カテゴリー別アーカイブ: FUTEPOR SCOUT

【FutePor Scout File Number 15】フランコ・セルビ(ベンフィカ/アルゼンチン/FW)

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ベンフィカが世界に誇る「アルゼンチン人レフティ」の系譜を継ぐ新星が現れた。

2008-09から5年間にわたり所属したベンフィカの伝説的10番パブロ・アイマール。その母国のレジェンドとほぼ時を同じく活躍し、レアル・マドリードやパリ・サンジェルマンなどメガクラブを渡り歩くディ・マリア。先人2人が去った穴を埋めるが如く、2010-11から6年もの間チームの中心を務め、恩師ジョルジ・ジェズスとともに国内3冠やEL2年連続決勝進出などベンフィカの黄金期を築いたニコ・ガイタン。

そして2016-17シーズン。ニコ・ガイタンがアトレティコ・マドリードに引き抜かれたこの年、アルゼンチン人レフティの系譜を途絶えさせることなく颯爽と現れたのが、このフランコ・セルビだ。

最大の武器は、ボールが足に吸い付くようなドリブル。小刻みなフェイントで向かい合う敵を翻弄し、一瞬のスピードで抜き去るその姿は、さながら若き日のリオネル・メッシのよう。ドリブルで競り合った場合にも、重心の低さを活かした力強い体幹でボールを保守。身長は166センチと極めて小柄ながら力強いプレーを見せ、得点率の高いミドルシュートも得意とする。

アルゼンチンのロザリオ・セントラルで育ち、ベンフィカ移籍前には10番を背負ったセルビ。アルゼンチンの名門育ちという共通項のため「ニュー・ディ・マリア」、または、入れ替わりで加入したことから「ニコ・ガイタンの後継者」などと評されている。

しかし、2016-17シーズンの夏にベンフィカに加入したばかりのセルビは、早くも彼ら2人を優に超えるパフォーマンスを発揮している。ベンフィカ監督就任1年目に、ネウソン・セメードやゴンサロ・グエデス、レナト・サンチェスやエデルソン・モラエスらを各国代表クラスに育て上げるなど若手育成に定評のあるルイ・ビトーリアは、19歳のアンドレ・オルタとともに22歳のセルビをレギュラーに抜擢。プレシーズンに行われたブラガとのスーペルタッサでは、いきなりスタメンを飾ると、早速ベンフィカでの初ゴールを記録した。その後もフェイレンセ戦でのポルトガルリーグ初ゴールや、ディナモ・キエフ戦でのCL初ゴールなど、8試合で4ゴールと大車輪の活躍。ポルトガル代表MFピッツィやギリシア代表FWミトログルらを抑えチーム得点王に君臨した。ディ・マリアは、1年目にシーズン1ゴール、2年目にようやく4ゴールを記録したこと、そして、ニコ・ガイタンは1年目に4ゴールまで到達するのに22試合を要したことからも、セルビの得点力は自身が「後継者」とされる2人のレジェンドを上回っていることが証明されたのだ。

就任2年目のルイ・ビトーリア監督のもとでリーグ4連覇を目指すベンフィカ。ポルトに譲り渡したポルトガルリーグ絶対王者の座奪還を目指すその中心には、歴代のアルゼンチン人レフティにも負けじと劣らない注目のスター候補がいる。母国の英雄リオネル・メッシを彷彿とさせるその力強いドリブルで、ディ・マリアやニコ・ガイタンを超える存在として王者ベンフィカの快進撃を牽引する。

【FutePor Scout File Number 14】エデルソン・モラエス(ベンフィカ/ブラジル代表/GK)

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ついに、ジーダやジュリオ ・セーザルら「セレソン」の名GKの系譜を継ぐ逸材が現れた。

ベンフィカに所属する23歳の若き守護神エデルソン・モラエス。クラブでは、ジュリオ・セーザル負傷の危機にその代替を務め上げ、その活躍が認められ招集されたブラジル代表でも、母国W杯以来見つからない同選手の後継者として期待されている。

突然世界中から脚光を浴びることとなったこのエデルソン。逆風が襲ったクラブで流星の如く登場したそのカリスマ性に、スター選手へとなり得る器の大きさが垣間見える。

2015-16シーズン、ベンフィカは絶対的守護神ジュリオ・セーザルが負傷離脱する危機に見舞われた。ルイ・ビトーリア監督就任後、3戦全敗を喫していた宿敵スポルティングとの「リスボン・ダービー」、そしてCLベスト8をかけたゼニトとの大一番という2つの決戦を前にした絶望的な悲劇だった。しかし、この年結果としてリーグ3連覇を果たし、CLではベスト8進出を達成するなど輝かしいシーズンを送ることとなったベンフィカにとって、このエデルソンこそが「運命の分岐点」を乗り越えるキーマンであった。

リオ・アベからベンフィカBに移籍し、Bチームでたった3試合を戦っていただけのイチ若手選手が、大一番スポルティング戦でいきなりのAチームデビュー。数々の危機を渾身のセーブで乗り切り、90分を無失点で守りきりって当季対スポルティング4戦目にして、チームを1-0の初勝利に導いた。続くゼニト戦でも相手の反撃を1点に抑え、ベンフィカは2試合合計3-1でCLベスト16を突破した。

大一番2連戦で期待以上の結果を残したエデルソンは、このシーズン残りの試合全てに出場。チームは15試合で13勝1分1敗と優れた成績を記録した。しかもこの1分1敗はあのバイエルンとのCL準々決勝である。エデルソンがゴールマウスに立ってからはポルトガルリーグで13戦全勝と、ベンフィカの大逆転優勝に多大なる貢献をしたのだ。

唯一勝ち星をあげられなかった世界最強クラブとの2連戦は合計2-3と惜敗したが、この試合後、グアルディオラが翌シーズン率いるマンチェスター・シティにエデルソンを引き抜くことを希望しているとの報道がされるなど、まさに評価はうなぎ登り。ついには、のちに負傷で不参加となる災難に見舞われたが、コパ・アメリカに臨むブラジル代表GK3名の一角に抜擢された。

このようにスター性に溢れるトップチームデビューを飾ったエデルソンは、観客にとって最も「花形」GKに近い派手な選手だ。未だ荒削りで取りこぼしなどは散見されるが、長い手足と持ち前の機動力を活かし、1点分のシュートをギリギリのところで0点に変える決定的なセーブを連発する。相手選手との衝突を恐れない勇気ある飛び出しや正確なロングフィードも特徴である。

ベンフィカの新監督に就任し、次々とユースやBチームの選手をトップチームに昇格させ、いずれも僅か半年足らずで各国のA代表送り込んだルイ・ビトーリア監督。15-16シーズンは、前半戦にネウソン・セメードやゴンサロ・グエデスが頭角を現し、後半戦にはレナト・サンチェスが登場するなど、もうこれほどの若手選手は出てこないだろうと見られていた最中での、最後の切り札となったエデルソン・モラエス。ベンフィカでジュリオ・セーザルの代替として緊急登板し、流星の如く急成長を遂げた同選手だが、次はその後継者としてブラジル代表の守護神を担う日が近いのかもしれない。

【FutePor Scout File Number 13】アンドレ・シウバ(ポルト/U-20ポルトガル代表/FW)

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宿敵ベンフィカにリーグ3連覇を許し、屈辱のシーズンから抜け出せずにもがき苦しむポルト。そんな危機的状況からクラブを甦らす救世主に選ばれたのが、Aチームに定着したばかりの20歳の青年であった。

パウロ・フォンセッカ(現シャフタール監督)やフレン・ロペテギ(現スペイン代表監督)ら若き名監督がことごとく逃したポルトガルリーグ王者の座。業を煮やしたピント・ダ・コスタ会長は、16-17シーズンにクラブの古株ヌーノ・エスピリト・サントを監督招聘。バレンシアで名を馳せた青年監督にクラブの再建を託した。

そのようなクラブ状況下で、エスピリト・サントが自身の使命を果たすキーパーソンに選んだのが、前年にBチームとAチームを行き来した生え抜きアンドレ・シウバ。20歳のストライカーをAチームに引き上げ、期待を込めてクラブ伝統のエースナンバー10番を与えた。

アンドレ・シウバは、まさにタイトルに見放されるポルト、そして、ワントップ不足と嘆かれ久しいポルトガル代表の未来を担うであろうストライカーの原石である。同選手最大の武器は、ゴール前での優れたポジショニングスキル。20歳の若さながら、ボールが来るポジションを的確に予測し、巧みな裏への抜け出しやゴール前での落ち着きのあるトラップなど、高い基礎スキルをベースに一見「簡単に」ゴールを決める。いわゆる「ごっつぁんゴール」が多く見られるのも特徴だが、それはこの高度なポジショニング能力があってこそ。このスキルに加え、クロスに点で合わせるヘディング技術に優れており、185㎝とワントップとしては決して高身長ではないながらも、頭でも多くのゴールを陥れる、まさにFWに必要な全ての能力を平均以上に備える万能型ワントップである。

15-16シーズンには、圧倒的な強さを見せ優勝したポルトBで2部リーグMVPに輝き、その将来性を見込まれて10番を託されたアンドレ・シウバだが、同選手が築く10番像はこれまでのポルトの歴史の中でも異質なものとなるだろう。ポルトの10番といえば、デコやハメス・ロドリゲス、近年だとその後継者と注目された(が結果を残せなかった)ファン・キンテロら、いわゆる「テクニシャン」タイプ。それに対し、アンドレ・シウバに期待される役割は、ビラス・ボアスとともに歴史的な4冠を達成したラダメル・ファルカオや、その後継者として3年連続リーグ得点王に輝いたジャクソン・マルティネスらを手放して以来代替のいない「エースストライカー」9番のポジションである。

ただしさすがの注目株である。アンドレ・シウバはその期待に違わず、プレシーズンからゴールを量産した。サポーターへの新体制お披露目となった強豪ビジャレアルとの試合ではこの日唯一の得点を挙げ、ローマとのCL予選ファーストレグでは終了間際にチームを救う同点弾を決めるなど、早くも重要な試合を決定づけるエースストライカーへと変貌しつつある。この活躍ぶりに注目したポルトガル代表監督フェルナンド・サントスが、近々A代表に招集するのではないかという現地メディアの報道も存在するほどだ。ベンフィカのAチームに定着して半年のレナト・サンチェスをEURO2016へ連れて行くなど、若手でも大胆に抜擢する同監督であれば、A代表デビューの可能性も低くはない。

ポルトが願ってやまない4年振りのリーグタイトル。その鍵を握るのは、クラブ伝統の10番を背負う9番タイプの若き点取り屋アンドレ・シウバになるのかもしれない。エースナンバーを背負う今季の活躍次第では、憧れと語ったジャクソン・マルティネスの後継者に相応しい、ポルトガルの話題をさらう名選手への道が拓けることだろう。

【FutePor Scout File Number 12】レナト・サンチェス(ベンフィカ)

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「育成大国」ポルトガルに、また1人新たなスターが颯爽と現れた。

ベンフィカでプレーするレナト・サンチェス。1997年生まれの、なんと18歳だ。(2016-03-01現在)

6年間続いたジョルジ・ジェズス政権からの脱却を課せられた新生ベンフィカ。新監督ルイ・ビトーリアが導き出した答えは、クラブの将来を支える「生え抜き選手の大抜擢」であった。就任1年目から、ユースチームに所属していた選手をトップチームに引き上げるだけでなく、彼らに多くの出場機会を与えた。特に、SBネウソン・セメードやFWゴンサロ・グエデスらは、ルイ・ビトーリアがスタメンに抜擢してからわずか半年でポルトガルA代表に選ばれる、異例の「スピード出世」を果たした。この2名に止まらず、ビトール・アンドラーデら次なるスター候補には枚挙に暇がないが、その中でもレナト・サンチェスのインパクトは絶大であった。

2015-16シーズン10月30日。この年トップチームへ昇格したばかりのレナトは、トンデーラとの一戦でAチームデビューを果たした。それからわずか1ヶ月後の12月4日。「レナト・サンチェス」の名は、ポルトガル中に知れ渡ることとなる。

ポルトガルリーグ第12節、ホームにアカデミカを迎えた一戦でレナトはスタメン出場を果たした。ベンフィカが2-0で迎えた後半84分。中盤でボールを受けたレナトは、すぐさま前を向き、敵陣中盤にドリブルで侵入した。相手選手を背に一度左サイドへボールを展開。スピードを落とし、そしてフリーの状態で再びパスを受けた。得意の右側にボールを止めシュート体勢へ。力を十分に溜め込んだ右足から、約30メートルを超える豪快なロングシュートを叩き込んだ。

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まさに、ベンフィカの未来が拓けた瞬間であった。

トップチームデビューを果たしてからわずか1ヶ月の若者のゴールに、クラブ関係者は大いな期待を滲ませた。同僚はレナトに抱きつき祝福を寄せ、ビトーリア監督とビエイラ会長はニンマリと頬を緩めた。ホームに駆けつけた大観衆は、生え抜き選手のスーパープレーにマフラーを振り回し、そして踊り狂った。

Aチームデビューから半年も経たないうちに、18歳の若者はポルトガル王者の中盤には欠かせないキープレーヤーへと変貌した。かつてポルトに所属し、マンチェスター・ユナイテッドへ羽ばたいたブラジル人MFアンデルソンのような、ドレッドヘアーの青年が魅せる豪快なプレーを世界が放っておくはずもなく、CLで対戦した名将は名指しで警戒心を示した。アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネは「中盤のレナト・サンチェスはすごく好きな選手だ。素晴らしいシュートと戦術眼を持ち合わせている。彼のような選手を見れるのは良いことだ」と絶賛し、ゼニトのアンドレ・ビラス・ボアスは「レナトは信じられない時期を過ごしている」と、母国の将来を担う若者を褒め称えた。

かつてアンデルソンに目を付けたマンチェスター・ユナイテッドが6000万ユーロの大金を用意しているとの噂も流れ、ユベントスやバイエルン、レアル・マドリードやバルセロナ、そしてパリ・サンジェルマンなど、世界有数のメガクラブが争奪戦を繰り広げることが予想されている。

世代交代が囁かれるポルトガル代表の中盤。その新たなエンジンを担うのは、これまでにない馬力を持ったレナト・サンチェスになるだろう。過去のポルトガル代表にいなかったニュータイプの青年には、明るい未来が待ち受けている。

【FutePor Scout File Number 11】ブルーノ・フェルナンデス(ウディネーゼ)

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かつてチームの10番を背負い、クラブのレジェンドとなったポルトガル人MF、ルイ・コスタ。凋落したイタリアの名門ACミランは、ピッチを支配したファンタジスタの再来を切望している。

日本人としては残念ながら、そこに本田圭佑の復調というシナリオはない。ミランが白羽の矢を立てたのは、「ウディネーゼのルイ・コスタ」の異名を持つ攻撃的MFブルーノ・フェルナンデスであった。レジェンドと同じくトップ下のポジションを主戦場とし、イタリアでプレーするポルトガル人という共通点からこのあだ名がつけられた。この秋、ウディネーゼで攻撃のタクトを振るう21歳の若手ポルトガル人MFをミランが狙っているとの噂がメディアを駆け巡ったのだ。

ポルトのマイア地区で生まれたブルーノは、ポルト第2のクラブであるボアビスタのユースチームを中心に少年サッカー期を過ごした。国内でのプロデビューを第一目標に切磋琢磨するのが常である若手ポルトガル人選手としては珍しく、トップチーム経験のないまま17歳の若さで母国を飛び出した。

ブルーノが向かった先は、当時イタリアのセリエBに所属していたノバーラであった。17歳の少年を即戦力とみなしていたか否かは人知れず。しかし、異国の華奢な少年が、入団わずか数週間足らずで母国でも成し得ていなかったトップチームデビューを飾り、さらにはその年の総試合数の約半分である23試合に出場することになるとは、スカウトを始め誰一人として予期していなかっただろう。

ブルーノ・フェルナンデスは、現代に最適化したファンタジスタだ。絶妙なパスセンスと卓越したボールタッチ、精度の高いキックや創造性溢れるプレーからゴールを生み出す伝統的な10番タイプの特徴を持ち、同時に、スペースへの飛び出しや前線からのチェイス、豪快なミドルシュートなど、現代的な「動けるファンタジスタ」でもあるのだ。

ノバーラの18歳の若者が成し得た偉業はイタリア中に知れ渡り、入団から1年もせずにセリエAの古豪ウディネーゼがブルーノの獲得に漕ぎ着けた。ステップアップを果たした強豪クラブでも1年目から主力として活躍し、2013-15までの2シーズンで61試合に出場して9ゴールを記録。ルイ・コスタとはタイプは異なるが、レジェンドを彷彿とさせる類稀なる才能を存分に発揮したのだった。

2015-16シーズンも、ブルーノはウディネーゼで中盤のタクトを振るうファンタジスタとして活躍している。かつてイタリアを席巻したルイ・コスタのように。その功績もあってか、U-21ポルトガル代表にも選出され、EURO2015で先輩らが一歩届かなかった世界王者を目指して奮闘している。

ワールドユースで優勝し、セリエAの名門で10番を背負った先人の背中はまだ遠い。しかしその道のりは見えてきた。21歳ながら早くも海外生活5年目を迎える「異端児」ブルーノ・フェルナンデスは、没落した名門ミランでルイ・コスタの再現を担うに相応しい選手へと成長できるだろうか。