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ポルトっていまどんな感じ?中島翔哉は活躍できるの?ポルティスタの私が気になる疑問に答えます。

私とポルトとの出会いは、若きジョゼ・モウリーニョが、アレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドと戦ったあの伝説の一戦です。ポルトが勝ち越しゴールを決めた瞬間、モウリーニョが我を忘れてタッチラインを爆走したあのビクトリーラン。生では見ていなかったのですが、何かの映像で記憶しており、それがいまのポルトガルへの情熱に至ります。

本格的に試合を見出したのがポルトガルに留学していた2013-14シーズン。それからは帰国後も、定期的にポルトの試合はフォローしています。ポルトに1年間住んでいた頃には、クラブのソシオになり、ドラガオン・スタジアムの徒歩圏内に住み、毎週スタジアムに足を運んでいたものです。なので、日本人の中では、まあまあポルトについて詳しい方なのではないかと自負しております。

そんな愛するポルトに、この度日本人が加わりました。ポルティモネンセで大ブレイクし、なぜか一度カタールを挟んでポルトガルに戻ってきた中島翔哉くんです。もちろん日本人の加入はポルティスタの私にとっても歴史的な大事件で喜ばしいことなのですが、一方で、日本人選手がこのビッグクラブで通用するのかという心配も当然感じるところです。

この記事を読んでくださっている皆様は、日本代表、中島翔哉、ポルト、このどれかに少なからず興味がある方々かと思います。だからこそ、同じような疑問を抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

果たしていまのポルトはどんな感じなのか、その中で中島翔哉は活躍できるのか、ポルトを長らく追っているものとして、少し考えてみたいと思います。

ポルトの現在地

まずいまのポルトはどんな感じなのか。一言で言えば「いちサイクルが終わり迎える転換期」でしょう。

昨年はリーグ2位に甘んじましたが、CLでは優勝したリバプールに敗れることになるベスト8まで進みました。正直、グループステージ敗退やベスト16敗退が多いポルトガル勢にとっては大健闘です。その前年には、5年ぶりにリーグ優勝を果たしました。いまもチームを率いるセルジオ・コンセイサオン監督は、モウリーニョが保持していたクラブ歴代最多勝ち点記録を塗り替えました。つまり、クラブ史上最も勝ち点を稼いだ、歴代で最も勝負強いチームだったのです。あのフッキやファルカオ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョらがアンドレ・ビラス・ボアス監督のもとEL含む4冠を達成した2010-11以来でしょう、これほど強いポルトを見たのは。

そんな黄金世代が、今年大解体されてしまいました。GKイケル・カシージャスは心筋梗塞の影響で現役続行が不透明な状況。守備の要であった2人のブラジル人、エデル・ミリタオンはレアル、フェリプはアトレティコの、それぞれ隣国の首都クラブに引き抜かれ、そこにキャプテンであるエクトル・エレーラもついていく始末。絶対的チャンスメーカーのヤシン・ブライミについては、毎年引き抜かれる詐欺に遭い、ついに契約満了で詐欺が真に。アフリカネーションズカップで怪我をしていまは無所属ですが、ポルトにはもう戻りません。彼らはまさにこのコンセイサオン時代を彩った黄金の主軸メンバー。当然、彼らの退団がチームにとって大打撃であることは言うまでもありません。

そんな状況下でポルトに加入したのが、日本代表の中島翔哉くんというわけです。ブライミの後継者と期待され、同じ背番号8番を託されました。そして、念には念を、ポルトは同ポジションにコロンビア代表ルイス・ディアスも補強して、熾烈なレギュラー争いが起こる環境を意図的に作り出しました。また、ミリタオンが務めた右SBには、こちらも代表選手アルゼンチン人のレンゾ・サラビアを獲得。多くの主軸が抜けた穴を、彼らよりも将来性豊かな若き代表選手で補い、走り出したのが今シーズン、という状況です。

中島翔哉の可能性

当然、中島翔哉くんには、ブライミのように左サイドをドリブルで八つ裂きにし、前線に控える屈強な味方FWのゴールをお膳立て、自らも相手ゴールを脅かし、時には相手のカウンターアタックを猛追して汗を掻く、ゴール前に敷くブロックの一員になる、そんな役割が期待されるはずです。そう、特に守備面はポルティモネンセ時代とは全く違う役割を。

今季もセルジオ・コンセイサオン監督は4-4-2と4-3-3を併用して長いシーズンを戦うことでしょう。下記が個人的に予想する新シーズンのスタメンです。

<予想スタメン>
(斜線で選手を区切ったポジションは、現状同率想定でレギュラーの予測は困難)

4-4-2
GK バナー
RSB レンゾ・サラビア
CB ぺぺ
CB ディオゴ・レイテ/イバン・マルカーノ
LSB アレックス・テレス
CMF ダニーロ・ペレイラ
CMF オリベル・トーレス/セルジオ・オリベイラ
RMF ヘスス・コローナ
LMF オタービオ・モンテイロ/中島翔哉/ルイス・ディアス
CF チキーニョ・ソアレス
CF バンサン・アブバカル/ゼ・ルイス

4-3-3
GK バナー
RSB レンゾ・サラビア
CB ぺぺ
CB ディオゴ・レイテ/イバン・マルカーノ
LSB アレックス・テレス
DMF ダニーロ・ペレイラ
CMF オリベル・トーレス
CMF オタービオ・モンテイロ
RWG ヘスス・コローナ
LWG 中島翔哉/ルイス・ディアス
CF バンサン・アブバカル/チキーニョ・ソアレス

※なお、イケル・カシージャスは現役引退が有力視、ムサ・マレガはプレミアリーグ移籍が有力視されているため、上記には含んでいません。

おそらくGKがバナーでは壊滅するため、何としてもカシージャスの後釜は移籍ウィンドウ閉幕までに補強するはずです。
そして、どちらのシステムでも変わらない4バックは、おそらくこれが有力。ローマから復帰したマルカーノに、若手ディオゴ・レイテがどこまで食らいつけるか。

肝心なのは、4-4-2と4-3-3のMFの構成、もっと言うと、現在ポルトの左サイドアタッカーで最も序列の高いオタービオが、ウインガーとして使われるか、インサイドハーフとして使われるか。それによって、中島翔哉くんのスタメン争いの熾烈度が大きく変わってくるでしょう。

オタービオは非常に器用な選手です。昨季も2トップ採用時には、ヤシン・ブライミを差し置いてLMFのスタメンを張ることも多く、3トップ採用時には、インサイドハーフに据えられて、LWGにブライミまたはムサ・マレガを置く攻撃布陣のオプションも作り出せる、1家に1台欲しいキープレイヤーです。

コンセイサオンは対戦相手に応じてシステムを使い分けます。中島翔哉くんは、4-4-2の場合はオタービオと新加入コロンビア代表の若手FWルイス・ディアスの3人でLMFのポジションを争い、4-3-3の場合はディアスとLWGをめぐり一騎打ちといったところでしょうか。なお、もしムサ・マレガが残留した場合、本来ワントップの彼をLWGに据える荒技もオプションとしては残ります。

このように、ポジション争いとしては、基本的にはコロンビア代表の新加入ルイス・ディアスとの競争がベースにあり、そこにチームの要オタービオがどこまで関わってくるか、というのが概観かと思います。果たして、中島翔哉くんはそんなポルトの中で活躍することができるのでしょうか。

結論としては「攻撃は周りを使う判断をよく、守備は味方との連動。チームのいちピースとして約束事を守れば、十分に試合に使われ、あの個性があれば活躍できる」でしょう。

サッカーダイジェストさんにこんな記事が載っていました。セルジオ・コンセイサオンは中島翔哉にとって「決して相性がいい監督とは言えないかもしれない」とのことです。その理由として「規律とハードワーク」を「ことさら要求」する、オリベル・トーレスのように「守備に貢献できない選手は評価されない」と述べられています。

「決して相性がいい監督とは言えないかもしれない」とは、いろんな炎上リスクを想定して相当マイルドにした表現になっていますが、結局明確な立場をとるなら「守備ができない選手は使わない監督であり、中島翔哉は守備できないから相性悪いよ」ってことなのでしょう。まあ総論間違ってはいないのですが、ざくっと「守備ができないから相性悪い」と言ってしまうことには正直違和感があります。
(そもそも、本職がトップ下のオリベルがセントラルハーフの守備をできないことと、サイドアタッカーがサイドアタッカーの守備ができないことも、前提が違いすぎて一律に比較できないです)

たしかにセルジオ・コンセイサオン監督は、守備ができない選手は使いません。しかしそれは「ことさら要求」しているわけでもなんでもなく、一般的なヨーロッパの監督が求めるそれです。コンセイサオンの守備の要求に応えられない選手は、ヨーロッパのどの中規模以上のクラブに行っても活躍できないのではないかと思います。まず明確に示しておきたいのは、「コンセイサオンが求める守備とは、ヨーロッパで求められる一般基準の守備である」ことです。相手との関係性から適切に判断されたポジショニング、味方と連動してはめる誘導、前進・後退の判断、1対1で奪い切る能力、などなどであり、このようなヨーロッパで活躍するには一般的に備えてなくてはならない守備の最低基準を、コンセイサオンも全選手に求めているというだけです。つまり、何も特別な守備力が求められているわけではなく、中島翔哉くんとの「相性」でも何もないわけです。

なんなら、攻撃の観点から言えば、かなり相性の良い監督です。コンセイサオン率いるポルトにおいて、戦術兵器となっているのは左SBのアレックス・テレスです。3トップだろうと2トップだろうと、彼が大外レーンを陣取り、左サイドのアタッカーを追い越して高精度クロスを上げ、それにムサ・マレガやチキーニョ・ソアレスら空中戦最強の肉弾兵が合わせる形は、ポルトの黄金パターンです。

加えて、4-4-2を採用する際には、ポルトのFW陣は前線で構えたいタイプが多く、1列目と3列目には広大なスペースが空きがち。昨年まではここをエクトル・エレーラが圧倒的な運動量で埋めていましたが、今季代わりとなるオリベル・トーレスにはそこまでの機動力は見込めません。

大外はアレックス・テレスが配置する、1列目と3列目の空間が開く。この2つの条件が揃うとどうなるか。中島翔哉くんの大好物なカットインができるスペースが空きます。彼は現状では、このようなシーンにおいて、カットインをして強引にシュートまで持ち込む傾向にありますが、アレックス・テレスを有効に使う・使わないの判断を適切にして相手を混乱させ、自らのプレー選択の幅を広げる判断が磨かれると、コンセイサオンが彼を使わざるを得ないくらいの得点貢献はできるはずです。

このように、攻撃面では彼の価値が出しやすいチームの全体設計になっています。ただし、カウンターを受けるリスクやアレックス・テレスに預けたときの攻撃の破壊力を考慮したうえで、中島翔哉くんがベストな選択肢を判断・実際に体現できるか。ここだけは攻撃面においても懸念点ではあります。ベタ引きでカウンター一本を狙ってくるチームが多いポルトガルリーグでは特に。

一方の守備。これはコンセイサオン監督との相性どうこうではなく、ポルトの守備戦術を構成する一員として、いち監督から求められる連動ができるかどうかのみです。そして、ポルティモネンセ時代には攻め残り要員としてある種免除されていた守備を、ポルトに来ていきなりできるのかという部分は正直心配です。

ここで大まかなポルトの守備原則をおさらいしましょう。昨季、CLリバプール戦を前に下記のコラムを書かせていただきました。そこに書いたのは、主に下記の守備原則です。

・アタッキングサードでは、FWとWG/SMFが相手ディフェンスラインにプレッシャーをかけて、ロングボールを蹴らせて回収する
・ミドルサードを突破されディフェンシブサードに侵入されると、撤退して守備ブロックを形成する

WGもしくはSMFを任されるであろう中島翔哉くんには、このような相手をはめるポジショニングや前進・撤退の判断を、90分間を通じて、相手選手を見ながら味方と連動して体現し続けないといけません。加えて、前述の通り、彼の後ろにつけるアレックス・テレスは攻撃に持ち味のある選手です。(ポルトガルリーグのアシストランキングで上位常連) 当然、強豪ポルトに一矢報いようとする、または宿命のライバルの撃退に燃えるその他全17チームは、ここをカウンターの起点と利用することは言うまでもありません。カウンターに備えバランスを考慮したポジションを取り、実際にカウンターを食らった際には、自分がどんなに攻め疲れていようと、猛烈に守備に戻らないといけません。上記ができない選手を、セルジオ・コンセイサオンは「使わない」というわけです。

徒然と書きすぎたのでここでまとめます。

攻撃時には、1列目と3列目のスペースにカットインで侵入した際、周囲を使う判断を含む最良のプレー選択。(ちなみに、ポルトファンはボールを持ちすぎてカウンターをくらう選手には、Passa a bola, caralho! (パス出せよクソ野郎!)と容赦ないです。あのリカルド・クアレスマもよく罵られていました)
そして守備時には、チームの守備戦術に連動した判断とポジショニングを90分間体現し続ける能力と、カウンターに備えるバランス。

不思議ですね。中島翔哉くんに足りない能力が、ポルトではちょうど求められます。弱点を克服できるかできないか、簡単に言ってしまえば、それこそが彼がポルトで試合に出場し続け、活躍できる条件であると考えます。

彼はよく言います。「サッカーを楽しむ」と。彼の中で楽しむとはどういう定義なのかは推し量れませんが、私個人の考えでは「弱点を認識して克服するプロセスを経て選手として一段上のステージに登り、世界でもトップレベルのタレントが揃うポルトというメガクラブにおいて、チームの一員として活躍する」こと。これを体現することが「サッカーを楽しむ」ということなのではないでしょうか。ぜひ、彼が言う「楽しむ」とはこのことであることを願い、ポルトに迎え入れられた初の日本人を、同じ日本人としてその活躍に期待したいと思います。

プレースキックの名手!名古屋グランパスが獲得したリオ・アベMFジョアン・シミッチについてご紹介

名古屋グランパスが、アトランタからポルトガル1部リオ・アベにレンタルされていたブラジル人MFジョアン・シミッチを完全移籍で獲得したことを発表した。

現在25歳のジョアン・シミッチは、183センチの長身セントラルMF。名前の表記は「João Schimidt」であり、「ジョアン・シュミット」と読むのが自然のように見えるが、あくまでもポルトガル語発音に則り、登録名は「ジョアン・シミッチ」となった。

シミッチはユース年代よりブラジルの名門サンパウロでプレーし、2015年にはポルトガル1部ビトーリア・セトゥバルにレンタルされた。かつてのポルトの英雄ドミンゴス・パシエンシア監督率いるチームの中心選手として公式戦34試合に出場し、8ゴールを記録するなど確かな実績を残した。その後、サンパウロ復帰、アトランタ移籍を経て、2018-19シーズンよりレンタルでリオ・アベに加入した。

リオ・アベでも中盤に欠かせない主軸として、リーグでは序盤戦を除いてほぼフル稼動。17試合に出場して3ゴールを記録していた。

この3ゴールはいずれもセットプレーによるものであり、うち2ゴールはPKでの得点。残りの1ゴールは、ポルトガル3強の一角スポルティング相手に一矢報いた、中距離の直接FK弾であった。名古屋グランパスでは、PKこそジョーにキッカーを譲るかもしれないが、FKでは、短距離のガブリエル・シャビエル、中長距離のジョアン・シミッチという役割分担も期待でき、彼らのプレースキックは対戦相手にとって脅威になることは間違いない。

◆リオ・アベではPKキッカーとして、リーグ戦で2ゴール

◆スポルティングとの一戦では美しい中距離FKを決める

左足から長短のパスを織り交ぜチームにリズムをもたらし、機を見ては前線に上がりミドルシュートや味方とのワンツーでゴールを脅かす。名古屋で例えるなら、利き足・背格好で似ているエドゥアルド・ネットを、より可動範囲を広くシュート精度を向上させ、何より「論理的に」したプレースタイルと言えよう。

試合中にストレスを溜めやすく、時に糸が切れたようなプレーをしてしまうのも、実によく似ている。ちなみに、シミッチにとってポルトガルでのラストマッチとなったトンデーラ戦では、試合終了後ロッカールームに引き上げる際にお口が悪すぎたとして一発レッドをもらっている。これがシミッチのポルトガルでの最後の姿となった。

◆ビルドアップに優れるが、時に自陣深くでボールを失い、チームにピンチをもたらすことも

いずれにせよ、ブラジルの名門で育ち、2度のポルトガル1部リーグへの挑戦でも、主軸としてプレーするどころかゴールを積み重ねるなど、その実力に疑いの余地はない。JリーグではトップクラスのMFであるエドゥアルド・ネットと高次元のスタメン争いを繰り広げてくれることだろう。

名古屋グランパスMF深堀隼平が移籍したビトーリア・ギマラインスってどんなクラブ?

名古屋グランパスMF深堀隼平が、ポルトガルの名門ビトーリア・ギマラインスのBチームに移籍することが決定した。

一部のポルトガルメディアでは、1年半の期限付き移籍とも報じられていたが、名古屋グランパス公式によると、レンタル期限は2019年7月31日までの約半年。ポルトガル1部に所属する名門クラブのBチームの一員として、まずはポルトガル2部リーグを戦うこととなった。

ポルト、ベンフィカ、スポルティング、近年だとブラガのような「ポルトガルの4強」ともいえるクラブと比較して、このビトーリア・ギマラインスの知名度は日本では圧倒的に低い。深堀の新天地は一体どのようなクラブなのか。基本情報に加え、その特徴を2つご紹介したい。

基本情報

ビトーリア・ギマラインスの正式名称は、「Vitória Sport Clube」。論展開の分かりやすさを重視するため、不恰好は承知で日本語的に表記するなら「ビクトリーSC」だ。

実はポルトガル1部にはもう1つ「ビクトリー」の名を冠するクラブが存在する。それが、かのジョゼ・モウリーニョの生まれ故郷「セトゥバル」に拠点を置く「Vitória Futebol Clube」である。

両者をポルトガル語で略すと「Vitória SC」と「Vitória FC」。違いは単に、前者が総合スポーツクラブであり、後者がサッカークラブであるというだけなのだが、これではあまりにややこしい。

そのため、前者「Vitória SC」を「Vitória de Guimarães」、つまり「ギマラインスに拠点を置く方のビクトリークラブ」を意味する【ビトーリア・ギマラインス】、後者「Vitória FC」を「Vitória de Setúbal」、つまり「セトゥバルに拠点を置く方のビクトリークラブ」を意味する【ビトーリア・セトゥバル】と呼び分けることが一般的である。

ビトーリア・ギマラインス
Vitória SC=Vitória Sport Club
→区別のため、Vitória de Guimarães

ビトーリア・セトゥバル
Vitória FC=Vitória Futebol Clube
→区別のため、Vitória de Setúbal

そして、今回深堀が移籍したのが、Vitória SC、つまり、サッカー以外のスポーツチームも抱える国内の名門「ビトーリア・ギマラインス」というわけである。

ここまでが基礎情報となる。それではビトーリア・ギマランイスの2つの特徴についてご紹介したい。

ポルトガルTier2の代表格。安西海斗が移籍したブラガとのミーニョ・ダービーは激アツ!

ポルトガルリーグの覇権を争うのは、紛れもなくポルト、ベンフィカ、スポルティングの「Três Grandes」すなわち「3強」であろう。ポルトガルの伝統的な分類に従うのであれば、この3強という切り方は正しい。しかし近年の戦績から、20年近くに渡りリーグタイトルを独占しているポルトおよびベンフィカの力が突出していることから「2強」、もしくは、スポルティングおよびブラガを加えた5位以下とは実力差がかけ離れている4チームを「4強」とする括りが現実的になっている。この4クラブが、ポルトガルリーグの頂点に立つTier1層であることに異論はないだろう。

当然、世界でもその名が知れ渡っているのはこれらTier1クラブであるが、ポルトガルには他にも有力な名門クラブは多く存在する。4強と比べてシーズンごとの浮き沈みは激しいものの、常に順位表の上位にランクインするポルトガルを代表するクラブの一角である。

17-18シーズンにはミゲウ・カルドーゾ監督に率いられ5位に大躍進を遂げた「リオ・アベ」は、近年常に上位に名を連ねる。「マリティモ」はマデイラ島のホームスタジアムで3強相手に度々番狂わせを演じて優勝争いを混沌に陥れ、3強以外でポルトガルリーグ優勝経験のある2クラブである「ベレネンセス」や「ボアビスタ」も、近年はかつての強さを取り戻そうとしている。

これらTier2クラブの中で突出しているのが、ビトーリア・ギマラインスだ。16-17シーズンには4強の一角ブラガを陥落させ、リーグ4位と大善戦。ポルトガルの3大タイトルのひとつポルトガルカップでは、2012-13シーズンに見事優勝に輝き、2016-17シーズンは惜しくもベンフィカに敗れたが準優勝の栄誉を手にしている。

3強体制に風穴を開ける最右翼がブラガだとすると、このギマラインスはブラガを含む4強体制を揺るがす最有力候補と言えよう。最大のライバルであるブラガとは、これまでリーグ4位の座を熾烈に争ってきた。

ブラガとギマラインスは、ともにポルトガル北部ミーニョ地方に拠点を置き、ポルト以北において覇権を争う2大クラブである。「土地の格」という意味では、ポルトガル初代国王アフォンソ・エンリケスの生誕地であり、「ポルトガル誕生の地」とも称されているギマラインスに軍配が上がるが、「サッカークラブとしての格」という意味では、ブラガがわずかに優勢である。クラブの実力が似通っていることもあり、両者が激突する「ミーニョ・ダービー」は、ベンフィカ対スポルティングによる「リスボン・ダービー」に次ぐ、ポルトガル屈指の名勝負となっている。(ちなみに、ポルト対ボアビスタによる「ポルト・ダービー」は、両者の実力差が如実であるために、盛り上がりに欠ける感は否めない)

奇しくも、ブラガのU-23チームには、柏レイソルMF安西海斗が同時期に加入している。2人の日本人が「ミーニョ・ダービー」で対戦する未来を、想像せずにはいられない。

エース格の多くがポルトへ!ビッグクラブへの入り口はここにあり

3強以外のクラブに移籍するメリットのひとつが、3強へのステップアップのチャンスが大きいことだろう。ポルトガルの移籍市場は明確な弱肉強食の構図となっており、国内で目覚ましい活躍をすれば、シーズン途中であろうと問答無用で3強に引き抜かれる。仮に3強への移籍が叶わずとも、その他海外クラブへの道も大きく拓ける。それはポルティモネンセ中島翔哉の移籍を取り巻く報道を見れば明らかだろう。

ビトーリア・ギマラインスは、近年多くの有望選手をポルトに輩出している。エース格がシーズン途中であろうと引き抜かれるが、彼らは新天地でも主力として活躍し、ポルトガルを代表する選手に成り上がるケースが少なくない。

例えば、セルジオ・コンセイサオン監督率いるポルトFW陣の2大看板であるチキーニョ・ソアレスとムサ・マレガは、ともにギマラインスでエースを張ったストライカーだ。ソアレスは、16-17シーズンにギマラインスで得点を量産し、その冬の移籍市場でポルトへ途中加入。加入直後からリーグ戦6試合連続ゴール・計9ゴールを記録して、新加入選手としては約70年ぶりとなる大記録を打ち立てる、衝撃的な活躍を見せた。

ムサ・マレガの場合は少し事情が異なり、当初マリティモでの活躍が認められ、ポルトに途中加入したが、半年間で結果を残せず、翌年ギマラインスに貸し出された。ポルトからレンタルに出されるケースは、有望な若手選手を除き、大抵はいわば戦力外の意味合いが強い。ポルトへのレンタルバックは叶わず、その行く末は、国内中位クラブや、トルコなど海外リーグへの完全移籍だ。しかし、マレガはギマラインスでその得点力を再び示し、見事1年でポルトに復帰。翌シーズンには絶対的なエースとして、得点ランキング3位となる22ゴールを記録した。

他にも、MFアンドレ・アンドレは、15-16シーズンにギマラインスからポルトに加わり、その後CLやクラシコなどの大舞台で印象的な活躍を残した(その後、ポルトで出場機会を失い、ギマラインスへ復帰)。近年、ギマラインスから加入した多くの選手が、ポルトでも変わらずインパクトを残していることから、両者間では、レンタル移籍含めて今後も定期的な取引が行われることは想像に難くない。当然、深堀にとっても、Bチームからのスタートとなり道のりは遠いが、Aチームのレギュラー格になってしまえば、ビッグクラブ行きについて無限の可能性が拓けるわけである。深堀はそれほどに魅力的なチームを選んだといえよう。

以上、深堀隼平が移籍したビトーリア・ギマラインスの基礎情報および2つの特徴をご紹介した。深堀は、一旦はポルトガル2部でのプレーとなるが、約半年間でそのポテンシャルを示し、まずは名門ギマラインスのAチームまで登りつめて欲しい。

柏レイソルMF安西海斗が移籍したブラガってどんなクラブ?5つの特徴をご紹介

川崎フロンターレMF板倉滉が、あのマンチェスター・シティへの完全移籍を決め、日本のサッカー界を震撼させたこの日、首都圏ではもうひとつのビッグディールが成立した。

モンテディオ山形にレンタル移籍していた柏レイソルMF安西海斗が、ポルトガル1部SCブラガに移籍することが正式発表されたのだ。

さすがにマンチェスター・シティのインパクトによって霞んでしまった感は否めないが、ブラガといえばポルトガルリーグで上位常連のれっきとしたメガクラブ。クラブの格という意味では、かつて相馬崇人が所属したマリティモや、金崎夢生・中島翔哉ら日本人選手の獲得を進めるポルティモネンセなどを優に超え、田中順也がプレーしたスポルティングに次ぐ、まさに名門中の名門だ。

なかなか日本では知られることのないこのブラガというクラブ。今回はその5つの特徴をご紹介したい。

ポルトガル3強に割り込まんとする勢い著しい新興クラブ

ポルト、ベンフィカ、スポルティングが「3強」として名を馳せるポルトガルにおいて、この3強体制撃破に最も近しいのが、ブラガだ。

正式名称は「Sporting Clube de Braga」。ポルトガル南部に位置する首都リスボンの2強がベンフィカとスポルティングだとすると、北部の2強と言えるのがポルトとブラガだ。これまでの最高順位は2009-10シーズンに記録したリーグ2位。その後2011-12シーズンにも3位に輝くなど、見事3強喰いを達成している。

その合間の2010-11シーズンには、ドミンゴス・パシエンシア監督のもとELで決勝進出。アンドレ・ビラス・ボアス率いるポルトとのポルトガル勢対決に敗れてはしまったが、ヨーロッパ全土にその名を轟かせた。

昨季2017-18シーズンはリーグ4位、今季2018-19シーズンはここまでスポルティングを抜きリーグ3位。(2019/01/15時点) 今季こそは3強撃破を再現しようと、後半戦の巻き返しに意気込んでいる。

今がまさに旬!チームを率いるのは歴代最高監督

ブラガといえば、ポルトガルでも屈指の「名監督輩出クラブ」だ。ベンフィカで10つのタイトルを獲得したジョルジ・ジェズスや、モナコでCLベスト4に輝いたレオナルド・ジャルディン、シャフタールで注目を浴びるパウロ・フォンセッカ、ポルトで国内最高タイの公式戦18連勝を記録したセルジオ・コンセイサオン、そして次世代の名監督候補筆頭ジョルジ・シマオン。

今やヨーロッパを舞台に活躍する上記歴代のポルトガル人指揮官に比べ誰よりも勝ち点を稼いだのが、現監督アベル・フェレイラだ。

アベル・フェレイラが2017-18シーズンに積み上げた勝ち点は、クラブ歴代最多の「75」。 ベンフィカが招聘を狙うとも噂されているポルトガル最注目の指揮官がチームを率いている。

クラブOBはあのスペイン代表FWや鹿島でプレーした大男

ポルトガル代表の名選手ティアゴ・メンデスや、2016-17シーズンにベンフィカでリーグMVPに輝いたピッツィなど、監督だけでなく選手についても、多くのスターを輩出してきたブラガ。実はあまり知られていないが、スペイン代表のレジェンド、ジエゴ・コスタが人生で初めてプロ契約を締結したクラブでもある。その他、日本人に馴染みのある選手で言えば、2011-12シーズンに鹿島アントラーズでプレーした長身FWカルロンが、鹿島以降に所属したチームでもある。

かつては日本人選手も所属

2002-03シーズンには、日本人MF廣山望もプレー。実は日本人と馴染みの深いクラブでもある。

ホームスタジアムは衝撃の断崖絶壁!

ホームスタジアムのEstádio Municipal de Bragaは、世界でも有名な珍(?)スタジアム。ゴール裏が断崖絶壁になっており、初めてスタジアムに駆けつけた観客は、まったく試合に集中できない衝撃のスタジアムである。

以上、ブラガについて基本的な5つの特徴をご紹介した。

ブラガは2部に所属するBチームも保有しており、安西は当面Bチームでプレーする可能性もあるだろう。その中で実力を示し、見事トップチームに昇格できれば、ポルトガル屈指の若手監督の指導を受けられ、ひいてはベンフィカなどすでに多くのOBが移籍を実現させている、さらなるビッグクラブへの道も拓ける。是非とも今後の活躍に期待したい。

日本初の放映年、ポルトガルリーグへ復帰した4人のスーパースターを紹介

例年と比べてもの静かな移籍市場を送った18-19シーズンのポルトガルリーグ。前クラブ会長の選手批判により数名の主力選手が退団したスポルティングを除き、ポルトやベンフィカは中心選手を慰留し、大幅な選手の流出を避けることに成功した。

そんな中でも、例年とは異なる形で市場を賑わせたのは、かつてリーグでプレーしたレジェンドたちの復帰であった。ある選手はスーパースターへの階段を駆け上がる第一歩となった古巣に帰還。そしてある選手は所属したことのない新クラブに加入してかつての名声を取り戻すチャレンジに挑む。今回は、それぞれの思惑交わる移籍劇が繰り広げられた末にポルトガルリーグに復帰した4名のスーパースターを紹介する。

1.ジャクソン・マルティネス(ポルティモネンセ)

かつてポルトで3年連続リーグ得点王の栄光を手にしたストライカーは、センターFW不足に苦しむポルティモネンセに加入した。失意のシーズンを送ったアトレティコ・マドリードを経て、中国の広州恒大では大怪我に見舞われ、ついには無所属になるまでキャリアは失墜。欧州の表舞台から忘れ去られた中でのポルトガルリーグ復帰となった。

昨シーズンのリーグ得点ランキング4位の点取り屋ファブリシオ(浦和レッズ)やベテランFWピレス(ペナフィエル)らがチームを去り、本来はウイングの選手がセンターFWを務めるほかない窮地に陥っていたポルティモネンセと、ポルト時代の栄光の日々を取り戻したいジャクソン・マルティネス。両者の思惑が合致した期限終了間際の駆け込み移籍となった。与えられた背番号は9番。10番を背負う中島翔哉との共演にも期待がかかる。

2.ファビオ・コエントラン(リオ・アベ)

ジャクソン・マルティネスのポルティモネンセ加入と同じく、移籍市場閉幕間際のサプライズとなったのが、ファビオ・コエントランのリオ・アベ復帰だ。ベンフィカでの活躍や2010年南アフリカW杯ポルトガル代表でのパフォーマンスを受け、レアル・マドリードに加入した同選手だったが、銀河系軍団加入以降は、レンタル移籍を繰り返した。昨季はベンフィカ時代の恩師ジョルジ・ジェズスの後を追い、スポルティングへの禁断の移籍でポルトガルリーグ復帰を果たしていた。そして、今回は華々しいキャリアを送るきっかけとなったベンフィカよりも前、駆け出し時代の古巣リオ・アベに電撃復帰した。ポルト郊外のこの中小クラブは、コエントランがユース時代を過ごしプロデビューを飾った思い出の地。キャリアの礎を築いてくれたクラブに、世界トップクラスの経験を還元できるか。

3.ルイス・ナニ(スポルティング)

愛するスポルティングに加入すること、実に3度目。またもやクラブのレジェンドがリスボンに帰還した。

2度目の古巣復帰となったナニは、ユース時代を過ごしたスポルティングでプロデビュー。その後、マンチェスター・ユナイテッドでの経験を経て、2014年にレンタルの形で古巣に初復帰した。レンタル期間は1年で終わり、その後フェネルバフチェとラツィオを経由。そして今季、またもスポルティングに舞い戻ったのだった。現在チームの指揮を執るジョゼ・ペゼイロは、ナニをスポルティングのトップチームに引き上げた監督。恩師のもと、数十年リーグタイトルに見放されている強豪に念願のリーグ制覇をもたらせるか。

4.ダニー(マリティモ)

ユース時代を過ごし、プロデビューも果たした古巣に、エースナンバー10番を背負って復帰した。ロシアでは、ディナモ・モスクワとゼニトの2クラブで合わせて10年以上プレーするなどポルトガル人選手としては異才を放つ経験を、愛する古巣の上位定着に還元できるか。

例年、ポルトガルリーグを観る楽しみといえば、ビッグクラブに羽ばたくスターの卵を発見できる点はひとつあるが、今季は、満を持してリーグに復帰した上記4名のスター選手の活躍を拝めるのもまたひとつ見どころになるだろう。特に、今季はスカパーがポルティモネンセの試合の放映権を獲得し、史上初めてポルトガルリーグを日本で見られる年である。ポルティモネンセのエースとして活躍するジャクソン・マルティネス、そして彼らと対戦するファビオ・コエントラン、ルイス・ナニ、ダニーら元ポルトガル代表の名手らのプレーに是非とも注目いただきたい。