【FutePor Scout File Number 9】ネウソン・セメード(ベンフィカ)

2015-16シーズンの開幕前、8年間にわたってベンフィカ不動のRSBに君臨したウルグアイ代表マキシ・ペレイラが、最大のライバルであるポルトへ禁断の移籍を決断した。クラブの看板であり、チームを支えるリーダーの移籍によって、RSBのポジションはアキレス腱になるのではないかとの不安がこだました。

そんな状況下で、1人のヤングスターが彗星の如く現れた。ポルトガルとカーボベルデの二重国籍を持つ、21歳のネウソン・セメードだ。

前2014-15シーズンは、ベンフィカのBチームで45試合を経験。そして2015-16シーズンに新監督ルイ・ビトーリアの大抜擢を受けて、エストリルとの開幕戦にスタメン出場を果たした。そしてこの試合で、トップチームに昇格したての若手DFが早速ゴールを決めた。

その後、セメードはリーグ戦全試合のスターティングイレブンに名を連ねた。圧倒的なスピードを武器に右サイドを駆け上がり、ウイングの選手にも匹敵するドリブルスキルで、敵に囲まれながらも強引に突破する。また、パスセンスにも定評があり、ピンポイントクロスや正確なボール配給で攻撃陣を支える。攻撃的なSBであることは確かだが、その俊足はディフェンス面でも効力を発揮するのだ。

優れたパフォーマンスでポルトガルメディアの注目を一身に集めたセメードは、リーグ前半戦の主役に躍り出た。その活躍ぶりは海を越え、イタリアのインテルやイングランドのアーセナルなど、強豪クラブが彼を一目見ようとスカウトを派遣した。

セメードのシンデレラストーリーは終わらない。10月には、代表監督フェルナンド・サントスの信頼を勝ち得て、ポルトガルA代表にサプライズ招集。それまで、ユース世代から代表には恵まれなかった21歳の若者にとって、まさに青天の霹靂だった。

しかし、フットボールの女神は若者に試練を与えた。セルビアとの試合で代表デビューを飾ったセメードだったが、この試合で右膝を負傷し、全治8週間以上の怪我を負ってしまった。年内の復帰が難しくなり、ベンフィカにとっても選手自身にとっても、好調なペースを一時中断されるという不運が訪れた。

この逆境を乗り越え、おそらくセメードはより強くなってチームへ復帰することだろう。いやそうでなくてはならないのだ。彼は、ポルトとスポルティングに遅れをとるベンフィカがポルトガルリーグ3連覇を果たすには欠かせないピースである。そしてそれ以上に、サウサンプトンで活躍する同じ若手RSBのセドリックとしのぎを削り、ポルトガル代表の今後10年間を支える確かな才能なのだ。