【過去コラム再掲】2014-15ポルトガルリーグ激動の監督大移動

2014-15シーズン開幕前に執筆した記事です。ポルトガルリーグの監督を大まかに把握するのにお使いください。

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ベンフィカの国内3冠と共に幕を下ろしたポルトガルリーグ2013-14シーズン。次なる14-15シーズンの開幕に向け、早くもそれぞれのクラブがチームの改革に着手し、まず手始めに監督の確定に奔走している。

このオフシーズンに多くのチームが監督交代に踏み切った。そこで今回は、昨シーズンから引き続き1部リーグで戦う15チームの監督交代事情、そして来シーズンの注目監督についてまとめてみた。

 

【ベンフィカ 昨季1位】

ジョルジ・ジェズス(続投)

昨シーズン、国内3冠とEL準優勝という前人未到の記録を打ちたて、名実ともに名監督の仲間入りを果たした知将。先日、バレンシアやミランなど強豪クラブからの監督要請を断り、残り1年の契約を全うすることを発表。全てを勝ち取ったあとの続投という、困難極める道を選んだ名将の来季に多くの注目が集まる。

【スポルティング 昨季2位】

レオナルド・ジャルディン(来季:モナコ)

→マルコ・シルバ(前:エストリル)

就任1年目にして、前シーズン7位に沈んだスポルティングを2位へと復活させたジャルディン監督が、1年で早くも退団。後を継ぐのはポルトガルリーグで最も注目を集める若手監督マルコシルバ。

2011年にエストリルで現役引退すると、そのままクラブの監督へ就任。1年目で2部優勝を果たし、勢いそのまま2年目で1部5位、3年目の昨季は1部4位と、弱小クラブのエストリルをたった3年間で強豪チームへと押し上げた。来季は念願のビッククラブ指揮となるが、彼の監督人生を左右する1年となるのは間違いない。弱小パソスを3位に押し上げてポルトの監督に就任するも、途中解任されたパウロ・フォンセッカコースを辿るのか、はたまた、アカデミカを降格から救いポルトの監督1年目で全てを勝ち取り世界に羽ばたいたビラス・ボアスコースを辿るのか。その分岐点となるのが1年目の来季である。

【ポルト 昨季3位】

ルイス・カストロ(来季:ポルトB)

→フレン・ロペテギ(前:スペインU-21代表)

リーグ4連覇を目指しチームの舵取りを任せたのは、前シーズンに弱小のパソスを3位に導いた青年監督パウロ・フォンセッカ。しかし、チームは不振を極めて監督を途中解任。内部昇格で暫定指揮を採ったルイス・カストロ元Bチーム監督も状況を好転できずに屈辱のリーグ3位に終わる。再起をかけて敏腕会長が選んだのは、スペインU-19とU-21代表で世界一に輝いたロペテギ監督。早くも監督の意向で若手スペイン人選手の獲得に動くなど、来シーズンはチームのスペイン化が予想される。クラブが多く抱えるメキシコ人やコロンビア人も重宝されることであろう。

【エストリル 昨季4位】

マルコ・シルバ(来季:スポルティング)

→ジョゼ・コウセイロ(前:ビトーリア・セツバル)

3年をかけてチームを劇的に進化させたマルコシルバ監督がスポルティングにヘッドハンティングされる。代わって指揮を採るのが、昨シーズンにセツバルを7位という、可もなく不可もない順位に導いたコウセイロ監督。2005年と2011年には、それぞれポルトとスポルティングを率いた経験があるものの、どちらも途中就任。その他の経歴を見る限りも、マルコシルバが築き上げたエストリル帝国を再び泥沼に陥れそうな危険な臭いのプンプンする監督である。

【ナシオナル 昨季5位】

マヌエル・マシャード(続投)

昨季5位の大躍進が認められ、来季末まで契約を延長。ELとリーグの両立を果たしたいところ。

【マリティモ 昨季6位】

ペドロ・マルティンス(来季:リオアベ)

→レオネル・ポンテス(現:ポルトガル代表アシスタントコーチ)

6位という好成績に満足せずに、新たに招聘したのが、現代表アシスタントコーチのポンテス氏。2005-09シーズンのスポルティング時代および、2010-14シーズンの代表チームにて、現代表監督パウロ・ベントのアシスタントコーチを務める、まさに右腕的存在。2009年のパウロ・ベント途中解任時に暫定監督を務めて以来のクラブチーム指揮が軌道に乗るか。

【ビトーリア・セツバル 昨季7位】

ジョゼ・コウセイロ(来季:エストリル)

ドミンゴス・パシエンシア

コウセイロをエストリルに放出したセツバルが来季を託すのは、ポルトの選手であったパシエンシア。ビラス・ボアス少年が、ボビーロブソン氏に彼の出場機会のなさを訴える手紙を送ったのは有名な逸話。2009-10シーズンはブラガを2位の好成績に導き、翌年10-11シーズンにはEL準優勝を果たすも、リーグ4位がまさかの成績不振とみなされて解任。このELの決勝では、大人に成長したビラス・ボアス監督率いるポルトと対戦するという運命的なシーズンを送った。2011-12シーズンにはスポルティングの監督に就任するも、再び4位に終わり1年で解任。ブラガでもスポルティングでも解任されたのは事実だが、決して悪い成績ではなかった。セツバルが来季の台風の目となることをここに予想する。

【アカデミカ 昨季8位】

セルジオ・コンセイサオン(来季:ブラガ)

→パウロ・セルジオ(前:アポエル)

【ブラガ 昨季9位】

ジョルジ・パイシャオン

→セルジオ・コンセイサオン(前:アカデミカ)

近年3強の牙城を崩し大注目を集めてきた新興クラブだが、今季は監督の途中交代もあり、まさかの9位という大不振に終わる。再起をかけて、同様の順位に終わったアカデミカからコンセイサオンを引き抜く。この選択が吉と出るか凶と出るか。勢いを取り戻し、欧州の舞台に返り咲きたいところである。

【ビトーリア・ギマラインス 昨季10位】

ルイ・ビトーリア(恐らく続投)

【リオアベ 昨季11位】

ヌーノ・エスピリト・サント(来季:バレンシア)

→ペドロ・マルティンス(前:マリティモ)

昨年シーズンは、リーグカップとポルトガルカップ、2つの国内カップで決勝に進出し、リーグ11位ながらも来季のEL出場権を獲得。その立役者であるエスピリト・サント監督が、さらなる野望を求めて退団。バレンシアの新監督に就任した(2014年7月3日)。後を継ぐのが昨シーズンマリティモを6位の好成績に導いたマルティンス監督。躍進のベースは整ったが、ELと国内リーグの両立が鍵となる。

【アロウカ 昨季12位】

ペドロ・エマヌエル(続投)

モウリーニョ監督時代に選手として、またビラスボアス監督時代にはアシスタントコーチとして、ポルトの黄金期を支えた青年監督。1年の契約延長を果たし、2人のレジェンドの後を追い、躍進を目指す。

【ジル・ビセンテ 昨季13位】

ジョアン・デ・デウス(恐らく続投)

【ベレネンセス 昨季14位】

リト・ビデガル(続投)

昨季途中に監督就任し、チームを降格から救ったビデガル監督が2015年まで契約を延長。

【パソス・デ・フェレイラ 昨季15位】

ジョルジ・コスタ(来季:ガボン代表)

→パウロ・フォンセッカ(前:ポルト)

前シーズン3位の大躍進を遂げるも、その立役者であるフォンセッカ監督と最優秀若手賞を受賞したジョズエを揃ってポルトに引き抜かれた影響もあり、CLとリーグにおいて共倒れ。プレーオフでなんとか1部残留を果たした。来季はポルトを解任されたフォンセッカ監督がチームに復帰。監督自身の名声を取り戻すためにも、昨年の再現を実現させたいところ。

 

以上、全15チームの監督大移動をまとめました。過半数以上の8チームが監督の交代に踏み切り、そのほとんどが上位チームとなった今年の監督交代。さらにその中でも、4名が1部チーム間の玉突き移籍であり、選手よりも監督の同行に注目している筆者にとっては、非常に興味深いリーグである。

来季の注目監督は

1.スポルティングのマルコシルバ監督が、世界の名将の仲間入りを果たすのか、それとも失墜するのか。個人的な注目ポイント第1位。

2.ロペテギ監督が、ポルトをスペイン化・復興させることができるのか。

3.エストリルのコウセイロ監督が、マルコシルバの遺産をボロボロにするのか。個人的な注目ポイント第3位。

4.セツバルのパシエンシア監督の躍進はあるのか。個人的な注目ポイント第2位。

5.コンセイサオン監督を招聘したブラガが復興を果たすのか。

 

この5点が、新監督たちに期待する個人的な注目ポイントである。

激動の監督大事変を終え、彼らが2014-15シーズンをどのように彩るのか、引き続き注目したい。

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