ポルトガル3強、16-17夏の補強診断。最も的確な補強を実現させたチームは!?

16-17シーズン夏の移籍市場が閉幕した。世界的な大型補強の余波に晒され、例年以上に名プレーヤーが巨額の富を残し流出したポルトガルリーグであるが、その覇権を争う「3強」はこの移籍市場でライバルに打ち勝つ補強を実現できたのだろうか。以下、ベンフィカ、スポルティング、そしてポルトの補強実績を評したい。(以下、主な移籍リストは全選手を網羅したものではないことご了承ください)

ベンフィカ

目玉補強
ラファ・シウバ


(ポルトガル代表の若手選手の中で実績No.1と言えるスーパースターを獲得)

リーグ3連覇中のベンフィカは、退団選手の穴を的確に埋める「ピンポイント補強」で、効率的かつ効果的なチーム強化を実現した。

チームを長年支えたエースの10番ニコ・ガイタンの後釜には、「ディ・マリア2世」との呼び声高いフランコ・セルビ、そして、昨季マラガの10番を背負ったリカルド・オルタの実弟であるU-21ポルトガル代表アンドレ・オルタを補強。さらには、スポルティングからの移籍志願で干され、昨季ベンフィカが獲得を決定させたWGアンドレ・カリージョがいよいよ本格的に加入する。

また、EURO2016にて大ブレイクし、バイエルンに引き抜かれたレナト・サンチェスの代替には、U-20ブラジル代表のキャプテンを務めたダニーロ・シウバを獲得。そして何と言っても、今季最大の目玉補強はポルトガル代表期待の若手ラファ・シウバ。ポルトとの争奪戦を制し、ブラジルW杯にも参加した念願の若手代表MFの獲得に漕ぎ着けた。(ただし、デビュー戦で早速負傷離脱の不運に見舞われた)

ポルトガル王者にしては例年ほど選手の入れ替えはなく、メガクラブからの主軸選手引き抜きもガイタンとレナトのみに抑え、ビクトル・リンデロフゴンサロ・グエデスネウソン・セメードなど各国代表クラスの慰留に成功。まさしく、リーグ4連覇へ視界良好といったところだろう。

補強採点:90点
放出採点:60点
マーケット総採点:150点

主な移籍
【放出】
レナト・サンチェス→バイエルン
ニコ・ガイタン→アトレティコ
タリスカ→ベジクタシュ(レンタル)
【加入】
フランコ・セルビ←ロザリオ・セントラル
ダニーロ・シウバ←ブラガ(レンタル)
アンドレ・カリージョ←スポルティング
アンドレ・オルタ←ビトーリア・セトゥバル
ラファ・シウバ←ブラガ

スポルティング

目玉補強
マルコビッチ


(ベンフィカ時代にはリーグMVP級の活躍でジョルジ・ジェズスとともにリーグ制覇を経験)

ベンフィカとポルトに比べ、マーケット閉幕間近まで穏やかな補強を進めていたスポルティングだが、残り1週間で急激な舵取りを強いられた。チームの中心選手であった欧州王者の10番ジョアン・マリオと、エースFWアルジェリア代表イスラム・スリマニが、それぞれ最高4500万ユーロと3500万ユーロもの大金を残し、欧州の強豪クラブへ引き抜かれたのだ。

トップ下でも右サイドでも戦える攻撃的MFジョアン・マリオの後釜には、アーセナルのジョエル・キャンベルをレンタルで獲得し、さらに監督ジョルジ・ジェズスの教え子マルコビッチをリバプールから補強。しかし、監督自身が「彼らは2年間何も成し遂げていない」と、メガクラブからレンタル加入する選手に過剰な期待を寄せるメディアを抑制した。

また、ジェズスが「ポケモンを探しに行く」と例えて獲得に漕ぎ着けた新エース候補バス・ドストを昨季30ゴール以上を記録したスリマニと「同じような特徴を持っている」と比較しながらも、昨季のグティエレスとスリマニのコンビほど得点を量産できるかについては「現在のFW陣では疑わしい」と厳しい目を向けた。

クラブからの退団意思を示したキャプテン、アドリエン・シウバの慰留には成功したが、ジョアン・マリオとスリマニ放出の影響は甚大。マーケット閉幕間際に大量獲得した新戦力の活躍次第で、昨季惜しくも逃したリーグ王者の座を奪還できるかどうかが決まるが、小粒な選手が揃った感は否めない。マルコビッチがベンフィカ時代のパフォーマンスを取り戻せるかなど、補強の成否はかなりの未知数だ。

補強採点:70点
放出採点:50点
マーケット総採点:120点

主な移籍
【放出】
アルベルト・アクイラーニ→ペスカーラ
アンドレ・マルティンス→オリンピアコス
ジョアン・マリオ→インテル
テオ・グティエレス→ロザリオ・セントラル(レンタル)
イスラム・スリマニ→レスター
カルロス・マネー→シュツットガルト(レンタル)
【加入】
ベト←無所属
エリアス←コリンチャンス
アンドレー←コリンチャンス
ジョエル・キャンベル←アーセナル(レンタル)
マルコビッチ←リバプール(レンタル)
バス・ドスト←ウォルフスブルク
ルーク・カスタイニョス←フランクフルト

ポルト

目玉補強
オリベル・トーレス


(リーグベストイレブンの輝きを放った14-15シーズン以来の復帰)

未だ、フッキやラダメル・ファルカオ、ジャクソン・マルティネスら歴代の名ストライカーの後継者を見つけられず、試行錯誤を繰り返すポルト。昨季チームを指揮した現スペイン代表監督フレン・ロペテギが得点力不足解消をかけて整備したFW陣、すなわち、ソク・ヒョンジョンやムサ・マレガ、バンサン・アブバカルらを一斉に放出。代わりに、アトレティコMFオリベル・トーレスを復帰させ、昨季パソスで2桁得点を記録したワンダーボーイ、ディオゴ・ジョッタを同じくスペインのメガクラブから補強した。さらに、小柄な技巧派MFに加え、ゲンクの点取り屋ベルギー代表FWローラン・ドゥポワトルという191センチの長身FWを獲得。トルコリーグへ放出した余剰新戦力3名全員が備えた高さ・強さを1人の9番に集約させた。

このように的確に余剰戦力を放出し、攻撃陣を刷新したポルトだが、その他のポジションでは理想の補強とは程遠い結果となった。リオ五輪ポルトガル代表10番ブルーノ・フェルナンデスはポルトの誘いに乗らずイタリアに残留。ポルトガル代表MFラファ・シウバはよりによって最大のライバル、ベンフィカへ譲り渡し 、レンタルでの復帰を画策したマンチェスター・シティCBマンガラもバレンシアに強奪されるなど、補強の成果はいまひとつ。極め付けは、チームの浮沈を左右するのが、彼ら補強組ではなく、Bチーム上がりの20歳、新10番アンドレ・シウバという事実だろう。新戦力の活躍いかんよりも、開幕から好調を維持し、ポルトガル代表デビューも果たした新エースが、ジャクソン・マルティンスの如く得点を量産できるかが最重要な鍵となる。

ただし、今季のポルトは主力選手を1人も欠くことなく新シーズンを迎えることに。ナポリ移籍が間近にあったエクトル・エレーラや、エバートンへの移籍が濃厚とされたブライミらの残留に成功した。チームの土台はほぼ変わらず、新任監督というハンデを乗り越えられるだろう。

補強採点:70点
放出採点:90点
マーケット総採点:160点

主な移籍
【放出】
ブルーノ・マルティンス・インディ→ストーク・シティ(レンタル)
ジョズエ→ガラタサライ(レンタル)
アルベルト・ブエーノ→グラナダ(レンタル)
ムサ・マレガ→ビトーリア・ギマラインス(レンタル)
ソク・ヒョンジョン→トラブゾンスポル(レンタル)
バンサン・アブバカル→ベジクタシュ(レンタル)
【加入】
フェリペ←コリンチャンス
アレックス・テレス←ガラタサライ
ボリー←ブラガ
ジョアン・カルロス・テイシェイラ←リバプール
オリベル・トーレス←アトレティコ(レンタル)
ディオゴ・ジョッタ←アトレティコ(レンタル)
オタービオ←ビトーリア・ギマラインス
ローラン・ドゥポワトル←ゲンク

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