カテゴリー別アーカイブ: KA’zuma

#8「思い出は、盗まれない」

FCポルトのグランドに通った数日間は、これまでスクールに興味がなかった僕に刺激を与えてくれ、育成の大切さを改めて考えさせられる出来事になりました。本当に何も計画していなかった僕に、神様は素晴らしい贈り物をしてくれたものです。

この連載が初まった最初の頃に、FCポルトの育成には、他のどのクラブにも感じなかった「何か」があった、と書きました。その「何か」とは一体何だったのだろうか?と、今になってもよく考えます。
それはFCポルトから感じた「ファミリー」のような雰囲気なのかもしれませんし、コーチや選手、グランドにいる全ての人から感じた「サッカー愛」なのかもしれません。はたまた、隅々まで工夫された施設、それらすべてを含めたFCポルトの文化そのものだったのかもしれません。

これをきっかけに、「クラブのあり方」を、ずっと考えています。
このクラブに出会わなければ、考えなかったこと。
「スクールなんて、どこも同じだろう」と思っていた僕に、考えるきっかけをくれたこのクラブは、僕の宝です(勝手に)。

アジアとヨーロッパを放浪している時は、お金もないし、いつ帰るかわからないし、お土産なんて本当に何一つ買っていませんでした。
でも僕はこの時初めて、感動をいつでも思い出せるようにと、街で見かけた雑貨屋でFCポルトのキーホルダーを購入しました。それは今でも僕のバックの中に入っていて、見るたびに「がんばろう」と思わせてくれる、大事な大事なキーホルダーです。

となるはずでしたが、購入の数日後、キーホルダーの入った鞄ごと盗まれたので、今は跡形もありません。

世知辛い世の中です。

代わりにこの連載を読んで、またFCポルトのことを思い出すことにします。
僕の思い出は、誰にも盗むことはできませんよ(キラリ)。

それにしてもキーホルダー、かっこよかったなあ。

【寄稿アミーゴ】

kazumaKA’zuma

1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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#7「まるで大人な、子供達」

前回は「黄金比率の応援団」と題して、FCポルトのサッカースクールを取り巻く「親御さん」にスポットを当てて書かせていただきました。子供達を育てるにあたって、クラブや指導者が大切なのはもちろんですが、それらを支える周りのサポートや振る舞いこそ、本当に大切なことなのだと、僕自身実感した出来事でもありました。子供達に最も近い存在である親御さんが間違った振る舞いをしてしまえば、子供の将来を潰しかねません。

では、そんな素晴らしい応援団のもとでサッカーをしている彼らは、一体どんな選手達なのでしょうか?練習、試合から見た選手達の様子から感じたことを、今回は書いていこうと思います!

まずはじめに感じたことは、子供達は本当の意味でサッカーを楽しんでいる、ということです。「楽しむ」とは、ただリラックスしてプレーをすることではなく、ふざけて好きなようにプレーをすることでもなく、文字どおり「本気」でサッカーをプレーしていた、という意味です。ですから、本気で喜ぶし、本気で悔しがります。その様子は、なかなか自己表現ができない日本の子供たちとは、良くも悪くもまったく違った様子に見えました。
本当に小さな子供でも、試合中によくコミュニケーションをとりますし、審判に意見しますし、当たり前のように「自己表現」をします。
僕が見た試合は、相手チームも非常に良いチームで、FCポルトは負けてしまったのですが、自分たちよりも体が大きい選手に対してもひるまず戦い、素晴らしい試合を見せてくれました。試合直後、負けて落ち込む素振りを見せるも、すぐに仲間同士励ましあい、円陣を組み、大きな声で鼓舞しあう姿は、日本ではなかなか見ることができない光景だなあと、感動を覚えました。

サッカーというスポーツをする上で、「自己表現をする」こと、そして「コミュニケーションをとる」ことは、もっとも基本的でもっとも重要なことだと思います。国民性ももちろんありますが、外国の子供たちはそれが自然に出来ているので、まるで大人の試合を見ているかのように感じます。小さな子供の試合で、あんなに白熱して、熱狂するような試合を見たのは初めてかもしれません…

まるで大人な、子どもたちでした。

【寄稿アミーゴ】

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1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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#6「黄金比率の応援団」

小さなピッチの周りでは、ピッチを取り囲むように親御さんが練習を見ています。上から見下ろせるような構造になっているので、どこに我が子がいても見失うことはなさそうです。
そして何より、声が響くのです。斜め下に向けて発せられた声は、力学的に回り回って(自分でも何を言っているのかわかりませんが)、子供達に降り注ぎます。ゴールが決まったり、良いプレーがあると、子供達は大喜び親御さんたちはもっと大喜び。そしてそれに乗せられた子供達は、さらに一生懸命にボールを追いかけます。その相乗効果こそが、子供達を育てるポイントの一つだと思うのです。

そうそう、今回はこの親御さんたちの「応援」について話を進めていこうと思います。
欧米人の応援と言えば、それはそれは感情的で、審判に文句言うわ選手に文句言うわ、しまいにはふてくされるわ、みたいなイメージありますよね?僕はその一種のプレッシャーが選手を育てるのだと信じているので、欧米人の試合観戦を見ているとワクワクしてきます。ただ、こと子供達の応援に関しては、「やりすぎ」はダメなのかなあなんて、思ったりもしていました。子供達が萎縮してしまっては、プレーを怖がってしまう原因になりかねません。言いすぎてもダメだし、かといって応援をしないのも違うし、うるさい方が子供達がやる気出るし、かといってうるさすぎたらダメだし、プレッシャーがなかったら選手は育たないし、プレッシャーがありすぎてもダメだし…。

しかし、僕はここポルトで、「親御さんの応援」の正解を見たような気がしました。スクールの練習を見学した次の日、スクール生の試合がありました。僕の隣で見ていたおばさんは、さてさてやっちゃいますか、みたいな顔をして立ち上がると、大音量に歌唱力を添えて歌い始めました。これがもし僕のお母さんだったら、恥ずかしさのあまりサッカーを辞めざるを得ないと思いますが、ここは日本ではなくポルトガルなので、全くもってノープロブレム。というより、子供達も観客も、ノリノリになっちゃいます。
子供達が失敗をしても、「次つぎ!どんまい!(推測)」といった声が飛び交い、良いプレーに関しては「クゥー!最高!(推測)」などと子供達を盛り上げます。たまに審判に文句言うのはご愛嬌、選手本人には味方だろうが相手だろうが否定的な声は一切ありません。なにかこう、親御さんたちの暗黙の協力意識とでもいいましょうか、皆で協力をして子供達にサッカーを楽しんでもらおうと工夫をしているように思いました。顔がこう、どことなく優しいのです。かといって、しっかり「勝ってほしい」という思いは伝わってきます。絶妙なバランス。黄金比率です。コーヒー7、牛乳3です。

そんな素晴らしい応援をされて、子供達はどんな表情をし、どんな態度でサッカーをプレーしていたのでしょうか…

【寄稿アミーゴ】

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1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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#5「子供を支える家族がある。家族を支えるクラブがある」

ポルトのスクールに来れば、のびのびとサッカーをする子供達はもちろん、それを支えるクラブ、コーチ、そして親御さんの姿を一度に見ることができます。前回の終わりに「コーチの人数」について少し触れましたが、そのことからもわかるように、子供達一人一人にしっかりと目を向け、誰もがサッカーを楽しめるように、そして成長できるように工夫がされていました。
例えば、施設の造りです。フットサルコートほどのピッチが2面、フルピッチが1面と、決して大きな施設ではありませんし、バルセロナの育成施設ほど豪華な造りではありませんでしたが、子供達のために多くの工夫がされていると感じました。

スクールが始まる時間になると、多くの親御さんが子供を連れて施設内に入ってきます。子供の数が相当数なので、もちろん親御さんもかなりの人数がいるのですが、その親御さんが「子供達を見守りやすい」ように施設が造られています。クラブハウスの2階にはカフェテリアのような場所があって、ビールやお菓子、軽い食事をとることもできますし、バルコニーに出れば、ピッチを一望することができます。このような施設があることで、サッカーをする子供達の小さな兄弟などを一緒に連れてくることも出来ますし、寒い時でも気兼ねなく施設に来ることが出来ます。

子供達がのびのびとサッカーをするには、親御さんの支えが必要不可欠です。その親御さんのために、クラブが環境を整える。それが僕に、FCポルトの「ファミリー感」を猛烈に感じさせた一つの理由かもしれません。

子供を支える家族があり、家族を支えるクラブがある。
一つの大きなファミリーがそこにはありました。

【寄稿アミーゴ】

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1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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#4「『スクールはどれも同じだろう』なんて、誰が言った。」

僕の目的は、中学生以上の選手たちを見ることでした。

正直、「スクールはどこも同じだろう」と思っていた僕は、あまり小学生以下のサッカーに興味を持っていませんでした。なんというバカな人間なのだろうと後になって気付くわけですが、他の国でスクールを見ても、これまで日本で見てきた幾つかのスクールと変わった点はなく、あまり特筆すべきことがなかったものですから…(という言い訳をしておきます)

そんなスクールの印象を変えてくれたのが、このFCポルトでした。練習が始まる前、何人かのコーチと、元気な子供たちが準備をし始めました。ボール、ゴール、マーカー、用具がグランドに並べられていくのと同じくして、クラブハウスの中からコーチが出てくること出てくること。選手も出てくること出てくること…一体どんだけ広いクラブハウスなんだ。(そこじゃない)

選手が多いのは、大きなクラブならよくあることです。憧れのチームエンブレムのついたユニフォームが着れるのですから、当たり前のことです。
しかし、ポルトに関して言えば、選手たちもさることながら、コーチの数が異常に多いのです。
軽く見積もっても20人程度はいるでしょうか。ここがポルトのスクールを語る上で欠かせないポイントだと思います。

一人一人に目が行き届くように工夫をされているからこそ、他のチームにはない「何か」を僕に感じさせてくれたのだと思います。

次回はその「何か」について、具体的に書いていくことにしましょう。

続く

【寄稿アミーゴ】

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1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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