【動画付きコラム】スタメンの固定化進むポルティモネンセ、中島翔哉は割り込めるのか?見習うべきはスポルティングの2選手

リオ五輪で日本代表の10番を背負ったFC東京FW中島翔哉が、1年間のレンタル移籍でポルトガル1部ポルティモネンセへ加入することが決定した。

リオ五輪の日本代表では絶対的な地位を確立していたこの中島だが、FC東京では、Jリーグ得点王を獲得したこともある2人の偉人、大久保嘉人とピーター・ウタカの存在もあり、毎試合スタメンとしてプレーするには至っていない。

果たして、そのような状況の中で、中島はポルトガル1部のこのクラブで出場機会を確保し、レギュラーとして活躍できるのだろうか。今回は、すでにポルトガルリーグを代表するプレーヤーとなった2人の若手ポルトガル人選手をベンチマークとして、中島がポルティモネンセでレギュラーとして活躍できる可能性、そして、ポルトガルで名を上げるために必要な能力について論じたい。

中島が移籍するポルティモネンセは、現在スタメンの固定化が進んでいる。ポルティモネンセが1部に復帰した2017-18シーズンのポルトガルリーグもすでに3節を終えたが、開幕ボアビスタ戦、強豪ブラガ戦およびリオ・アベ戦の3試合のすべてで、スタメンには同じメンバーが名を連ねた。

2部で戦った昨季は2トップ気味で戦う試合もあったポルティモネンセだが、今季の基本フォーメーションは4-3-3。

(※以下、カッコ内は年齢ではなく背番号)

GKはチームの絶対的守護神であるリカルド・フェレイラ(33)。

DFの4枚は、右から35歳の大ベテランRSBリカルド・ペッソーア(5)、CBにルーカス・ポッシニョーロ(3)とルーベン・フェルナンデス(26)、LSBにはルーマー・アグベニュー(15)。

MFの3枚は、左利きのポルトガル人ペドロ・サー(21)、昨季はMFながら9ゴールを記録したブラジル人パウリーニョ(8)、そしてエースナンバーを背負うエウェルトン(10)。(※ペドロ・サーとエウェルトンは、左右を入れ替えることもある)全員が23~24歳で中島と同年代の選手たちである。

FWの3枚は、RWGに開幕戦のボアビスタ戦で決勝ゴールを挙げ、ビトーリア・ギマラインスが関心を寄せるという新進気鋭20歳の若手レフティー、ブルーノ・タバタ(11)、CFにチームのエースである元鹿島ファブリシオ(90)、LWGに昨季ペナフィエルでシーズン8ゴールを記録した24歳の新加入ブラジル人FWウェリントン・カルバーリョ(27)。

これらスタメンをベースに、クラブのレジェンドである36歳ジョルジ・ピレス(9)や、23歳のギニアビザウ系ポルトガル人FWウィルソン・マナファ(19)、19歳のナイジェリア人FWチデラ(70)などが交代によって途中出場する戦術が固定化している。

中島翔哉が加入した場合、ポジションを争うことになるのは、主に両ウイングのブルーノ・タバタ(11)とウェリントン(27)になるだろう。彼らは、ほとんどの試合でともに途中交代しており、両ウイングには中島が途中出場できる機会が存分にある。同時に、3枚の交代枠を争うマナファ(19)やチデラ(70)なども試合出場をかけて競うライバルになり得るだろうし、中島がセントラルの位置でプレーするのであれば、ペドロ・サー(21)やエウェルトン(10)とのレギュラー争いも待ち受けることになる。

言及したウィングの4選手はみな中島と同年代、もしくは、中島よりも若く勢いがあり、ブラジルやアフリカにルーツを持つなど、スピードとテクニックに長けたウィンガーである。たとえリオ五輪で10番を背負い、将来日本代表の中心選手としてプレーすることが期待されている中島にとっても、出場機会を簡単に奪える相手ではない。当面は、決まり文句にはなってしまうが、途中出場で機会を伺いながら、ポルトガルサッカーの技術やスピード、プレーリズムに慣れ、同時にポルトガル語を習得してチームの一員として馴染んだ上で、限られたチャンスをものにしていくのが、スタメン出場に向けた現実的な路線だろう。ただ、中島がポルティモネンセで試合に出場するチャンスは、十二分にあるはずだ。

ではその中で、中島翔哉はどのようなプレーを身につけるべきなのか。是非、相手にとってより嫌な選手になるため、また、ポルティモネンセの絶対的なプレーヤーへと成長し、ポルトガルリーグを代表するアタッカーになるために、中島と同年代ながらすでにポルトガルリーグを代表する若手スタープレーヤーとして活躍する2選手のようなプレーを目指してほしい。

その2選手とは、ともにスポルティングに所属するFWジェウソン・マルティンスとMFブルーノ・フェルナンデスだ。

1人目のジェウソン・マルティンスは、現在22歳の若手ポルトガル人。カーボベルデにルーツを持ち、77番を背負うRWGということから、スポルティングのレジェンドFWナニと比較されることが多い。昨2016-17シーズンにポルトガル代表に定着し、代表のキャプテンでスポルティングの先輩でもあるクリスティアーノ・ロナウドが、レアルのペレス会長に獲得を進言したとも噂される、ポルトガル最注目のヤングスターである。

ジェウソン・マルティンス最大の武器は、サイドで相手DFを置き去りにする、圧倒的な突破力。CLで対戦したレアル守備陣、ブラジル代表マルセロやスペイン代表セルヒオ・ラモス、フランス代表ヴァランらも翻弄したほどだ。

このジェウソン・マルティンスは、昨季のポルトガルリーグで唯一2桁アシストを記録し、アシスト王に輝いたリーグを代表するドリブラーである。ルイス・フィーゴやクリスティアーノ・ロナウド、リカルド・クアレスマにルイス・ナニなど、ポルトガルおよびスポルティング伝統のウィンガーの系譜を継ぐ逸材だ。中島は、このジェウソンまでとは言わずとも、ポルトガルリーグでプレーするウィンガーとして、参考にすべき点は多いだろう。ジェウソンのように、個の力で相手守備陣のバランスを崩し、得点に結びつけるアシストを積み上げ、目に見える結果を残すことが、中島がポルティモネンセで絶対的な存在になるための鍵となる。金崎夢生もポルティモネンセでの約2年間で18ゴールと、しっかり結果を残したからこそ信頼を勝ち得ていた。

2人目のブルーノ・フェルナンデスは、今季スポルティングがサンプドリアから獲得したポルトガル人の攻撃的MF。中島と同様にリオ五輪で母国代表の10番を背負った選手である。スポルティングは今季獲得したこのブルーノ・フェルナンデスに、ポルトがフッキにつけたのと同額でリーグ最高額タイの違約金である1億ユーロを設定したことからも、その期待度の高さが伺える。

サンプドリア以前に所属したウディネーゼ時代は、パスセンスに優れ、豊富な運動量を武器に前線に飛び出したり、守備に貢献したりと「走れるファンタジスタ」のような印象が強かったブルーノだが、今季より加入したスポルティングでは、持ち前のテクニックにパワーが上乗せされ、ミドルレンジからのシュートなど新たな武器に磨きをかけている。

スポルティングがアウェイで昨季4位のビトーリア・ギマラインスを0-5で粉砕したポルトガルリーグ第3節の一戦で、ブルーノ・フェルナンデスの新たな武器が覚醒した。目の覚めるようなスーパーミドルを1試合に2度も沈め、スポルティングの新エースに名乗り出た。

中島翔哉もミドルシュートの意識が高い選手であり、実際にリオ五輪アジア予選のイラン戦での2ゴールを始め、いくつものスーパーミドルを沈めてきた。得意のミドルレンジからのシュートにさらに磨きをかけると同時に、ブルーノ・フェルナンデスがウディネーゼ時代から備えていたような豊富な運動量による前線からの守備でチームに貢献することができれば、ポルティモネンセにいる他のウィンガーにはない、中島独自の強みとなるだろう。

もちろん、ジェウソン・マルティンスとブルーノ・フェルナンデスはポルトガル3強の一角スポルティングでプレーする国内トップトップの選手であり、中島翔哉がポルティモネンセでこのレベルを求められることはないだろう。(当然、ポルティモネンセよりも高みを見据え、ポルトガル3強以上のクラブを目指すのであればこのレベルが求められる)

中島翔哉の武器である、敏捷なドリブル突破やゴールへ向かう強烈な意識、ミドルレンジからの得点力などは、十分ポルティモネンセでも通じるものであるし、前線での日本人らしい献身的な守備は、ポルティモネンセの他のウィンガーが備えていない中島特有の武器となり得る。最初は途中出場から徐々にポルトガルおよびポルティモネンセのサッカーに馴染み、スタメン出場の機会を虎視眈々と狙うこと。そして、ポルティモネンセで絶対的なレギュラーとして活躍し、ポルトガル3強以上のクラブへのステップアップを望むのであれば、ジェウソン・マルティンスのような、相手守備陣を独力で切り裂く圧倒的な突破力を身につけ、ブルーノ・フェルナンデスのような、中距離から得点を量産できる走れるファンタジスタへと変貌を遂げてほしい。

ポルトガルリーグのFW陣には、独力で試合を決定づけられる力が大いに求められているのは間違いない。結局、鍵を握るのは、中島本人が移籍に際して「Jリーグより確実に個の能力が高いのは明らか」と語ったように、独力で状況を打破する突破力や、一発で状況をガラッと変える得点力など、ゴール・アシストという結果に繋がる「個」の力を磨きあげることに尽きるのかもしれない。

ポルティモネンセ、2017-18シーズン第3節までのハイライト動画

第1節 ボアビスタ戦 2-1 ○

第2節 ブラガ戦 1-2 ●

第3節 リオ・アベ戦 0-2 ●