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エジプトに3人目のポルトガル人指揮官が誕生。元代表監督の右腕がアル・イテハドへ

『A BOLA』

エジプトに拠点を置くアル・イテハドが、ポルトガル人監督レオネル・ポンテスの監督就任を正式に発表した。

レオネル・ポンテスは、パウロ・ベント前代表監督のアシスタントコーチとして、ブラジルW杯に参加。クリスティアーノ・ロナウドやジョアン・モウティーニョ、ナニらを代表チームで率いた経歴が評価された。

アル・イテハドは、現在エジプトリーグで9位に沈む。同国では、すでに2名のポルトガル人監督が指揮を執っており、ポンテスは優勝争いを繰り広げる2チームの指揮官に挑むことになる。ディフェンディングチャンピオンであるザマレクを率いるジェズアウド・フェレイラ、そして今季よりアル・アハリの監督に就任したジョゼ・ペゼイロである。

代表コーチ退任後は、ポルトガルのマリティモとギリシアのパナイトリコスを率いるも、どちらも途中解任の憂き目に遭っているポンテス。再起をかけたエジプトリーグで、3度目の正直となるか。

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「監督大航海時代」最果てのポルトガル人監督。明暗分かれた4名のマイナーリーグ挑戦者

時は「監督大航海時代」

かつて海洋帝国を築いた航海士の如く、ポルトガル人監督が世界各国へ進出し、新たな挑戦に臨んでいる。

昨季は、CLで大躍進を遂げたモナコのレオナルド・ジャルディンや、リーガ・エスパニョーラに衝撃を与えたバレンシアのヌーノ・エスピリト・サントらが、母国若手監督の評価を高めた。今季も、ここまでギリシアリーグを6連勝で首位に立ち、CLでは強豪アーセナルをアウェイで沈めたオリンピアコスのマルコ・シウバや、CLでグループ首位に立つゼニトのアンドレ・ビラス・ボアス、セリエAで単独首位に立ったフィオレンティーナのパウロ・ソウザなど、ポルトガル人監督の活躍ぶりは衰えていない。

ここに挙げた監督はみな、ヨーロッパサッカーの中心(スペイン、フランス、イタリア)やその周辺国(ロシア、ギリシア)で指揮を執っているが、実は、世界各国に活躍の場を移したポルトガル人監督は、彼ら中心国や周辺国に籍を置く者たちだけではない。東欧の小国であるキプロスやブルガリア、またはヨーロッパ付近のアフリカなど、「ヨーロッパフットボール界の最果て」と言える地域でも、かつての大航海時代の如く、ポルトガル人監督ブランドの「布教活動」に貢献している者がいるのだ。

今回は陽の目を浴びる機会の少ない、最果ての地、マイナーリーグで指揮を執る4名のポルトガル人監督を紹介する。ポルトガル人監督による世界進出の「第一波」とも言えるモウリーニョに引き続き、前述の若手監督による「第二波」が到来し、ポルトガル人監督が再び注目を集めている現代。一方で、彼らの華々しい活躍の裏に、最果ての地でもがき苦しむ同国監督の姿があった。

1.ジェズアウド・フェレイラ
69歳の大ベテラン監督。ビラス・ボアス就任前のポルトの他にも、ベンフィカやスポルティング、ブラガといったポルトガルの4強を指揮した経歴を持つ国内屈指の名将。ポルトガルリーグ制覇経験はなんと3回。現在はヨーロッパから離れたアフリカ大陸にて、エジプトのザマレクSCを指揮している。ポルトガル時代の豊富な経験値を生かし、アフリカの地で大活躍。マイナーリーグのポルトガル人監督の中では飛び抜けた存在だ。アフリカコンフェデレーションズカップでは、準決勝にて2戦合計4-5で、惜しくもあと1点及ばずに決勝進出を逃したが、エジプトカップでは、アル・アハリに2-0で勝利し、タイトルを戴冠。同クラブ相手には19試合ぶりの勝利を決勝の大舞台で成し遂げ、ザマレクに3年連続となるエジプトカップをもたらした。

2.ペドロ・エマヌエル
東欧はキプロスのアポロン・リマソールで指揮を務める。ポルトではモウリーニョのもと選手を務め、2010-11シーズンには、アシスタントコーチとしてビラス・ボアスの4冠を支えた。ポルトガル1部リーグでは、アカデミカやアロウカの監督を経験し、今季よりキプロスへ活躍の場を移した。現在、アポロンはキプロスリーグで4位につけており、今後、リーグ優勝に向けて巻き返しを図る。

3.ブルーノ・ヒベイロ
2014-15シーズンには、ドミンゴス・パシエンシア解任後のビトーリア・セトゥバルで指揮を執り、チームを1部残留に導いた39歳(10月22日、40歳に)の若手監督。今季は、リーグ3連覇中で前年にはクラブ史上初となるCL出場を達成していたブルガリアの名門ルドゴレツの監督に就任した。しかし、CL予選第2戦に敗れ、本選出場を逃したことで早々に解任。若手監督の異国の地での挑戦は、早くも幕を閉じた。

4.レオネル・ポンテス
ブラジルW杯ポルトガル代表監督パウロ・ベントの右腕を長らく務めていた名アシスタントコーチ。W杯後には、ポルトガル1部リーグ、マリティモの監督に就任したが、自身初となる1部クラブ主監督としての挑戦が軌道に乗らず途中解任。今季より、ギリシアのパナイトリコスの監督となった。スポルティングでタイトルを獲得し、強豪オリンピアコスを率いるマルコ・シウバとは違い、同じくギリシアでも注目度が低く、ヨーロッパの最果てとも言える挑戦は、成績不振を理由に早期終了。2年連続での途中解任の屈辱を味わうこととなった。

異国の地では、ポルトガルリーグである程度の結果を残した者でも苦戦を続け、また、ポルトガルリーグで苦悩の日々を送った者は、同じく屈辱を味わうという困難に直面している。その環境でも成果を上げ、クラブにタイトルをもたらした者ですら、母国のニュースで大々的に取り上げられることはない。マイナーリーグで指揮を執る監督は、暗黒の中でこの孤独と戦っているのだろう。

ヨーロッパの中心で重圧に打ち勝ち、華々しい注目を集めるポルトガル人指揮官の影には、マイナーリーグで四苦八苦する同国監督がいる。彼らの功績や苦難を照らすことで、困難待ち受ける航路を進む、彼らの幸運を祈る。

【過去コラム再掲】2014-15ポルトガルリーグ激動の監督大移動

2014-15シーズン開幕前に執筆した記事です。ポルトガルリーグの監督を大まかに把握するのにお使いください。

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ベンフィカの国内3冠と共に幕を下ろしたポルトガルリーグ2013-14シーズン。次なる14-15シーズンの開幕に向け、早くもそれぞれのクラブがチームの改革に着手し、まず手始めに監督の確定に奔走している。

このオフシーズンに多くのチームが監督交代に踏み切った。そこで今回は、昨シーズンから引き続き1部リーグで戦う15チームの監督交代事情、そして来シーズンの注目監督についてまとめてみた。

 

【ベンフィカ 昨季1位】

ジョルジ・ジェズス(続投)

昨シーズン、国内3冠とEL準優勝という前人未到の記録を打ちたて、名実ともに名監督の仲間入りを果たした知将。先日、バレンシアやミランなど強豪クラブからの監督要請を断り、残り1年の契約を全うすることを発表。全てを勝ち取ったあとの続投という、困難極める道を選んだ名将の来季に多くの注目が集まる。

【スポルティング 昨季2位】

レオナルド・ジャルディン(来季:モナコ)

→マルコ・シルバ(前:エストリル)

就任1年目にして、前シーズン7位に沈んだスポルティングを2位へと復活させたジャルディン監督が、1年で早くも退団。後を継ぐのはポルトガルリーグで最も注目を集める若手監督マルコシルバ。

2011年にエストリルで現役引退すると、そのままクラブの監督へ就任。1年目で2部優勝を果たし、勢いそのまま2年目で1部5位、3年目の昨季は1部4位と、弱小クラブのエストリルをたった3年間で強豪チームへと押し上げた。来季は念願のビッククラブ指揮となるが、彼の監督人生を左右する1年となるのは間違いない。弱小パソスを3位に押し上げてポルトの監督に就任するも、途中解任されたパウロ・フォンセッカコースを辿るのか、はたまた、アカデミカを降格から救いポルトの監督1年目で全てを勝ち取り世界に羽ばたいたビラス・ボアスコースを辿るのか。その分岐点となるのが1年目の来季である。

【ポルト 昨季3位】

ルイス・カストロ(来季:ポルトB)

→フレン・ロペテギ(前:スペインU-21代表)

リーグ4連覇を目指しチームの舵取りを任せたのは、前シーズンに弱小のパソスを3位に導いた青年監督パウロ・フォンセッカ。しかし、チームは不振を極めて監督を途中解任。内部昇格で暫定指揮を採ったルイス・カストロ元Bチーム監督も状況を好転できずに屈辱のリーグ3位に終わる。再起をかけて敏腕会長が選んだのは、スペインU-19とU-21代表で世界一に輝いたロペテギ監督。早くも監督の意向で若手スペイン人選手の獲得に動くなど、来シーズンはチームのスペイン化が予想される。クラブが多く抱えるメキシコ人やコロンビア人も重宝されることであろう。

【エストリル 昨季4位】

マルコ・シルバ(来季:スポルティング)

→ジョゼ・コウセイロ(前:ビトーリア・セツバル)

3年をかけてチームを劇的に進化させたマルコシルバ監督がスポルティングにヘッドハンティングされる。代わって指揮を採るのが、昨シーズンにセツバルを7位という、可もなく不可もない順位に導いたコウセイロ監督。2005年と2011年には、それぞれポルトとスポルティングを率いた経験があるものの、どちらも途中就任。その他の経歴を見る限りも、マルコシルバが築き上げたエストリル帝国を再び泥沼に陥れそうな危険な臭いのプンプンする監督である。

【ナシオナル 昨季5位】

マヌエル・マシャード(続投)

昨季5位の大躍進が認められ、来季末まで契約を延長。ELとリーグの両立を果たしたいところ。

【マリティモ 昨季6位】

ペドロ・マルティンス(来季:リオアベ)

→レオネル・ポンテス(現:ポルトガル代表アシスタントコーチ)

6位という好成績に満足せずに、新たに招聘したのが、現代表アシスタントコーチのポンテス氏。2005-09シーズンのスポルティング時代および、2010-14シーズンの代表チームにて、現代表監督パウロ・ベントのアシスタントコーチを務める、まさに右腕的存在。2009年のパウロ・ベント途中解任時に暫定監督を務めて以来のクラブチーム指揮が軌道に乗るか。

【ビトーリア・セツバル 昨季7位】

ジョゼ・コウセイロ(来季:エストリル)

→ドミンゴス・パシエンシア

コウセイロをエストリルに放出したセツバルが来季を託すのは、ポルトの選手であったパシエンシア。ビラス・ボアス少年が、ボビーロブソン氏に彼の出場機会のなさを訴える手紙を送ったのは有名な逸話。2009-10シーズンはブラガを2位の好成績に導き、翌年10-11シーズンにはEL準優勝を果たすも、リーグ4位がまさかの成績不振とみなされて解任。このELの決勝では、大人に成長したビラス・ボアス監督率いるポルトと対戦するという運命的なシーズンを送った。2011-12シーズンにはスポルティングの監督に就任するも、再び4位に終わり1年で解任。ブラガでもスポルティングでも解任されたのは事実だが、決して悪い成績ではなかった。セツバルが来季の台風の目となることをここに予想する。

【アカデミカ 昨季8位】

セルジオ・コンセイサオン(来季:ブラガ)

→パウロ・セルジオ(前:アポエル)

【ブラガ 昨季9位】

ジョルジ・パイシャオン

→セルジオ・コンセイサオン(前:アカデミカ)

近年3強の牙城を崩し大注目を集めてきた新興クラブだが、今季は監督の途中交代もあり、まさかの9位という大不振に終わる。再起をかけて、同様の順位に終わったアカデミカからコンセイサオンを引き抜く。この選択が吉と出るか凶と出るか。勢いを取り戻し、欧州の舞台に返り咲きたいところである。

【ビトーリア・ギマラインス 昨季10位】

ルイ・ビトーリア(恐らく続投)

【リオアベ 昨季11位】

ヌーノ・エスピリト・サント(来季:バレンシア)

→ペドロ・マルティンス(前:マリティモ)

昨年シーズンは、リーグカップとポルトガルカップ、2つの国内カップで決勝に進出し、リーグ11位ながらも来季のEL出場権を獲得。その立役者であるエスピリト・サント監督が、さらなる野望を求めて退団。バレンシアの新監督に就任した(2014年7月3日)。後を継ぐのが昨シーズンマリティモを6位の好成績に導いたマルティンス監督。躍進のベースは整ったが、ELと国内リーグの両立が鍵となる。

【アロウカ 昨季12位】

ペドロ・エマヌエル(続投)

モウリーニョ監督時代に選手として、またビラスボアス監督時代にはアシスタントコーチとして、ポルトの黄金期を支えた青年監督。1年の契約延長を果たし、2人のレジェンドの後を追い、躍進を目指す。

【ジル・ビセンテ 昨季13位】

ジョアン・デ・デウス(恐らく続投)

【ベレネンセス 昨季14位】

リト・ビデガル(続投)

昨季途中に監督就任し、チームを降格から救ったビデガル監督が2015年まで契約を延長。

【パソス・デ・フェレイラ 昨季15位】

ジョルジ・コスタ(来季:ガボン代表)

→パウロ・フォンセッカ(前:ポルト)

前シーズン3位の大躍進を遂げるも、その立役者であるフォンセッカ監督と最優秀若手賞を受賞したジョズエを揃ってポルトに引き抜かれた影響もあり、CLとリーグにおいて共倒れ。プレーオフでなんとか1部残留を果たした。来季はポルトを解任されたフォンセッカ監督がチームに復帰。監督自身の名声を取り戻すためにも、昨年の再現を実現させたいところ。

 

以上、全15チームの監督大移動をまとめました。過半数以上の8チームが監督の交代に踏み切り、そのほとんどが上位チームとなった今年の監督交代。さらにその中でも、4名が1部チーム間の玉突き移籍であり、選手よりも監督の同行に注目している筆者にとっては、非常に興味深いリーグである。

来季の注目監督は

1.スポルティングのマルコシルバ監督が、世界の名将の仲間入りを果たすのか、それとも失墜するのか。個人的な注目ポイント第1位。

2.ロペテギ監督が、ポルトをスペイン化・復興させることができるのか。

3.エストリルのコウセイロ監督が、マルコシルバの遺産をボロボロにするのか。個人的な注目ポイント第3位。

4.セツバルのパシエンシア監督の躍進はあるのか。個人的な注目ポイント第2位。

5.コンセイサオン監督を招聘したブラガが復興を果たすのか。

 

この5点が、新監督たちに期待する個人的な注目ポイントである。

激動の監督大事変を終え、彼らが2014-15シーズンをどのように彩るのか、引き続き注目したい。