【保存版】2015-16ポルトガル1部リーグを戦う18チームの監督人事

ベンフィカのリーグ2連覇及び2冠達成とともに幕を閉じた2014-15シーズンのポルトガルリーグ。プレシーズンに突入し、来季の躍進に向けて各クラブが監督人事に着手している。すでに、歴史に名を残すような禁断の監督移籍も実現しており、今季も例に漏れず、ポルトガル人監督の動向に注目が集まる。

昨季は多くのクラブで玉突き移籍が発生した(筆者過去記事: 『ポルトガルリーグ激動の監督大移動』』参照)。今季は、国内移籍や、Bチームからの昇格、海外をめぐる監督の輸出入など、様々な移籍パターンが見受けられた。そこで、昨年に続き、来季1部リーグを戦うクラブの監督情報をまとめてみた。1部残留15チームのみだった前回とは違い、今回は、2部からの昇格組も含めた全18チームを網羅している。

☆紛らわしいので、使用語の定義を一度共有

「昨季」=2013-14シーズン

→(ベンフィカがリーグチャンピオン)

「今季」=2014-15シーズン

→(ベンフィカがリーグ2連覇)

「来季」=2015-16シーズン

 

<1位 ベンフィカ>

ジョルジ・ジェズス(来季:スポルティング)

ルイ・ビトーリア(前:ギマラインス)

6年間でベンフィカに10タイトルをもたらした老将ジョルジ・ジェズスの退任が決定。今季は、ベンフィカを2年連続でリーグ王者に導き、自身もリーグ最優秀監督に選出された。退任は、契約延長交渉で約半額の減棒を提示されたのが決定的であったようだ。また、本人曰く「ベンフィカでの仕事はやり切った」とか。国内外のビッグクラブからの関心が伝えられた中、ライバルのスポルティングへ、歴史的な禁断の移籍を決断。ポルトガル全土を震撼させた。

後任には、ギマラインスを5位に導いたルイ・ビトーリアが就任。3年契約を結んだ。同氏はベンフィカのユースチームを率いた経歴があり、クラブへの適応には問題ないだろう。懸念点があるとすれば、ヨーロッパ大会での実力が未知数なところか。先日、ルイス・フィリペ・ビイエラ会長がCL制覇の夢を語った。その実現とまではいかずも、リーグ3連覇とCLグループリーグ突破は全サポーターから求められる結果。過酷なプレッシャーに打ち勝つことができるか。

<2位 ポルト>

フレン・ロペテギ(続投濃厚)

パウロ・フォンセッカ監督期に続き、ロペテギ監督下でも優勝トロフィーを掲げられず、2シーズン連続で主要タイトル無冠に終わったポルト。しかし、CLではベスト8と大躍進を果たし、バイエルン相手にホームで3-1と歴史的な勝利を挙げたロペテギの実力を、ピント・ダ・コスタ会長は高評価。ミランやレアルなど国外クラブからの関心が集まったが、会長が売却不可の姿勢を貫いた。来季の続投は濃厚である。今季は、監督の意向により多くの新選手がレンタルで加入し、連携面を含めたチーム作りに時間を費やした。来季のチームの完成度には期待がかかるが、ポルトの監督に就任した宿命であろうか、例年通りに主力選手の退団に頭を抱えている。不動のRSBダニーロと、中盤を支えたカゼミロのレアル行き(後者はレンタルバック)の影響は大きく、特筆すべきは3年連続リーグ得点王に輝いたジャクソン・マルティネスの退団であろう。このリーグ最強ワントップの個人技で「何とかなった」試合は、枚挙にいとまがない。歴代史上最高のエース退団により、ロペテギ流チーム作りの手腕が再び試されることになる。仮にワントップの後任人事に失敗し、勝ち星を落とすような状況が続いたとしたら、会長から高評価を得ている監督の電撃解任というシナリオも絵空事ではない。

<3位 スポルティング>

マルコ・シウバ(来季:オリンピアコス)

→ジョルジ・ジェズス(前:ベンフィカ)

スポルティングに7年ぶりのタイトルをもたらしたマルコ・シウバが、クラブ会長ブルーノ・デ・カルバーリョとの不仲を理由に解任された。両者は、プレシーズンにはすでに方向性の食い違いを感じていたようである。サポーターからも愛されていたポルトガルNo.1若手監督の解任については、勿体無いの一言に尽きる。監督とクラブ間の契約破棄に関する交渉が難航したが、先日ようやく双方が合意。フリーの身になったマルコ・シウバは、ビトール・ペレイラ現フェネルバフチェ監督(元ポルト監督)の後任として、ギリシアのオリンピアコスへ移籍。オリンピアコスからスポルティングの監督へ就任したレオナルド・ジャルディン現モナコ監督とは、真逆方向の移籍が実現した。

後任には、ベンフィカのジョルジ・ジェズスを電撃獲得。ミランやレアルなど国外ビッグクラブへの監督就任も噂された中、ライバルチームへの歴史的な禁断の移籍を選択した。しかし、同監督は根っからのスポルティンギスタであり、青年期はユースチームに所属し、トップチームでプレーした経歴も持つ。キャリアの終盤に心のクラブを率いたいと願うのも当然か。ホームスタジアムで行われた就任会見では、満員のソシオが見守る中、「眠っているライオンを起こさなくてはならない!」と力説した。国内有数のワールドクラスの名将が、ベンフィカとポルトに遅れをとる3強の一角を、宣言通りに復権へと導くのか。それとも、マルコ・シウバという若き実力者の解任が凶と出るのか。来季もスポルティングの動向には大注目だ。

<4位 ブラガ>

セルジオ・コンセイサオン

→パウロ・フォンセッカ(前:パソス・デ・フェレイラ)

リーグ4位と大健闘ながら、コンセイサオンを解任。ポルトガルカップ決勝のスポルティング戦で、試合を圧倒的優位に運びながらまさかの敗北を喫したのが、会長の逆鱗に触れたようだ。

後任には、パソスを率いたパウロ・フォンセッカを指名。2年契約を結んだ。今季は、愛するクラブを8位に躍進させ、前年にポルトで失った評価を取り戻した。「パソスで満足しており、その愛情を超えるほどのプロジェクトが提示されない限りは、チームを離れることはない」という趣旨の発言をしていたが、ころっと移籍。ブラガが抱く野心は相当なものだったのだろう。自身2度目となるビッグクラブでの挑戦となる。ポルトでの反省を活かし、有力選手の多いチームをうまくまとめることができれば、3強撃破も夢ではない。弱小クラブを3位へと躍進させた「パソスの奇跡」を再現したい。

<5位 ギマラインス>

ルイ・ビトーリア(来季:ベンフィカ)

→アルマンド・エバンジェリスタ(前:ギマラインスB)

ルイ・ビトーリアをベンフィカに引き抜かれたギマラインス。注目の後任には、Bチームのアルマンド・エバンジェリスタを昇格させた。41歳の同監督は、6年間Bチームを率いた、まさにチームを知る男。トップチーム昇格を果たしていきなりELにも挑戦する。Aチーム経験の浅さが足を引っ張らないと良いが。

<6位 ベレネンセス>

ジョルジ・シマオン(来季:パソス・デ・フェレイラ)

→サー・ピント(前:アトロミト(ギリシア))

昨季は辛うじて降格を免れたベレネンセスが、今季はEL出場圏内の6位に大躍進。シーズン途中に暫定指揮を執ったジョルジ・シマオンはパソスへ移籍。新監督サー・ピントと2年契約を結んだ。同監督は、42歳と若手ながら、スポルティングやレッドスターなどを率いた過去を持つ経験豊富な人物。元ミランのガットゥーゾが監督就任して注目を集めた、ギリシアのOFIクレタを、彼の前に指揮した監督でもある。躍進の体制は整った。ELとリーグの両立が鍵となる。

<7位 ナシオナル>

マヌエル・マシャード(続投濃厚)

昨季の5位に続き、今季も7位と健闘。マシャード監督への信頼は厚く、今季も残留が既定路線。

<8位 パソス・デ・フェレイラ>

パウロ・フォンセッカ(来季:ブラガ)

→ジョルジ・シマオン(前:ベレネンセス)

パウロ・フォンセッカがチームを3位という奇跡の順位に導いたのも今は昔。クラブの英雄がポルトの監督に就任した昨季は、最下位から2番目の15位に沈んだ。そこで、今季はフォンセッカを呼び戻し、クラブと監督自身の名誉回復に尽力。無事、上位に返り咲いた。ポルトでは不遇の時を過ごした同監督も汚名を返上。移籍市場を賑わす人気監督となり強豪ブラガへ羽ばたいた。

後任には、昨季ベレネンセスの監督に途中就任し、9試合を指揮したジョルジ・シマオンを抜擢。38歳という来季の1部リーグ最年少タイ監督に、英雄フォンセッカの再現を託した。英雄が去りチームが大暴落した昨季の再現だけは避けたいところ。

<9位 マリティモ>

イボ・ビエイラ(続投濃厚)

パウロ・ベントのもとでポルトガル代表アシスタントコーチを務めたレオネル・ポンテスが、馴染みのないクラブチームを率い、失敗。目標の上位進出とはならずも、後任のイボ・ビエイラがチームを立て直した。すでに同監督主導でチームの補強が行われており、プレシーズンのフランス遠征も決定。続投は濃厚であろう。カルロス・ペレイラ会長が掲げた目標であるEL出場圏内の6位を目指す。

<10位 リオ・アベ>

ペドロ・マルティンス(恐らく続投)

リーグ序盤の勢いはどこへ。上位躍進を意気込んだものの、最終的には昨季とあまり変わらない10位に落ち着いた。前監督ヌーノ・エスピリト・サントは、移籍先のバレンシアで高評価を得ており、ペドロ・マルティンスとしては、現監督の威信を、サポーターを始めポルトガル全土に見せつけたいところ。ただ、今のところは監督について移籍の噂も解任の噂もなく、注目度が低い感は否めない。

<11位 モレイレンセ>

ミゲル・レアル(続投)

昇格初年度ながらリーグ11位と、思いの外、上位をキープ。その功績が認められ1年間の契約更新。

<12位 エストリル>

ファビアーノ・ソアレス(続投)

マルコ・シウバが築き上げたエストリル帝国を、大方の予想通りジョゼ・コウセイロが崩壊させ、途中解任。マルコ・シウバのテクニカルチームにも所属していたブラジル人ファビアーノ・ソアレスが、暫定監督としてチームを降格の危機から救った。

新監督が決定しないままプレシーズンに突入し、早くも出遅れた感があった中、ファビアーノ・ソアレスの続投が明かされた。今季限りの暫定監督のはずであったが、このタイミングでの残留発表。後任が見つからず、やむを得ない選択だったのかと推測せずにはいられない。マルコ・シウバが、3強に肉薄するチームに育てたエストリルを、再び2部常連の弱小チームに戻すことだけは避けたい。

<13位 ボアビスタ>

プティ(続投)

ポルトガル代表の功労者プティが、1年の契約延長を果たした。2006年ドイツワールドカップで、ポルトガル代表の一員としてベスト4を達成したのは記憶に新しい。2012年からボアビスタで選手兼監督を務め上げ、昨季は3部からの1部特殊昇格(八百長の疑惑が晴れたため)に貢献。今季は1部初年度ながら13位と大健闘した。来季も1部残留が現実的な目標だろう。

<14位 ビトーリア・セツバル>

ブルーノ・ヒベイロ(来季:ルドゴレツ)

→キン・マシャード(前:トンデーラ)

今季は、ドミンゴス・パシエンシアが結果を残せずに途中解任。ブルーノ・ヒベイロがチームを残留へ導いた(パシエンシアは来季よりアポエルの監督に)。来季は、トンデーラを2部優勝に導いたキン・マシャードに指揮を託す。2部優勝の勢いそのままに、上位戦線に食い込みたい。

<15位 アカデミカ>

ジョゼ・ビテルボ(続投濃厚)

パウロ・セルジオの途中解任に揺れたアカデミカは、ジョゼ・ビテルボのもと、何とか残留を決定。ジョゼ・エドゥアルド・シモインス会長が、同監督への信頼を強調しており、残留は濃厚。

<16位 アロウカ>

ペドロ・エマヌエル(来季:アポロン・リマソール(キプロス))

→リト・ビディガル(今季:ベレネンセス途中解任)

ポルト時代にアンドレ・ビラス・ボアスの元でアシスタントコーチを務めたペドロ・エマヌエルが、キプロスへ移籍。今季ベレネンセスを途中解任されたリト・ビディガルが新監督に就任した。同監督は、昨季のベレネンセスを残留に導いた「残留請負人」としての期待がかかる。来季も弱小クラブを1部残留に導くのが使命だ。

<2部1位 トンデーラ>

キン・マシャード(来季:ビトーリア・セツバル)

→ビトール・パネイラ(前:バルジン)

チームを1部昇格に導いたキン・マシャードが、セツバルに引き抜かれた。後任には、49歳のビトール・パネイラを招聘。今季シニアリーグ所属のバルジンをポルトガル2部リーグに昇格させた手腕が評価され、2013年10月以来のトンデーラ復帰となった。同監督は、ポルトガル代表では44試合出場のキャリアを誇るものの、監督としては、ポルト近郊のバルジンやゴンドマルなど弱小クラブから抜け出せていなかった。強豪並み居る1部での実力は、かなりの未知数と言えよう。

<2部2位 ウニアオン・ダ・マデイラ>

ビトール・オリベイラ

→ルイス・ノートン(前:シャービス)

ウニアオンを1部昇格に導き、2部リーグ最優秀監督に輝いたビトール・オリベイラ。61歳の老将は、2012-13シーズンのアロウカや、2013-14シーズンのモレイレンセなどを含め、15回の2部リーグ挑戦において、8つのチームを昇格へ導いたことになる。2部クラブの昇格成功率が53%にも上る「昇格請負人」は、任務を終えお役御免となった。

老将の後任として、今季マリティモを途中解任されたレオネル・ポンテス元ポルトガル代表アシスタントコーチなどに興味を抱いたが、最終的には前監督と同じ61歳のルイス・ノートンと1年契約を結んだ。同監督は、ベンフィカB、ビトーリア・セツバル、ビトーリア・ギマラインス、ギニアビサウ代表などを率いた経歴を持つ。昨季は2部のシャービスを率いていた。経験豊富な指揮官のもと、まずは1部残留を果たしたい。

 

<注目監督ベスト3>

1位 ジョルジ・ジェズス(スポルティング)

愛するクラブへ禁断の移籍を遂げた。ここ10数年低迷する3強の一角を、真の強豪に成長させることが使命である。ベンフィカで3度のリーグ優勝に輝いた手腕に、全スポルティンギスタの期待がかかる。彼が去ったベンフィカが失墜しないかどうかにも注視したい。

2位 パウロ・フォンセッカ(ブラガ)

ポルトでは失意のシーズンを過ごしたが、その実力はパソスで証明済み。リーグ3位となった「パソスの奇跡」を、新チームであるブラガで再現したい。3強の一角を崩す可能性は十分にある。今季の大注目ポイントだ。

3位 ジョルジ・シマオン(パソス・デ・フェレイラ)

9試合ながら、ベレネンセスの大躍進に貢献。38歳という若さで、実力者パウロ・フォンセッカの後釜を務めることに。まずは、今季同監督が築いたチームを維持すること。そこに自分自身のスタイルを融合させ、結果を残すことができれば、若さを武器に一気に注目監督の仲間入りを果たす可能性も。過去3年間で、3位、15位、8位と浮き沈みの激しいチームに安定をもたらしたい。

 

<年齢順>

38歳 プティ(ボアビスタ)

38歳 ジョルジ・シマオン(パソス)

39歳 イボ・ビエイラ(マリティモ)

41歳 エバンジェリスタ(ギマラインス)

42歳 サー・ピント(ベレネンセス)

42歳 フォンセッカ(ブラガ)

44歳 ペドロ・マルティンス(リオアベ)

45歳 ルイ・ビトーリア(ベンフィカ)

45歳 リト・ビディガル(アロウカ)

48歳 ロペテギ(ポルト)

48歳 キン・マシャード(セツバル)

49歳 ビトール・パネイラ(トンデーラ)

49歳 ファビアーノ・ソアレス(エストリル)

50歳 ミゲル・レアル(モレイレンセ)

53歳 ジョゼ・ビテルボ(アカデミカ)

59歳 マヌエル・マシャード(ナシオナル)

60歳 ジョルジ・ジェズス(スポルティング)

61歳 ルイス・ノートン(ウニアオン)

 

ちなみに…

マルコ・シウバ(オリンピアコス)がスポルティングの監督に就任した際の年齢は36歳。ビラス・ボアス(ゼニト)のポルト監督就任に至っては32歳の時。両者の特異的な若さが際立つ。

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