【FutePor Scout File Number 13】アンドレ・シウバ(ポルト/U-20ポルトガル代表/FW)

宿敵ベンフィカにリーグ3連覇を許し、屈辱のシーズンから抜け出せずにもがき苦しむポルト。そんな危機的状況からクラブを甦らす救世主に選ばれたのが、Aチームに定着したばかりの20歳の青年であった。

パウロ・フォンセッカ(現シャフタール監督)やフレン・ロペテギ(現スペイン代表監督)ら若き名監督がことごとく逃したポルトガルリーグ王者の座。業を煮やしたピント・ダ・コスタ会長は、16-17シーズンにクラブの古株ヌーノ・エスピリト・サントを監督招聘。バレンシアで名を馳せた青年監督にクラブの再建を託した。

そのようなクラブ状況下で、エスピリト・サントが自身の使命を果たすキーパーソンに選んだのが、前年にBチームとAチームを行き来した生え抜きアンドレ・シウバ。20歳のストライカーをAチームに引き上げ、期待を込めてクラブ伝統のエースナンバー10番を与えた。

アンドレ・シウバは、まさにタイトルに見放されるポルト、そして、ワントップ不足と嘆かれ久しいポルトガル代表の未来を担うであろうストライカーの原石である。同選手最大の武器は、ゴール前での優れたポジショニングスキル。20歳の若さながら、ボールが来るポジションを的確に予測し、巧みな裏への抜け出しやゴール前での落ち着きのあるトラップなど、高い基礎スキルをベースに一見「簡単に」ゴールを決める。いわゆる「ごっつぁんゴール」が多く見られるのも特徴だが、それはこの高度なポジショニング能力があってこそ。このスキルに加え、クロスに点で合わせるヘディング技術に優れており、185㎝とワントップとしては決して高身長ではないながらも、頭でも多くのゴールを陥れる、まさにFWに必要な全ての能力を平均以上に備える万能型ワントップである。

15-16シーズンには、圧倒的な強さを見せ優勝したポルトBで2部リーグMVPに輝き、その将来性を見込まれて10番を託されたアンドレ・シウバだが、同選手が築く10番像はこれまでのポルトの歴史の中でも異質なものとなるだろう。ポルトの10番といえば、デコやハメス・ロドリゲス、近年だとその後継者と注目された(が結果を残せなかった)ファン・キンテロら、いわゆる「テクニシャン」タイプ。それに対し、アンドレ・シウバに期待される役割は、ビラス・ボアスとともに歴史的な4冠を達成したラダメル・ファルカオや、その後継者として3年連続リーグ得点王に輝いたジャクソン・マルティネスらを手放して以来代替のいない「エースストライカー」9番のポジションである。

ただしさすがの注目株である。アンドレ・シウバはその期待に違わず、プレシーズンからゴールを量産した。サポーターへの新体制お披露目となった強豪ビジャレアルとの試合ではこの日唯一の得点を挙げ、ローマとのCL予選ファーストレグでは終了間際にチームを救う同点弾を決めるなど、早くも重要な試合を決定づけるエースストライカーへと変貌しつつある。この活躍ぶりに注目したポルトガル代表監督フェルナンド・サントスが、近々A代表に招集するのではないかという現地メディアの報道も存在するほどだ。ベンフィカのAチームに定着して半年のレナト・サンチェスをEURO2016へ連れて行くなど、若手でも大胆に抜擢する同監督であれば、A代表デビューの可能性も低くはない。

ポルトが願ってやまない4年振りのリーグタイトル。その鍵を握るのは、クラブ伝統の10番を背負う9番タイプの若き点取り屋アンドレ・シウバになるのかもしれない。エースナンバーを背負う今季の活躍次第では、憧れと語ったジャクソン・マルティネスの後継者に相応しい、ポルトガルの話題をさらう名選手への道が拓けることだろう。