#6「黄金比率の応援団」

小さなピッチの周りでは、ピッチを取り囲むように親御さんが練習を見ています。上から見下ろせるような構造になっているので、どこに我が子がいても見失うことはなさそうです。
そして何より、声が響くのです。斜め下に向けて発せられた声は、力学的に回り回って(自分でも何を言っているのかわかりませんが)、子供達に降り注ぎます。ゴールが決まったり、良いプレーがあると、子供達は大喜び親御さんたちはもっと大喜び。そしてそれに乗せられた子供達は、さらに一生懸命にボールを追いかけます。その相乗効果こそが、子供達を育てるポイントの一つだと思うのです。

そうそう、今回はこの親御さんたちの「応援」について話を進めていこうと思います。
欧米人の応援と言えば、それはそれは感情的で、審判に文句言うわ選手に文句言うわ、しまいにはふてくされるわ、みたいなイメージありますよね?僕はその一種のプレッシャーが選手を育てるのだと信じているので、欧米人の試合観戦を見ているとワクワクしてきます。ただ、こと子供達の応援に関しては、「やりすぎ」はダメなのかなあなんて、思ったりもしていました。子供達が萎縮してしまっては、プレーを怖がってしまう原因になりかねません。言いすぎてもダメだし、かといって応援をしないのも違うし、うるさい方が子供達がやる気出るし、かといってうるさすぎたらダメだし、プレッシャーがなかったら選手は育たないし、プレッシャーがありすぎてもダメだし…。

しかし、僕はここポルトで、「親御さんの応援」の正解を見たような気がしました。スクールの練習を見学した次の日、スクール生の試合がありました。僕の隣で見ていたおばさんは、さてさてやっちゃいますか、みたいな顔をして立ち上がると、大音量に歌唱力を添えて歌い始めました。これがもし僕のお母さんだったら、恥ずかしさのあまりサッカーを辞めざるを得ないと思いますが、ここは日本ではなくポルトガルなので、全くもってノープロブレム。というより、子供達も観客も、ノリノリになっちゃいます。
子供達が失敗をしても、「次つぎ!どんまい!(推測)」といった声が飛び交い、良いプレーに関しては「クゥー!最高!(推測)」などと子供達を盛り上げます。たまに審判に文句言うのはご愛嬌、選手本人には味方だろうが相手だろうが否定的な声は一切ありません。なにかこう、親御さんたちの暗黙の協力意識とでもいいましょうか、皆で協力をして子供達にサッカーを楽しんでもらおうと工夫をしているように思いました。顔がこう、どことなく優しいのです。かといって、しっかり「勝ってほしい」という思いは伝わってきます。絶妙なバランス。黄金比率です。コーヒー7、牛乳3です。

そんな素晴らしい応援をされて、子供達はどんな表情をし、どんな態度でサッカーをプレーしていたのでしょうか…

【寄稿アミーゴ】

kazumaKA’zuma

1992年生まれ東京都出身。2016年世界のサッカーを観るためにアジアとヨーロッパ15ヶ国以上を歩きまわって来ました。サッカーと本と、時々写真で生きています。

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