
アレックス・テレス←ガラタサライ
ボリー←ブラガ
ジョアン・カルロス・テイシェイラ←リバプール
オリベル・トーレス←アトレティコ(レンタル)
ディオゴ・ジョッタ←アトレティコ(レンタル)
オタービオ←ビトーリア・ギマラインス
ローラン・ドゥポワトル←ゲンク

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16-17季から新たに日本人とプレーするポルトガルリーグ関連4選手をご紹介

ユベントスからマンチェスター・ユナイテッドへ移籍したポール・ポグバや、ユベントスがその巨額な移籍金でナポリから強奪したゴンサロ・イグアインなど、歴史的なビッグディールが見られた2016-17シーズン夏の移籍市場。ポルトガルリーグでも、3500万ユーロでバイエルンに移籍したレナト・サンチェスやインテル史上最高額とも言われる移籍金でスポルティングから移ったジョアン・マリオなど、リーグの歴史に名を刻む大型取引が頻発した。

多くのポルトガルリーグ所属選手が国外に活躍の場を移した今夏。その影響の余波は日本にも到達しそうであり、先のジョアン・マリオのように、数名の選手が仲間としてまたはライバルとして日本人海外組が所属するクラブへ加入した。そこで今回は、日本人所属クラブへ加入したポルトガルリーグ出身者を4名選抜。日本代表選手のプレーに直接的に影響を与えるであろうツワモノたちを紹介する。

1.ジョアン・マリオ
スポルティング→インテル

インテル歴代最高額とも言われる4500万ユーロの移籍金で加入した欧州王者の10番は、長友佑都とチームメイトに。中盤で攻守に渡り汗をかくそのプレースタイルは、日本代表不動のLSBに通ずるものがある。運動量豊富な両者のパフォーマンスは、覇権奪還を目指すインテルの順位に直接的に影響を及ぼすことだろう。

2.ラファエル・ゲヘイロ
ロリアン→ドルトムント

ファビオ・コエントランの代役としてEURO2016で主力級の活躍をし、大会ベストイレブンに選ばれたポルトガル期待のLSB。大胆にサイドを駆け上がり攻撃に厚みを与えるゲヘイロの特徴は、香川真司の得点数にも貢献する。

3.イスラム・スリマニ
スポルティング→レスター

日本代表監督ハリルホジッチがチームのエースとして信頼を寄せる岡崎慎司に強力なライバルが登場した。そのハリルホジッチがブラジルW杯で率いたアルジェリア代表で、エースFWとして4試合で2ゴールを挙げ大躍進に貢献したのが、今季スポルティングからレスターに加入したスリマニである。スポルティングでも不動のエースに成り上がり、3年間の集大成となった15-16シーズンには、46試合で31ゴールを記録するなど、現在がキャリアのピーク。レスターは最高3500万ユーロにものぼる大金を積み上げ、スリマニを新エースとして獲得しており、昨季のエースFWバーティーと岡崎を含めた熾烈なスタメン争いが予想される。

4.カルロス・マネー
スポルティング→シュツットガルト

ルイス・フィーゴやクリスティアーノ・ロナウド、ナニにリカルド・クアレスマなど、スポルティングアカデミーが輩出してきた名ウインガーの系譜を継ぎ得る存在。この2年間は出場機会に恵まれず、シュツットガルトへレンタルされることに。リオ五輪に母国代表のジョーカーとして参加した俊敏ドリブラーは、同じくアーセナルからシュツットガルトへ貸し出されたリオ五輪世代浅野拓磨にとって強力なライバルとなる。同じリオ五輪世代の両選手。ともにスポルティングとアーセナルという所属クラブへの復帰を目指し、ポジションを争いながら切磋琢磨して成長していくことだろう。

ポルトガル代表としてヨーロッパチャンピオンに輝いたジョアン・マリオとラファエル・ゲヘイロは、長友と香川の頼れるチームメイトに。かたや、スポルティングの得点王スリマニと同クラブ期待の星マネーは、岡崎と浅野という日本代表の新旧エースFWにとって越えがたい強力なライバルになった。この4選手が日本代表海外組と所属クラブでどのようなプレー・スタメン争いを演じるのか、16-17シーズンの見所になるだろう。

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【保存版】16-17シーズン、ポルトガル1部リーグ全18チームの監督人事と注目監督

ベンフィカのリーグ3連覇で幕を閉じた15-16シーズンのポルトガル1部リーグは、監督人事に関して言えば、まさに「歴史的な」1年だった。6年間ベンフィカを率いたジョルジ・ジェズス監督が、宿命のライバルであるスポルティングへ禁断の電撃移籍を果たし、ポルトガル全土を震撼させたのだった。(参照:【保存版】2015-16ポルトガル1部リーグを戦う18チームの監督人事)

来る16-17シーズンの監督人事最大の注目は、史上稀に見る3強の名監督対決である。14-15シーズンのジョルジ・ジェズス(ベンフィカ)、マルコ・シウバ(スポルティング)、ロペテギ(ポルト)の三つ巴も見応えのある激戦ではあったが、今季は彼ら以上の実力者が揃った(ジョルジ・ジェズスはチームを替え再び激戦へ)。ベンフィカを率いるは、昨季就任1年目でリーグ制覇やCLベスト8の偉業を成し遂げたルイ・ビトーリア。スポルティングを率いるは、国内トップのタイトルホルダー、ジョルジ・ジェズス。そして、ポルトの新監督に就任したのは、バレンシアで歴代最多勝ち点を稼ぎ、CL経験も有するヌーノ・エスピリト・サント。名実ともに名将に相応しい3者が、16-17シーズンのポルトガルリーグを席巻することは確実だろう。

さて、前置きが長くなってしまったが、今季も例年通り、新シーズンの1部リーグを戦う18チームの監督人事をまとめてみた。今回の特徴は、国内名監督の「名誉挽回」、そして2部クラブからステップアップを果たした若手監督らの「下剋上」であろう。ぜひ、3強以外のクラブを率いるこれら監督にも刮目いただきたい。

(以下、かなりの文量になりますので、閲覧したい項目に絞ってご覧いただくなど、名鑑としてご活用ください)

16-17シーズン18チーム監督一覧

ベンフィカ-ルイ・ビトーリア

昨季1位 ベンフィカ
ルイ・ビトーリア(続投)

6年の長期政権を築いたジョルジ・ジェズスが最大のライバル、スポルティングへ。10つのタイトルを獲得した名将の後釜として迎え入れられたルイ・ビトーリアへの期待値は当初は微々たるものであった。リーグ開幕直後の第2節アロウカ戦では早速黒星をつけられ、前半戦の不調から解任騒動までもが巻き起こった。
しかし蓋を開けてみれば、後半戦に失速したスポルティングとポルトを尻目に破竹の連勝でリーグ3連覇を達成。リーグカップでも優勝を果たし、自身初となるCLではベスト8の快挙を成し遂げた。
当初の期待値を大幅に上回ったルイ・ビトーリアだったが、その功績はタイトルだけにとどまらない。同監督が抜擢し、ポルトガル代表に選ばれたゴンサロ・グエデスネウソン・セメード、バイエルンに移籍し、クラブに莫大な資金をもたらしたレナト・サンチェス、そして、ベンフィカの控えGKからブラジル代表にまで登り詰めたエデルソン・モラエスなど、フットボール界の未来を担う若手選手をわずか1シーズンで大量に輩出した。
EURO2016で大ブレイクを果たしたレナト・サンチェスこそ失ったが、その他有望な若手選手は残留が有力。2年目となる今季も、ベテランと若手が高度に融合し、ユースから次々と新戦力が台頭する理想的なチームになるだろう。リーグ4連覇へ、「絶対王者」の地位を確立するとしたら、今季はまたとない機会だ。

スポルティング-ジョルジ・ジェズス

昨季2位 スポルティング
ジョルジ・ジェズス(契約更新)

名将ジョルジ・ジェズスに率いられ、2001-02シーズン振りのリーグタイトル奪還が期待されたスポルティング。チームはシーズン序盤から好調を維持し、スリマニジョアン・マリオら中心選手も、キャリアでベストと言えるパフォーマンスを発揮した。しかし、シーズン後半にベンフィカの猛追撃に屈し、最終的には勝ち点2差でリーグ王者の座を逃した。それでも、ブルーノ・デ・カルバーリョ会長のジョルジ・ジェズスへの信頼は厚く、シーズン終了後には2019年までの契約延長を結んだ。
これにてジョルジ・ジェズス政権は2年目に。チームの完成度はポルトガルリーグでも随一である。主力選手の大量引き抜きが噂されているからこそ、ベンフィカ時代に多くのスターを失いながらも国内3冠を達成したその手腕になおのこと注目が集まる。

ポルト-ヌーノ・エスピリト・サント

昨季3位 ポルト
ジョゼ・ペゼイロ(来季:ブラガ)
→ヌーノ・エスピリト・サント(元:バレンシア)

シーズン前半、リーグ無敗をひた走ったチームの好調が嘘かのように、後半戦に大失速したロペテギ率いるポルト。事態がさらに悪化する前にと、ショック療法として招聘したジョゼ・ペゼイロは、大半のポルティスタの予想通り、チームをさらなる泥沼へと陥れてしまった。
当然ながら途中解任となったペゼイロの後任には、クラブの元GKヌーノ・エスピリト・サントが就任。バレンシアをCLの舞台に引き戻し、クラブ歴代最多勝ち点数を獲得するなどスペインで一躍脚光を浴びた若き指揮官と2018年までの契約を結び、クラブの再建を託した。同監督は、中小クラブであるリオ・アベを2つの国内カップ戦で決勝に導くなど、ポルトガルでの実績は合格ライン。ルイ・ビトーリアとジョルジ・ジェズスがシーズンをかけて「仕上げた」ベンフィカとスポルティングを相手に優勝戦線に割り込めるか。クラブ会長ピント・ダ・コスタの目にはもう、3年連続でベンフィカに譲り渡したリーグ王者のタイトルしか映っていない。1年目であろうと絶対的な「結果」が求められる。

ブラガ-ジョゼ・ペゼイロ

昨季4位 ブラガ
パウロ・フォンセッカ(来季:シャフタール・ドネツク)
→ジョゼ・ペゼイロ(前季:ポルト)

ブラガを最低限のミッションであるリーグ4位に導き、ポルトガルカップではクラブに50年ぶりのタイトルをもたらしたパウロ・フォンセッカが、さらなる挑戦を求めて辞任を表明。国内リーグの戦績とともに躍進を遂げたELにおいて、ベスト8で敗れた対戦相手シャフタール・ドネツクと2年契約を結んだ。
後任には、昨季途中ポルトに就任したジョゼ・ペゼイロが抜擢。昨季はポルトを不調から救うどころかさらなる泥沼に陥れ、ポルトガルカップでは新たに就任することとなったブラガ相手に決勝で敗れた同監督。他の後任候補であったロペテギらと比べ、期待値はどうも低そうだ。監督自身の名誉挽回もしたいところだが、フォンセッカが再び強豪クラブへと復興させたブラガを、まずはリーグ4位に「維持」することが現実的な目標だろう。

アロウカ-リト・ビディガル

昨季5位 アロウカ
リト・ビディガル(契約更新)

誰がアロウカの5位など予想しただろうか。そして、誰がリト・ビディガルのこれほどまでの躍進を予想しただろうか。世間の期待を良い意味で裏切りまくったビディガル率いるアロウカ。今季はEL挑戦でヨーロッパ全土を轟かせたい。2年の契約延長を果たした監督自身も「昨季成し遂げたことはもう関係ない」と、さらなる進化に向け意気揚々としている。ただ、近年のパソスやベレネンセスなど、ポッとEL圏に進出してしまった中小クラブは、ELとの両立に失敗し、リーグでも低迷するのがトレンドではあるが…

リオ・アベ-ヌーノ・カプーショ

昨季6位 リオ・アベ
ペドロ・マルティンス(来季:ビトーリア・ギマラインス)
→ヌーノ・カプーショ(前季:バルジン)

2シーズンに渡りリオ・アベを率い、無事上位戦線に引き上げたペドロ・マルティンスは、強豪クラブの復活を任される形でギマラインスへ。後任には、2年契約を結んだヌーノ・カプーショが選ばれた。
同監督は、選手として長らくポルトガル代表を支え、2002年の日韓W杯にも出場した元名選手。監督になってからは、選手時代を捧げた古巣ポルトでユース監督やアシスタントコーチを務め、昨季は2部のバルジンを指揮していた。監督として初の挑戦となる1部リーグで結果を残せるか。前任者の結果が結果だけに、ハードルは極めて高い。

パソス・デ・フェレイラ-カルロス・ピント

昨季7位 パソス・デ・フェレイラ
ジョルジ・シマオン(来季:シャービス)
→カルロス・ピント(前季:サンタ・クラーラ)


最終節に6位を逃し、念願のEL出場の夢が儚く散ったパソス。しかし、ジョルジ・シマオンは、前シーズンの8位からひとつ順位を上げ、クラブの英雄パウロ・フォンセッカの後任という難しいタスクを若手監督ながら存分にやり切った。その手腕を買われ、2年の契約更新を提示されたという報道もあるが、新たな挑戦を決意し、昇格組のシャービスへ移籍した。
39歳の青年監督の後任には、こちらもまだまだ若い43歳カルロス・ピントが就任。1992-94シーズンを選手として過ごした古巣へ、約20年ぶりの復帰となった。二桁得点を記録し、チームの絶対的エースに君臨したワンダーボーイ、ディオゴ・ジョッタ(アトレティコ・マドリード)の退団を補えるかが鍵となる。

エストリル-ファビアーノ・ソアレス

昨季8位 エストリル
ファビアーノ・ソアレス(契約更新)

クラブを3強に迫る地位に押し上げた英雄マルコ・シウバが去った後、次なる監督ジョゼ・コウセイロ解任後の「暫定監督」としてファビアーノ・ソアレスが監督就任してからはや2シーズン。約半年と見積もられていた同監督の暫定政権は、周囲の期待を裏切り、ついには3シーズン目に到達。クラブも期待を込めて4年の長期契約を用意した。目標はELリーグ出場。監督のみならず、クラブとしても「サプライズ」を起こしたい。

ベレネンセス-フリオ・ベラスケス

昨季9位 ベレネンセス
フリオ・ベラスケス(契約更新)

サー・ピント監督のもと、ELとの両立に苦しみ下位に沈んだベレネンセス。古豪クラブに途中就任したスペイン人監督は、見事にチームを一桁順位まで建て直した。シーズン途中に2018年までの契約延長を果たした昨季後半戦の勢いそのままに、上位返り咲きを目指す。

ビトーリア・ギマラインス-ペドロ・マルティンス

昨季10位 ビトーリア・ギマラインス
セルジオ・コンセイサオン
→ペドロ・マルティンス(前季:リオ・アベ)

前年5位のギマラインスは、ルイ・ビトーリアをベンフィカに引き抜かれ、後任監督アルマンド・エバンジェリスタのもとで大失速。そうして降格圏に沈んでいたクラブに途中就任したコンセイサオンは、破竹の勢いで勝ち星を重ね、一時はリーグ5位へと躍り出た。しかし、シーズン後半に失速し、最終的には二桁順位に。監督自身にも、ギマラインスで監督を続ける意思はなく、両者は別れの道を歩むこととなった。
国内屈指の名将の後任には、ペドロ・マルティンスが就任。リオ・アベでの手腕が評価され、ブラガと双璧をなす北の強豪クラブと2018年までの契約を結んだ。1994-95シーズンに選手としたプレーした古巣をELの舞台に引き戻すことが最低限の目標となる。

ナシオナル-マヌエル・マシャード

昨季11位 ナシオナル
マヌエル・マシャード(続投)

年々順位が下降気味のナシオナルだが、マヌエル・マシャードはポルトガルの中位クラブでは「異例」の監督5年目に突入。変化を避けたクラブの決断が吉と出るか凶と出るか。

モレイレンセ-ペパ

昨季12位 モレイレンセ
ミゲウ・レアウ
→ペパ(前季:フェイレンセ)

当時の昇格組モレイレンセを1部にキープさせたミゲウ・レアウが、さらなる経験を求めて2シーズンを過ごしたクラブを退団。
後任には、今季の1部リーグで最年少監督となる35歳のペパが就任。1年の延長オプションが付いた単年契約を結んだ。昨季は、3月に7戦2勝と不調に陥って突然の解任を宣告されるまで2部フェイレンセを指揮しており、今季から1部に昇格する同クラブの土台を形成。3名の2部リーグ最優秀監督賞候補にもノミネートされた。

マリテイモ-パウロ・セーザル・グスマオン

昨季13位 マリティモ
ネロ・ビンガーダ(来季:ノース・イースト・ユナイテッド(インド))
→パウロ・セーザル・グスマオン(前季:ジョインビレ(ブラジル))

イボ・ビエイラの途中解任にともないマリティモへ到来した64歳の老将ビンガーダ。カルロス・ケイロスのアシスタントコーチとして、1989および1991のU-20ワールドユースで母国の優勝に貢献した同監督は、不調に陥るマリティモをリーグ杯で決勝に導くなど、暫定監督としては十二分な成績を残した。
新監督に選ばれたのは、ブラジル人監督パウロ・セーザル・グスマオン。母国ではフラメンゴ、ボタファゴ、セアラー、パウメイラスなど、数々の強豪クラブを率いた経歴を持つ54歳にクラブの再建を託した。

ボアビスタ-エルウィン・サンチェス

昨季14位 ボアビスタ
エルウィン・サンチェス(契約更新)

プティ監督の突然の辞任から、降格の危機にあった古豪を見事残留に導いたかつての名プレイヤー。選手時代を過ごした古巣と1年の契約延長を果たし、上位進出を目指す。

ビトーリア・セトゥバル-ジョゼ・コウセイロ

昨季15位 ビトーリア・セトゥバル
キン・マシャード
→ジョゼ・コウセイロ(元:エストリル)

トンデーラを2部優勝に導き、鳴り物入りでセトゥバルの監督へ就任したキン・マシャード。前半戦こそ好調を維持したが、チームのエースFWソク・ヒョンジョンがシーズン途中にポルトへ引き抜かれてからは大失速。契約を1年残し、無念の退団となった。
後任に選ばれたのは、マルコ・シウバ政権後のエストリルを率いて以来となる現場復帰のジョゼ・コウセイロ。すっかりコメンテーターとしての印象が強くなった同監督と、2年契約を締結した。エストリルでは無念の途中解任となったが、2013-14以来の復帰となるセトゥバルにて名誉挽回し、フットボール監督としての威厳を取り戻したい。

トンデーラ-プティ

昨季16位 トンデーラ
プティ(契約更新)

昨季は、2度の監督交代の大ナタを振るったトンデーラ。2部優勝の成績を引っさげ1部に臨むも、高い壁を越えられず下位に沈んでいた。しかし、昨季途中に突然ボアビスタを辞任し、チームにやってきた「3人目の監督」プティのもと、見事残留に成功。その功績が認められたかつての名プレイヤーは、2018年までの契約延長を果たした。今季も1部残留が現実的な目標となる。

シャービス-ジョルジ・シマオン

昨季2部2位 シャービス(1位は昇格権のないポルトB)
ビトール・オリベイラ(来季:ポルティモネンセ)
→ジョルジ・シマオン(前季:パソス)

3年連続で2部チームを1部に導いていた「昇格請負人」ビトール・オリベイラが監督就任したシャービス。その実力は噂に違わず、同氏9チーム目・4年連続となる2部昇格を果たした。当の監督自身は、例年通り昇格のミッションを果たしてお役御免。昨季は最終節に昇格を逃し、リーグ4位となったポルティモネンセの監督に就任した。日本では金崎夢生が所属したことで有名な同クラブの昇格を請け負うこととなった。
後任には、昨季パソスをEL出場圏目前の7位に導いた39歳の青年監督ジョルジ・シマオンと2年契約を締結した。パソスは、アトレティコ・マドリードに移籍したディオゴ・ジョッタらタレントが揃ったチームであったが、今回は2部上がりのシャービス。残留に向け、我慢強い戦いが求められる。

フェイレンセ-ジョゼ・モッタ

昨季2部3位 フェイレンセ
ジョゼ・モッタ(続投)


順調に勝ち星を重ねたペパ率いるフェイレンセは、年明けに急失速。監督は突然の不調を理由に解任された。後任に選ばれたジョゼ・モッタは、ポルティモネンセとの昇格をかけた接戦を制し、同クラブの敗北を尻目に最終節に辛うじて1部昇格を果たした。
その功績が認められた同監督は続投が決定。1部挑戦の権利を手にした。しかし、強豪並み居る1部リーグである。チームの残留よりも、まずは監督自身が解任されないことが現実的な第一目標だろう。

注目監督ベスト3

同率1位 ルイ・ビトーリア、ジョルジ・ジェズス、ヌーノ・エスピリト・サント

今季は、例年にも増して「3強によるタイトル争い」の様相が強まることだろう。3強による独占体制を切り崩す有力候補ブラガは、パウロ・フォンセッカを招聘した昨季とは違い、ジョゼ・ペゼイロ率いる今季は順位を下げる可能性が否めない。ベンフィカ、スポルティング、ポルトを打ち負かす有力クラブがおらず、また、3強のチーム力が拮抗していることから、今季は熾烈なタイトル争いが見られることだろう。リーグ4連覇で名実ともに名将の仲間入りを果たしたいルイ・ビトーリア、今季こそは是が非でもタイトルが欲しいジョルジ・ジェズス、失墜したポルトのタイトル奪還を課せられたヌーノ・エスピリト・サント。三者三様の使命を課せられた監督によるただ1つのタイトル争いは、史上かつてない激戦が予想される。

ダークホース監督候補

ペドロ・マルティンス(ビトーリア・ギマラインス)
昨季はルイ・ビトーリア→アルマンド・エバンジェリスタと、監督交代の失敗をあからさまに露呈したギマラインス。しかし、前半戦を降格圏に沈みながら、後半戦は一時5位に躍り出るなど、チームの実力は衰えず。リオ・アベを6位に導いたペドロ・マルティンスがうまくハマれば、リーグ4位も夢ではない。

フリオ・ベラスケス(ベレネンセス)
ポルトガルで異彩を放つスペイン人監督ベラスケス。途中就任ながらベレネンセスを一桁台に引き戻した実力はお見事。シーズン開始からチームを率いられる今季は、昨季築いた土台もあり、上位進出が予想される。

以上、新シーズンを控えた監督人事と注目監督を紹介した。ぜひ本コラムを片手に、今季も熱きポルトガルリーグに注目していただきたい。

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絶望からの歓喜。12年を彩る4色の涙。「監督」ロナウドがついに手にした最後のピース

開始直後のまさかの負傷離脱。監督への「転身」。そして12年間を彩った「4色の涙」。初の主要国際タイトルを獲得したポルトガル代表において、やはり話題の中心はこの男が独占した。

EURO2016決勝。フランスとの決戦。ポルトガルにとっては、自国開催となった2004年にギリシアに敗れて以来、12年ぶりとなるヨーロッパ王者をかけた戦い。全世界が注目したのは、当然、マンチェスター・ユナイテッド時代からの盟友ナニとツートップを組んだクリスティアーノ・ロナウドだった。欧州CLからバロンドールまで、あらゆるタイトルを勝ち取った男が、未だ勝ち得ない代表でのタイトル。12年ぶりに目前まで迫った機会を、母国国民も固唾を飲んで見守った。

きっとクリスティアーノがどうにかしてくれる。そう思っていたに違いないポルトガル国民は、試合開始数分で悲壮感に包まれることになる。

フランス代表パイエから激しいタックルを浴びせられたロナウドは、それ以降終始具合を気にしていた左足を抱え、17分に突然倒れ込んだ。一度ピッチを離れ、応急処置としてアイシングを終え強行出場。しかし、ロナウドがこの試合にかけた溢れんばかりの想い、ポルトガル国民が一旦は感じた安堵感が、23分に悲劇に変わった。

再度ピッチに倒れこんだロナウドの目には大粒の涙が浮かんでいた。溢れ出る想いをもう体が受け止めきれない。これ以上プレーできないことを本能的に悟ったロナウドを、絶望の涙が襲ったのだった。

2004年の決勝。まさかの敗北を喫した若きロナウドが流したあの悔し涙とは違う。今の自分には、その悔しさを味わうことすらできないのだ。やるせない絶望感を抑えきれないロナウドは、担架で運ばれトンネルの暗闇へ。ロナウドにとってのEUROは儚く幕を閉じた。

チームの大黒柱を失ったポルトガル代表メンバーだったが、勝利を望む熱き火を消すことはなかった。ピッチに立てないキャプテンを必ず優勝台に連れて行こう。そう口を揃えるかのように、残されたメンバーは一丸となって死闘に臨んだ。

気迫のセーブで幾度となく決定機を阻止したルイ・パトリシオ。ロナウドを破壊したパイエに報復するかのように飛び蹴りを食らわしたセドリック。レアルの盟友の後を継ぎ、チームを後方から支えたペペ。足を痙攣させながらも、敵エースグリーズマンを抑え切ったジョゼ・フォンテ。名手コエントランの不在を感じさせないほどピッチを駆け回ったラファエル・ゲヘイロ。チームに落ち着きを与えた若きMFウィリアン・カルバーリョ。猛獣のようにボールを追いかけ回した驚異の18歳レナト・サンチェス。攻守にわたり体を張り続けたジョアン・マリオ。交代後にはロナウドに足をぶっ叩かれることになるなど知る由もなく、彼のために決死のプレーを見せたアドリエン・シウバ。盟友ロナウドなき後、若きチームを鼓舞し続けたナニとクアレスマの両雄。焦るチームを引き締めたベテランMFジョアン・モウティーニョ。そして、ブラジルW杯では戦犯に挙げられながらも、この日歴史的な決勝点を挙げたエデル。

ピッチに立つ全員が、優勝杯を掲げさせるために死に物狂いで駆け回った。そう、テクニカルエリアでジョゼ・モウリーニョの如く感情を爆発させるあの男に。

ロナウドのEUROはまだ終わっていなかった。そこには、選手としてはプレーできないが、フェルナンド・サントス監督を凌駕する存在感を発揮する「監督」ロナウドの姿があった。

喜怒哀楽を剥き出しにし、声を荒げる名将ロナウドに、歓喜の瞬間は突然に訪れる。大会にあたり「ヨーロッパいちのストライカーになる」と豪語していた途中出場のエデルが、有言実行となる美しいミドルシュートをゴール左隅に沈めた。ピッチサイドで雄叫びをあげるメンバーの中心にいたのはもちろんロナウド。「インポシーベウ!」ポルトガル語で「信じられない!」。現実を現実と受け止められない顔をしたロナウドの目には、優勝が眼前に迫った希望感から、またもや涙が浮かんでいた。

試合終了のホイッスルを聞いたポルトガル代表の面々は我を忘れ踊り狂った。左足を負傷したはずのロナウドも、この瞬間だけは痛みを忘れて飛び跳ねた。ピッチを後にする際にナニへ託した母国の誇りキャプテンマーク。盟友から再度腕章を譲り受けたその腕で、ついにロナウドが「ポルトガル代表のキャプテン」として、初めてチャンピオンズカップを掲げた。

一体何度王者のトロフィーを掲げただろうか。そんな男でもこの優勝杯は格別だ。幾度となく公に口にしてきた念願の代表での初タイトル。12年前に一度手にしかけたからこそ、その喜びは計り知れないものだったのだろう。

12年前の悔し涙、そして今宵流した絶望の涙と希望の涙。ロナウドがタイトルを願って止まなかった12年間を彩る、4色の涙を締めくくったのは、チャンピオンズカップを掲げながらその目に走らせた、歓喜の涙だった。

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新潮流によるポルトガル若手市場の変革

「ブラジルW杯グループリーグ敗退」

ポルトガル代表に突きつけられた現実であった。国内では「クリスティアーノと10人の仲間たち」と揶揄されるほどに、エースへの依存体制から脱却できずにいた。さらに畳み掛けるように、コエントランら中心選手に負傷者が続出したことで代表は満身創痍に。選手層の薄さを露呈し、若手が育ってないのではないかとの不満が国内から噴出した。

筆者もW杯直後にはそのような想いを抱いていた。果たして、本当に有力な若手選手は育っていないのだろうか

答えはノーである。

当時の世論には反して、現在のポルトガルには世界に誇れる若手選手が多く存在している。その証拠として、2015年チェコで開催されたU-21欧州選手権でポルトガルは準優勝に輝き、優勝したスウェーデンの3名を超える5名もの選手がベストイレブンに名を連ねた。ポルトガルが世界のトップクラスで活躍し得る若手選手に恵まれている証であろう。

この若手の豊作期とも言える状況の一端を担っているのは、紛れもなくスポルティングである。ブラジルW杯にも出場し、U-21欧州選手権ではMVPに輝いたウィリアン・カルバーリョを始め、A代表とU-21代表を兼任するジョアン・マリオや、クラブで主力〜準主力として活躍するカルロス・マネやトビアス・フィゲイレードなど、有望な若手選手をU-21代表に送り込んでいる。国産の若手選手を手塩にかけて育てる文化があるスポルティングが、今後も豊作期を支えるのは間違いない。

しかし、ここで特筆すべきなのはスポルティングではない。フィーゴやクリスティアーノ・ロナウド、ナニらを排出したスポルティングが、ポルトガルの若手市場を席巻したのは今に始まった事ではないからだ。筆者は、最近新たに見られ始めた「ある潮流」こそが、これからのポルトガルサッカー界の若手市場を形成していくと予想している。そして、この風潮はポルトガルが長年抱えてきた重大な構造的問題をも解決し得るのである。

この新潮流の代表的な産物こそが、前述のU-21欧州選手権においてベストイレブンにも選ばれ、ポルトガル代表のエースに君臨したベルナルド・シウバである。同選手は、ベンフィカでは強力な外国人助っ人の陰で出場機会に恵まれず、膨大な資金力を武器に積極補強を進めていたモナコへ移籍した。富豪の地で同郷監督レオナルド・ジャルディンの指導を受けたことで、その才能が花開いたのだ。

本事例からも帰納される「新潮流」とはすなわち、外国人助っ人とのレギュラー争いに敗れた若手選手の国外CL級ビッグクラブへの移籍である。

筆者はこれまで、ポルトガルサッカー界が抱える構造的問題点を声を大にして唱え続けてきた。すなわち、ポルトやベンフィカなどのクラブが勝利を過度に追求するあまり、リーグが強力な外国人選手に寡占され、国産若手選手の育成機会が奪われていることである(参考:筆者過去記事『ポルトガルサッカーの縮図としてのFCポルト』)。この深刻な問題によるポルトガル人若手選手の競争力低下こそが、ブラジルW杯において同国が期待外れに終わった一因なのかもしれない。しかし、(後述するが)これまでの国外移籍とは明らかに異なる新潮流下の国外武者修行により、多くの若手選手がCLレベルの経験を積むことで、ポルトガル代表が世界のフットボール界を再び席巻する可能性があるのだ。

このような若手選手の国外移籍を「新潮流」などと取り立てているのだから、当然これまでのポルトガル人若手選手の移籍とは毛色が異なる。本題に入る前に、まずは伝統的な国外移籍の状況を詳述したい。

これまでの常識として、外国人助っ人とのレギュラー争いに敗れ、出場機会を失った若手選手が置かれる状況は、主に以下の5パターンに分類された。

  1. 所属クラブでの飼い殺し
  2. Bチームでの武者修行
  3. 国内下位チームへの移籍
  4. 国外上位リーグ(スペインなど)下位チームへの移籍
  5. 国外下位リーグ(トルコやブラジルなど)チームへの移籍

1つ目の状況は、すでにBチームレベルを超えている選手が陥りがちである。シーズン途中に、買い手が見つからなかったり、クラブがベンチには控えていて欲しい一応の戦力とみなしたりした場合に散見される。2つ目の状況は、AチームとBチームを行き来するクラスの選手に多い。そして、これら2つの状況に置かれていた若手選手が、シーズンを終えて移籍先を模索する際に、上記3-5の3パターンの選択を迫られるのである。3つ目の代表的な例は、U-21代表トゼ(ポルト→エストリル、2014-15)や、今季よりポルトへ復帰するセルジオ・オリベイラ(ポルト→パソス)などが挙げられる。4つ目の例は、ロペテギ監督下で構想外となった元ポルトのリカーが良い例だ。ポルトで戦力外となり、リーガ・エスパニョーラのラージョへ移籍した。最後5つ目の例として、ジョズエの名前を挙げたい。同選手はパソスの3位躍進に貢献し、鳴り物入りでポルトへ入団したが、思うような結果を残せなかった。リカーと同じくロペテギ監督の構想に入ることができず、トルコのブルサスポルへ活躍の場を移した。

これら5パターンからも明白なように、これまでは、ポルトやベンフィカのようなクラブで出場機会を獲得できなかった選手が、所属クラブと「同格」もしくは「格上」のチームへ移籍することはごく稀であった。しかし、前述のベルナルド・シウバのように、近年は彼らがCL級の国外クラブに即戦力として迎え入れられているのである。これまでの「格下」チームへの移籍とは明らかに種類が異なるのは、誰の目にも明らかだろう。

ここで一つの疑問が生じる。

ポルトやベンフィカで出場機会を奪取できなかった若手選手が、モナコやバレンシアなどのより強力なビッグクラブで出場機会など得られるのだろうか?

イエス・ノーで解答を提示する代わりに、3選手の例を挙げよう。1人目が、既出のベルナルド・シウバである。ベンフィカのAチームでは公式戦3試合出場のみに終わった同選手が、新天地モナコでは45試合10ゴールと大爆発。レバークーゼンとの一戦では、念願のCLデビューを果たし、若干20歳ながらチームの主力として躍動している。2人目は、ベンフィカAでは公式戦19試合1ゴールに沈んだイバン・カバレイロだ。最初の移籍先はリーガ・エスパニョーラのデポルティボであり、これまでの伝統的な国外移籍パターンを辿っていた同選手だが、2015-16シーズンからは新潮流に乗りモナコへ。移籍金1500万ユーロ、5年契約という破格の条件で迎え入れられた。プレシーズンでは、早くもスタメンデビューを飾り、ゴールを決めている。ベルナルドとカバレイロはU-21欧州選手権でベストイレブンに輝いた、まさにモナコとポルトガル双方の未来を担う、将来を嘱望された若手選手である。3人目は、バレンシアに所属するジョアン・カンセーロである。ルイゾンやガライといった世界的な名DFの陰で、ベンフィカAでは2試合の出場にとどまった。翌年にレンタル移籍したバレンシアでは13試合に出場し2021年までの長期契約を勝ち取った。本契約となり、今後はより多くの出場機会を手にすることだろう。

このように、近年は、ポルトガルでは外国人選手とのレギュラー争いに敗れた若手選手が国外のCL級クラブへ移籍し、母国での出場機会よりずっと多くのゲーム経験を積んでいるのだ。紹介した3選手はポルトガル代表としてU-21欧州選手権にも参加しており、数年後にはフル代表での活躍も期待されている。彼らが出場機会を求めて移籍した強豪クラブでトップレベルの経験を積んだことが、同代表が準優勝という好成績を残せた一因だろう。

なぜ、これら強豪クラブは、母国で試合に出られるレベルにない若手ポルトガル人を獲得するのだろうか。そこには、彼らの実力を熟知し、将来性に期待を寄せる同郷監督の存在があった。この新潮流を生み出したのは、国外へ活躍の場を移したポルトガル人若手監督であると言っても過言ではないほどに、彼らが新潮流を主導する重要なファクターとなっている。

国外の若手ポルトガル人選手を語る際に度々メディアにその名が挙がるのは、バレンシアとモナコであろう。この2クラブは、若手ポルトガル人選手の獲得に特に躍起になっている。バレンシアのヌーノ・エスピリト・サントとモナコのレオナルド・ジャルディン両監督は、母国若手選手の能力に大いなる可能性を見出し、彼らにCL級の舞台を用意することで成長を促している。これらビッグクラブが若手ポルトガル人選手を重宝する陰には、同郷の若手を信頼してチームの勝利を託し、母国サッカー界の未来を憂うポルトガル人監督の姿があるのだ。今後は、バレンシアやモナコだけにとどまらず、ビトール・ペレイラが指揮するトルコのフェネルバフチェや、マルコ・シウバが監督就任したギリシアのオリンピアコスも新時代の波に乗っていくことだろう。(参考:筆者過去記事『「ポルトガル・ドリームチーム」を推し進める3クラブ』)

母国では公式戦経験を多く積むことができなかった若手ポルトガル人選手が、同郷監督のサポートのもとで、スペインやフランスなどの上位リーグやCL・ELといったヨーロッパ最高峰の舞台を体感できる新潮流は、外国人選手の寡占による国産若手選手の育成機会阻害というポルトガルサッカー界が抱える深刻な問題を解決し得る。この新たな風潮によって、国内の「ポルトガル人選手の空洞化」が加速するのは確かである。ポルトガルリーグのレベルを超越したスター選手だけでなく、将来リーグの中心選手となるべき若手選手までもが国外へ移籍するのだから当然であろう。しかし、この国内空洞化という確かなデメリットを凌駕するほどのメリットが、新潮流によって生み出されるのである。

これまでの伝統から、外国人選手によって寡占されたポルトガルリーグが抱える問題点は主に2つあった。まず、レギュラー争いに敗れた若手選手が飼い殺しされた、もしくは下位チームで低質な試合経験しか積めなかったゆえに、彼らの成長が阻害されたこと。そして、それに伴うポルトガル代表の弱小化と、コロンビアなどポルトガルリーグで選手の育成に成功した他国代表の強大化である。つまり、外国人選手の寡占により「ポルトガル代表の絶対的かつ相対的な弱体化」が引き起こされた。

しかし、近年の新潮流により代表の弱体化を食い止めることができるのだ。まず1点目に、国外CL級クラブへ移籍した若手選手が、国内で経験でき得た以上の高質な試合経験を積むことができること。2点目に、ポルトガルでは敗者の烙印を押された彼らが、実際にはビッグクラブの即戦力となれることを証明したことである。新潮流の1期生とも言える若手選手が、「埋め潰された」実力を世界に見せつけたことで、今後は2期生、3期生が後を追うことが予想される。すなわち、若手ポルトガル人選手の国外移籍の裾野が広がり、より多くの選手が高質な試合経験を積めるのである。U-21ポルトガル代表が証明したように、新潮流に乗る若手選手の成長が母国代表を強化することは言うまでもない。

今後、ポルトガルの強豪クラブは、若手を国外に売却した資金で外国人選手の買い漁りを加速させるだろう。その証拠に、レアルのカシージャスを電撃補強したポルトのような、これまでの外国人助っ人とは毛色の違う有名選手のポルトガル到来という「逆方向の新潮流」までもが生まれ始めている。ポルトガルリーグから国産選手が姿を消すことは、母国のサッカーファンを失望させ、サポーターのクラブへのロイヤリティを低下させるなど、新たな問題を引き起こす可能性は確かにある。しかし考え様によっては、このような逆方向の新潮流がポルトガルクラブを強大化させ、ヨーロッパの舞台でのプレゼンスを高めるというメリットもある。また、強力な外国人を抱えるポルトやベンフィカに、母国の若手選手を多く抱えるスポルティングやブラガといったクラブが挑む構図が極端化すれば、ポルトガル人若手選手は国内でも十二分に成長できる。

「新潮流」とそれに伴う「逆方向の新潮流」が生み出され、前者によってポルトガル人若手選手が成長し、代表が底上げされる。後者によってポルトガルクラブがヨーロッパのコンペティションで存在感を増す。またはスポルティングなどのクラブが彼らに対抗することで、国内で若手選手を強化できる。代表のエース、クリスティアーノ・ロナウドもすでに三十路を超え、彼にばかり頼ってはいられなくなった。その状況を憂うポルトガル人監督によって、偶然か必然か生み出されたこの新潮流こそが、ポルトガルの若手市場に大変革を与え、ポルトガルサッカー界が抱える重層な閉塞感を打ち破る鍵となるだろう。

CLポルト戦で決勝点のスリマニを元指揮官ジョルジ・ジェズスが大絶賛

『A BOLA』

レスターのホームで行われたCLグループステージ第2節ポルト戦で、25分にこの日唯一のゴールを挙げ、チームを勝利に導いたスリマニを、スポルティング時代の元指揮官ジョルジ・ジェズスが大絶賛した。

「スリマニはこれまでしてきたことをやっている。日々成長し、今後も成長し続ける選手だ。彼はポルト相手によく点を決めるね。私の教え子であり、彼のことを大いに気にいっているから満足だ。決してポルト相手に得点したからという訳ではない。彼が決める全てのゴールに私は満足する。今後もポルト相手に、そしてトッテナムやユナイテッド相手にもゴールを決め続けられると期待している。彼がゴールを決めれば決めるほど、私は嬉しいのだ」

同日、ホームでレギアに2-0で完勝したスポルティング。ジョルジ・ジェズス監督にとって、新戦力バス・ドストの活躍と同じくらい、元教え子スリマニに関する良いニュースは喜ばしいものだったことだろう。

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ベンフィカ監督ルイ・ビトーリアがアウェイ15連勝でクラブ記録に並ぶ!

『A BOLA』

土曜日のシャービス戦を2-0で勝利したベンフィカ。ルイ・ビトーリア率いるチームは、昨15-16シーズンから続くアウェイでの連勝記録を15に伸ばし、1971-72、1972-73シーズンにかけてジミー・ハーガン監督が達成したクラブ記録に43年ぶりに並んだ。

ルイ・ビトーリアは、新たに監督就任した昨季は解任騒動までもが巻き起こったが、後半戦に破竹の連勝で見事リーグ3連覇を達成。この後半戦に記録したアウェイ11連勝に、今季(16-17)はトンデーラ、ナシオナル、アロウカ、そしてシャービスに敵地で勝利し、連勝記録を15に伸ばした。

次の10月23日、ポルトガルリーグ第8節ベレネンセス戦を勝利で飾れば、アウェイ連勝記録を16に伸ばし、クラブ歴代記録を更新することに。果たして、ルイ・ビトーリアはこのまま好調を維持し、クラブの歴史となれるか。

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発音

「はじめに」の2大原則でお伝えした通り、ポルトガル語は基本的にローマ字読みの発音です。しかし、ポルトガル語は例外の多い言語。単にローマ字読みでは発音できないケースが多々あります。以下に、ブラジルのポルトガルとポルトガルのポルトガル語で異なる/共通する原則を掲載しますが、基礎中の基礎の紹介となりますので、発音に興味がある方は別途学習することをお勧めします。

ブラジル・ポルトガル語と異なる原則

原則1
ブラジル・ポルトガル語よりも口を閉じてローマ字読みをするイメージ。特に、アクセントのない母音は「ウ」に近い曖昧な発音
・Rio Ave
ブ)ヒオ・アーヴィ
ポ)ヒオ・アーブゥ
・fora de jogo (オフサイド)
ブ)フォーラ・ジ・ジョーゴ
ポ)フォーラ・ドゥ・ジョーゴ
・André Gomes
ブ)アンドレー・ゴーメス
ポ)アンドレー・ゴームシュ

原則2
語尾の「s」と「z」は「シュ」と発音
・André Villas Boas
ブ)アンドレー・ヴィラス・ボーアス
ポ)アンドレー・ヴィラシュ・ボーアシュ
・Fernando Santos
ブ)フェルナンド・サントス
ポ)フゥルナンド・サントゥシュ

原則3
「ti」は「ティ」、「di」は「ディ」と発音(ブラジルの場合はそれぞれ「チ」と「ヂ」)
・Cristiano Ronaldo
ブ)クリスチアーノ・ホナウド
ポ)クリスティアーノ・ホナウド
・Diogo Jota
ブ)ジーオゴ・ジョーッタ
ポ)ディーオゴ・ジョーッタ

ブラジル・ポルトガル語とも同じ原則

原則4
母音に挟まれた「s」は濁音化
・José Mourinho
ジョゼー・モゥリーニョ
・Jorge Jesus
ジョールジュ・ジェズシュ
・Paulo Sousa
パウロ・ソーウザ

原則5
語頭の「H」は発音しない
・Héctor Herrera
エークトル・エヘーラ

原則6
語尾の「l」は「ウ」の発音
・futebol
フトゥボウ
・professional
プロフェッシオナウ

原則7
子音の前の「l」も「ウ」の発音
・Marco Silva
マルコ・シウヴァ
・Bernardo Silva
ブルナルド・シウヴァ

原則8
語尾の「R」と語中の「rr」は喉に引っかかるハ行に近い発音(年配の方は巻き舌のラ行で発音することが多い)
・Rui Patrício
フイ・プァトリースィオ
・Rúben Néves
フーべン・ネービシュ
・Rafaël Guerreiro
ハーファエウ・ゲェヘイロ
うがいをするときように、喉の奥を鳴らすイメージでハ行を言うと近しい発音になります

原則9
「ç」は「サ」「ス」「ソ」の発音のみに存在
・Gonçalo Guedes
ゴンサロ・グェデシュ

原則10
「ch」はサ行で発音
・Renato Sanches
ヘナト・サンシェーシュ

原則11
語尾の「m」は「ン」の発音
・William Carvalho
ウィーリアン・クルバーリョ
・Leonardo Jardim
ルオナルド・ジャルディーン

原則12
「ã」「ão」「ãe」「õe」等は「鼻母音」といい、鼻から息を抜く発音
・Fábio Coentrão
ファービオ・コエントラォン
・João Moutinho
ジョアォン・モゥティーニョ
・Vitória Guimarães
ヴィトーリア・グィマラインシュ
なお、鼻母音の他に「á」「â」「í」「ú」「é」「ó」「ô」等アクセント記号存在します。ポルトガル語のアクセントは基本的に後ろから2番目の音節ですが、アクセント記号がある場合はそれに従い当該母音を強調します。(右上がりのアクセントは該当する母音を開いた口で、三角の帽子が付いたアクセントは閉じた口で発音するイメージ)

このように、ポルトガルのポルトガル語は「閉じた口で、曖昧なローマ字読み」を基本に、上記原則に従うことが美しい発音の一歩です。本「FP-Learning」では読解の基礎力向上を主要な目的としていますが、文字を追う際に心で呟きながら読むと、スピーキングやリスニングを習得する一助となるでしょう。

<推薦図書>

→日本で唯一といっても過言ではない「ポルトガルのポルトガル語」を扱う基礎文法書。付属のCDを使って、ポルトガル語最大の山場である単語の活用やポルトガルのポルトガル語特有の発音を耳で覚えられます。

→残念ながらポルトガルのポルトガル語に関する日常会話集は日本にはありません。こちらは英語の本ですが、CDをiPhoneに取り込めば通勤・通学中にポルトガル・ポルトガル語の日常会話を繰り返し覚えられます。

ユベントス、ベンフィカ期待の若手2選手を視察

『zerozero.pt』

ユベントスが、先日ルス・スタジアムで行われたベンフィカ対ブラガの一戦にスカウトを派遣し、ベンフィカの若手2選手を視察したようだ。

『Gazzetta dello Sport』によると、ユベントスが視察したのは、DFビクトル・リンデロフとMFアンドレ・オルタ。22歳のリンデロフはチェルシーやリバプールといったプレミアの強豪クラブに、ユベントスのライバルであるインテルら数々のメガクラブが関心を寄せるスウェーデン代表CB。19歳のアンドレ・オルタは、この日対戦したリカルド・オルタの実弟であり、U-21ポルトガル代表でもプレーする母国期待の若手MFである。

この日、両者はともにスタメン出場し、90分間プレー。ユベントスのスカウト陣に好印象を与えたようだ。RSBネウソン・セメードにインテル行きの噂が生じるなど、今季も、早くもメガクラブの草刈り場となりつつあるベンフィカ。1月の移籍市場では、これらクラブの未来を担う若手選手を失ってしまうのだろうか。

©FutePor -ふとぽる-

はじめに~「FP-Learning」開設にあたって

新たに開設した「FP-Learning」その名も「エフピー・ラーニング」。

本ページは、“ポルトガルの”ポルトガル語について基本的な文法事項を紹介し、皆様が『A BOLA』や『O JOGO』など現地サッカーメディアを、辞書を使いながら読解できるよう、そのお力添えになることを目的としています。

ブラジルW杯やリオ・オリンピックの影響もあり、日本でもポルトガル語の参考書は徐々に増えてきました。しかし、そのどれもが“ブラジルの”ポルトガル語に関するものばかりであり、“ポルトガルの”ポルトガル語を題材としたものはほとんどありません。もちろんブラジルのポルトガル語を習得すればポルトガルのポルトガル語もある程度は理解できますが、やはり、単語や文法の用法に見逃せない違いがあります。私もポルトガルのポルトガル語を勉強する際には、ブラジルのポルトガル語の単語集を購入し、それをポルトガルのポルトガル語に全部書き換えてから使用するという骨の折れる作業をしていました。今でも大きな書店に行く際には、たびたび語学書コーナーを訪れ、“ポルトガルの”ポルトガル語を扱った発展的な参考書が出版されていないかと、ついつい探してしまいます。

日本ではなかなか学べない“ポルトガルの”ポルトガル語。本ページでは、その基礎の基礎をご紹介します。スピーキングやライティング等は、単語力や経験が大きくものを言う世界になりどうしても習得に時間がかかってしまいます。しかし、リーディング力だけは、基礎的な文法事項を習得しさえすれば、あとは辞書で分からない単語を引きながら、比較的早くにある程度内容を理解できるようになると思っています。

ポルトガル語の習得は、「ある山」を越えさえすれば、見えるが景色がまったく違ってきます。「FP-Learning」とともにその山を乗り越え、現地のサッカーメディアを目で・肌で感じられる世界を目指しましょう!そのために、以下2大原則をしっかりと頭に入れてから臨んでください。

  • ポルトガル語は「基本的には」ローマ字読みで対応できる!
    • 本ページは「基礎的な読解力」の習得を最大の目的としていますので、発音に関しては多くを扱いません。”ポルトガルの“ポルトガル語は「基本的にはローマ字読み、最後の”S”は”シュ”と発音」でなんとなく感覚は掴めます。もし発音の習得に興味があれば、別途学習していただければと思います
  • 読解は「動詞の活用」ですべてが決まる!
    • 先ほど述べた「ある山」がこの動詞の活用です。ポルトガル語には、「現在形」「完了過去形」「未完了過去形」「現在未来形」「過去未来形」「接続法」、そしてそれぞれの「規則変化」と「不規則変化」…と恐ろしいほど多くの動詞の活用が存在します。これらを覚え、「この動詞は○○形だ!」と分別できるようになれば、辞書を使いながらある程度読解は可能ですが、逆に分別できないと原形が分からず辞書で調べることもままならないという悲劇に見舞われてしまいます。

ぜひ上記2点を頭に入れながら、美しきポルトガル語の世界に一歩足を踏み入れてみましょう!

日本発!ポルトガルサッカー総合情報サイト

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