「監督大航海時代」最果てのポルトガル人監督。明暗分かれた4名のマイナーリーグ挑戦者

時は「監督大航海時代」

かつて海洋帝国を築いた航海士の如く、ポルトガル人監督が世界各国へ進出し、新たな挑戦に臨んでいる。

昨季は、CLで大躍進を遂げたモナコのレオナルド・ジャルディンや、リーガ・エスパニョーラに衝撃を与えたバレンシアのヌーノ・エスピリト・サントらが、母国若手監督の評価を高めた。今季も、ここまでギリシアリーグを6連勝で首位に立ち、CLでは強豪アーセナルをアウェイで沈めたオリンピアコスのマルコ・シウバや、CLでグループ首位に立つゼニトのアンドレ・ビラス・ボアス、セリエAで単独首位に立ったフィオレンティーナのパウロ・ソウザなど、ポルトガル人監督の活躍ぶりは衰えていない。

ここに挙げた監督はみな、ヨーロッパサッカーの中心(スペイン、フランス、イタリア)やその周辺国(ロシア、ギリシア)で指揮を執っているが、実は、世界各国に活躍の場を移したポルトガル人監督は、彼ら中心国や周辺国に籍を置く者たちだけではない。東欧の小国であるキプロスやブルガリア、またはヨーロッパ付近のアフリカなど、「ヨーロッパフットボール界の最果て」と言える地域でも、かつての大航海時代の如く、ポルトガル人監督ブランドの「布教活動」に貢献している者がいるのだ。

今回は陽の目を浴びる機会の少ない、最果ての地、マイナーリーグで指揮を執る4名のポルトガル人監督を紹介する。ポルトガル人監督による世界進出の「第一波」とも言えるモウリーニョに引き続き、前述の若手監督による「第二波」が到来し、ポルトガル人監督が再び注目を集めている現代。一方で、彼らの華々しい活躍の裏に、最果ての地でもがき苦しむ同国監督の姿があった。

1.ジェズアウド・フェレイラ
69歳の大ベテラン監督。ビラス・ボアス就任前のポルトの他にも、ベンフィカやスポルティング、ブラガといったポルトガルの4強を指揮した経歴を持つ国内屈指の名将。ポルトガルリーグ制覇経験はなんと3回。現在はヨーロッパから離れたアフリカ大陸にて、エジプトのザマレクSCを指揮している。ポルトガル時代の豊富な経験値を生かし、アフリカの地で大活躍。マイナーリーグのポルトガル人監督の中では飛び抜けた存在だ。アフリカコンフェデレーションズカップでは、準決勝にて2戦合計4-5で、惜しくもあと1点及ばずに決勝進出を逃したが、エジプトカップでは、アル・アハリに2-0で勝利し、タイトルを戴冠。同クラブ相手には19試合ぶりの勝利を決勝の大舞台で成し遂げ、ザマレクに3年連続となるエジプトカップをもたらした。

2.ペドロ・エマヌエル
東欧はキプロスのアポロン・リマソールで指揮を務める。ポルトではモウリーニョのもと選手を務め、2010-11シーズンには、アシスタントコーチとしてビラス・ボアスの4冠を支えた。ポルトガル1部リーグでは、アカデミカやアロウカの監督を経験し、今季よりキプロスへ活躍の場を移した。現在、アポロンはキプロスリーグで4位につけており、今後、リーグ優勝に向けて巻き返しを図る。

3.ブルーノ・ヒベイロ
2014-15シーズンには、ドミンゴス・パシエンシア解任後のビトーリア・セトゥバルで指揮を執り、チームを1部残留に導いた39歳(10月22日、40歳に)の若手監督。今季は、リーグ3連覇中で前年にはクラブ史上初となるCL出場を達成していたブルガリアの名門ルドゴレツの監督に就任した。しかし、CL予選第2戦に敗れ、本選出場を逃したことで早々に解任。若手監督の異国の地での挑戦は、早くも幕を閉じた。

4.レオネル・ポンテス
ブラジルW杯ポルトガル代表監督パウロ・ベントの右腕を長らく務めていた名アシスタントコーチ。W杯後には、ポルトガル1部リーグ、マリティモの監督に就任したが、自身初となる1部クラブ主監督としての挑戦が軌道に乗らず途中解任。今季より、ギリシアのパナイトリコスの監督となった。スポルティングでタイトルを獲得し、強豪オリンピアコスを率いるマルコ・シウバとは違い、同じくギリシアでも注目度が低く、ヨーロッパの最果てとも言える挑戦は、成績不振を理由に早期終了。2年連続での途中解任の屈辱を味わうこととなった。

異国の地では、ポルトガルリーグである程度の結果を残した者でも苦戦を続け、また、ポルトガルリーグで苦悩の日々を送った者は、同じく屈辱を味わうという困難に直面している。その環境でも成果を上げ、クラブにタイトルをもたらした者ですら、母国のニュースで大々的に取り上げられることはない。マイナーリーグで指揮を執る監督は、暗黒の中でこの孤独と戦っているのだろう。

ヨーロッパの中心で重圧に打ち勝ち、華々しい注目を集めるポルトガル人指揮官の影には、マイナーリーグで四苦八苦する同国監督がいる。彼らの功績や苦難を照らすことで、困難待ち受ける航路を進む、彼らの幸運を祈る。