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【保存版】19-20季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

2018-19シーズンのポルトガルリーグを制したのは、「Bチームの人材」が躍動したベンフィカだった。Bチームから途中就任したブルーノ・ラージュ監督のもと、Bチームから昇格して1年目のジョアン・フェリックスら若手が躍動。シーズン序盤のつまずきを猛烈な勢いで挽回し、首位を独走していたポルトとの熾烈な優勝争いを2年ぶりに制した。

一方のポルトは、CLこそベスト8に進出するも、2連覇を期して臨んだリーグ戦では、ベンフィカ相手にシーズンダブルを許し、タイトルを逃す屈辱。今季は多くの主力選手が退団し、チーム編成も一新する中で王座奪還に挑む。

今季は中島翔哉がカタールからポルトへ、さらには、安西幸輝(ポルティモネンセ)や前田大然(マリティモ)ら若き日本代表世代が中島の成功例の再現を求めてポルトガルへの移籍を決断。中島がポルティモネンセに所属していた昨季よりも、日本におけるポルトガルリーグへの注目度が一層に増すことだろう。新シーズンもベンフィカとポルトを中心にタイトル争いが展開されるであろうポルトガル1部リーグについて、今年も毎年恒例、全18チームの監督名鑑をお届けする。

昨季1位 ベンフィカ:ブルーノ・ラージュ

ブルーノ・ラージュ(続投)

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クラブにジョルジ・ジェズス時代から続くリーグ4連覇(自身2連覇)をもたらしたルイ・ビトーリアをシーズン序盤に途中解任し、Bチームからブルーノ・ラージュを昇格。この大抜擢がベンフィカのシーズンを一変させた。

かのジョゼ・モウリーニョですらポルト優勢と踏んでいた優勝争いを怒涛の連勝で覆し、就任後19181分と驚異的な追い上げを見せ、クラブに2年ぶりのタイトルをもたらした。特にトータルでシーズン103点を叩き出した攻撃陣の躍動は目覚ましく、ナシオナルとの一戦は10-0という衝撃の大勝を飾った。この快進撃は、序盤戦こそ「今季はポルトだろう」と予想していたモウリーニョを、のちに「私が間違っていた」と言わしめるものだった。

今季もクラブは、昨季リーグ戦終盤を無敗で乗り切ったブルーノ・ラージュに指揮を託す。スカッドとしては、2度のリーグ得点王と2年連続の年間MVPなどポルトガルで輝かしいキャリアを積んだジョナスが引退したが、リーグ得点王ハリス・セフェロビッチやランキング3ラファ・シウバ、アシストキングのピッツィら多くの主力選手が残留。かつては鹿島アントラーズに所属したカイオ・ルーカスもいよいよ今季からチームに合流するなど、既存戦力と新戦力のバランスはよい。インターナショナルチャンピオンズカップでは、ミランやフィオレンティーナなどイタリアの強豪を撃破して優勝を飾り、スポルティングとのスーペルタッサを5-0で完勝するなど、チームの滑り出しは良好だ。監督自身が昨季まで育て上げたジョッタらBチーム出身選手もインパクトを残し、毎年恒例となりつつあるリーグを代表する新星の頭角も期待できる。

リーグ2連覇と昨季は失意に終わった国内カップ戦およびCLでの躍進のためには、トップチームで初めてフルシーズンの指揮を執る監督自身の育成・抜擢の手腕が大きく問われるが、現状チームの出来上がりは極めて順調。今季はこのブルーノ・ラージュが国内のあらゆるタイトル争いをリードすることだろう。

昨季2位 ポルト:セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(続投)

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古巣ポルトをビトール・ペレイラ期以来5年ぶりのリーグ王者に導いたセルジオ・コンセイサオンだが、2年連続のリーグ優勝を目指した昨季は、ベンフィカにシーズンダブルを許すなど苦難の年に。ベスト8進出と躍進したCLとの両立に苦しみ、終盤はドローが続いて下位クラブから勝ち点を取りこぼした。

それでも、優勝シーズンにジョゼ・モウリーニョの持つクラブ歴代最多勝ち点記録862ポイント多く塗り替えた若き名将への評価は色あせず。心筋梗塞の影響で現役続行が不透明な守護神イケル・カシージャス、守備の要であったエデル・ミリタオン(レアル・マドリード)とフェリプ(アトレティコ・マドリード)、豊富な運動量で長らくチームを支えていたエクトル・エレーラ(アトレティコ・マドリード)、圧倒的な個人技でアクセントを加えていたヤシン・ブライミ(アル・ラーヤン)ら、主力選手が大量に流出し変革期を迎えるチームの再建に挑む。

今季もクラブ伝統の4-3-3と監督が得意とする4-4-2システムを使い分け、手堅く勝負強いサッカーが志向されるだろう。タイトル奪還のためには、CL予選アウェイのクラスノダール戦ではベンチ外となった中島翔哉やレンソ・サラビアら、新戦力の躍動が不可欠。多くのメンバーが入れ替わった今季の成績は、彼ら新戦力のパフォーマンスに直結するため、コンセイサオンのチーム作りには序盤戦から注目が集まる。

昨季3位 スポルティング:マルセル・カイザー

マルセル・カイザー(続投)

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ポルティモネンセ相手に4-2と破れた直後、スポルティングは早々に手を打った。新監督として招聘したジョゼ・ペゼイロは、大方の予想通り平凡な成績に甘んじ、不名誉な「ポルトガル1部リーグ監督交代第1号」となってしまった。

この迅速な判断が吉となり、オランダ人新監督マルセル・カイザーのもとチームは何とか立て直し、リーグ戦は3位と最低限の結果をマーク。カップ戦では、リーグカップとポルトガルカップの2冠に輝き、スーペルタッサとポルトガルカップを戴冠した2007-08シーズンぶりの2タイトルを獲得するなど、近年稀に見る好成績を残した。ただやはり、何としても手中に収めたいのは、2001-02シーズン以来となるリーグタイトルだろう。

カイザーが率いたシーズン後半は、リーグ戦9連勝と怒涛の追い上げを見せ、来季への期待感をにおわせた。ポルト時代のフッキ、ベンフィカで引退を発表したジョナスに続いて、2年連続リーグ年間MVPに輝き、MFながらシーズン32ゴールを記録してアレックス(当時フェネルバフチェ)が保持していたヨーロッパMF歴代最多得点記録を更新するなど、リーグを代表するアタッカーとして君臨したブルーノ・フェルナンデスの移籍動向は気になるところだが、いずれにせよ、20年ぶりのリーグ制覇のためには、この絶対エースに依存しないチーム作りが必要だ。

昨季4位 ブラガ:リカルド・サー・ピント

アベル・フェレイラ(今季:PAOK)

リカルド・サー・ピント(前:レギア・ワルシャワ)

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2017-18シーズンにブラガの歴史上最も多くの勝ち点(75)を稼いだアベル・フェレイラは、昨季もチームを「ポルトガルの4強」の地位にキープさせ、最低限のミッションは達成。2シーズンにわたり安定的な結果を残した手腕が評価され、自身の監督キャリアでは初となる海外挑戦のため、ギリシアのPAOKへと旅立った。

新監督には、ギリシアやベルギーなど国外中位リーグでの実績が豊富なリカルド・サー・ピントを招聘。ポルトガルでの指揮は2015-16シーズン以来となるが、国内での実績は正直なところ乏しい。クラブ史上最高の監督となったアベル・フェレイラの後釜として4強の座を死守できるか。監督にとってもクラブにとっても、試練の1年を迎えるだろう。

昨季5位 ビトーリア・ギマラインス:イボ・ビエイラ

ルイス・カストロ(今季:シャフタール)

イボ・ビエイラ(前:モレイレンセ)

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ビトーリア・ギマラインスをリーグ5位に導いたルイス・カストロは、パウロ・フォンセッカ監督をローマに差し出したウクライナ王者シャフタールの監督に抜擢された。ルイス・カストロが、フォンセッカの後任として監督就任するのは、同監督がポルトで途中解任され、自身がBチームから昇格した2013-14シーズンを想起させる。

後任には、モレイレンセをクラブ史上最高となるリーグ6位に大躍進させたイボ・ビエイラを招聘。43歳の青年監督と単年契約を締結した。ポルト北部ミーニョ地方のライバル関係にあるブラガも、監督を海外リーグに引き抜かれ変化の時期を迎える今季、天敵をリーグ4位の座から引きづり下ろすには絶好のチャンスだ。

昨季6位 モレイレンセ:ビトール・カンペロス

イボ・ビエイラ(今季:ギマラインス)

ビートル・カンペロス(前:ギマラインスB)

2017-18シーズンには、マルコ・シウバが一時代を築いたエストリルを2部に降格させてしまったイボ・ビエイラだが、昨季はモレイレンセでクラブ史上最高の成績を残し、見事に名誉挽回。ポルトガル屈指の強豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれた。

クラブは後任としてビートル・カンペロスと契約。同監督にとっては、2017-18シーズンにギマラインスBを退団して以来の現場復帰となる。1部リーグでのトップチーム監督経験は、同シーズンにペドロ・マルティンスが解任され後任のジョゼ・ペゼイロが決まるまでの暫定監督として1試合を務めたのみ。経験の浅い監督に率いられる今季、万年降格圏のクラブにとっては、再び順位表の底と睨み合う厳しい1年となるだろう。

昨季7位 リオ・アベ:カルロス・カルバリャウ

ダニエル・ラモス(今季:未定)

カルロス・カルバリャウ(前:スウォンジー)

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サウジアラビアのアル・タアーウンを経て監督就任したジョゼ・ゴメスは、大方の予想通り早々に解任。クラブは、こちらもシャービスで途中解任の憂き目にあったダニエル・ラモスを招聘し、何とか一桁順位はキープした。功労者であるダニエル・ラモスは契約延長せず退任したが、新監督として大物指揮官を抜擢した。

近年はその監督輩出力に優れるリオ・アベ。ヌーノ・エスピリト・サント(ウルバーハンプトン)、ペドロ・マルティンス(オリンピアコス)、そしてミゲウ・カルドーゾ(AEK)。リオ・アベ経由で海外リーグに監督を輸出するケースは、ポルトガルにおける一種のトレンドとなりつつあったが、今季は監督を逆輸入。プレミアリーグなど海外での実績が豊富な名将カルロス・カルバリャウを母国に呼び戻した。

53歳のベテラン監督は、2018-19にプレミアのスウォンジーを退任して以来となる現場復帰。スウォンジー以前には、トルコのベシクタシュやイングランドチャンピオンシップのシェイフィールド・ウェンズディなどで監督を歴任してきた。ポルトガルクラブを率いるのは、2009-10シーズンにスポルティングの監督を務めて以来。自身にとっても、主要タイトルには2007-08シーズンにビトーリア・セトゥバルでリーグカップを戴冠して以来見放されている。

10年ぶりとなる母国ポルトガルへの復帰。海外での経験を還元し、チームをEL圏およびカップ戦タイトル獲得に導くことが使命だろう。それを期待させるに十分な経験値は持ち合わせている。

昨季8位 ボアビスタ:リト・ビディガル

リト・ビディガル(続投)

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ポルトガル期待の若手監督のひとりジョルジ・シマオンはシーズン途中に解任。同監督にとって、ベレネンセス、パソス、シャービスなど中小クラブを度々上位に押し上げてきた成功サイクルは、強豪ブラガに引き抜かれ・その年に途中解任されて以来、なぜか狂い気味。ブラガ時代に続き、シーズン途中で無念の退任となってしまった。

クラブは、昨季途中に招聘したリト・ビディガルに今季もチームを託す。いまや3部相当ポルトガル選手権まで降格してしまったアロウカ時代には、この弱小クラブを5位に導きELでの経験も積んだ監督。リーグ優勝経験のある5クラブの一角として、そろそろ古豪復活を実現させたい。

昨季9位 ベレネンセス:ジョルジ・シラス

ジョルジ・シラス(続投)

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こちらもボアビスタ同様、1部リーグ優勝経験のある5クラブの一角を成す古豪。昨季は近代化を推し進めんと、ポルトガルでは初のケースとなる前衛的なクラブロゴへの刷新に踏み切った。

監督としては、2016-17年に現役引退して以来チームの指揮を任せているジョルジ・シラスが続投。古風なクラブイメージの刷新を主導する旗頭として、就任してはや4年目となる今季、そろそろ「古豪」の呪縛から抜け出すのに一躍買うような結果を残したい。

昨季10位 サンタ・クラーラ:ジョアン・エンリケス

ジョアン・エンリケス(続投)

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2018-19シーズンのポルトガルリーグにとって、サプライズのひとつはサンタ・クラーラの躍進であった。アソーレス諸島に本拠地を置くクラブは、同じ島国クラブ、マデイラ島のナシオナルとともに、昇格組として1部リーグに挑戦。元ポルトガル代表MFコスティーニャに率いられたナシオナルが1年での降格を強いられるなか、サンタ・クラーラは降格圏はおろか一桁順位にあと一歩まで迫る快進撃を見せた。

この実績が評価されたジョアン・エンリケスは、国内屈指の強豪ビトーリア・ギマラインスからの関心も伝えられるなか、今季はクラブへの残留を決断。昨季の快進撃がフロックでないことを証明し、来季以降の飛躍に繋げたい。

昨季11位 マリティモ:ヌーノ・マンタ

プティ(今季:未定)

ヌーノ・マンタ(前:フェイレンセ)

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オランダでの指導経験が豊富な異色のキャリアを持つクラウディオ・ブラガは途中解任。クラブは近年ピンチヒッターの名手となりつつあるプティに助けを請うた。

昨季は無事に残留を果たしたクラブは、契約満了によりプティの退任を発表し、新たにポルトガル国内有数の若手監督ヌーノ・マンタを招聘。しかし、プレシーズンが始まるとプティが練習場に現れ「まだ契約は残っている」と主張。平行線をたどる両者の争いは、終いには裁判沙汰となり、現在も一件落着とはいかないような状況だ。

それでも、新監督がヌーノ・マンタであることに変わりはない。2010-11シーズンにフェイレンセのユース監督に就任して以来、監督として全てのキャリアを同クラブに捧げてきた。2016-17シーズンには、奇しくも今季から率いることとなったマリティモを相手にジョゼ・モッタ監督が敗北・途中解任され、その後任として初のトップチーム監督に就任。最終的には、弱小クラブをリーグ8位へと躍進させ、ポルトガル国内屈指の若手監督として注目を集めた。昨季は愛するクラブで成績不振に陥り無念の途中交代となったが、その手腕への評価は色あせず。上位返り咲きを狙うマリティモと2年契約を締結した。

監督自身にとってもクラブにとっても、今年は名誉挽回を期する勝負の1年。ヌーノ・マンタはここで突出できれば、さらなる国内強豪クラブへのキャリアも拓けるだろう。そのチームの一員として、松本山雅から期限付き移籍で加入した前田大然の活躍にも期待がかかる。

昨季12位 ポルティモネンセ:アントニオ・フォーリャ

アントニオ・フォーリャ(続投)

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ビトール・オリベイラが率いた一昨季に続いて、再び台風の目としてリーグを席巻した。新エースナンバー10番を着用した中島翔哉や、かつてのポルトガルリーグ3年連続得点王ジャクソン・マルティネスらポルトガルリーグを代表するスター選手が各々の個性を存分に発揮。ベンフィカとスポルティングを下し、それぞれルイ・ビトーリアとジョゼ・ペゼイロの2人の指揮官を途中解任に追い込むなど、ビッグサプライズを度々演じる1年を過ごした。

新シーズンもチーム得点王ジャクソン・マルティネスを中心に据え、サイドを起点に素早く敵陣営を切り裂く攻め筋は、ポルトガルリーグで猛威を振るうだろう。プレシーズンから試合に絡んでいる安西幸輝もその一役を担うはずだ。昨季はLSBのウィルソン・マナファがシーズン途中でポルトへ移籍したように、安西にとっても半年間の活躍次第では、さらなるビッグクラブへの道も拓ける。昨季後半からメンバー入りの機会が増えた権田修一が正GKのポジションを奪えるかにも注目だ。

昨季13位 ビトーリア・セトゥバル:サンドロ・メンデス

サンドロ・メンデス(続投)

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昨季途中にアンゴラ国籍のリト・ビディガルからバトンを継いだカーボベルデ国籍のサンドロ・メンデスが今季も続投。同監督は、選手としても、ここセトゥバルで育成時代を過ごし、プロとして10年以上も在籍。引退後とクラブにとどまりユースチームのコーチとしてキャリアを積み重ねた、純血のSadinho(セトゥバルの愛称)だ。自身初となる1部トップチームをシーズン開幕から指揮する今季、愛するクラブを上位に導けるか。クラブの功労者が成績不振で途中解任される様はサポーターも見たくはない。

昨季14位 アービス:アウグスト・イナーシオ

アウグスト・イナーシオ(続投)

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前年にスポルティングとの決勝のすえポルトガルカップを戴冠し、アービスに史上初の主要タイトルをもたらしたジョゼ・モッタと、クラブ首脳陣は降格を避けるためやむなく決別。同監督は公式声明で敬意を表され勇退する形でチームを去った。

今季は、昨季シーズン途中から監督を務めるアウグスト・イナーシオが続投。ギマラインスやマリティモなど国内クラブだけでなく、エジプト、アンゴラ、ギリシア、ルーマニア、イランなど国外での指揮、またスポルティングでジェネラルディレクターを務めるなど、ピッチ内外における経験豊かな64歳の老将にチームを託す。

昨季15位 トンデーラ:ナチョ・ゴンザレス

ペパ(今季:未定)

ナチョ・ゴンザレス(前:デポルティボ)

トンデーラの歴史に名を刻んだ指揮官がついに退任。クラブを最終節に1部残留に導くこと2回、2017-18シーズンには史上最高順位となる11位に押し上げたペパの退団が決定した。

新任には、スペイン人のナチョ・ゴンザレスを抜擢。スペイン国内のみで監督としてのキャリアを積んできた52歳の同監督にとって、同じイベリア半島の隣国といえど初の国外挑戦となる。ただ、トンデーラは昨季も紙一重で残留を達成した弱小クラブ。今季も1部残留が現実的な目標だろう。

昨季21位 パソス・デ・フェレイラ:フィロー

ビトール・オリベイラ(今季:ジウ・ビセンテ)

フィロー(前:コビリャン)

「ポルトガルの昇格王」ことビトール・オリベイラに率いられたパソス・デ・フェレイラは、無事に1年での1部復帰を達成。自身11度目、ポルティモネンセで1部リーグを戦った2017-18シーズンを除くと、2012-13シーズンから6シーズン連続でのミッションを成功させてお役御免となった。

新監督には、現役時代にパソスでCBとしてプレーした経歴を持つフィローを招聘。監督自身にとって、ポルトガル1部リーグで指揮を執るのは初。昨季は2部コビリャンを率いてリーグ6位と何とも言えない成績に終わっていた。かつてはパウロ・フォンセッカ現ローマ監督のもとリーグ3位に輝いたことのある新興クラブの一角なだけに、1年での降格だけは何としても避けたいところだ。

昨季22位 ファマリカオン:ジョゼ・ペドロ・ソウザ

カルロス・ピント(今季:レイソインス)

ジョゼ・ペドロ・ソウザ(前:エバートンアシスタントコーチ)

クラブにとって四半世紀ぶりとなる1部昇格を置き土産に、カルロス・ピント監督は2部レイソインスへ移籍。日章学園高校時代には選手権で優秀選手に選ばれたこともある菊池禎晃が今季よりプレーするクラブで、再び1部昇格に挑む。

新監督ジョゼ・ペドロ・ソウザは、マルコ・シウバの懐刀と言える存在。同監督が現役引退して監督就任したエストリル時代から、スポルティング、オリンピアコス、そしてハル・シティ、ワトフォード、エバートンとプレミアリーグでもアシスタントコーチを務めてきた。ファマリカオンには2009-10シーズンにアシスタントコーチとして在籍した過去があり、古巣復帰が実現する形となった。

マルコ・シウバは、エストリルで2部優勝を飾った翌年から、2年連続でクラブを15位以上に導いたことで、わずか3シーズンで2部監督から名門スポルティングの監督に到達した。恩師のシンデレラストーリーを再現できるか。

昨季3部 ジウ・ビセンテ:ビトール・オリベイラ

ナンディーニョ(今季:未定)

ビトール・オリベイラ(前:パソス・デ・フェレイラ)

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昨季は3部相当ポルトガル選手権を戦っていたジウ・ビセンテ。2006年にポルトガルリーグ規定に抵触する選手起用をしたため勝ち点を剥奪され1部から2部に降格していたが、調停のすえ今季より再び1部に挑む形となった。

そんなクラブを新たに率いるのは、前述の「昇格王」ビトール・オリベイラ。久々の1部挑戦となった2017-18シーズンにはポルティモネンセを率いてリーグを席巻しただけに、今季もダークホース候補として注目だろう。ただし、3部から1部に一段飛ばしでステップアップしただけに、現有戦力でどこまで戦えるか。ポルティモネンセ時代にも限られた戦力で格上の相手を破ってきた監督の自身手腕が大きく問われる。

以上、2019-20シーズンのポルトガル1部リーグを戦う全18チームの監督人事を紹介した。中島翔哉、安西幸輝、権田修一、前田大然ら日本代表選手の活躍ぶりを見るかたわらで、欧州のサッカーシーンで将来中核を担うであろう彼ら未来の名将候補にもぜひ刮目いただきたい。

【保存版】18-19季、ポルトガル1部全18チームの監督人事と3名の注目監督を紹介!

2017-18シーズンのポルトガル1部リーグは、ジョゼ・モウリーニョが記録したクラブ最多勝ち点数を更新する史上最高のシーズンを送ったポルトが、5年ぶりのリーグタイトルを獲得して幕を閉じた。リーグ5連覇を目指したベンフィカは主力選手の穴を埋められないまま、後半戦の猛追も実らず2位に。積極補強を敢行したスポルティングは、クラブの大混乱に巻き込まれ期待外れの1年を送った。
相変わらず3強が上位を独占する1年となったが、その中でも、4位ブラガはクラブ史上最多勝ち点を稼ぎスポルティングに肉薄。国内屈指の戦術家に率いられたリオ・アベも5位と躍進するなど、近年上位常連となっているクラブが、新たな監督のもとリーグを席巻した。

今季もリーグのタイトル争いはポルトとベンフィカを中心に繰り広げられるだろう。しかし、スポルティングがいまだ混乱を引きづる中、ブラガらにも3強体制の撃破を狙えるまたとないチャンスが訪れる。その他中小クラブにも、将来のポルトガル人監督界を背負って立つであろう有望な指揮官が控えており、彼らの躍進にも注目が集まる。

それでは、2018-19シーズンのポルトガル1部リーグを戦う全18チームの監督人事と、注目すべき3人の指揮官を紹介する。是非とも、新シーズンに向けた監督名鑑としてご活用いただきたい。

1位ポルト:セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(契約延長)

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アンドレ・ビラス・ボアスビトール・ペレイラが無敗優勝を含むリーグ3連覇を達成してから約5年の月日が経過した。その間、ライバルのベンフィカがトロフィーを掲げる瞬間を4度も見届けてきたポルトがついに王座を奪還した。

かつてジョゼ・モウリーニョが率いたポルトでプレーし、監督として古巣に舞い戻ったセルジオ・コンセイサオンは、恩師が自身初のリーグタイトルを獲得した2002-03シーズンに記録した勝ち点86のクラブ記録を塗り替える偉業を達成。新たに勝ち点88の記録を打ち立て、クラブ史にその名を刻んだ。これは、ベンフィカが15-16シーズンに達成したリーグ歴代記録に並ぶ数字。リーグ公式のベストイレブンには最多の5名を輩出し、監督自身も最優秀監督賞に輝くなど、まさにコンセイサオン率いるポルトがリーグを象徴する1年となった。

クラブは同監督の手腕を評価し、1年の契約延長を締結。ボビー・ロブソンやジョゼ・モウリーニョ、アンドレ・ビラス・ボアスなど、クラブのミュージアムに銅像を擁する偉大な先人を追い越した未来のレジェンド候補のもと、王者の新たな歴史の針が動き出す。

2位ベンフィカ:ルイ・ビトーリア

ルイ・ビトーリア(続投)

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自身リーグ3連覇、クラブとしてはリーグ5連覇を目指したシーズンだったが、エデルソン・モラエスビクトル・リンデロフネウソン・セメードらビッグクラブに羽ばたいた主力選手の穴を埋められず、シーズン開幕のスタートダッシュに失敗した。CLは6戦6敗という不名誉な記録を打ち立て早々にグループステージ敗退。シーズン折り返しの時点で、ポルトガルカップとリーグカップの2つのカップ戦からも早々に姿を消した。

タイトルの可能性が残されたリーグ戦では、序盤のつまずきを猛烈な勢いで取り返し、一時はポルトから首位を奪還したが、終盤に迎えた事実上のタイトル決定戦、ホームのクラシコでは、ポルトMFエクトル・エレーラに劇的な決勝点を浴びて万事休す。5連覇を目指したシーズンは、主要タイトル無冠で幕を閉じ、涙を飲んだ。

タイトル奪還を狙う今季もチームの指揮を託したのはルイ・ビトーリア。背水の陣で臨むシーズンは、国内タイトルの奪取はもちろん、予選から出場するCLでの上位進出も必須となる、まさに勝負の1年だ。成果を残せなければ、4年目を迎える同監督の長期政権が終わりを告げる可能性も否定できないだろう。クビを切られないため、そして、いよいよ欧州のトップステージへと飛躍するためにも、リーグタイトルの奪還とCLベスト16進出は最低ノルマだ。

3位スポルティング:ジョゼ・ペゼイロ

ジョルジ・ジェズス(来季:アル・ヒラル)
→ジョゼ・ペゼイロ
(前:ビトーリア・ギマラインス)

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天国から地獄へ。希望から絶望へ。そんな言葉が当てはまる1年だった。

レアル・マドリードからファビオ・コエントラン、バルセロナからジェレミ・マテュー、ローマからセイドゥ・ドゥンビア、そしてサンプドリアからポルトガル史上最高額タイとなる違約金1億ユーロを設定したブルーノ・フェルナンデスら、近年稀に見る大型補強を敢行し、2001-02以来実に17シーズンぶりのリーグタイトルが期待されたシーズン。この年リーグMVPに輝いたブルーノ・フェルナンデスの想像以上の活躍もあり、シーズン序盤はポルトと熾烈な首位争いを演じ、中盤にはポルトガルリーグカップのタイトルを獲得。順風満帆な1年が期待されたが、シーズン終盤に1人の傲慢な男によりクラブは泥沼へと足を踏み入れていく。

事の発端は、ELアトレティコ・マドリード戦の敗北。当時のクラブ会長ブルーノ・デ・カルバーリョが、一部の主力選手を自身のSNSで公然と批判した。最後まで選手との間に生まれた亀裂は修復せず、シーズン終了後にはソシオにより会長が罷免される事態に陥った。また、期待外れのシーズンに終わったことへの不満から、覆面を被った50名のフーリガンが練習場に押し入り、選手・コーチらを襲撃する未曾有の大事件も勃発。カップ戦の決勝を控える中、エースFWバス・ドストらが心身ともに深い傷を負った。そして直後、シーズン2冠を目指したポルトガルカップ決勝では、格下アービスにまさかの敗北を喫した。この大混乱を受けて、ルイ・パトリシオウィリアン・カルバーリョ、ブルーノ・フェルナンデス、ジェウソン・マルティンスなど、この年ロシアW杯にも出場したチームの主軸選手が、痺れを切らしてこぞってクラブとの契約解除を申し出た。

結局、シーズン最後の最後まで混乱は収束せず。前会長時代に新監督として招聘されたシニシャ・ミハイロビッチが、会長交代により試用期間中にクビにされ、新監督には前年にビトーリア・ギマラインスでリーグ9位に終わったジョゼ・ペゼイロを古巣復帰させるゴタゴタな監督人事を敢行。主力選手が一斉に退団しチームは崩壊、新監督への期待感も醸成されず、新たな1年を迎えることとなった。

新会長を中心とする新たなマネジメント体制の尽力実り、リーグMVPブルーノ・フェルナンデスや、チーム得点王バス・ドストらはクラブと再契約を締結。ペゼイロ監督期にプロデビューを果たしたルイス・ナニが3度目の古巣復帰を果たすなど、明るい兆しも。しかし、クラブ・サポーターが、彼ら世界レベルの選手たちがフットボールに集中できる環境を醸成できない限り、前年以上の悲劇、つまり3強の一角から引きずり降ろされる可能性も十分。マネジメント、現場ともに大刷新された新体制のもと生まれ変わり、ポルトガル屈指の名門としての面目を保てるか。

4位ブラガ:アベル・フェレイラ

アベル・フェレイラ(契約延長)

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クラブレゴードとなる勝ち点75を積み上げ、史上最高のシーズンを送ったブラガ。3位スポルティングには同3差まで詰めより、5位リオ・アベとは同24も引き離すなど、「ポルトガルの4強」の地位を確固たるものにした1年となった。シーズンを通したドローの回数は3で、優勝したポルトの4を超えるリーグNo.1。引き分けの試合を勝ちに持っていく粘り強さを発揮していた。

ジョゼ・ペゼイロ、ジョルジ・シマオンと監督交代を繰り返す非常事態となった一昨季から、挽回を期したシーズンに歴史を築いたアベル・フェレイラ。その功績を評価して、クラブは同監督と2021年までの長期契約を締結した。リーグ3強のうち、足元をすくえる可能性が最も高いであろうスポルティングは、かつてブラガを泥沼に陥れた凡将ジョゼ・ペゼイロを招聘して、クラブは会長交代により大混乱に陥るという願ってもない状況。昨季はあと白星1つ分にまで迫った3強撃破を叶える環境は、これ以上ないほどに整った。

5位リオ・アベ:ジョゼ・ゴメス

ミゲウ・カルドーゾ(来季:ナント)
→ジョゼ・ゴメス(アル・タアーウン)

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トップチーム監督初年度で、ソリッドなサッカーをチームに植え付け、リオ・アベを5位に導いた稀代の戦術家ミゲウ・カルドーゾは、フランス1部ナントに引き抜かれる。シャフタールで名アシスタントコーチとしてにわかに話題を集めていた次世代の名将は、わずか1年で国外のトップリーグへと活躍の場を移した。

後任には、サウジアラビアのアル・タアーウンで指揮を取っていたジョゼ・ゴメスを招聘した。近年はハンガリーのビデオトンやこのアル・タアーウンなどで監督を務めるなど、欧州の表舞台からは長らく遠ざかっていた47歳。ヌーノ・エスピリト・サントペドロ・マルティンス、ルイス・カストロにミゲウ・カルドーゾら国内屈指の名将が積み上げで強化をしてきたクラブを任せるには少々荷が重い。ブラガに次いで3強体制への対抗勢力としてのポジションを確固たるものにするのか、それとも新監督のもとかつての凡庸な中位クラブへと戻ってしまうのか。分岐点となる1年を迎える。

6位シャービス:ダニエル・ラモス

ルイス・カストロ
(来季:ビトーリア・ギマラインス)
→ダニエル・ラモス(前:マリティモ)

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昇格3年目の弱小クラブを6位と大躍進させたルイス・カストロが、不本意なシーズンに終わった北の古豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれる。代わって、マリティモを2シーズンにわたりリーグ6位(2016-17)、7位(2017-18)と上位にキープさせたダニエル・ラモスと2年契約を締結した。

ダニエル・ラモスにとっては、2部リーグ時代の2004-05シーズン以来の古巣復帰となる。 マリティモで積み上げた1部リーグでの経験を古巣に還元し、前監督が残した偉業を超えないまでも、最低でも1桁順位はキープしたいところだ。

7位マリティモ:クラウディオ・ブラガ

ダニエル・ラモス(来季:ジャービス)
→クラウディオ・ブラガ
(前:フォルトゥナ・シッタート)

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マリティモを上位に定着させたダニエル・ラモスは、昨季6位と大健闘したシャービスの新監督に就任。代わって、オランダリーグのフォルトゥナ・シッタートからクラウディオ・ブラガを招聘した。

クラウディオ・ブラガは、これまでPSVやユトレヒトなどオランダの名門クラブでユースチームを率いた経験を豊富に持つ。昨季はオランダ2部でフォルトゥナ・シッタートの監督に途中就任すると、クラブを16年ぶりの1部昇格に導いた。ポルトガルリーグでの指導は、2014-15にサンタ・クラーラでアシスタントコーチを務めたのが最後で、トップチーム監督としての経験はない。ゼニトなどでプレーした生え抜きのレジェンドFWダニーが10番を背負って復帰したメモリアルシーズンに、オランダで築き上げてきた異彩のキャリアを持つポルトガル人監督のもと、さらなる上位定着に向けて一皮剥けたい。

8位ボアビスタ:ジョルジ・シマオン

ジョルジ・シマオン(契約延長)

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成績不振に陥ったミゲウ・レアウを早々に見限ったボアビスタ。この思い切った決断は、ちょうど一昨年にブラガで途中解任の憂き目にあって以来フリーの身となっていた国内最高峰の若手監督ジョルジ・シマオンの招聘という幸運を呼び込んだ。次世代のポルトガル人監督を背負って立つであろう41歳の若き名将のもと着実に順位を回復させ、昨季は8位とまずまずの成績に。クラブはその手腕を評価して、シーズン途中の3月に早々と1年の契約延長を決断した。

ポルトガルリーグ優勝経験のある5クラブの一角として、そろそろ古豪復活といきたい「ポルト第2のクラブ」ボアビスタ。ブラガで途中解任され、前途洋々なキャリアが一時後退した若き名将のもと、クラブ・監督ともに名誉挽回の大躍進となるか。今季のポルトガルリーグで台風の目となれる期待感は十分だ。

9位ビトーリア・ギマラインス:ルイス・カストロ

ジョゼ・ペゼイロ(来季:スポルティング)
→ルイス・カストロ(前:シャービス)

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リーグ4位の座を引っさげ、3強体制の撃破とELでの躍進を狙ったビトーリア・ギマラインス。しかし、ELに出場する3強以外のクラブにとってもはやジンクスと言えよう、国内リーグとの両立にやはり失敗。たまらず、クラブは国内屈指の名将の評価を得つつあったペドロ・マルティンスの解任を決断した。後任として、ポルトガルリーグでは、ポルト、ブラガ、そしてこのギマラインスと、3クラブ連続での途中就任となった「名ピンチヒッター」ジョゼ・ペゼイロのもと、何とか1桁順位を確保し、北の強豪クラブの面目は保った。

双方の合意のもとジョゼ・ペゼイロとの契約を解消した今季は、ポルトBで2部リーグ優勝、リオ・アベでリーグ7位、そして昨季は弱小クラブのシャービスでリーグ6位と着実に監督としてのステップアップを遂げてきたルイス・カストロと2年契約を締結した。就任会見では「ヨーロッパの舞台を目指す」と、上位進出をサポーターに誓った同監督。昨季の監督交代時にファーストチョイスとしながらも引き抜きが叶わなかった56歳のポルトガル人監督に、古豪復活を託す。

10位ポルティモネンセ:アントニオ・フォーリャ

ビトール・オリベイラ(来季:パソス・デ・フェレイラ)
→アントニオ・フォーリャ(前:ポルトB)

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5年連続、記念すべき自身10度目の1部昇格を果たした「昇格王」にとって、2004-05シーズン以来となった1部リーグでの挑戦は、大成功のまま幕を閉じた。元鹿島アントラーズ・現浦和レッズFWファブリシオは、3強の各エースに次ぐ得点ランキング4位タイの15ゴール、中島翔哉はリーグで唯一となる2桁ゴール2桁アシスト(※)を記録するなど、攻撃的なプレーヤーが大躍進。(※ポルトガルリーグ公式の記録はアシスト数が7となっているが、ポルトガルサッカーデータベース『zerozero.pt』の記録に準拠し10アシストとした)4強以外のチームでは最も多くの得点を積み上げたチームとなり、破壊的な攻撃力で昇格1年目ながらポルトガルリーグを席巻した。

中島翔哉の恩師ということで日本での知名度も上がったビトール・オリベイラは、クラブからの契約延長オファーを拒否して新たな挑戦へ。2部に降格した古巣パソスに1992年ぶりに復帰し、90-91シーズンに自身が成し遂げたクラブの1部昇格に再度挑むこととなった。そして、クラブは新たにポルトBを率いていたアントニオ・フォーリャを招聘。育成力に定評のある名門クラブの下部組織での経験を、若く攻撃的なタレントを多く要するチームに還元し、今季もダークホースとなれるか。

11位トンデーラ:ペパ

ペパ(契約延長)

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降格の恐怖と戦い続けた一昨季からは一転、37歳の青年監督がシーズン開幕から指揮を執った昨季は、11位と大健闘。監督自身も、ポルトとブラガでそれぞれクラブの最多勝ち点記録を更新したセルジオ・コンセイサオンとアベル・フェレイラと並んで、ポルトガルリーグ年間最優秀監督賞にノミネートされる飛躍の年となった。
その手腕が評価され、1年の契約延長を勝ち取ったペパ。上位クラブへのステップアップが叶うきっかけとなるシーズンとしたい。

12位ベレネンセス:ジョルジ・シラス

ジョルジ・シラス(続投)

ドミンゴス・パシエンシアの解任に伴い、プレーヤーとして4シーズンを過ごした古巣に監督として復帰したジョルジ・シラス。一昨季に現役引退したばかりながら、昨季はいきなりピンチヒッターとしてトップチーム監督に。そして、今季はシーズン開幕からポルトガル屈指の古豪で監督を務めることとなった。

リーグタイトルを獲得したことのある5クラブの一角であるベレネンセスは、近年はスペイン人監督フリオ・ベラスケスや、国内のビッグクラブでの指揮経験が豊富なドミンゴス・パシエンシアら、監督選びで試行錯誤を続けている。これまでの人事とは異なる、キャリアの浅い監督の招聘が、古豪復活の起爆剤となるか。

13位アービス:ジョゼ・モッタ

ジョゼ・モッタ(続投)

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リカルド・ソアレスとリト・ビディガル、2度の監督交代を経た苦難のシーズンだったが、シーズン末にプレゼントが舞い降りる。フーリガンの暴動でまともな練習がままならなかったスポルティングを決勝で下し、クラブ史上初の主要タイトルとなるポルトガルカップ王者を戴冠した。幸運にもカップ戦王者となり、リーグ王者ポルトとのスーペルタッサを戦う権利を得たジョゼ・モッタが、今季もチームを指揮する。

14位ビトーリア・セトゥバル:リト・ビディガル

ジョゼ・コウセイロ(来季:ポルトガル代表テクニカルディレクター)
→リト・ビディガル(昨季:アービス)

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一昨季に13クラブが監督交代に踏み切ったポルトガル1部で、監督の座を死守した5人の監督であったジョゼ・コウセイロがついに退任。今季は新たに、昨季1月にアービスの監督を解任されて以来フリーとなっていたリト・ビディガルを招聘した。
同監督は、15-16シーズンに弱小アロウカをリーグ5位に導いたことで評価を高めた監督。昨季は無念の監督途中交代となったが、近年下位でもがき苦しむセトゥバルをアロウカ時代のように上位に導けるか。

15位モレイレンセ:イボ・ビエイラ

プティ(来季:未定)
→イボ・ビエイラ(前:エストリル)

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マヌエル・マシャード、セルジオ・ビエイラと2度の監督交代を敢行し、3人目プティのもと何とか1部残留を果たした。今季1年契約で招聘したのは、昨季途中就任したエストリルで1部残留に失敗し、現エバートン監督マルコ・シウバが一時はリーグ4位に導いた新興クラブを2部に降格させたイボ・ビエイラ。2014-15シーズンに昇格して以来、しぶとく1部に残り続けたクラブだが、今季は正念場を迎える。

16位フェイレンセ:ヌーノ・マンタ

ヌーノ・マンタ(続投)

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当時38歳だった一昨季に、ジョゼ・モッタの後任としてシーズン途中にトップチーム監督デビューを果たしたヌーノ・マンタ。1部昇格初年度のチームを残留に導くどころか、リーグ8位と大成功を収め、その評価を急上昇させた。しかし、さらなる躍進が期待された昨季は、リーグ16位で何とか降格を免れる低調な出来に終わる。ナイジェリア代表でチームの10番を背負ったエテボ・オグヘネカロの穴を埋められず、失意のシーズンを過ごす結果となった。
昨季の不本意な成績もあり、かつてのリーグ8位の栄光は忘れ去られつつある中、名誉挽回を図る勝負の1年となる。

2部1位ナシオナル:コスティーニャ

コスティーニャ(続投)

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一昨季にまさかの2部降格を味わったマデイラの名門クラブは、自国開催のEURO2004や2006年ドイツW杯などで母国の代表を背負ったレジェンド、コスティーニャ監督のもと、1年での1部復帰を達成。監督自身も、2部リーグの最優秀監督に選出された。

1部リーグでの指揮は、13-14シーズンのパソス・デ・フェレイラ以来。当時は、前年にリーグ3位の偉業を成し遂げたパウロ・フォンセッカの後任という難しいタスクをこなせず、シーズン序盤に監督交代の憂き目にあった。2部リーグ最優秀監督の称号を引っさげたかつての名プレーヤーが、1部リーグの壁に再挑戦する。

2部2位サンタ・クラーラ:ジョアン・エンリケス

カルロス・ピント(来季:アカデミカ)
→ジョアン・エンリケス
(前:パソス・デ・フェレイラ)

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アソーレス諸島の小クラブを15年ぶりに1部へ導いたカルロス・ピントは、「レベル3のライセンスを保持していない」との理由で契約更新にこじつけず。代わって、45歳のジョアン・エンリケスに1部残留の望みを託した。

ただし同監督は、昨季パソスをシーズン途中から率いて残留に失敗し、かつてはパウロ・フォンセッカのもとリーグ3位にまで登りつめた新興クラブを13年ぶりの2部に突き落とした当事者。監督就任発表に際して、クラブはモノポリーでジョゼ・モウリーニョやレオナルド・ジャルディン、ビトール・ペレイラらポルトガル人監督のレジェンドを通過して新監督に辿り着く、ユーモア溢れるビデオを公開して反響を呼んだが、開幕から結果を残せないようであれば、解任モノポリーを真っ先にゴールしてしまうだろう。

注目監督ベスト3

1位 アベル・フェレイラ(ブラガ)
昨季は就任1年目ながら、獲得した勝ち点数でクラブレコードを樹立。成熟を図る2年目に、スポルティングが主力を大量に失い、会長も交代する大転換期へ。3強食いが射程年内に迫った。

2位 ジョルジ・シマオン(ボアビスタ)
ブラガではシーズン途中の監督就任ということもあり、チームを立て直せず自身も途中解任に。それでも、パソスやシャービスを上位に躍進させた評価は色あせず。今季1年間で古豪ボアビスタの復興に成功すれば、翌シーズンは自身2度目のビッグクラブ挑戦も起こり得ない夢ではない。

3位 ルイス・カストロ(ビトーリア・ギマラインス)
シャービスを6位に躍進させた手腕は見事の一言。ポルトではピンチヒッターとしての監督途中就任であったため、ギマラインスのような強豪クラブをシーズン開幕から指揮するのは初。キャリアの分岐点となる1年になりそうだが、結果を残せばその評価はうなぎ登りになることだろう。

以上、2018-19シーズン、ポルトガル1部リーグ全18チームの監督人事と3名の注目監督を紹介した。今季こそ3強を食う監督は現れるのか、そして、ジョルジ・シマオンやペパ、ヌーノ・マンタら中位クラブの青年監督にとって、過去を振り返ったときにキャリアの転換期となったと言えるシーズンになるのか。ポルトとベンフィカを中心に激戦が繰り広げられるポルトガルリーグであるが、上記のような、2強以外の要素にも是非とも注目いただきたい。