【過去コラム再掲】ドラゴンズ?学生?チェス?―ポルトガルクラブのあだ名の種類と由来

ポルトガルの各クラブがメディアで呼ばれている「あだ名」についてまとめ、その由来に迫ります。

ポルトガルの新聞が、あるチームの選手を包括的に呼ぶ際に、日本的な概念で、例えば「ベンフィカの選手たちは〜だった」などというような表現はしません。この「ベンフィカの選手たち」という主語をひとつの単語、すなわち、あだ名で表すのです。

そして、このあだ名には様々な由来があり、ひとつのチームが複数のあだ名を持つことがほとんどです。これもポルトガルサッカーの魅力のひとつではないでしょうか。

今回はあだ名を

1.普通形

2.ユニフォームカラー形

3.地域由来形

4.特殊形

の4種類に分類し、それぞれに当てはまる代表例を紹介していきます。

 

1.普通形

普通形のあだ名は、その単語内にクラブの名前が含まれており、一目でどのクラブを指しているのかが分かります。

<例>

ポルト(Porto)=ポルティスタス(Portistas)

エストリル(Estoril)=エストリリスタス(Estorilistas)

マリティモ(Maritimo)=マリティミスタス(Maritimistas)

パソス・デ・フェレイラ(Paços de Ferreira)=パセンセス(Pacenses)

なお、語尾の「ス」は複数形を表すものであり、これがつく場合とつかない場合の両方が見られます。

✳︎ポルトガルではブラジルと違い、”S”は「シュ」に近い発音がされます。例えば、ポルティスタスは「ポルティ”シュ”タ”シュ”」と発音されますが、ここでは分かりやすく「ス」と明記します。

 

2.ユニフォームカラー形

そのクラブが着用するユニフォームがあだ名になることもあります。

例えば、ポルトは「アズイス・イ・ブランコス」”azuis-e-brancos”と呼ばれ、これは「青と白」を意味します。また、ベンフィカは赤を意味する「エンカルナードス」”encarnados”と呼ばれます。ちなみに”encarnados”の”carne”は「お肉」を意味するので、赤のイメージが湧きやすいですね。

この形で特に面白いのが、ボアビスタのあだ名です。白黒のチェックをユニフォームカラーとするボアビスタは「アシャドレザードス」”axadrezados”と呼ばれます。この単語に含まれる”xadrez”は「チェス」を意味し、ユニフォームをチェス盤に見立てたあだ名になっていることが分かります。

 

3.地域由来形

そのチームが拠点を置く地域の名前があだ名になることもしばしばあります。

例えば、ポルトから北西に位置する「ヴィラ・ド・コンデ」”Vila do Conde”をホームとするリオアベは「ヴィラ・コンデンセス」”vila-condenses”と呼ばれます。

また、ブラガは「ミニョット」”minhoto”と呼ばれるのですが、これはブラガ近辺を「ミーニョ(Minho)地方」と呼ぶことに由来します。ブラガの選手たちも「ミーニョ地方の人々」だということでしょうか。

ビトーリア・セツバルのあだ名は「サディーニョ」”sadinho”ですが、これはセツバルを流れる「サド川」”Rio Sado”から来ているのではないかと推測されます。

 

4.特殊形

最後の特殊形ですが、この形はそのチームを象徴する一単語で表されることがほとんどです。

例えば、ポルト、ベンフィカ、スポルティングはそれぞれのチームマスコットである、ドラゴン、ワシ、ライオンを意味する

「ドラゴインス」”dragões”「アーグィアス」”águias”「レオインス」”leões”と呼ばれます。これは野球に近いですね。ベンフィカをアーグィアスと呼ぶのは、楽天をイーグルスと呼ぶと似ているような気がします。

また、アカデミカは「エストゥダンテス」”estudantes”と呼ばれますが、これは「学生」を意味する単語です。

なぜ学生なのでしょうか?

それは、アカデミカが拠点を置く「コインブラ」は、約700年以上の歴史を持つコインブラ大学で有名なポルトガル一の学生の街だからです。チームを象徴するという意味で、その街の特徴があだ名になるのは面白い例ですね。

以上のように、ポルトガルのチームには様々な呼び名があります。また、例えば、ポルトは今回紹介した中でも3種類のあだ名があり、他のチームも多くのあだ名を持ち合わせています。サッカー自体とはかけ離れたことですが、チームのあだ名の由来を文化的な側面から調査していくのも、また面白い作業だと思います。