冠詞

fp-learning_%e5%86%a0%e8%a9%9e

冠詞とは、英語でいう「a」や「the」のことであり、名詞の前に付く、単語とは言えないある種の「文字」です。

冠詞には3種類あります。すなわち、「不定冠詞」「定冠詞」「無定冠詞」。それぞれの使い分け方法という論点は英語と共通していますが、特にポルトガル語の冠詞を把握する上で最重要となるのは以下2点です。

  • 付属する名詞の「性」「単数/複数」によって、不定冠詞/定冠詞ともに変形する
  • 不定冠詞/定冠詞は、前置詞と合体する

この2点に着目しながら、冠詞を学んでいきましょう。

【冠詞の変形と用法】

まずは、3種類の冠詞に関する変形と用法です。なお、無定冠詞とは、冠詞とは言え「冠詞を使用しない」例外的な形であるため、覚えるべき冠詞の変形は、不定冠詞と定冠詞の2つのみとなります。

不定冠詞の変形と用法

変形:
不定冠詞とは、英語でいう「a」「an」。ポルトガル語では「um」「uma」「uns」「umas」の4種類が存在します。英語では「母音の前に付くaがanになる」程度の変形だけですが、前述の通り、ポルトガル語では、名詞の性/単複に合わせて変形します。「golo(ゴール)」という男性名詞と「bola(ボール)」という女性名詞を例に、下表を見てみましょう。

不定冠詞の変形

男性名詞 女性名詞
単数形 um golo uma bola
複数形 uns golos umas bolas

不定冠詞umを基本に、aを付け女性形にしてuma、sを付け複数形にしてuns/umasのように、名詞の変形と酷似していることが分かります。(unsの場合、umにsを付けるとumsになりそうですが、前回の「名詞の単数/複数形の原則5」のように、「mで終わるものはmをnに変えてs」を付けます)

用法:
不定冠詞は、会話の中で初めて登場する名詞、すなわち話し手の頭の中だけで特定されていて、聞き手にとっては不特定な名詞に付きます。例えば、

Eu vi um jogador na rua ontem.「昨日通りでサッカー選手を見た」
Quem?「誰?」

Aさんの頭の中では、このサッカー選手を特定できていますが、Bさんにはできていません。そのため、この文脈では不定冠詞を使用します。

定冠詞の変形と用法

変形:
定冠詞とは、英語でいう「the」。ポルトガル語では「o」「a」「os」「as」の4種類が存在します。こちらも名詞の性/単複に合わせて変形します。同じく、「golo(ゴール)」という男性名詞と「bola(ボール)」という女性名詞を例に、下表を暗記しましょう。

定冠詞の変形

男性名詞 女性名詞
単数形 o golo a bola
複数形 os golos as bolas

こちらも、定冠詞oを基本に、女性形にしてa、sを付け複数形にしてos/asのように、名詞の変形と同様の変化をします。

用法:
定冠詞は、会話の中で2度目に登場した名詞等、話し手と聞き手双方の頭の中で特定されている名詞に付きます。例えば、

Cristiano Ronaldo, o internacional português, marcou quatro golos.
「ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウドが4ゴールを決めた」

新聞に出てきそうな文章ですが、こちらはメディアという「話し手」と、読者という「聞き手」の中で「クリスティアーノ・ロナウドというポルトガル代表選手」が双方で特定されているため、定冠詞を使用します。

無定冠詞の用法

用法:
本来名詞には冠詞が付きますが、無定冠詞は、例外的に冠詞が付かずに名詞だけが文章に残るケースです。「~というものは」という一般論を話すときの名詞や、目的語として使用されている国籍や職業、言語等を表す名詞には冠詞が付きません。ちなみに、o Japão(日本)のように定冠詞が付く国名がある中、  Portugal(ポルトガル)のように冠詞が付かない国名もあります。こちらも出会った都度覚えていくといいでしょう。

Eu sou   jogador de futebol.「私はサッカー選手です」(職業を表す目的語)
Falo   português.「ポルトガル語を話します」(言語を表す目的語)

【前置詞との合体】

ポルトガル語の冠詞について、不定冠詞/定冠詞の変形と同じく重要となるポイントが「前置詞との合体」です。冠詞が特定の前置詞の後ろに来た場合、両者が合体して全く異なる形になります。メディア等文章でも頻出のため、暗記しておかないと読解に苦労することになります。

冠詞と合体する前置詞の代表例は、a(英語でいうto)やde(英語でいうof/from)、em(英語でいうin/on/at)やpor(英語でいうby)。sobre(英語でいうabout)やcom(英語でいうwith)等は冠詞とは合体しません。ぜひ下表を覚えてみてください。
(※「英語でいう~」は、代表的な英語の類似単語を挙げております。ポルトガル語と英語の前置詞は意味が異なるため、両者は完全に一致するものではありません。大体のイメージを掴んでいただくために記載しております)

不定冠詞 定冠詞
um uma uns umas o a os as
a ao à aos às
de dum duma duns dumas do da dos das
em num numa nuns numas no na nos nas
por pelo pela pelos pelas

特に、「定冠詞」と前置詞の合体は頻出ですので、確実に覚えましょう!

【FP例文】

最後に、今回から各ページの最後に「FP例文」というコーナーを開始します。「FP例文」では、ポルトガルのサッカーメディアで実際に使用された文章を引用し、各単元で学んだ知識を生きたポルトガル語の中で活用していただくことを目的としています。ぜひFP-Learningで学んだ知識を活用し、ポルトガル語が「読めるようになった」感覚を味わってみてください。
<FP例文>

William Carvalho foi um dos jogadores que se valorizaram no Campeonato da Europa de França.

ウィリアン・カルバーリョは、フランスで行われた欧州選手権で価値を高めた選手のうちの一人である」-『SAPO Desporto』2016/09/14

<解説>
①不定冠詞
・um→以下<重要単語>参照

②定冠詞
・dos jogadores→前置詞de+定冠詞os=dos。umと同じく以下<重要単語>参照
・no Campeonato→前置詞em+定冠詞o=no
・da Europa→前置詞de+定冠詞a=da
大会を表すcampeonatoやヨーロッパを意味するEuropaは、メディアの書き手・聞き手が「欧州選手権」「ヨーロッパ」として特定している名詞のため、定冠詞を使用

③無定冠詞
・William Carvalho→人名は基本的に無定冠詞。親しい間柄や呼びかけの際には冠詞を付ける場合あり
・França→冠詞のつかない国名

<重要単語>
・um dos 名詞複数形 que~「~なうちの一人」(不定冠詞umを名詞的に使って英語でいうone of the~を表す頻出表現)
・o Campeonato da Europa「欧州選手権、EURO」
・França「フランス」
・que「英語で言うthat」

<その他の文法事項を学ぶ>

FP-Learning

<推薦図書>

→日本で唯一といっても過言ではない「ポルトガルのポルトガル語」を扱う基礎文法書。付属のCDを使って、ポルトガル語最大の山場である単語の活用やポルトガルのポルトガル語特有の発音を耳で覚えられます。

→一般的な文法書とは違い、文庫本のようにすらすらとポルトガルのポルトガル語の基礎文法を学べます。机に向かう暇がなく、電車や布団の中で肩を張らずに学びたい方向け。