FutePor のすべての投稿

【保存版】20-21季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

2019-20シーズンは、無類の勝負強さを発揮したセルジオ・コンセイサオン率いるポルトが、2シーズンぶりにリーグタイトルを奪還した。同シーズンも例年のごとく、ポルトとベンフィカの2強が王座を争ったが、その他にも、スポルティングを3位の座から引きずり下ろしたブラガや、昇格組ながら6位とリーグを席巻したファマリカオンなど、3強以外の躍進も目立つ1年となった。

2012-13シーズン以来、実に7季ぶりに「トレス・グランデス」の牙城が崩れた乱世を戦い終えた直後だが、来る2020-21シーズンは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、例年より短いオフシーズンに。チーム同士のコンペティションの観点からも、選手個々のコンディションの観点からも、前代未聞の過酷なシーズンを迎えることとなる。

今シーズンは、ポルトガルで初めてトップチームを率いる監督が5名、40歳以下の若手監督が6名と新世代の波も感じさせる。例年に増して、監督にとっては過酷なシーズンとなるポルトガル1部リーグについて、今年も毎年恒例、全18チームの監督人事をご紹介する。

1位:ポルト セルジオ・コンセイサオン (45歳)

セルジオ・コンセイサオン(続投)

Embed from Getty Images

CLでは予選敗退を喫するも、リーグ戦では重要な試合をしぶとく勝ち切る勝負強さを発揮。一昨季はベンフィカ相手にシーズンダブルを許し苦杯を舐めたが、昨季はベンフィカとスポルティングとの「オ・クラシコ」において、ホーム&アウェイで4戦4勝。2002-03シーズンのジョゼ・モウリーニョ監督期以来、ライバルとの直接対決に全勝し、文句なしの優勝を果たした。

昨季はオフシーズンに多くの主力が退団し、転換期となる1年であったが、監督のマネジメントが奏功し、戦力の上積みに成功した。新戦力では、GKアウグスティン・マルチェジンやCMFマテウス・ウリベらがボール保持・非保持の両面でチームに安定をもらたし、LWGルイス・ディアスが得意のドリブルやミドルシュートでチームの攻撃にアクセントを加えた。

特筆すべきは、ユース上がりの若手選手を多く抜擢し、彼らにトップレベルで戦える目処が立った点であろう。2019年に欧州ユースリーグを制した世代からは、8人もの選手がトップチームに定着。シーズン開幕時にトップ昇格が決定していたロマーリオ・バローやファビオ・シウバらに加えて、ビトール・フェレイラやファビオ・ビエイラら、シーズン終盤に次々と頭角を現したユース出身選手が、いずれも結果を残しチームに競争をもたらした。

<2019-20季ポルトAに定着したユースリーグ2019優勝メンバー>
■トマス・エステービス
■ディオゴ・レイテ
■ビトール・フェレイラ
■ロマーリオ・バロー
■ファビオ・ビエイラ
■ジョアン・マリオ
■ファビオ・シウバ

そのファビオ・シウバやビトール・フェレイラらクラブの未来を担う若手選手が、揃ってウルバーハンプトンに移籍するなど、今季はオフシーズンから財政悪化の影響が如実に表れた。それでも、新戦力として、CFのポジションでリーグベストイレブンに選ばれたイラン代表メフディ・タレミや、アンダー世代のポルトガル代表経験GKクラウディオ・ラモスら、国内の中位クラブで結果を残し、活躍に一定目処が立つ即戦力を補強することで、チームの競争力を維持した。

ベンフィカが近年稀に見る大型補強を敢行し、タイトル争いは例年以上に熾烈に。ポルトとしては、今季も若手や途中加入選手を戦力として育成しながら、リーグ連覇は最低条件、加えて昨季は本選出場が叶わなかったCLでも飛躍を期する1年となる。

日本人としては、加入1年目の昨季は、負傷や新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり厳しいシーズンとなった中島翔哉が、名誉挽回のシーズンにできるかにも注目したい。

2位:ベンフィカ ジョルジ・ジェズス (66歳)

ネウソン・ベリッシモ(今季:未定)
→ジョルジ・ジェズス(前:フラメンゴ)

Embed from Getty Images

一度狂った歯車は、再び噛み合わず。ポルトガルリーグ史にその名を残したブルーノ・ラージュの一時代が終焉した。

同監督は、2018-19シーズンにベンフィカBからトップチーム監督に就任すると、19試合で18勝1分と驚異的な成績で勝ち点を積み重ね、圧倒的優勢であったポルトから王座を奪還した。ナシオナル戦での10-0の大勝や、ジョアン・フェリックスの台頭など、ポルトガル国内のみならず欧州全土にその名を轟かせた1年を終え、2019-20シーズンは連覇が濃厚と目された2年目に臨んでいた。

シーズン序盤こそ前年度の勢いそのままに勝利を積み重ね、気がつけば、監督就任後シーズンを跨いだ最初の30試合において、勝ち点85と前人未到の記録を打ち立てていた。しかし、3節にホームで敗れていたポルトに再度土をつけられた20節、チームの潮目が一変する。ライバルに敗れた試合でアウェイ18試合無敗の記録が途絶え、その後、全13試合であげた勝利はわずかに2度。要塞ルス・スタジアムでの5試合連続勝ち星なしは、約90年ぶりの不名誉だった。

ベンフィカの失速を尻目にシーズン終盤にさらに勢いを増したポルトに引き離されんと、クラブは歴史的な記録を打ち立てたブルーノ・ラージュの解任を決断。アシスタントコーチのネウソン・ベリッシモを昇格させたが、リーグ優勝争いは最終節を待たずして終了。シーズンラストマッチとなったポルトガルカップ決勝でもポルトに敗れるなど、屈辱の無冠に終わった。

宿敵からのタイトル奪還。ルイス・フェリペ・ビエイラ会長の強烈な意気込みは、選手・監督人事に表れる。クラブに6シーズンで10つのタイトルをもたらしたレジェンド、ジョルジ・ジェズスの帰還である。フラメンゴでは、ブラジル全国選手権を初めて制覇した外国人監督となり、リベルタドーレス杯決勝では終了間際の2得点で大逆転しクラブに38年ぶりの南米制覇をもたらすなどタイトルをさらに積み重ね、満を持して古巣に舞い戻った。

勝利の味を誰よりも知る英雄の復帰。就任会見では「サポーターの皆さんに伝えたい。引退するためにここに来たのではない、勝つために来たのだ」と、その情熱は未だ衰えない。フロントの選手補強も近年例を見ない力の入れようで、ベルギー代表ヤン・フェルトンゲン、ブラジル代表エヴェルトン、ドイツ代表ヴァルトシュミットら3選手の同時加入発表は、メディアの度肝を抜く強烈なインパクトを残した。

ポルトとベンフィカ、ともに、昨季の主力メンバーに即戦力を加えてスカッドを強化し、欧州でも随一のチームを勝利の味を知り尽くす経験豊富な監督が率いる。両者のタイトルレースは、今年も熾烈を極めることだろう。

3位:ブラガ カルロス・カルバリャウ (54歳)

アルトゥール・ジョルジ(今季:ブラガU-23)
→カルロス・カルバリャウ(前:リオ・アベ)

Embed from Getty Images

リーグ3位という結果だけに目をやれば、最高のシーズンを送ったかのように見える。しかし実態は、近年稀に見る波乱万丈な1年だった。

2017-18シーズンにクラブレコードとなる勝ち点75を記録したアベル・フェレイラ(現PAOK監督)から監督の座を継いだリカルド・サー・ピントは、リーグ8位と低迷していた12月に解任。リーグ4位以上が常連である強豪クラブが、早くも上位争いから脱落したかに見えた。

しかし、Bチームから昇格させた34歳の若手監督がチームを劇的に蘇らせる。ベンフィカの名選手として名を馳せ、ポルトガル代表でもプレーしたルーベン・アモリンである。

同監督就任後は、リーグ戦9試合で8勝1分無敗。しかも、うち3試合はポルト・ベンフィカ・スポルティングの3強全てをなぎ倒す驚異の追い上げを見せ、一気にリーグ3位まで浮上した。リーグカップでも、決勝でポルトをシャットアウト。監督自身はポルトガルサッカー史上初めて、選手・監督両方の立場で同タイトルを獲得するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いでシーズン中盤のポルトガルリーグを席巻した。

流星の如く現れた未来の名将候補を3強が指を加えて見ているはずもなく、スターダムを一気に駆け上がったルーベン・アモリンは、わずか2ヶ月後、スポルティングに引き抜かれクラブを去った。救世主を失ったクラブはシーズン序盤のようにまたも低迷。ユース監督から抜擢されたクストーディオ・カストロは、就任後6戦3敗で早くも解任された。最終的には、アルトゥール・ジョルジ新監督のもと、何とかアモリンの遺産であるリーグ3位の座を、仇であるスポルティングの追い上げから守り切った。

ジェットコースターのようなシーズンを送ったブラガにとって、今季求められるのは、何といっても安定性。クラブが手堅く選んだ新指揮官は、昨季リオ・アベを5位に導いたカルロス・カルバリャウ。トルコのベジクタシュやイングランドのシェフィールド・ウェンズデイ、スウォンジーなど、国外での監督経験も豊富な名将だ。選手としてユース時代を過ごした愛する古巣に、監督としては2006-07シーズンぶりに復帰した。

ポルトで2度目のリーグタイトルを獲得したセルジオ・コンセイサオン、ベンフィカの英雄ジョルジ・ジェズス、そして、その実力はどのクラブよりもよく知るルーベン・アモリン。彼らが率いる3強に2シーズン連続で割って入るのは困難ではあるが、母国で再評価されつつある名将の手腕に期待がかかる。

4位:スポルティング ルーベン・アモリン (35歳)

ルーベン・アモリン(続投)

Embed from Getty Images

昨季は監督人事の迷走により自らの首を締め、7シーズンぶりに3強の座から崩れ落ちた。

2018-19シーズンに約10年ぶりとなる国内カップ2冠をクラブにもたらしたマルセル・カイザーを9月の時点で早々に解任。この悪手が名門の低迷を招く。暫定監督に据えたレオネル・ポンテスは、2分3敗と勝ち星を1つも挙げることなく、わずか5試合で解任。結果を残せる新監督を照会する時間は十分にあった中で、首脳陣はさらなる迷走に走る。

ジョルジ・シラスの招聘である。自クラブより格下のベレネンセスで、シーズン開幕から4試合を戦い0勝0ゴールで早々に解任されていた監督にチームの指揮を託したのだ。監督就任時点におけるポルトガルリーグでの通算勝率はわずか25%、そんな監督が名門クラブの救世主になり得るはずもなく、クラブは3月に3度目の監督交代を決断する。

時を同じくして、3位争いのライバルである
ブラガでは、ルーベン・アモリン新監督がポルトガルリーグを席巻していた。冬にブルーノ・フェルナンデスをマンチェスター・ユナイテッドに売却して5,500万ユーロを手にしたスポルティングは、藁にもすがる思いでこのビックサプライズをクラブ史上歴代2位(※選手含む)の高額違約金1,000万ユーロで強奪した。

ルーベン・アモリン監督就任後は、7月にポルトに敗れリーグタイトルを献上するまで、8試合で6勝2分無敗と立て直しに成功。監督自身がブラガ時代から続けたリーグ無敗記録は、17試合(14勝3分)でストップしたが、何とかリーグ4位で名門の面目は保った。

今季、ルーベン・アモリンはトップチーム監督として初めて、シーズン開幕から指揮を執ることに。昨季の躍進がフロックではないことを証明できるか。その先に、2001-02シーズン以来となる、クラブ念願のリーグタイトル奪還の夢が見えてくるだろう。

5位:リオ・アベ マリオ・シウバ (43歳)

カルロス・カルバリャウ(今季:ブラガ)
→マリオ・シウバ(前:アルメリア)

Embed from Getty Images

昨季最大のダークホースであるファマリカオンと、最終節までもつれたEL出場権争いを制し、リーグ5位に躍進したリオ・アベ。監督カルロス・カルバリャウはその手腕を評価され、強豪ブラガに引き抜かれた。

新たにクラブが招聘したのは、43歳のマリオ・シウバ。昨季は、監督交代の影響で一時トップチーム監督を務めたスペインのアルメリアで、主に下部組織のコーディネーターを担当した育成のスペシャリストだ。2018-19シーズンには、ポルトU-19を率いて欧州ユースリーグを制覇。その主要メンバーの多くが、昨季トップチームで一際輝いたことは前述の通りである。

マリオ・シウバは、ビトーリア・ギマラインスも今季の監督候補としてリストアップしていたという期待の青年監督。リオ・アベから世界に羽ばたいていったヌーノ・エスピリト・サント(現ウルバーハンプトン監督)やミゲウ・カルドーゾ(かつてナントやセルタを指揮)らに続けるか。キャリア初となるポルトガル1部リーグでの挑戦やいかに。

マンチェスター・シティよりレンタル加入した食野亮太郎の起用法にも注目だ。

6位:ファマリカオン ジョアン・ペドロ・ソウザ (49歳)

ジョアン・ペドロ・ソウザ(続投)

Embed from Getty Images

誰がこれほどまでの躍進を予想しただろうか。実に四半世紀、25年ぶりに1部へ復帰した弱小クラブが、トップリーグで6位と大健闘。3強とのアウェイ戦を3戦無敗で乗り切り、EL出場権獲得まで勝ち点1差に迫る、まさにファマリカオン旋風を巻き起こした。

台風の目の中心にいたのが、マルコ・シウバ(かつてエバートンやハル・シティを指揮)の右腕として暗躍したジョアン・ペドロ・ソウザだ。GKを含めた丁寧なビルドアップと、ピッチの幅・奥行きを広く使いゲームの主導権を握るスタイルで、格上から次々と大金星を挙げていった。

ファマリカオンにとって今季最大の補強は、このジョアン・ペドロ・ソウザ監督の残留だろう。ポルトガルのビッグクラブに引き抜かれても不思議ではないインパクトを残した昨季に続き、格上を恐れない強気なスタイルで、今季こそヨーロッパの舞台への挑戦権を目指す。

7位:ビトーリア・ギマラインス ティアゴ・メンデス (39歳)

イボ・ビエイラ(来季:アル・ワフダ)
→ティアゴ・メンデス(前:ポルトガルU-15代表コーチ)

Embed from Getty Images

上位進出を期して、イボ・ビエイラ監督の後任に招聘したのは、ポルトガル代表選手として2度のW杯を戦い、チェルシーやリヨン、ユベントスにアトレティコなど、数々の名門クラブを渡り歩いてきたポルトガルのレジェンド、ティアゴ・メンデス。選手引退後は、アトレティコの盟友ディエゴ・シメオネ監督のアシスタントコーチとして指導者のキャリアをスタートさせた39歳の若手指揮官が、ついにトップチーム監督に就任した。

ミゲル・ピント・リスボア会長は、ティアゴが持つ「強いパーソナリティ」と「リーダーシップの精神」を期待。昨季は選手として同世代のポルトガル代表を牽引したルーベン・アモリンが、監督としてブラガとスポルティングで並外れた結果を残しただけに、監督デビュー初年度であろうと大きな期待がかかる。

ポルトガル代表時代からの盟友で今季の10番を託したリカルド・クアレスマとのタッグにも要注目だ。

8位:モレイレンセ リカルド・ソアレス (45歳)

ビトール・カンペロス(今季:未定)
→リカルド・ソアレス(続投)

Embed from Getty Images

昨季は12月にビトール・カンペロス監督を解任。シーズン途中の監督就任ながら、リーグ8位と好成績を残したリカルド・ソアレス新監督が続投を勝ち取った。

9位:サンタ・クラーラ ダニエル・ラモス (49歳)

ジョアン・エンリケス(今季:未定)
→ダニエル・ラモス(前:ボアビスタ)

Embed from Getty Images

昇格初年度の2018-19シーズンにリーグ10位、2年目の昨季は1桁台となるリーグ9位と、弱小クラブにおいて2季連続で好成績を残したジョアン・エンリケスが勇退。

引き続き1部定着を目指すクラブは、昨季ボアビスタでピンチヒッターを務めたダニエル・ラモスを招聘。監督自身は、2部リーグ時代に自らの評価を高めるきっかけとなった古巣に、2016-17シーズンぶりに復帰することとなった。

10位:ジウ・ビセンテ ルイ・アウメイダ (50歳)

ビトール・オリベイラ(今季:未定)
→ルイ・アウメイダ(前:カーン)

Rui ALMEIDA, headcoach of Caen during the Ligue 2 match between Caen and Lens on September 21, 2019 in Caen, France. (Photo by Vincent Michel/Icon Sport via Getty Images)

「ポルトガルの昇格王」ビトール・オリベイラに率いられたチームは、3部からの特別昇格を果たした1年目に大躍進。特に、開幕戦では優勝候補ポルト相手に粘り強く守って2-1の大金星を挙げるサプライズを演じた。

自身のキャリアで11度も2部クラブを1部に昇格させた名将は「これまでのキャリアで最も難しいプロジェクトだった」と自ら振り返った残留を見事に成功させて勇退。クラブは新指揮官として、トロワやカーンなど主にフランスで監督を務めてきたルイ・アウメイダを招聘した。

50歳の同監督は、2012-15シーズンまでポルトガル屈指のベテラン監督ジェズアウド・フェレイラのアシスタントコーチとして、ギリシャやエジプトなどを渡り歩く。2015-16シーズンにフランスのレッドスターでトップチーム監督デビューを果たすと、その後、2018-19シーズンにはフランスのトロワを2部リーグ3位に導くが、昨季率いたカーンでは、わずか10試合で途中解任されていた。コーチとしてのキャリアは長いが、意外にも母国ポルトガルで監督を務めるのは初となる。

ビトール・オリベイラは、強固な守備ブロックを形成して、快速FWロウレンシーらにロングボールを放り込み、素早く敵陣に攻め込む弱者の割り切りスタイルで勝ち星を積み重ねたが、ルイ・アウメイダはトロワで成功体験を得たような、より中盤で主導権を握り、サイドからのクロスを中央で合わせる連動した得点スタイルで残留を目指すだろう。

東京ヴェルディから移籍した藤本寛也ら中盤の選手が、1部リーグの波いる強敵をどこまでいなし、確実なビルドアップをこなせるか。トップリーグ定着に向け、分岐点となるシーズンを迎える。

11位:マリティモ リト・ビディガル (51歳)

ジョゼ・ゴメス(今季:アルメリア)
→リト・ビディガル(前:ビトーリア・セトゥバル)

Embed from Getty Images

ヌーノ・マンタ・サントスのもと上位躍進を期したが、降格ラインに低迷し続けた同監督はシーズン途中に解任。ジョゼ・ゴメス新監督のもと、何とかリーグ中位まで立て直した。

クラブが新監督に選んだのは、昨季ボアビスタを途中解任されるも、その後途中就任したビトーリア・セトゥバルを、勝ち点上残留に導いたリト・ビディガル。中位〜下位クラブでの経験が豊富な監督と2年契約を締結した。同監督は、2015-16シーズンには、今や3部に沈むアロウカを1部5位に導いたものの、近年は1年を通して継続的にクラブを指揮できない状況が続いている。監督自身の名誉挽回を果たす上でも勝負の1年となる。

12位:ボアビスタ バスコ・セアブラ (36歳)

ダニエル・ラモス(今季:サンタ・クラーラ)
→バスコ・セアブラ(前:マフラ)

Embed from Getty Images

リト・ビディガルとダニエル・ラモス、2人の監督が指揮を執った昨季も、例年通りリーグ中位の立ち位置は変わらず。ポルトガル屈指の古豪が今季チームを託したのは、36歳の青年監督バスコ・セアブラだ。

同監督は、2016-17シーズンに33歳の若さでパソス・デ・フェレイラのアシスタントコーチから監督に昇格して注目を集めたが、その翌年に途中解任。1部リーグでの挑戦は高い壁に阻まれた。しかし、昨季はマフラを率いて2部リーグ4位及びポルトガルカップベスト16進出と大健闘。見事に名誉挽回を果たし、1部リーグの表舞台に返り咲いた。

古豪クラブ×新世代監督。新旧の融合で今年こそは上位進出を果たしたい。

13位:パソス・デ・フェレイラ ペパ (39歳)

ペパ(続投)

Embed from Getty Images

初のポルトガル1部挑戦となったクラブOBのフィローは、第4節を終え早々に解任。新監督として、2018-19シーズンにトンデーラを退任して以来フリーとなっていた国内屈指の若手監督ペパを招聘し、何とか1年での再降格は免れた。

クラブは1部定着を目指し、中小クラブでの実績が十分な同監督の続投を決断。3シーズンでクラブ歴代最高順位の11位に導いたトンデーラ時代のように、安定した長期政権を築きたい。

14位:トンデーラ パコ・アジェスタラン (57歳)

ナチョ・ゴンザレス(今季:未定)
→パコ・アジェスタラン(前:パチューカ)

Embed from Getty Images

クラブは最終節にようやく残留を決定させるなど下位に沈みながらも、ナチョ・ゴンザレス監督は開幕から一度も途中解任されずシーズンを走り切った7人の指揮官のうちの1人となった。
(※他6人は、セルジオ・コンセイサオン、カルロス・カルバリャウ、ジョアン・ペドロ・ソウザ、イボ・ビエイラ、ジョアン・エンリケス、ビトール・オリベイラ)

それでも、スペイン人監督は昨季限りでの退団を表明。クラブは、スペイン路線を継続し、新監督としてパコ・アジェスタランを招聘した。

57歳の同監督は、バレンシアやリバプールでラファ・ベニテス監督率いるテクニカルチームの一角を担った人物。ポルトガルでは、キケ・フローレスが指揮した2008-09のベンフィカでフィジカルコーチを務めていた。2018-19シーズンにメキシコのパチューカを率いて以来の現場復帰が、ポルトガルリーグでの初の監督経験となる。

今季ポルトガル1部リーグを戦う18チームのうち、外国人監督を据えるのはトンデーラのみ。リーグ唯一のスペイン人監督のもと、今季も残留を現実的な目標としてシーズンを走り切りたい。

15位:ベレネンセス プティ(43歳)

プティ(続投)

Embed from Getty Images

昨季はシーズン開幕から指揮を執ったジョルジ・シラスが、開幕4試合で0勝0ゴールと悲惨な成績を残して早々に監督交代。その後、ペドロ・ヒベイロを挟み、最終的には、プティ監督のもと辛うじて残留を果たした。

監督続投を勝ち取ったプティだが、近年率いたクラブでは、いずれも1-2年の短命政権で終わっている。首都リスボンの古豪復権を成し遂げ、自身も名ピンチヒッターの立ち位置から脱却したい。

17位:ポルティモネンセ パウロ・セルジオ (52歳)

パウロ・セルジオ(続投)

Embed from Getty Images

アントニオ・フォーリャとブルーノ・ロペス2人の指揮官を、降格圏低迷の責任を取らせてシーズン途中に交代。3人目の監督となったパウロ・セルジオのもと、一時は降格圏を脱するなど「奇跡の残留」目前に迫った。しかし、最終節に17位が確定し、2部リーグ降格が決定。勝ち点差わずか「1」に泣くこととなった。

それでも、ポルティモネンセに「奇跡の残留」が転がり込んだ。16位で勝ち点上は残留を決めていたビトーリア・セトゥバルが、プロライセンスの財務条件を満たさなかったことを理由にライセンス申請が却下され、3部相当のポルトガル選手権に降格。ポルティモネンセとしては、勝ち点上は降格しながらも、大逆転で1部に残留する幸運に恵まれる形となった。

前監督・前々監督時代には出場機会に恵まれなかった日本代表GK権田修一は、パウロ・セルジオのもとスタメンに定着し、リーグ戦後半における快進撃の主軸を担った。権田とは正反対に、前監督・前々監督時代には不動のレギュラーであった安西幸輝は、同監督就任後に出場機会を急激に減らしたが、リーグ終盤には再び定位置を確保するなど、信頼を取り戻しつつある。

パウロ・セルジオ監督就任2年目の今季は、日本代表2選手をどのように起用するのか。日本人にとっては、ポルトガルリーグにおける楽しみのひとつだろう。

2部1位:ナシオナル ルイス・フレイレ (34歳)

ルイス・フレイレ(続投)

Embed from Getty Images

1年での1部復帰を果たしたマデイラの雄。監督「ルイス・フレイレ」の名は覚えておいて損はないだろう。

現在34歳の若手監督は、ポルトガル次世代の「昇格王」として認知され始めている。「ポルトガルリーグの昇格王」といえば、自身のキャリアで11度の1部昇格を達成している66歳の老将ビトール・オリベイラが有名だ。一方で、ルイス・フレイレが2部から1部にチームを昇格させたのは昨季がキャリア初。彼が次代の昇格王と目される所以は、そのシンデレラ・ストーリーにある。同監督はこの8年間で6度のカテゴリーアップを経験。7部から1部へと一気にキャリアを駆け上ったのだ。

26歳で監督デビューを果たしたルイス・フレイレは、リスボンの地区リーグでエリセイレンセを7部→6部→5部へと2カテゴリー昇格させた。その後指揮を執ったペロ・ピニェイロでも、5部→4部→3部へとまたもや2カテゴリーの昇格を果たして、自身も3部相当のポルトガル選手権までステップアップ。直後の2017-18年には、32歳でマフラをポルトガル2部リーグに導いた。翌年監督就任したエストリルでは1部昇格に失敗したものの、その翌年となる昨季、ついにナシオナルとともにトップカテゴリーまで登り詰めた。

無名の青年がわずか8年で7部相当から1部まで登り詰めた秘訣は、彼が若き頃より磨き上げたその分析力にある。24歳の頃、後に指揮を執ることになるマフラで当時の監督フィリペ・モレイラにトレーニングの視察を直訴、分析レポートをまとめてその力を認められ、無報酬ながら分析官として暗躍したという逸話もある。トンデーラ時代に、ルイス・フレイレを自らの分析スタッフに据えたペパをして、「我々はワーカホリックだった。24時間フットボールのことを話せる、すぐに共感し合える仲だった」と絶大な信頼を寄せていたことがうかがえる。

ルイス・フレイレが研究対象としてきたチームは、ジョルジ・ジェズスのベンフィカやパウロ・ソウザのフィオレンティーナなど同国人監督が率いるチームの他、グアルディオラのバイエルン、サッリのナポリ、トゥヘルのドルトムントなど、欧州サッカーをリードした監督が率いるチームまで幅広い。ボール保持では3バック+2ボランチで数的優位を作り相手を引き寄せてはWBのアイソレーションを執拗に狙い、ボール非保持では4-1-4-1のブロックを形成しては、機を見てチーム全員が連動してハイプレスを仕掛けボールに襲いかかる。分析熱心な監督が丹念に整備したことが伺える戦術的練度で、2部優勝に値するチームを作り上げた。

このチームがトップカテゴリーでどこまで通用するか。類稀な洞察眼で夢の1部リーグ挑戦を掴んだルイス・フレイレ。今季のリーグ最年少監督が歩むシンデレラストーリーの行く末に注目だ。

2部2位:ファレンセ:セルジオ・ビエイラ (37歳)

セルジオ・ビエイラ(契約更新)

Embed from Getty Images

全日程終了前のシーズン中止がありつつも、クラブに18年ぶりの1部昇格をもたらしたセルジオ・ビエイラ。クラブはその功績を称え、37歳の若手監督と新たに3年契約を締結した。

昨季は同じ2部2位枠から25年ぶりに昇格を果たしたファマリカオンが6位と大躍進。まずは残留を目指すことが最優先だが、同クラブのような奇跡の再現も狙いたい。

食野亮太郎が移籍したリオ・アベってどんなクラブ?

マンチェスター・シティに所属する元ガンバ大阪FW食野亮太郎が、ポルトガル1部リオ・アベに移籍することが決定。契約期間は2年、買取りオプション付きのレンタル移籍となった。

食野の新天地となったリオ・アベは、2019-20シーズンにリーグ5位に輝いたポルトガルを代表するクラブの一角だ。今回は食野の移籍に際して、日本ではあまり知られていない同クラブの特徴についてご紹介する。

ポルト郊外に位置するポルトガル屈指の実力派

リオ・アベのホームスタジアム「エスタディオ・ドス・アルコス」は、ポルト区域内のメトロで北西に伸びるレッドラインの西端「ビラ・ド・コンデ」に位置する。ポルト中心部からは約1〜1.5時間で辿り着ける距離である。レッドラインは、FCポルトのホームスタジアム駅「エスタディオ・ド・ドラガオン」を終着点としてポルトを縦横断しているため、リオ・アベ⇄ポルトのそれぞれのスタジアムへのアクセスは、メトロ一本で可能となる。

リオ・アベは、昨季2019-20シーズンには、ポルトガルリーグで5位に輝き、見事プレーオフからのEL挑戦権を獲得した。ポルトガルリーグは、ポルト・ベンフィカ・スポルティング・ブラガの「4強」が頭ひとつふたつ飛び抜けているが、それ以外のクラブの中では、毎年コンスタントに躍進している実力派クラブの一角と言えよう。過去3シーズンを遡っても、2016-17シーズンには7位、2017-18シーズンは5位、そして2018-19シーズンは7位と、上位クラブとしてのポジションを確固たるものに。2013-14シーズンには、ポルトガル国内の2つのカップ戦で、ともに決勝まで進出している。

良い監督が良い選手を育てる好循環

リオ・アベをポルトガル国内屈指のチームとしているひとつの理由は、その「監督輩出力」にある。近年はリオ・アベから世界に羽ばたく優秀な監督が量産されており、彼らによって育成された選手も欧州の名門クラブにステップアップする好循環が生まれている。

前述した国内2つのカップ戦で決勝進出を果たしたのは、現ウルバーハンプトン監督ヌーノ・エスピリト・サントである。同監督は本シーズン後に、スペインの名門バレンシアへとステップアップ。敏腕代理人ジョルジ・メンデスの「最初の顧客」として知られる同氏だけに、メンデスが懇意にするバレンシアへの移籍は実力以上の力が働いたことが推察されるが、いずれにせよ、このポルトガルの中堅クラブから世界の舞台に羽ばたく前例を作った。

ヌーノ・エスピリト・サントの後を継いだペドロ・マルティンスは、リオ・アベで2シーズンにわたって指揮を執り、その後ビトーリア・ギマラインスを経て、現在はギリシャの名門オリンピアコスを指揮。2016-17シーズンに監督途中交代のピンチヒッターを務めたルイス・カストロは、ウクライナ王者シャフタールでリーグ優勝やCL出場を経験している。昨シーズンのリーグ5位と同等の躍進を遂げた2017-18シーズンにチームを指揮したミゲウ・カルドーゾは、リオ・アベでの1年を経て、その後スペインのセルタやフランスのナント、ギリシャのAEKの監督を歴任した。

昨季クラブを5位に導いたカルロス・カルバリャウも、例によって、ポルトガル4強の一角ブラガに引き抜かれる中、今2020-21シーズンに新監督に就任したのが、マリオ・シウバだ。同監督は、2018-19シーズンにポルトU-19を率いてUEFAユースリーグを優勝、クラブに同初タイトルをもたらした育成のスペシャリストとして知られている。同大会でプレーしたファビオ・シウバら7選手は、昨季ポルトのトップチームで多くがレギュラー格として躍動し、リーグタイトル奪還に貢献した。

リオ・アベから世界的スターに登り詰めた最高傑作は、元ポルトガル代表SBファビオ・コエントランだろう。育成組織出身のコエントランは、リオ・アベでの活躍が認められてベンフィカへとステップアップ。その後、銀河系軍団レアル・マドリードの一員となったことは周知の通りである。昨季も、37試合21ゴールと得点を量産してリーグのベストイレブンにも選出されたイラン代表FWメフディ・タレミが、今季からポルトへ移籍することが決定したばかりだ。

リオ・アベでは、食野のようにレンタルで獲得した選手をうまく登用・育成して、そのキャリアに花を咲かせる前例も多い。例えば、フランクフルト所属のゴンサロ・パシエンシアや、フィオレンティーナやモナコなどでプレーしたジウ・ディアスらも、これら欧州の強豪クラブへ移籍する以前はリオ・アベでプレーしていた過去を持つ。

今季も例年のように、マリオ・シウバのような欧州を代表する指揮官となり得るポテンシャルを持つ優秀な監督のもと、リオ・アベからビッグクラブへ巣立つ優秀な選手が現れることだろう。それが食野亮太郎であれば、日本人としてはこの上なく誇らしい。

ポルトガルリーグ2019-20季各種賞が発表。王者ポルトが総ナメ!

ポルトガルリーグ2019-20シーズンの各種賞が発表された。

各クラブの監督及びキャプテンが選出するリーグMVPには、ポルトのヘスス・コローナが選出。右サイドのウイングからサイドバックまでユーティリティ性を発揮したメキシコ代表FWが、現マンチェスター・ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスが2年連続で鎮座していた最優秀選手の座を引き継いだ。なお、ポルトからリーグMVPが選ばれるのは、2011年と2012年にフッキが2年連続で獲得して以来となった。

王者ポルトからは他にも、最優秀監督賞にセルジオ・コンセイサオン、最優秀ゴール賞にFWゼ・ルイス、ベストイレブンにGKマルチェシン、CBぺぺ、LSBアレックス・テレス、MFオタービオ・モンテイロ、RWGヘスス・コローナら計5名が選出されるなど、個人タイトルを総ナメする結果となった。

以下、ポルトガルリーグ2019-20各種賞

・最優秀選手賞
ヘスス・コローナ(ポルト)

・ベストイレブン
GK アグスティン・マルチェシン(ポルト)
RSB エスガイオ(ブラガ)
CB ぺぺ(ポルト)
CB ルーベン・ディアス(ベンフィカ)
LSB アレックス・テレス(ポルト)
MF オタービオ・モンテイロ(ポルト)
MF ピッツィ(ベンフィカ)
MF ペドロ・ゴンサウベス(ファマリカオン)
RWG ヘスス・コローナ(ポルト)
LWG パウリーニョ(ブラガ)
CF メフディ・タレミ(リオ・アベ)

・最優秀ゴール賞
ゼ・ルイス(ポルト)

・最優秀監督賞
セルジオ・コンセイサオン(ポルト)

・最優秀若手選手賞
ペドロ・ゴンサウベス(ファマリカオン)

©FutePor -ふとぽる-

「ブラガ史上最高監督」アベル・フェレイラ流、中小クラブを率いるサッカー哲学

『The Coaches’ Voice』

世界各国の監督を取り上げるメディア『The Coaches’ Voice』 が、2017-18シーズンにSCブラガの監督としてクラブレコードとなる勝ち点75を積み上げた若き名将アベル・フェレイラを特集。現在はギリシャのPAOKで初の海外挑戦に挑む41歳のポルトガル人監督のサッカー哲学に迫った。

(以下、同メディアが掲載したアベル・フェレイラ監督の言葉を意訳)

「Football Manager」というゲームを覚えていますか?

私の友達はバルセロナやレアル・マドリードといったチームを選んでいたものです。当然のように勝つことができて、何でも買えるようなチームです。

私は、その光景をどのように見ていたのかと言うと、「大きな挑戦というものは、それらのビッグチームにいる時ではなく、より少ないリソースでそれらのチームと競い合っている時のことを言うのだ」というものでした。

だから私は、いつもスモールチームを率いていました。私が実際に選手としてのキャリアをスタートさせたポルトガルのペナフィエルやブラガといった2部のチーム、または、トッテナムのようにタイトルを獲得したことがないチームです。

それでも、常に勝てると信じていました。

どのようにでしょうか?
同じことをやって?同じように攻撃をして?

いいえ、違います。

ナポレオンのような小さな男が、どうやってたくさんの敵を打ち負かしたのでしょうか?それは戦略です。策略なのです。

コーチとして「どのように?」「なぜ?」と問うことは重要なことです。私はここブラガでまず最初にそのことを学びました。ジェズアウド・フェレイラという監督からです。

(※ジェズアウド・フェレイラ:ポルト 、ベンフィカ、スポルティングの「3強」を率いた経歴を持つポルトガル屈指の名将。2006-09シーズンには、ポルトでリーグ3連覇を達成し、一時代を築いた)

彼は先生でした。

(ジェズアウドではない)他の人から教わったコーチが数名いましたが、彼らはこう叫ぶのです。「プレッシャーをかけろ!」と。でも、それはいつ、どのように、誰に、どこでかければいいのでしょうか?

ジェズアウドはいつも質問を投げかけていました。「どこに行こうとしているのだ?それはなぜだ?仮にここに他のアタッカーがいたとすると、君はどちらをマークする?それはなぜだ?」と。

このような会話をすることで、選手たちは初めて自分たちのタスクを知ることができるのです。

このアプローチは、本当に私のためになってくれました。今では、選手たちに教え・質問することが好きなコーチであると自分自身で思っています。ジェズアウドが私に教えてくれた「どのように?」「なぜ?」と問うことです。

彼と一緒に働いていた当時、私は24歳でした。その時すでに将来はコーチになりたいと考えていました。そして、その瞬間からスタートさせることがコーチになる方法であるとも分かっていました。コーチングについて理解を深めることで、自分自身もより良い選手になれるからです。

私は日記をつけていました。毎日トレーニングの後、家に帰ったらその日見たものを書き留めるのです。リーダーシップについて、戦略について、ミーティングについて、私自身が気に入ったことについて… 今でもそのノートを持っています。

31歳のときにスポルティングでプレーしていましたが、その当時も依然として勉強を続けていました。アカデミーダイレクターが私に尋ねてくれたことを覚えています。「今すぐにコーチとしてのキャリアを始めたくないか?」と。

私は答えました。「今ではありません。40歳までプレーしていたいです」

その1ヶ月後、膝に大怪我を負いました。

「運命」というものを信じる人もいれば、信じない人もいます。

その怪我は、スポルティングとの契約が終わりに近づいている時に起きたのです。スポルティングは、クラブで怪我の回復をし、また新たなチャンスを得られるような機会を提供してくれました。しかし、怪我は良くなりませんでした。

走るたびに膝が痛むのです。痛みは積み重なり、消えることはありません。

私は3度ドクターに相談しました。そして彼らは毎回、引退した方が良いと言うのです。もうプレーは続けられないことを受け入れたときは何日も泣きました。悲しみに暮れていました。怒りが湧き上がり、不公平とも感じました。

どうしてこんなことが起きようか?この年までただひとつの大怪我もなくやって来られたのに。それが今になってこんなことに…?

でも時に、扉が閉じても窓は開くことがあります。

私はスポルティングのジュニアチーム監督の手伝いを始めました。そして、彼がシニアチームへステップアップした際に、ポストに空きが出ました。クラブは、私がそのポジションを務め、コーチングコースを修了させることもできると言ってくれたのです。

これが私のストーリーの始まりです。ひどいアクシデントから始まったのです。

初年度、我々はジュニアリーグを制しました。さらに、UEFAユースリーグでは、リバプール・サウサンプトン・チェルシーと並び、ベスト4まで勝ち進みました。翌年、私はスポルティングBチームの監督に昇格し、リーグ6位まで導きました。

その年でした。ブルーノ・デ・カルバーリョがクラブの会長に就任したのは。誰だか分かりますね。

(※ブルーノ・デ・カルバーリョ:半独裁的な豪腕で知られた元スポルティング会長。2019年にスポルティングのソシオから除名され、会長職を解かれた)

シーズンが始まって1週間、彼は私をクビにしました。

Bチームに望むものって何でしょうか?普通の考え方では、選手をAチームでプレーできる状態にすることです。前シーズンを6位で終えることができただけでなく、カルロス・マネー、ジョアン・マリオ、エリック・ダイアーらをAチームに昇格させたのにです。

とにかく、(スポルティングでの経験は)これで終わりでした。また扉が閉まったのです。

その時は、すぐに別の窓が開き、ブラガに戻ることができました。ファーストチームを率いる前に、Bチームで3シーズンを過ごしました。

私の方法論は、古き良きスポルティングのスクールのそれに基づいています。なぜなら、私がコーチとして最初の一歩を踏み出したのがそこだからです。

しかし同時に、私はフットボールの未来も見ています。ペップ・グアルディオラやマウリシオ・ポチェッティーノなどの監督がどのように仕事をしているのかということです。

私にとって、フットボールの未来は「猫とネズミの追いかけっこ」です。すなわち、対戦相手のリアクションに応じて戦術的な変化を適用することです。

ヨーロッパリーグで、ホッフェンハイムとのアウェイゲームに臨みました。彼らは最初3-5-2のフォーメーションでしたが、途中で4-3-3、すなわち、3人のストライカーとセンターバックが前進した形に変化しました。そこで、我々は4-4-2でスタートしたフォーメーションを、彼らの変化に合わせて5-4-1に変えたのです。

我々は2-1の勝利を収めました。コーチとして、最も誇りに感じている試合です。

もし対戦相手が同じレベルであれば問題はありません。攻撃することは可能です。しかし、もし山のように巨大な相手を攻撃するのであれば、違った方法を取る必要があります。

ある試合では、ボールを支配してゲームの主導権を握りたいと考えても、時に対戦相手が自分より強いことを受け入れなければならないことがあります。その場合はバランスを取る必要があるのです。

マンチェスター・シティになりたくても、グアルディオラやベルナルド・シウバはいません。したがって、すべての試合において異なるアプローチが必要であることを理解できるほどに、謙虚でいなければなりません。私の考えでは、それが我々のチーム(ブラガ)の最大の秘訣です。

試合前、私は選手たちに3つの重要な考え方を与えます。それがすべてです。

それは、映画を見た後に誰かが「どのシーンが記憶に残っている?」と聞いてくるようなものです。

キスシーンかもしれないし、カップルが結婚したシーンかもしれない。でも出てくる答えは、せいぜい3つか4つでしょう。選手にとっても同じことが言えるのです。

ここで言えることは、「完ぺきな公式など存在しない。また完ぺきなゲームプランなど存在しない。ただ、あなたが信ずるもののみが存在する」ということです。

ある人は私の信じるものを好むかもしれません。しかし、ある人はグアルディオラのものかもしれないし、ディエゴ・シメオネのものかもしれない。重要なのは、選手に対して望んでいることを説明できること。それが優秀なコーチになるために必要なことです。

勝てる監督だけが優秀な監督であるという恥ずかしい考え方があります。勝てば良い監督、負ければ弱い監督、と。

私にとっては、それは嘘です。

試合のある週末は、その週にしてきたことがジャッジされる場です。その瞬間だけ、周りの人たちはチームがオーガナイズされているかどうか、ボールを上手く動かせているかどうかを判断できます。日曜日は、いわばテストのようなものです。

しかし、私が常々選手に伝えているのは、「自分たちの仕事に集中しよう」ということ。結果にばかり拘泥すればするほど不安になるものです。

テストに合格することばかりに気を取られる必要はありません。テストのために勉強することが必要なのです。きちんと勉強をすれば、心配することは何もないのです。

プロセスに気を配ること。そうすれば結果は付いてきます。

チームとしての野心についても同じです。自分たちがタイトル候補だと宣言して、自分自身や選手にプレッシャーをかけることは正しい行いではありません。

我々は対戦相手とは全く異なる武器を持っているのです。

自分たちの売上高が2000万ユーロで、ベンフィカが1億2000万ユーロのとき、(タイトルへの)期待感を生み出すことはできないのです。リソースが合っていません。

ベンフィカ、スポルティング、ポルトはクラブの歴史に対して義務があります。我々(ブラガ)はアウトサイダーです。

「私は世界で誰にも知られていないアベルです。私はタイトル候補です」そのようなことはブラガでは言えません。そんなことを言えば、人々は私をプレイボーイだと思うでしょう。謙虚さを示さなくてはなりませんし、それこそが、私が選手に伝えていることです。我々の唯一の義務は、毎日ベストを尽くすこと。結果についてさえも考えないこと。

「Football Manager」における私のチームのように、ここでタイトルを獲得するのは難しいでしょう。それでも、私は決して諦めませんでした。

そして今、我々の野心と夢はそこにあります。我々はその後を追います。

種が植えられました。それが実を成すかどうか、私にはまだ分かりません。

アベル・フェレイラ監督が語ったように、ブラガはポルトガルの3強の影に隠れた、いわばダークホース。それでも、同監督はクラブレコードの勝ち点を記録したこの年、ポルトガルリーグでは、3位スポルティングに勝ち点2差まで肉薄する好成績を残した。

「選手に自分の考えを端的に説明する、そのために選手に日々問いかけ、考えさせる」

「試合ごと、そしてその試合での対戦相手の状況ごとに、自らのチームが取るべき戦略を変化させる」

「チームの現実を謙虚に受け止めて、地に足をつけて日々地道にベストを尽くす」

「結果を見ずに過程を重視する」

「それでも、タイトルは諦めない」

タイトル候補ではないチームを率いながらポルトガル国内屈指の若手注目株となったアベル・フェレイラのフットボール哲学には、弱小チームにとってのヒントが散りばめられていた。

©FutePor -ふとぽる-

世界王者リバプール「今季最高の補強」。ベールに包まれたポルトガル人コーチに迫る

『maisfutebol』

リパプール監督ユルゲン・クロップの右腕ペパイン・ラインダースに誘われ、欧州王者の「elite player development」責任者に就任したビトール・マトス氏が、ポルトガルメディア『maisfutebol』のロングインタビューに応答。CL制覇に続き、2019-20シーズンのプレミアリーグも圧倒的な強さで蹂躙する最強チームにおいて、成功の鍵を握りながらも詳細な素性が明かされてこなかったブレインの人生に迫った。

-監督としてのキャリアについて話をする前に、あなたの幼少期について振り返らせてください。サッカーは何歳のときに始めたのですか?

24時間ずっとサッカーができるならそうしているような子どもでした。道端でも学校でも家でも、サッカーをどのような形であってもできる方法をいつも探していました。オフィシャルな形でサッカーを始めたのは13歳のとき。地元の「SCコインブロインス」でプレーし始めました。その日から一度たりともサッカーから離れたことはありません。

-何年間プレーしたのですか?

サッカーの育成年代は全て経験して、シニアの年代になったときに、監督をする機会が訪れました。面白いことに、多くのチームメイトを自分が指導したのです。

-いつ監督としてのキャリアを送りたいと思い始めたのですか?

私は常にサッカーに対して大きな情熱を注いできました。SCコインブロインスやCFバラダーレスといったチームでプレーヤーとしてサッカーと繋がっていたし、その少し後には、FCポルトの偉大なる瞬間に立ち会える幸運にも恵まれました。2002-03と2003-04のジョゼ・モウリーニョ監督期のFCポルトです。この2年間は、チームがどのようにプレーし、どのように構築されるのかという観点から、私の中で記憶に残っています。おそらくCLの前日と翌日の新聞をまだ持っていると思います。あれが私の好奇心を大いに刺激しました。ジョゼ・モウリーニョの足跡を追うだけでなく、その成功の背景を知りたいと思い、監督になりたいと考えるようになりました。だから、15歳のときにはもう自分の頭の中は決まっていたのです。シニア年代の初年度までプレーは続け、(ポルト大学の)スポーツ学部で学びました。その後、オランダに留学し、そして監督になる誘いを受けました。

-オランダに留学したのですね。

オランダには「エラスムス」の留学プログラムで行きました。当時は、アヤックスとその育成プロジェクト、そしてオランダのサッカーやトレーニングの文化について興味がありました。

-監督になる機会はどのようにして訪れたのですか?

FCバラダーレスで監督としてのキャリアをスタートさせました。おかしな話ですが、オランダに留学していたのに、もうクラブのプレシーズンが始まっていたのです。私が戻ってきたとき、監督が「選手の代わりにアシスタントコーチになりたいか」と尋ねてきました。私は、選手よりもアシスタントコーチとしての方が価値を出せると考えたので、疑いようなく正しい決断でした。翌年、クラブの会長がU-19チームの監督を務めるチャンスをくれました。21歳の私にとっては素晴らしい経験です。その年の終盤に、育成プロジェクトのためトロフェンセ(ポルトガル)に行く招待を受け、2年間をそこで過ごしました。

-その後に、FCポルトの名前が浮上します。どのように招待を受けたのですか?

私がFCポルトに入団したとき、育成プロジェクトの責任者はルイス・カストロ(現シャフタール監督)とビトール・フラーデ教授でした。教授が私に、ルイス・カストロとの面接の機会をくれたのです。なんともない普通の面接プロセスを経て、最終的な決定を待っていました。合格の知らせを受け取った日のことを、まるで今日のように覚えています。すごく意味深いものでした。

-FCポルトでは5シーズンを過ごされました。クラブ内ではどのような役割を果たしていたのですか?

私は、我々の経験や将来に向けた準備の仕方を信じています。その意味で、幸運にも、試合やトレーニングへの知識が豊富で、クラブの文化を重視していた監督たちとともに育成プロジェクトに参画できました。私のFCポルトでの最初の役割は、U-9チーム監督とU-13アシスタントコーチでした。私が初めて全国レベルの大会でアシスタントコーチを務めた監督が、アントニオ・フォーリャ(前SCポルティモネンセ監督)でした。その後、クラブ内で新たに作られた機能や、もっと貢献できる機能について構造的な革新があり、私は監督やアシスタントコーチ、オブザーバーなどを務めました。その経験のおかげで、育成プロセスの全課程や全部門、共通の目的に沿って各部門を関連づけるようなマクロな視点を持つことができたのです。

-その後、FCポルトを退団して、中国の山東魯能に行きましたね。なぜでしょうか?

中国行きの決断には2つの要因がありました。1つ目の要因として、中国ではより経済的に自立でき、より快適に家族との生活や計画を進めることができる状況だったこと。2つ目の要因としては、異なる文化への挑戦、そしてプロジェクトを共に進めたグループによる挑戦でした。

-中国ではどのような役割を果たしましたか?

U-9からU-13までのサイクルにおけるコーディネーターと、同時に、U-15およびU-16チームの監督を務めました。

-その経験をどのように評価しますか?

人間的な観点、また、専門的な観点からも、非常に豊かな経験でした。人間的な視点というのは、異なる文化を持つ人々への理解、我々にとっては重要なことでも彼らにとっては重要ではないことがあるということ。専門的な視点というのは、相対化すること、そして優先事項と付属事項を区別すること。小さな変化が、大きなインパクトを創造できることに気づかされました。

-なぜFCポルトに戻ったのですか?

FCポルトへの復帰は、自然な形で起こりました。私がクラブや組織全体と良い関係を築いていたためです。家に帰るようなものでした。中国では契約の最終年であり、更新しないことは決めていました。ルイ・バロス(現ポルトB監督)とクラブ組織からの招待を受け、彼のテクニカルチームに加わりました。

-FCポルトの育成組織で出会った最高のタレントは誰でしたか?

移籍シーズンが近づいていますので、他クラブについての質問には答えたくありません。誤解を招きたくないので。

-FCポルトに戻ってたった1年で、リパプールの名前が浮上します。それはどのように起こったのですか?

ユルゲン(クロップ)とペパイン(ラインダース)、そしてクラブは、テクニカルチームにおいて、アシスタントコーチとしての役割に加えて、アカデミーとトップチームを強く結び付けられる役割の必要性を感じていました。

-ペパイン・ラインダース氏が監督・コーチとしてあなたに与えた影響はどのようなものですか?

ある人に影響を与える最良の方法は、その人の心に触れることだと信じています。ペパインにはその才があります。彼は試合、トレーニング、そして我々一人ひとりに届く方法について、エネルギーと情熱を持っています。発生している問題について解決策を探すことに秀でており、ときに問題を予期することもあります。彼とまた仕事ができていることは、私にとっては誇りであり大きな喜びです。

-リパプールではどのような役割を果たしていますか?ユルゲン・クロップのアシスタントコーチを務めながら、U-23チームとジュニアチームの選手たちとも仕事をしていますね?

トップチームのアシスタントであることに加え、私の主な目的は、才能豊かな選手、つまり、エリート選手の育成を最大限に促すことです。選手の育成は様々な方法で行われていますが、最も重要なことは、どのように集合体・チームとして試合にアプローチし、どのようにアイデンティティや個人の成長を促すゲームアイディアを構築・開発するかを知ることです。その最たる例がトップチームです。要点を言えば、私の役割は、トップチームとアカデミーにある距離を縮め、U-18チームとU-23チームを、方法論のレベルで、または、我々が基本と考えているゲーム原則のレベルで、トップチームに近づけることです。そして同時に、弱点を再構造化し、細部に対して完璧主義であり、選手が持つクオリティを最大化する点において、選手”個々”についても配慮します。

-エリート選手の育成という仕事は、育成年代の選手に対してのみ行われるのですか?

エリート選手の育成は、トップチームに入る才能があるとクラブが信じている選手に対して適用されます。それは、シニア年代、レンタル移籍中の選手、アカデミーからトップチームへの移行フェーズにある選手などです。

-あなたがユルゲン・クロップに情報を提供し、それに基づいて、その若手選手がトップチームに加わるかどうかを監督が決めるのですか?

テクニカルチームの機能として、すべての決断は共有され、一緒に決定されます。ただ、最初と最後の言葉は、ユルゲンによって発せられます。この件については、私が才能のある選手の育成について責任のある役割を果たしているため、提案はいつも私から発せられます。

-クロップのように、率いるクラブの周囲に素晴らしい環境を作り出せる能力のある監督は少ないように思えます。

クラブ、街、そしてユルゲンの関係性は素晴らしいものです。完全なる共存と言えるでしょう。これは、ユルゲンの個性とカリスマ性、そしてクラブの神秘性と歴史を通じて自然に形成されたものだと思っています。間違いなく、彼は勝利・克服・ハードワーク・完璧主義の文化を築きましたが、それは彼の人となりや、彼が信ずるものと関係しています。

-ユルゲンは人を愛しています。彼は毎日どのように過ごしていますか?

(彼が人を愛することは)クラブでの日常からも感じられます。ユルゲンは、素晴らしく信じられないような人です。彼はたった5分間で、あなたを一緒に世界征服をするよう説得できるような人間です。その性格は、彼の計画にも、エクササイズにも、トレーニングにも、試合にも、講義にも、会話にも、どこにでも感じられます。我々一人ひとりにリーチし、最大限を要求することができるのです。

-何か驚いたことはありますか?

あなたは、彼のインタビューや記者会見、試合を見て彼のイメージを頭に作り上げていますが、ユルゲンはいつでもあなたを驚かすことができます。彼は多くの場合、枠の外で考え、多くの問題を予期できるような人です。

-ペパイン・ラインダースは、「ビトール・マトスはリパプールにとって今季最高の補強だ」と言いました。それを聞いてどう思いましたか?責任感が増しましたか?

いいえ。責任感は受け取った称賛とは無関係であるべきです。全く予期していなかったので、そのような言葉を聞けるのは素晴らしいのは明らかですが、称賛以上に私が追求しているのは、クラブが必要としているすべてに対して貢献し、ハードワークすることです。私は謙虚さ・忍耐力・ハードワークといったものの価値と原則を信じています。サッカーとははかないものであり、そこに残るのは私たちがどの側面にも持つ原則と価値です。ペパインは、そのプロフェショナリズム・情熱・完璧主義から、私にとっては大いなる刺激の源です。その刺激は、私個人として、家族として、そしてプロとして、素晴らしい助けになっています。それこそが、彼が驚くべきほど優れた人間であることを意味しています。

-では、リパプールについてより一般的な文脈での話をしましょう。プレミアリーグでは事実上他のチームはノーチャンスです。チームの成功のポイントは何でしょうか?

すべての始まりは、素晴らしい選手たちです。才能があり創造性のある選手たちが、試合はチームによるものであることを信じており、攻守両面において起こることに対して責任があることを理解しているのであれば、他のチームが注意しなければならないチームになります。クラブとしてより組織的に整備されるほど、ディテールの重要性を感じられる選手が増え、間違いなく彼らは、クラブが選手に対して日々持っている努力・プロフェショナリズム・献身を感じられるようになります。この結束と文化が、今季の成功に大きく関係しています。私たち全員が、週末だけでなく1週間を通じて試合に勝利した気分を感じています。チームの野心・メンタル・才能・そして創造性は素晴らしいものです。

-いまやリパプールは、単なるプレッシング(ゲーゲンプレッシング)と縦に速いだけのチームではありません。より汎用的で柔軟になりました。

それはいくつもの要因が関係しています。そのひとつが、我々のゲームアイディアに則って、選手の特徴を最大化できた方法です。この可変性は、チームが直面する様々な問題に対して、チーム全体で調整が効くように敏感に構築されていることに起因します。全てが、試合のリズムとスペースをどのように管理するかに関係しています。

-クロップがリバプールに来たとき、ララーナは「フィジカル的な要求は増えたが、その努力によって引き起こされた痛みは良いものだった」と言いました。どのように、才能ある選手がこのような姿勢を持つように説得しているのですか?

説得する以上に、要求するのです。我々は基本となるゲーム原則に基づくことを選手たちに要求しており、それがチームの流動性とインテンシティを保証しています。我々は組織のオーガナイゼーションと戦術文化を持たなくてはならないと信じており、ユルゲンはそれを彼の人生と情熱で満たしています。このバランスは基本的なものであり、両方があって機能します。もし確かなことへの情熱しかなければ、これほど規則的で一貫性のあるチームにはならないでしょう。

-リパプールは事実上プレミアリーグの王者です。クラブとして、また街として、Covid-19による中断をどう感じていますか?

我々全員の健康と国の福祉についてこれほどまでに深刻な状況では、率直に言って、他の感情が入り込む余地はありません。ただ、今まで我々が構築してきたすべての過程・プロセスには誇りを感じています。我々はサッカーが戻ってくることを知っていますし、そうなったときに、我々が中断期間前に終えた場所に戻れると信じています。アイデンティティと情熱をもってトレーニングし、試合に臨むでしょう。

-リーグが再開する日にちは未定です。リーグを終わらせることはできると思いますか?

リーグを終わらせるためのいくつものシナリオと解決策があります。その意味で、英国政府、プレミアリーグ、そしてクラブは最善の策を見出すために、常時ディスカッションをしています。現段階で我々がしなければならないことは、自分たちと他人の健康を維持するため、自分たちにできることに集中することです。現時点で最も重要なことです。

-10年後の自分はどこにいると思いますか?

自分が良いと思い、他の人たちも望むところにいるでしょう。我々がいま生きている瞬間は、全てを相対的に見て、私たちにとって最も重要なものの近くに常にいなければならないものです。私がいつも望んでいるものは、私にとっても、家族にとっても、そしてクラブにとっても意味があるものです。

-最後に、あなたが参考にしている監督は誰ですか?

ユルゲン・クロップです

32歳の若さですでに多くのコーチング経験を積み、世界王者リパプールのトップチームとアカデミーを繋ぐ重役を任せられたビトール・マトス。CLを制した翌年、プレミアリーグを敵なしで突き進む最強チームの裏方には、FCポルト時代の同僚であり、ユルゲン・クロップの右腕とも言われるラインダースに「今季最高の補強」と称されたキーマンの存在があった。

©FutePor -ふとぽる-