電撃加入から代名詞のFKまで。田中順也がポルトガルに残した爪痕を過去記事とともに振り返る

今冬、スポルティングからレンタル移籍で柏レイソルへ復帰した田中順也。残念ながら、今季は新監督ジョルジ・ジェズスの構想にフィットせず、出場機会は限られてしまった。しかし、ポルトガルでは同選手の代名詞となったブラガ戦の直接FKによる決勝弾など、特に昨季はサプライズとも言える活躍をし、異国の地ポルトガルに確かな爪痕を残した。

柏レイソルからスポルティングへ移籍する際、現地サポーターは当初日本人FWに対して懐疑的な目を向けていた。筆者が2014年ポルトガルに滞在していた当時、多くのメディアがアジア人の加入という稀有なニュースを取り上げていたが、ファンからの評価はというと、「ジャパンマネー目当て」などの酷評が多くを占めた。

過去記事1.『レイソル田中順也、スポルティング移籍?-ポルトガル現地の声をお届け-』

過去記事2.『田中順也スポルティング移籍決定!特集Part.2-ポルトガル現地の声をお届け第2弾-』

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しかし、田中順也は確実にこれらの声を覆し、いつの間にかスポルティンギスタから愛される、重要な戦力の1人となっていた。マルコ・シウバ(現オリンピアコス)監督からの信頼を勝ち取り、エースFWスリマニの残留という苦境に晒されながらも、「10番」フレディ・モンテーロから少なくない出場機会を奪い、過密日程の強豪チームを支えた。

過去記事3.『田中順也スポルティング移籍決定!-高額違約金の意味とスタメンの可能性を考察-』

今でも、スポルティングファンが田中順也を語るときに口にするのは、自身にとってもポルトガルリーグ初ゴールというメモリアルゴールとなった、ブラガ戦での直接FKだ。上位対決のブラガを相手に引き分けも覚悟した後半ロスタイム。ペナルティエリアから離れた位置から、まさにサムライの一振りのように左足を振り上げ、鋭い弧を描いたボールは、ゴールへと吸い込まれていった。同選手が、自身の成し遂げた偉業の衝撃度を知ったのは翌日だろう。ポルトガルの3大サッカーメディアが、田中の写真をこぞって表紙に採用し、そのスーパーゴールを称賛したのだから。

過去記事4.『終了間際の劇的FK弾! 田中順也のリーグ戦初ゴールにポルトガルメディアが熱狂』

今季こそ、監督交代の影響もあってか出場機会に恵まれず、古巣へ復帰するという決断をした田中順也。しかし、ポルトガルリーグで十分に通用する実力は昨季に証明済み。海外から日本へ帰国すると、いかにも海外挑戦が失敗に終わったという印象を与えがちだが、田中順也のポルトガル挑戦は、決して「失敗」ではなかった。それどころか、ポルティモネンセでプレーした金崎夢生と並び、ヨーロッパ最西端の国に日本人サッカープレーヤーの価値を深く刻み込んだ。日本サッカー界に大きな貢献を果たしたと言えるのではないか。