【FutePor Scout File Number 14】エデルソン・モラエス(ベンフィカ/ブラジル代表/GK)

ついに、ジーダやジュリオ ・セーザルら「セレソン」の名GKの系譜を継ぐ逸材が現れた。

ベンフィカに所属する23歳の若き守護神エデルソン・モラエス。クラブでは、ジュリオ・セーザル負傷の危機にその代替を務め上げ、その活躍が認められ招集されたブラジル代表でも、母国W杯以来見つからない同選手の後継者として期待されている。

突然世界中から脚光を浴びることとなったこのエデルソン。逆風が襲ったクラブで流星の如く登場したそのカリスマ性に、スター選手へとなり得る器の大きさが垣間見える。

2015-16シーズン、ベンフィカは絶対的守護神ジュリオ・セーザルが負傷離脱する危機に見舞われた。ルイ・ビトーリア監督就任後、3戦全敗を喫していた宿敵スポルティングとの「リスボン・ダービー」、そしてCLベスト8をかけたゼニトとの大一番という2つの決戦を前にした絶望的な悲劇だった。しかし、この年結果としてリーグ3連覇を果たし、CLではベスト8進出を達成するなど輝かしいシーズンを送ることとなったベンフィカにとって、このエデルソンこそが「運命の分岐点」を乗り越えるキーマンであった。

リオ・アベからベンフィカBに移籍し、Bチームでたった3試合を戦っていただけのイチ若手選手が、大一番スポルティング戦でいきなりのAチームデビュー。数々の危機を渾身のセーブで乗り切り、90分を無失点で守りきりって当季対スポルティング4戦目にして、チームを1-0の初勝利に導いた。続くゼニト戦でも相手の反撃を1点に抑え、ベンフィカは2試合合計3-1でCLベスト16を突破した。

大一番2連戦で期待以上の結果を残したエデルソンは、このシーズン残りの試合全てに出場。チームは15試合で13勝1分1敗と優れた成績を記録した。しかもこの1分1敗はあのバイエルンとのCL準々決勝である。エデルソンがゴールマウスに立ってからはポルトガルリーグで13戦全勝と、ベンフィカの大逆転優勝に多大なる貢献をしたのだ。

唯一勝ち星をあげられなかった世界最強クラブとの2連戦は合計2-3と惜敗したが、この試合後、グアルディオラが翌シーズン率いるマンチェスター・シティにエデルソンを引き抜くことを希望しているとの報道がされるなど、まさに評価はうなぎ登り。ついには、のちに負傷で不参加となる災難に見舞われたが、コパ・アメリカに臨むブラジル代表GK3名の一角に抜擢された。

このようにスター性に溢れるトップチームデビューを飾ったエデルソンは、観客にとって最も「花形」GKに近い派手な選手だ。未だ荒削りで取りこぼしなどは散見されるが、長い手足と持ち前の機動力を活かし、1点分のシュートをギリギリのところで0点に変える決定的なセーブを連発する。相手選手との衝突を恐れない勇気ある飛び出しや正確なロングフィードも特徴である。

ベンフィカの新監督に就任し、次々とユースやBチームの選手をトップチームに昇格させ、いずれも僅か半年足らずで各国のA代表送り込んだルイ・ビトーリア監督。15-16シーズンは、前半戦にネウソン・セメードゴンサロ・グエデスが頭角を現し、後半戦にはレナト・サンチェスが登場するなど、もうこれほどの若手選手は出てこないだろうと見られていた最中での、最後の切り札となったエデルソン・モラエス。ベンフィカでジュリオ・セーザルの代替として緊急登板し、流星の如く急成長を遂げた同選手だが、次はその後継者としてブラジル代表の守護神を担う日が近いのかもしれない。