川崎F守田英正が移籍するサンタ・クラーラってどんなクラブ?

J1を圧倒的な強さで制した川崎フロンターレの心臓、守田英正に、ポルトガル1部サンタ・クラーラがオファーを提示した。

このニュースへの反応を見てみると、「サンタ・クラーラって初めて聞いた名前だな」「清水エスパルスに加入するチアゴ・サンターナがいたチームか」など、想像通り、無名チームへの移籍に疑問を投げかける声が多く見られた。

これまで日本人選手が加入してきたポルトガル1部クラブの中で、圧倒的に知名度が低いこのサンタ・クラーラ。日本での無名度で言えば、藤本寛也が移籍したジウ・ビセンテにも勝るのではないかとさえ思うこのサンタ・クラーラ。今回はそんなサンタ・クラーラについて解説したい。

クラブ情報編

ポルトガルには有名な島が2つある。ひとつは、クリスティアーノ・ロナウドの生まれ故郷であり、横浜Fマリノスの前田大然もプレーしたマリティモが拠点を置くマデイラ島。アフリカのモロッコ近郊に位置するリゾート地である。

そしてもうひとつが、マデイラ島のさらに北西に位置するアソーレス諸島。ポルトガル本国からは約1000キロメートルの距離にある。日本で言えば、東京から小笠原諸島までの距離と同程度だ。この島に拠点を置くチームこそが、サンタ・クラーラである。

つまり、同クラブでプレーする選手は、アウェイ遠征のたびに、飛行機で本国まで渡り、そこからバスや電車を乗り継ぐ過酷な移動を強いられる。一方で、よく言えば、サッカー以外には何も誘惑のない、のびのびとサッカーに打ち込める環境とも言えるだろう。

もうひとつ、サンタ・クラーラを語る上で欠かせないのが、そのエンブレム。ご覧いただければ分かる通り、ベンフィカのそれと瓜二つだ。#ほぼベンフィカ なのだ。

ベンフィカのエンブレム
#ほぼベンフィカ サンタ・クラーラのエムブレム

これは、1930年代にサンタ・クラーラが初めてベンフィカと試合をした際に、その強さに衝撃を受け、同クラブのメンバーチームになったことが背景。その際にユニフォームやエンブレムが刷新され、当時の名残のまま現在に至るというわけだ。しかし、サンタ・クラーラも今や1部のクラブ。いつまでもベンフィカと見分けのつかないエムブレムではいられないということで、2020年9月とごく最近、「クラブエムブレムの刷新を検討する会」が発足した。数年後には、新たなシンボルを胸に戦うことになるだろう。

サッカー編

サンタ・クラーラの無名度は、これまでのカテゴリーに起因する部分が大きい。同クラブが1部に定着したのは、2018-19シーズンと、ごく最近だ。

しかし、驚くべきはその成績。昇格してきた2部クラスのチームは1年で再降格するのが常であるポルトガルリーグにおいて、サンタ・クラーラは、1部初年度の2018-19シーズンに10位、続く2019-20シーズンには9位と、降格圏を彷徨うどころか、トップハーフ争いを繰り広げてきた。この2シーズンで優れた成績を残したジョアン・エンリケス監督は、今やポルトガル屈指の古豪ビトーリア・ギマラインスの監督を務めている。

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昇格3年目となった2020-21シーズンは、2020年12月30日時点で10位。マリティモで好成績を残したダニエル・ラモス監督のもと、川崎フロンターレと同じ4-3-3のシステムを駆使し奮闘している。

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チームを構成する選手の多くはポルトガル語圏出身者。ポルトガル人とブラジル人で約77%を占める。一方で、イラン人とイラク人が1人ずつ所属しており、アジア人がスカッド全体の約7%を構成する。仮に守田が加入した場合、アジア人が合計3名となり、ポルトガル+ブラジルのポルトガル語圏勢に次いで、ウルグアイ人とベネズエラ人の合計3名が構成する南米勢に並ぶ、第三勢力が形成されることになる。

以上、サンタ・クラーラの基礎知識をご紹介した。ポルトガルリーグは、川崎フロンターレと同じ4-3-3のシステムで戦うチームが多い。そして、アンカーのポジションは、ポルトガル代表ウィリアン・カルバーリョ(元スポルティング)や、レアル・マドリードのカゼミロ(元ポルト)ら、展開力とボール奪取力に優れる名選手を輩出してきた。攻守両面で質の高い働きを求められるポジションであるが故に、すべてのクラブに必ずしも優れた選手がいるとは限らないポジションでもある。川崎フロンターレの4-3-3の中で、日本ではトップクラスのアンカーとしての名声を手にした守田が、ポルトガルでどこまで通用するのか。楽しみに期待したい。

【保存版】20-21季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

2019-20シーズンは、無類の勝負強さを発揮したセルジオ・コンセイサオン率いるポルトが、2シーズンぶりにリーグタイトルを奪還した。同シーズンも例年のごとく、ポルトとベンフィカの2強が王座を争ったが、その他にも、スポルティングを3位の座から引きずり下ろしたブラガや、昇格組ながら6位とリーグを席巻したファマリカオンなど、3強以外の躍進も目立つ1年となった。

2012-13シーズン以来、実に7季ぶりに「トレス・グランデス」の牙城が崩れた乱世を戦い終えた直後だが、来る2020-21シーズンは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、例年より短いオフシーズンに。チーム同士のコンペティションの観点からも、選手個々のコンディションの観点からも、前代未聞の過酷なシーズンを迎えることとなる。

今シーズンは、ポルトガルで初めてトップチームを率いる監督が5名、40歳以下の若手監督が6名と新世代の波も感じさせる。例年に増して、監督にとっては過酷なシーズンとなるポルトガル1部リーグについて、今年も毎年恒例、全18チームの監督人事をご紹介する。

1位:ポルト セルジオ・コンセイサオン (45歳)

セルジオ・コンセイサオン(続投)

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CLでは予選敗退を喫するも、リーグ戦では重要な試合をしぶとく勝ち切る勝負強さを発揮。一昨季はベンフィカ相手にシーズンダブルを許し苦杯を舐めたが、昨季はベンフィカとスポルティングとの「オ・クラシコ」において、ホーム&アウェイで4戦4勝。2002-03シーズンのジョゼ・モウリーニョ監督期以来、ライバルとの直接対決に全勝し、文句なしの優勝を果たした。

昨季はオフシーズンに多くの主力が退団し、転換期となる1年であったが、監督のマネジメントが奏功し、戦力の上積みに成功した。新戦力では、GKアウグスティン・マルチェジンやCMFマテウス・ウリベらがボール保持・非保持の両面でチームに安定をもらたし、LWGルイス・ディアスが得意のドリブルやミドルシュートでチームの攻撃にアクセントを加えた。

特筆すべきは、ユース上がりの若手選手を多く抜擢し、彼らにトップレベルで戦える目処が立った点であろう。2019年に欧州ユースリーグを制した世代からは、8人もの選手がトップチームに定着。シーズン開幕時にトップ昇格が決定していたロマーリオ・バローやファビオ・シウバらに加えて、ビトール・フェレイラやファビオ・ビエイラら、シーズン終盤に次々と頭角を現したユース出身選手が、いずれも結果を残しチームに競争をもたらした。

<2019-20季ポルトAに定着したユースリーグ2019優勝メンバー>
■トマス・エステービス
■ディオゴ・レイテ
■ビトール・フェレイラ
■ロマーリオ・バロー
■ファビオ・ビエイラ
■ジョアン・マリオ
■ファビオ・シウバ

そのファビオ・シウバやビトール・フェレイラらクラブの未来を担う若手選手が、揃ってウルバーハンプトンに移籍するなど、今季はオフシーズンから財政悪化の影響が如実に表れた。それでも、新戦力として、CFのポジションでリーグベストイレブンに選ばれたイラン代表メフディ・タレミや、アンダー世代のポルトガル代表経験GKクラウディオ・ラモスら、国内の中位クラブで結果を残し、活躍に一定目処が立つ即戦力を補強することで、チームの競争力を維持した。

ベンフィカが近年稀に見る大型補強を敢行し、タイトル争いは例年以上に熾烈に。ポルトとしては、今季も若手や途中加入選手を戦力として育成しながら、リーグ連覇は最低条件、加えて昨季は本選出場が叶わなかったCLでも飛躍を期する1年となる。

日本人としては、加入1年目の昨季は、負傷や新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり厳しいシーズンとなった中島翔哉が、名誉挽回のシーズンにできるかにも注目したい。

2位:ベンフィカ ジョルジ・ジェズス (66歳)

ネウソン・ベリッシモ(今季:未定)
→ジョルジ・ジェズス(前:フラメンゴ)

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一度狂った歯車は、再び噛み合わず。ポルトガルリーグ史にその名を残したブルーノ・ラージュの一時代が終焉した。

同監督は、2018-19シーズンにベンフィカBからトップチーム監督に就任すると、19試合で18勝1分と驚異的な成績で勝ち点を積み重ね、圧倒的優勢であったポルトから王座を奪還した。ナシオナル戦での10-0の大勝や、ジョアン・フェリックスの台頭など、ポルトガル国内のみならず欧州全土にその名を轟かせた1年を終え、2019-20シーズンは連覇が濃厚と目された2年目に臨んでいた。

シーズン序盤こそ前年度の勢いそのままに勝利を積み重ね、気がつけば、監督就任後シーズンを跨いだ最初の30試合において、勝ち点85と前人未到の記録を打ち立てていた。しかし、3節にホームで敗れていたポルトに再度土をつけられた20節、チームの潮目が一変する。ライバルに敗れた試合でアウェイ18試合無敗の記録が途絶え、その後、全13試合であげた勝利はわずかに2度。要塞ルス・スタジアムでの5試合連続勝ち星なしは、約90年ぶりの不名誉だった。

ベンフィカの失速を尻目にシーズン終盤にさらに勢いを増したポルトに引き離されんと、クラブは歴史的な記録を打ち立てたブルーノ・ラージュの解任を決断。アシスタントコーチのネウソン・ベリッシモを昇格させたが、リーグ優勝争いは最終節を待たずして終了。シーズンラストマッチとなったポルトガルカップ決勝でもポルトに敗れるなど、屈辱の無冠に終わった。

宿敵からのタイトル奪還。ルイス・フェリペ・ビエイラ会長の強烈な意気込みは、選手・監督人事に表れる。クラブに6シーズンで10つのタイトルをもたらしたレジェンド、ジョルジ・ジェズスの帰還である。フラメンゴでは、ブラジル全国選手権を初めて制覇した外国人監督となり、リベルタドーレス杯決勝では終了間際の2得点で大逆転しクラブに38年ぶりの南米制覇をもたらすなどタイトルをさらに積み重ね、満を持して古巣に舞い戻った。

勝利の味を誰よりも知る英雄の復帰。就任会見では「サポーターの皆さんに伝えたい。引退するためにここに来たのではない、勝つために来たのだ」と、その情熱は未だ衰えない。フロントの選手補強も近年例を見ない力の入れようで、ベルギー代表ヤン・フェルトンゲン、ブラジル代表エヴェルトン、ドイツ代表ヴァルトシュミットら3選手の同時加入発表は、メディアの度肝を抜く強烈なインパクトを残した。

ポルトとベンフィカ、ともに、昨季の主力メンバーに即戦力を加えてスカッドを強化し、欧州でも随一のチームを勝利の味を知り尽くす経験豊富な監督が率いる。両者のタイトルレースは、今年も熾烈を極めることだろう。

3位:ブラガ カルロス・カルバリャウ (54歳)

アルトゥール・ジョルジ(今季:ブラガU-23)
→カルロス・カルバリャウ(前:リオ・アベ)

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リーグ3位という結果だけに目をやれば、最高のシーズンを送ったかのように見える。しかし実態は、近年稀に見る波乱万丈な1年だった。

2017-18シーズンにクラブレコードとなる勝ち点75を記録したアベル・フェレイラ(現PAOK監督)から監督の座を継いだリカルド・サー・ピントは、リーグ8位と低迷していた12月に解任。リーグ4位以上が常連である強豪クラブが、早くも上位争いから脱落したかに見えた。

しかし、Bチームから昇格させた34歳の若手監督がチームを劇的に蘇らせる。ベンフィカの名選手として名を馳せ、ポルトガル代表でもプレーしたルーベン・アモリンである。

同監督就任後は、リーグ戦9試合で8勝1分無敗。しかも、うち3試合はポルト・ベンフィカ・スポルティングの3強全てをなぎ倒す驚異の追い上げを見せ、一気にリーグ3位まで浮上した。リーグカップでも、決勝でポルトをシャットアウト。監督自身はポルトガルサッカー史上初めて、選手・監督両方の立場で同タイトルを獲得するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いでシーズン中盤のポルトガルリーグを席巻した。

流星の如く現れた未来の名将候補を3強が指を加えて見ているはずもなく、スターダムを一気に駆け上がったルーベン・アモリンは、わずか2ヶ月後、スポルティングに引き抜かれクラブを去った。救世主を失ったクラブはシーズン序盤のようにまたも低迷。ユース監督から抜擢されたクストーディオ・カストロは、就任後6戦3敗で早くも解任された。最終的には、アルトゥール・ジョルジ新監督のもと、何とかアモリンの遺産であるリーグ3位の座を、仇であるスポルティングの追い上げから守り切った。

ジェットコースターのようなシーズンを送ったブラガにとって、今季求められるのは、何といっても安定性。クラブが手堅く選んだ新指揮官は、昨季リオ・アベを5位に導いたカルロス・カルバリャウ。トルコのベジクタシュやイングランドのシェフィールド・ウェンズデイ、スウォンジーなど、国外での監督経験も豊富な名将だ。選手としてユース時代を過ごした愛する古巣に、監督としては2006-07シーズンぶりに復帰した。

ポルトで2度目のリーグタイトルを獲得したセルジオ・コンセイサオン、ベンフィカの英雄ジョルジ・ジェズス、そして、その実力はどのクラブよりもよく知るルーベン・アモリン。彼らが率いる3強に2シーズン連続で割って入るのは困難ではあるが、母国で再評価されつつある名将の手腕に期待がかかる。

4位:スポルティング ルーベン・アモリン (35歳)

ルーベン・アモリン(続投)

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昨季は監督人事の迷走により自らの首を締め、7シーズンぶりに3強の座から崩れ落ちた。

2018-19シーズンに約10年ぶりとなる国内カップ2冠をクラブにもたらしたマルセル・カイザーを9月の時点で早々に解任。この悪手が名門の低迷を招く。暫定監督に据えたレオネル・ポンテスは、2分3敗と勝ち星を1つも挙げることなく、わずか5試合で解任。結果を残せる新監督を照会する時間は十分にあった中で、首脳陣はさらなる迷走に走る。

ジョルジ・シラスの招聘である。自クラブより格下のベレネンセスで、シーズン開幕から4試合を戦い0勝0ゴールで早々に解任されていた監督にチームの指揮を託したのだ。監督就任時点におけるポルトガルリーグでの通算勝率はわずか25%、そんな監督が名門クラブの救世主になり得るはずもなく、クラブは3月に3度目の監督交代を決断する。

時を同じくして、3位争いのライバルである
ブラガでは、ルーベン・アモリン新監督がポルトガルリーグを席巻していた。冬にブルーノ・フェルナンデスをマンチェスター・ユナイテッドに売却して5,500万ユーロを手にしたスポルティングは、藁にもすがる思いでこのビックサプライズをクラブ史上歴代2位(※選手含む)の高額違約金1,000万ユーロで強奪した。

ルーベン・アモリン監督就任後は、7月にポルトに敗れリーグタイトルを献上するまで、8試合で6勝2分無敗と立て直しに成功。監督自身がブラガ時代から続けたリーグ無敗記録は、17試合(14勝3分)でストップしたが、何とかリーグ4位で名門の面目は保った。

今季、ルーベン・アモリンはトップチーム監督として初めて、シーズン開幕から指揮を執ることに。昨季の躍進がフロックではないことを証明できるか。その先に、2001-02シーズン以来となる、クラブ念願のリーグタイトル奪還の夢が見えてくるだろう。

5位:リオ・アベ マリオ・シウバ (43歳)

カルロス・カルバリャウ(今季:ブラガ)
→マリオ・シウバ(前:アルメリア)

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昨季最大のダークホースであるファマリカオンと、最終節までもつれたEL出場権争いを制し、リーグ5位に躍進したリオ・アベ。監督カルロス・カルバリャウはその手腕を評価され、強豪ブラガに引き抜かれた。

新たにクラブが招聘したのは、43歳のマリオ・シウバ。昨季は、監督交代の影響で一時トップチーム監督を務めたスペインのアルメリアで、主に下部組織のコーディネーターを担当した育成のスペシャリストだ。2018-19シーズンには、ポルトU-19を率いて欧州ユースリーグを制覇。その主要メンバーの多くが、昨季トップチームで一際輝いたことは前述の通りである。

マリオ・シウバは、ビトーリア・ギマラインスも今季の監督候補としてリストアップしていたという期待の青年監督。リオ・アベから世界に羽ばたいていったヌーノ・エスピリト・サント(現ウルバーハンプトン監督)やミゲウ・カルドーゾ(かつてナントやセルタを指揮)らに続けるか。キャリア初となるポルトガル1部リーグでの挑戦やいかに。

マンチェスター・シティよりレンタル加入した食野亮太郎の起用法にも注目だ。

6位:ファマリカオン ジョアン・ペドロ・ソウザ (49歳)

ジョアン・ペドロ・ソウザ(続投)

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誰がこれほどまでの躍進を予想しただろうか。実に四半世紀、25年ぶりに1部へ復帰した弱小クラブが、トップリーグで6位と大健闘。3強とのアウェイ戦を3戦無敗で乗り切り、EL出場権獲得まで勝ち点1差に迫る、まさにファマリカオン旋風を巻き起こした。

台風の目の中心にいたのが、マルコ・シウバ(かつてエバートンやハル・シティを指揮)の右腕として暗躍したジョアン・ペドロ・ソウザだ。GKを含めた丁寧なビルドアップと、ピッチの幅・奥行きを広く使いゲームの主導権を握るスタイルで、格上から次々と大金星を挙げていった。

ファマリカオンにとって今季最大の補強は、このジョアン・ペドロ・ソウザ監督の残留だろう。ポルトガルのビッグクラブに引き抜かれても不思議ではないインパクトを残した昨季に続き、格上を恐れない強気なスタイルで、今季こそヨーロッパの舞台への挑戦権を目指す。

7位:ビトーリア・ギマラインス ティアゴ・メンデス (39歳)

イボ・ビエイラ(来季:アル・ワフダ)
→ティアゴ・メンデス(前:ポルトガルU-15代表コーチ)

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上位進出を期して、イボ・ビエイラ監督の後任に招聘したのは、ポルトガル代表選手として2度のW杯を戦い、チェルシーやリヨン、ユベントスにアトレティコなど、数々の名門クラブを渡り歩いてきたポルトガルのレジェンド、ティアゴ・メンデス。選手引退後は、アトレティコの盟友ディエゴ・シメオネ監督のアシスタントコーチとして指導者のキャリアをスタートさせた39歳の若手指揮官が、ついにトップチーム監督に就任した。

ミゲル・ピント・リスボア会長は、ティアゴが持つ「強いパーソナリティ」と「リーダーシップの精神」を期待。昨季は選手として同世代のポルトガル代表を牽引したルーベン・アモリンが、監督としてブラガとスポルティングで並外れた結果を残しただけに、監督デビュー初年度であろうと大きな期待がかかる。

ポルトガル代表時代からの盟友で今季の10番を託したリカルド・クアレスマとのタッグにも要注目だ。

8位:モレイレンセ リカルド・ソアレス (45歳)

ビトール・カンペロス(今季:未定)
→リカルド・ソアレス(続投)

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昨季は12月にビトール・カンペロス監督を解任。シーズン途中の監督就任ながら、リーグ8位と好成績を残したリカルド・ソアレス新監督が続投を勝ち取った。

9位:サンタ・クラーラ ダニエル・ラモス (49歳)

ジョアン・エンリケス(今季:未定)
→ダニエル・ラモス(前:ボアビスタ)

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昇格初年度の2018-19シーズンにリーグ10位、2年目の昨季は1桁台となるリーグ9位と、弱小クラブにおいて2季連続で好成績を残したジョアン・エンリケスが勇退。

引き続き1部定着を目指すクラブは、昨季ボアビスタでピンチヒッターを務めたダニエル・ラモスを招聘。監督自身は、2部リーグ時代に自らの評価を高めるきっかけとなった古巣に、2016-17シーズンぶりに復帰することとなった。

10位:ジウ・ビセンテ ルイ・アウメイダ (50歳)

ビトール・オリベイラ(今季:未定)
→ルイ・アウメイダ(前:カーン)

Rui ALMEIDA, headcoach of Caen during the Ligue 2 match between Caen and Lens on September 21, 2019 in Caen, France. (Photo by Vincent Michel/Icon Sport via Getty Images)

「ポルトガルの昇格王」ビトール・オリベイラに率いられたチームは、3部からの特別昇格を果たした1年目に大躍進。特に、開幕戦では優勝候補ポルト相手に粘り強く守って2-1の大金星を挙げるサプライズを演じた。

自身のキャリアで11度も2部クラブを1部に昇格させた名将は「これまでのキャリアで最も難しいプロジェクトだった」と自ら振り返った残留を見事に成功させて勇退。クラブは新指揮官として、トロワやカーンなど主にフランスで監督を務めてきたルイ・アウメイダを招聘した。

50歳の同監督は、2012-15シーズンまでポルトガル屈指のベテラン監督ジェズアウド・フェレイラのアシスタントコーチとして、ギリシャやエジプトなどを渡り歩く。2015-16シーズンにフランスのレッドスターでトップチーム監督デビューを果たすと、その後、2018-19シーズンにはフランスのトロワを2部リーグ3位に導くが、昨季率いたカーンでは、わずか10試合で途中解任されていた。コーチとしてのキャリアは長いが、意外にも母国ポルトガルで監督を務めるのは初となる。

ビトール・オリベイラは、強固な守備ブロックを形成して、快速FWロウレンシーらにロングボールを放り込み、素早く敵陣に攻め込む弱者の割り切りスタイルで勝ち星を積み重ねたが、ルイ・アウメイダはトロワで成功体験を得たような、より中盤で主導権を握り、サイドからのクロスを中央で合わせる連動した得点スタイルで残留を目指すだろう。

東京ヴェルディから移籍した藤本寛也ら中盤の選手が、1部リーグの波いる強敵をどこまでいなし、確実なビルドアップをこなせるか。トップリーグ定着に向け、分岐点となるシーズンを迎える。

11位:マリティモ リト・ビディガル (51歳)

ジョゼ・ゴメス(今季:アルメリア)
→リト・ビディガル(前:ビトーリア・セトゥバル)

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ヌーノ・マンタ・サントスのもと上位躍進を期したが、降格ラインに低迷し続けた同監督はシーズン途中に解任。ジョゼ・ゴメス新監督のもと、何とかリーグ中位まで立て直した。

クラブが新監督に選んだのは、昨季ボアビスタを途中解任されるも、その後途中就任したビトーリア・セトゥバルを、勝ち点上残留に導いたリト・ビディガル。中位〜下位クラブでの経験が豊富な監督と2年契約を締結した。同監督は、2015-16シーズンには、今や3部に沈むアロウカを1部5位に導いたものの、近年は1年を通して継続的にクラブを指揮できない状況が続いている。監督自身の名誉挽回を果たす上でも勝負の1年となる。

12位:ボアビスタ バスコ・セアブラ (36歳)

ダニエル・ラモス(今季:サンタ・クラーラ)
→バスコ・セアブラ(前:マフラ)

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リト・ビディガルとダニエル・ラモス、2人の監督が指揮を執った昨季も、例年通りリーグ中位の立ち位置は変わらず。ポルトガル屈指の古豪が今季チームを託したのは、36歳の青年監督バスコ・セアブラだ。

同監督は、2016-17シーズンに33歳の若さでパソス・デ・フェレイラのアシスタントコーチから監督に昇格して注目を集めたが、その翌年に途中解任。1部リーグでの挑戦は高い壁に阻まれた。しかし、昨季はマフラを率いて2部リーグ4位及びポルトガルカップベスト16進出と大健闘。見事に名誉挽回を果たし、1部リーグの表舞台に返り咲いた。

古豪クラブ×新世代監督。新旧の融合で今年こそは上位進出を果たしたい。

13位:パソス・デ・フェレイラ ペパ (39歳)

ペパ(続投)

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初のポルトガル1部挑戦となったクラブOBのフィローは、第4節を終え早々に解任。新監督として、2018-19シーズンにトンデーラを退任して以来フリーとなっていた国内屈指の若手監督ペパを招聘し、何とか1年での再降格は免れた。

クラブは1部定着を目指し、中小クラブでの実績が十分な同監督の続投を決断。3シーズンでクラブ歴代最高順位の11位に導いたトンデーラ時代のように、安定した長期政権を築きたい。

14位:トンデーラ パコ・アジェスタラン (57歳)

ナチョ・ゴンザレス(今季:未定)
→パコ・アジェスタラン(前:パチューカ)

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クラブは最終節にようやく残留を決定させるなど下位に沈みながらも、ナチョ・ゴンザレス監督は開幕から一度も途中解任されずシーズンを走り切った7人の指揮官のうちの1人となった。
(※他6人は、セルジオ・コンセイサオン、カルロス・カルバリャウ、ジョアン・ペドロ・ソウザ、イボ・ビエイラ、ジョアン・エンリケス、ビトール・オリベイラ)

それでも、スペイン人監督は昨季限りでの退団を表明。クラブは、スペイン路線を継続し、新監督としてパコ・アジェスタランを招聘した。

57歳の同監督は、バレンシアやリバプールでラファ・ベニテス監督率いるテクニカルチームの一角を担った人物。ポルトガルでは、キケ・フローレスが指揮した2008-09のベンフィカでフィジカルコーチを務めていた。2018-19シーズンにメキシコのパチューカを率いて以来の現場復帰が、ポルトガルリーグでの初の監督経験となる。

今季ポルトガル1部リーグを戦う18チームのうち、外国人監督を据えるのはトンデーラのみ。リーグ唯一のスペイン人監督のもと、今季も残留を現実的な目標としてシーズンを走り切りたい。

15位:ベレネンセス プティ(43歳)

プティ(続投)

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昨季はシーズン開幕から指揮を執ったジョルジ・シラスが、開幕4試合で0勝0ゴールと悲惨な成績を残して早々に監督交代。その後、ペドロ・ヒベイロを挟み、最終的には、プティ監督のもと辛うじて残留を果たした。

監督続投を勝ち取ったプティだが、近年率いたクラブでは、いずれも1-2年の短命政権で終わっている。首都リスボンの古豪復権を成し遂げ、自身も名ピンチヒッターの立ち位置から脱却したい。

17位:ポルティモネンセ パウロ・セルジオ (52歳)

パウロ・セルジオ(続投)

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アントニオ・フォーリャとブルーノ・ロペス2人の指揮官を、降格圏低迷の責任を取らせてシーズン途中に交代。3人目の監督となったパウロ・セルジオのもと、一時は降格圏を脱するなど「奇跡の残留」目前に迫った。しかし、最終節に17位が確定し、2部リーグ降格が決定。勝ち点差わずか「1」に泣くこととなった。

それでも、ポルティモネンセに「奇跡の残留」が転がり込んだ。16位で勝ち点上は残留を決めていたビトーリア・セトゥバルが、プロライセンスの財務条件を満たさなかったことを理由にライセンス申請が却下され、3部相当のポルトガル選手権に降格。ポルティモネンセとしては、勝ち点上は降格しながらも、大逆転で1部に残留する幸運に恵まれる形となった。

前監督・前々監督時代には出場機会に恵まれなかった日本代表GK権田修一は、パウロ・セルジオのもとスタメンに定着し、リーグ戦後半における快進撃の主軸を担った。権田とは正反対に、前監督・前々監督時代には不動のレギュラーであった安西幸輝は、同監督就任後に出場機会を急激に減らしたが、リーグ終盤には再び定位置を確保するなど、信頼を取り戻しつつある。

パウロ・セルジオ監督就任2年目の今季は、日本代表2選手をどのように起用するのか。日本人にとっては、ポルトガルリーグにおける楽しみのひとつだろう。

2部1位:ナシオナル ルイス・フレイレ (34歳)

ルイス・フレイレ(続投)

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1年での1部復帰を果たしたマデイラの雄。監督「ルイス・フレイレ」の名は覚えておいて損はないだろう。

現在34歳の若手監督は、ポルトガル次世代の「昇格王」として認知され始めている。「ポルトガルリーグの昇格王」といえば、自身のキャリアで11度の1部昇格を達成している66歳の老将ビトール・オリベイラが有名だ。一方で、ルイス・フレイレが2部から1部にチームを昇格させたのは昨季がキャリア初。彼が次代の昇格王と目される所以は、そのシンデレラ・ストーリーにある。同監督はこの8年間で6度のカテゴリーアップを経験。7部から1部へと一気にキャリアを駆け上ったのだ。

26歳で監督デビューを果たしたルイス・フレイレは、リスボンの地区リーグでエリセイレンセを7部→6部→5部へと2カテゴリー昇格させた。その後指揮を執ったペロ・ピニェイロでも、5部→4部→3部へとまたもや2カテゴリーの昇格を果たして、自身も3部相当のポルトガル選手権までステップアップ。直後の2017-18年には、32歳でマフラをポルトガル2部リーグに導いた。翌年監督就任したエストリルでは1部昇格に失敗したものの、その翌年となる昨季、ついにナシオナルとともにトップカテゴリーまで登り詰めた。

無名の青年がわずか8年で7部相当から1部まで登り詰めた秘訣は、彼が若き頃より磨き上げたその分析力にある。24歳の頃、後に指揮を執ることになるマフラで当時の監督フィリペ・モレイラにトレーニングの視察を直訴、分析レポートをまとめてその力を認められ、無報酬ながら分析官として暗躍したという逸話もある。トンデーラ時代に、ルイス・フレイレを自らの分析スタッフに据えたペパをして、「我々はワーカホリックだった。24時間フットボールのことを話せる、すぐに共感し合える仲だった」と絶大な信頼を寄せていたことがうかがえる。

ルイス・フレイレが研究対象としてきたチームは、ジョルジ・ジェズスのベンフィカやパウロ・ソウザのフィオレンティーナなど同国人監督が率いるチームの他、グアルディオラのバイエルン、サッリのナポリ、トゥヘルのドルトムントなど、欧州サッカーをリードした監督が率いるチームまで幅広い。ボール保持では3バック+2ボランチで数的優位を作り相手を引き寄せてはWBのアイソレーションを執拗に狙い、ボール非保持では4-1-4-1のブロックを形成しては、機を見てチーム全員が連動してハイプレスを仕掛けボールに襲いかかる。分析熱心な監督が丹念に整備したことが伺える戦術的練度で、2部優勝に値するチームを作り上げた。

このチームがトップカテゴリーでどこまで通用するか。類稀な洞察眼で夢の1部リーグ挑戦を掴んだルイス・フレイレ。今季のリーグ最年少監督が歩むシンデレラストーリーの行く末に注目だ。

2部2位:ファレンセ:セルジオ・ビエイラ (37歳)

セルジオ・ビエイラ(契約更新)

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全日程終了前のシーズン中止がありつつも、クラブに18年ぶりの1部昇格をもたらしたセルジオ・ビエイラ。クラブはその功績を称え、37歳の若手監督と新たに3年契約を締結した。

昨季は同じ2部2位枠から25年ぶりに昇格を果たしたファマリカオンが6位と大躍進。まずは残留を目指すことが最優先だが、同クラブのような奇跡の再現も狙いたい。

食野亮太郎が移籍したリオ・アベってどんなクラブ?

マンチェスター・シティに所属する元ガンバ大阪FW食野亮太郎が、ポルトガル1部リオ・アベに移籍することが決定。契約期間は2年、買取りオプション付きのレンタル移籍となった。

食野の新天地となったリオ・アベは、2019-20シーズンにリーグ5位に輝いたポルトガルを代表するクラブの一角だ。今回は食野の移籍に際して、日本ではあまり知られていない同クラブの特徴についてご紹介する。

ポルト郊外に位置するポルトガル屈指の実力派

リオ・アベのホームスタジアム「エスタディオ・ドス・アルコス」は、ポルト区域内のメトロで北西に伸びるレッドラインの西端「ビラ・ド・コンデ」に位置する。ポルト中心部からは約1〜1.5時間で辿り着ける距離である。レッドラインは、FCポルトのホームスタジアム駅「エスタディオ・ド・ドラガオン」を終着点としてポルトを縦横断しているため、リオ・アベ⇄ポルトのそれぞれのスタジアムへのアクセスは、メトロ一本で可能となる。

リオ・アベは、昨季2019-20シーズンには、ポルトガルリーグで5位に輝き、見事プレーオフからのEL挑戦権を獲得した。ポルトガルリーグは、ポルト・ベンフィカ・スポルティング・ブラガの「4強」が頭ひとつふたつ飛び抜けているが、それ以外のクラブの中では、毎年コンスタントに躍進している実力派クラブの一角と言えよう。過去3シーズンを遡っても、2016-17シーズンには7位、2017-18シーズンは5位、そして2018-19シーズンは7位と、上位クラブとしてのポジションを確固たるものに。2013-14シーズンには、ポルトガル国内の2つのカップ戦で、ともに決勝まで進出している。

良い監督が良い選手を育てる好循環

リオ・アベをポルトガル国内屈指のチームとしているひとつの理由は、その「監督輩出力」にある。近年はリオ・アベから世界に羽ばたく優秀な監督が量産されており、彼らによって育成された選手も欧州の名門クラブにステップアップする好循環が生まれている。

前述した国内2つのカップ戦で決勝進出を果たしたのは、現ウルバーハンプトン監督ヌーノ・エスピリト・サントである。同監督は本シーズン後に、スペインの名門バレンシアへとステップアップ。敏腕代理人ジョルジ・メンデスの「最初の顧客」として知られる同氏だけに、メンデスが懇意にするバレンシアへの移籍は実力以上の力が働いたことが推察されるが、いずれにせよ、このポルトガルの中堅クラブから世界の舞台に羽ばたく前例を作った。

ヌーノ・エスピリト・サントの後を継いだペドロ・マルティンスは、リオ・アベで2シーズンにわたって指揮を執り、その後ビトーリア・ギマラインスを経て、現在はギリシャの名門オリンピアコスを指揮。2016-17シーズンに監督途中交代のピンチヒッターを務めたルイス・カストロは、ウクライナ王者シャフタールでリーグ優勝やCL出場を経験している。昨シーズンのリーグ5位と同等の躍進を遂げた2017-18シーズンにチームを指揮したミゲウ・カルドーゾは、リオ・アベでの1年を経て、その後スペインのセルタやフランスのナント、ギリシャのAEKの監督を歴任した。

昨季クラブを5位に導いたカルロス・カルバリャウも、例によって、ポルトガル4強の一角ブラガに引き抜かれる中、今2020-21シーズンに新監督に就任したのが、マリオ・シウバだ。同監督は、2018-19シーズンにポルトU-19を率いてUEFAユースリーグを優勝、クラブに同初タイトルをもたらした育成のスペシャリストとして知られている。同大会でプレーしたファビオ・シウバら7選手は、昨季ポルトのトップチームで多くがレギュラー格として躍動し、リーグタイトル奪還に貢献した。

リオ・アベから世界的スターに登り詰めた最高傑作は、元ポルトガル代表SBファビオ・コエントランだろう。育成組織出身のコエントランは、リオ・アベでの活躍が認められてベンフィカへとステップアップ。その後、銀河系軍団レアル・マドリードの一員となったことは周知の通りである。昨季も、37試合21ゴールと得点を量産してリーグのベストイレブンにも選出されたイラン代表FWメフディ・タレミが、今季からポルトへ移籍することが決定したばかりだ。

リオ・アベでは、食野のようにレンタルで獲得した選手をうまく登用・育成して、そのキャリアに花を咲かせる前例も多い。例えば、フランクフルト所属のゴンサロ・パシエンシアや、フィオレンティーナやモナコなどでプレーしたジウ・ディアスらも、これら欧州の強豪クラブへ移籍する以前はリオ・アベでプレーしていた過去を持つ。

今季も例年のように、マリオ・シウバのような欧州を代表する指揮官となり得るポテンシャルを持つ優秀な監督のもと、リオ・アベからビッグクラブへ巣立つ優秀な選手が現れることだろう。それが食野亮太郎であれば、日本人としてはこの上なく誇らしい。

世界王者リバプール「今季最高の補強」。ベールに包まれたポルトガル人コーチに迫る

『maisfutebol』

リパプール監督ユルゲン・クロップの右腕ペパイン・ラインダースに誘われ、欧州王者の「elite player development」責任者に就任したビトール・マトス氏が、ポルトガルメディア『maisfutebol』のロングインタビューに応答。CL制覇に続き、2019-20シーズンのプレミアリーグも圧倒的な強さで蹂躙する最強チームにおいて、成功の鍵を握りながらも詳細な素性が明かされてこなかったブレインの人生に迫った。

-監督としてのキャリアについて話をする前に、あなたの幼少期について振り返らせてください。サッカーは何歳のときに始めたのですか?

24時間ずっとサッカーができるならそうしているような子どもでした。道端でも学校でも家でも、サッカーをどのような形であってもできる方法をいつも探していました。オフィシャルな形でサッカーを始めたのは13歳のとき。地元の「SCコインブロインス」でプレーし始めました。その日から一度たりともサッカーから離れたことはありません。

-何年間プレーしたのですか?

サッカーの育成年代は全て経験して、シニアの年代になったときに、監督をする機会が訪れました。面白いことに、多くのチームメイトを自分が指導したのです。

-いつ監督としてのキャリアを送りたいと思い始めたのですか?

私は常にサッカーに対して大きな情熱を注いできました。SCコインブロインスやCFバラダーレスといったチームでプレーヤーとしてサッカーと繋がっていたし、その少し後には、FCポルトの偉大なる瞬間に立ち会える幸運にも恵まれました。2002-03と2003-04のジョゼ・モウリーニョ監督期のFCポルトです。この2年間は、チームがどのようにプレーし、どのように構築されるのかという観点から、私の中で記憶に残っています。おそらくCLの前日と翌日の新聞をまだ持っていると思います。あれが私の好奇心を大いに刺激しました。ジョゼ・モウリーニョの足跡を追うだけでなく、その成功の背景を知りたいと思い、監督になりたいと考えるようになりました。だから、15歳のときにはもう自分の頭の中は決まっていたのです。シニア年代の初年度までプレーは続け、(ポルト大学の)スポーツ学部で学びました。その後、オランダに留学し、そして監督になる誘いを受けました。

-オランダに留学したのですね。

オランダには「エラスムス」の留学プログラムで行きました。当時は、アヤックスとその育成プロジェクト、そしてオランダのサッカーやトレーニングの文化について興味がありました。

-監督になる機会はどのようにして訪れたのですか?

FCバラダーレスで監督としてのキャリアをスタートさせました。おかしな話ですが、オランダに留学していたのに、もうクラブのプレシーズンが始まっていたのです。私が戻ってきたとき、監督が「選手の代わりにアシスタントコーチになりたいか」と尋ねてきました。私は、選手よりもアシスタントコーチとしての方が価値を出せると考えたので、疑いようなく正しい決断でした。翌年、クラブの会長がU-19チームの監督を務めるチャンスをくれました。21歳の私にとっては素晴らしい経験です。その年の終盤に、育成プロジェクトのためトロフェンセ(ポルトガル)に行く招待を受け、2年間をそこで過ごしました。

-その後に、FCポルトの名前が浮上します。どのように招待を受けたのですか?

私がFCポルトに入団したとき、育成プロジェクトの責任者はルイス・カストロ(現シャフタール監督)とビトール・フラーデ教授でした。教授が私に、ルイス・カストロとの面接の機会をくれたのです。なんともない普通の面接プロセスを経て、最終的な決定を待っていました。合格の知らせを受け取った日のことを、まるで今日のように覚えています。すごく意味深いものでした。

-FCポルトでは5シーズンを過ごされました。クラブ内ではどのような役割を果たしていたのですか?

私は、我々の経験や将来に向けた準備の仕方を信じています。その意味で、幸運にも、試合やトレーニングへの知識が豊富で、クラブの文化を重視していた監督たちとともに育成プロジェクトに参画できました。私のFCポルトでの最初の役割は、U-9チーム監督とU-13アシスタントコーチでした。私が初めて全国レベルの大会でアシスタントコーチを務めた監督が、アントニオ・フォーリャ(前SCポルティモネンセ監督)でした。その後、クラブ内で新たに作られた機能や、もっと貢献できる機能について構造的な革新があり、私は監督やアシスタントコーチ、オブザーバーなどを務めました。その経験のおかげで、育成プロセスの全課程や全部門、共通の目的に沿って各部門を関連づけるようなマクロな視点を持つことができたのです。

-その後、FCポルトを退団して、中国の山東魯能に行きましたね。なぜでしょうか?

中国行きの決断には2つの要因がありました。1つ目の要因として、中国ではより経済的に自立でき、より快適に家族との生活や計画を進めることができる状況だったこと。2つ目の要因としては、異なる文化への挑戦、そしてプロジェクトを共に進めたグループによる挑戦でした。

-中国ではどのような役割を果たしましたか?

U-9からU-13までのサイクルにおけるコーディネーターと、同時に、U-15およびU-16チームの監督を務めました。

-その経験をどのように評価しますか?

人間的な観点、また、専門的な観点からも、非常に豊かな経験でした。人間的な視点というのは、異なる文化を持つ人々への理解、我々にとっては重要なことでも彼らにとっては重要ではないことがあるということ。専門的な視点というのは、相対化すること、そして優先事項と付属事項を区別すること。小さな変化が、大きなインパクトを創造できることに気づかされました。

-なぜFCポルトに戻ったのですか?

FCポルトへの復帰は、自然な形で起こりました。私がクラブや組織全体と良い関係を築いていたためです。家に帰るようなものでした。中国では契約の最終年であり、更新しないことは決めていました。ルイ・バロス(現ポルトB監督)とクラブ組織からの招待を受け、彼のテクニカルチームに加わりました。

-FCポルトの育成組織で出会った最高のタレントは誰でしたか?

移籍シーズンが近づいていますので、他クラブについての質問には答えたくありません。誤解を招きたくないので。

-FCポルトに戻ってたった1年で、リパプールの名前が浮上します。それはどのように起こったのですか?

ユルゲン(クロップ)とペパイン(ラインダース)、そしてクラブは、テクニカルチームにおいて、アシスタントコーチとしての役割に加えて、アカデミーとトップチームを強く結び付けられる役割の必要性を感じていました。

-ペパイン・ラインダース氏が監督・コーチとしてあなたに与えた影響はどのようなものですか?

ある人に影響を与える最良の方法は、その人の心に触れることだと信じています。ペパインにはその才があります。彼は試合、トレーニング、そして我々一人ひとりに届く方法について、エネルギーと情熱を持っています。発生している問題について解決策を探すことに秀でており、ときに問題を予期することもあります。彼とまた仕事ができていることは、私にとっては誇りであり大きな喜びです。

-リパプールではどのような役割を果たしていますか?ユルゲン・クロップのアシスタントコーチを務めながら、U-23チームとジュニアチームの選手たちとも仕事をしていますね?

トップチームのアシスタントであることに加え、私の主な目的は、才能豊かな選手、つまり、エリート選手の育成を最大限に促すことです。選手の育成は様々な方法で行われていますが、最も重要なことは、どのように集合体・チームとして試合にアプローチし、どのようにアイデンティティや個人の成長を促すゲームアイディアを構築・開発するかを知ることです。その最たる例がトップチームです。要点を言えば、私の役割は、トップチームとアカデミーにある距離を縮め、U-18チームとU-23チームを、方法論のレベルで、または、我々が基本と考えているゲーム原則のレベルで、トップチームに近づけることです。そして同時に、弱点を再構造化し、細部に対して完璧主義であり、選手が持つクオリティを最大化する点において、選手”個々”についても配慮します。

-エリート選手の育成という仕事は、育成年代の選手に対してのみ行われるのですか?

エリート選手の育成は、トップチームに入る才能があるとクラブが信じている選手に対して適用されます。それは、シニア年代、レンタル移籍中の選手、アカデミーからトップチームへの移行フェーズにある選手などです。

-あなたがユルゲン・クロップに情報を提供し、それに基づいて、その若手選手がトップチームに加わるかどうかを監督が決めるのですか?

テクニカルチームの機能として、すべての決断は共有され、一緒に決定されます。ただ、最初と最後の言葉は、ユルゲンによって発せられます。この件については、私が才能のある選手の育成について責任のある役割を果たしているため、提案はいつも私から発せられます。

-クロップのように、率いるクラブの周囲に素晴らしい環境を作り出せる能力のある監督は少ないように思えます。

クラブ、街、そしてユルゲンの関係性は素晴らしいものです。完全なる共存と言えるでしょう。これは、ユルゲンの個性とカリスマ性、そしてクラブの神秘性と歴史を通じて自然に形成されたものだと思っています。間違いなく、彼は勝利・克服・ハードワーク・完璧主義の文化を築きましたが、それは彼の人となりや、彼が信ずるものと関係しています。

-ユルゲンは人を愛しています。彼は毎日どのように過ごしていますか?

(彼が人を愛することは)クラブでの日常からも感じられます。ユルゲンは、素晴らしく信じられないような人です。彼はたった5分間で、あなたを一緒に世界征服をするよう説得できるような人間です。その性格は、彼の計画にも、エクササイズにも、トレーニングにも、試合にも、講義にも、会話にも、どこにでも感じられます。我々一人ひとりにリーチし、最大限を要求することができるのです。

-何か驚いたことはありますか?

あなたは、彼のインタビューや記者会見、試合を見て彼のイメージを頭に作り上げていますが、ユルゲンはいつでもあなたを驚かすことができます。彼は多くの場合、枠の外で考え、多くの問題を予期できるような人です。

-ペパイン・ラインダースは、「ビトール・マトスはリパプールにとって今季最高の補強だ」と言いました。それを聞いてどう思いましたか?責任感が増しましたか?

いいえ。責任感は受け取った称賛とは無関係であるべきです。全く予期していなかったので、そのような言葉を聞けるのは素晴らしいのは明らかですが、称賛以上に私が追求しているのは、クラブが必要としているすべてに対して貢献し、ハードワークすることです。私は謙虚さ・忍耐力・ハードワークといったものの価値と原則を信じています。サッカーとははかないものであり、そこに残るのは私たちがどの側面にも持つ原則と価値です。ペパインは、そのプロフェショナリズム・情熱・完璧主義から、私にとっては大いなる刺激の源です。その刺激は、私個人として、家族として、そしてプロとして、素晴らしい助けになっています。それこそが、彼が驚くべきほど優れた人間であることを意味しています。

-では、リパプールについてより一般的な文脈での話をしましょう。プレミアリーグでは事実上他のチームはノーチャンスです。チームの成功のポイントは何でしょうか?

すべての始まりは、素晴らしい選手たちです。才能があり創造性のある選手たちが、試合はチームによるものであることを信じており、攻守両面において起こることに対して責任があることを理解しているのであれば、他のチームが注意しなければならないチームになります。クラブとしてより組織的に整備されるほど、ディテールの重要性を感じられる選手が増え、間違いなく彼らは、クラブが選手に対して日々持っている努力・プロフェショナリズム・献身を感じられるようになります。この結束と文化が、今季の成功に大きく関係しています。私たち全員が、週末だけでなく1週間を通じて試合に勝利した気分を感じています。チームの野心・メンタル・才能・そして創造性は素晴らしいものです。

-いまやリパプールは、単なるプレッシング(ゲーゲンプレッシング)と縦に速いだけのチームではありません。より汎用的で柔軟になりました。

それはいくつもの要因が関係しています。そのひとつが、我々のゲームアイディアに則って、選手の特徴を最大化できた方法です。この可変性は、チームが直面する様々な問題に対して、チーム全体で調整が効くように敏感に構築されていることに起因します。全てが、試合のリズムとスペースをどのように管理するかに関係しています。

-クロップがリバプールに来たとき、ララーナは「フィジカル的な要求は増えたが、その努力によって引き起こされた痛みは良いものだった」と言いました。どのように、才能ある選手がこのような姿勢を持つように説得しているのですか?

説得する以上に、要求するのです。我々は基本となるゲーム原則に基づくことを選手たちに要求しており、それがチームの流動性とインテンシティを保証しています。我々は組織のオーガナイゼーションと戦術文化を持たなくてはならないと信じており、ユルゲンはそれを彼の人生と情熱で満たしています。このバランスは基本的なものであり、両方があって機能します。もし確かなことへの情熱しかなければ、これほど規則的で一貫性のあるチームにはならないでしょう。

-リパプールは事実上プレミアリーグの王者です。クラブとして、また街として、Covid-19による中断をどう感じていますか?

我々全員の健康と国の福祉についてこれほどまでに深刻な状況では、率直に言って、他の感情が入り込む余地はありません。ただ、今まで我々が構築してきたすべての過程・プロセスには誇りを感じています。我々はサッカーが戻ってくることを知っていますし、そうなったときに、我々が中断期間前に終えた場所に戻れると信じています。アイデンティティと情熱をもってトレーニングし、試合に臨むでしょう。

-リーグが再開する日にちは未定です。リーグを終わらせることはできると思いますか?

リーグを終わらせるためのいくつものシナリオと解決策があります。その意味で、英国政府、プレミアリーグ、そしてクラブは最善の策を見出すために、常時ディスカッションをしています。現段階で我々がしなければならないことは、自分たちと他人の健康を維持するため、自分たちにできることに集中することです。現時点で最も重要なことです。

-10年後の自分はどこにいると思いますか?

自分が良いと思い、他の人たちも望むところにいるでしょう。我々がいま生きている瞬間は、全てを相対的に見て、私たちにとって最も重要なものの近くに常にいなければならないものです。私がいつも望んでいるものは、私にとっても、家族にとっても、そしてクラブにとっても意味があるものです。

-最後に、あなたが参考にしている監督は誰ですか?

ユルゲン・クロップです

32歳の若さですでに多くのコーチング経験を積み、世界王者リパプールのトップチームとアカデミーを繋ぐ重役を任せられたビトール・マトス。CLを制した翌年、プレミアリーグを敵なしで突き進む最強チームの裏方には、FCポルト時代の同僚であり、ユルゲン・クロップの右腕とも言われるラインダースに「今季最高の補強」と称されたキーマンの存在があった。

©FutePor -ふとぽる-

僕のポルトガル時代13-14シーズンを戦った監督たちの出世具合がハンパない件

ポルトの新監督にセルジオ・コンセイサオンが就任した。本サイトのニュース記事に使う写真を探していると、当時ポルトを率いていたパウロ・フォンセッカと、当時アカデミカ監督であったコンセイサオンが並んで写る写真があることを思い出した。

そういえば、僕がポルトガルに住んでいた2013-14シーズンの監督たちは、このフォンセッカやコンセイサオンを含め、今では世界中にその名が知れ渡りつつある。そう思い、ポルトガルリーグ14-15シーズン開幕前に執筆した全1部クラブの監督人事の記事を読み返すと、当時は世界的にはまだまだ無名で、当然日本でも知られていないが、今ではここ日本でもその名が知れ渡るほどに、大出世を遂げている監督が続々と見つかった。

そこで今回は、僕がポルトガルに住んでいた13-14シーズンにはまだまだ無名だったものの、今ではすっかり世界的に有名になった監督たちを紹介していきたい。

(以下、順位と所属クラブは13-14のデータ)

1位 ベンフィカ
ジョルジ・ジェズス(現スポルティング)

なかなか海外クラブを率いる経験がないことから、世界的にはイマイチ知名度があがらないジョルジ・ジェズスだが、当時13-14シーズンのポルトガルでの知名度は今回紹介する監督の中でもトップ。この年は、不調に沈んだリーグ3連覇王者ポルトを上回り、見事ベンフィカにタイトルを取り戻した。翌シーズンは、国内3冠とELでも2年連続決勝に進出するなど、急速にその評価を高め、現在はスポルティングでベンフィカ時代の成功を再現しようとしている。

2位 スポルティング
レオナルド・ジャルディン(現モナコ)

13-14シーズンの1年間だけスポルティングを率い、見事前年7位のチームをCL圏内に引き上げたのが、今ではフランスリーグ制覇とCLベスト4進出ですっかり有名になった現モナコ監督レオナルド・ジャルディン。この年ポルトガルリーグを率いた監督の中でも、その出世具合は圧倒的だろう。

また、当時のスポルティングに所属していたのは、RSBセドリック・ソアレス(サウサンプトン)やCBマルコス・ローホ(マンチェスター・ユナイテッド)、FWイスラム・スリマニ(レスター)、そして現在もクラブでプレーするポルトガル代表MFウィリアン・カルバーリョ、アドリエン・シウバなど、レオナルド・ジャルディンが抜擢した若手~中堅の選手たちの知名度の上がり具合も、眼を見張るものがある。

3位 ポルト
パウロ・フォンセッカ(現シャフタール)

この年は、アンドレ・ビラス・ボアスとビトール・ペレイラが達成したリーグ3連覇中のポルトに4連覇をもたらすという重責が課せられ、そのプレッシャーに負けたのか、残念ながら途中解任となり、ビッグクラブには相応しくないというレッテルを貼られてしまったフォンセッカ。しかし、前年に弱小パソスをリーグ3位に導いた手腕に疑いの余地はなく、その後はブラガに50年ぶりにカップ戦のタイトルをもたらし、今シーズンはシャフタールでウクライナリーグとカップ制覇の2冠に輝くなど、名誉挽回に成功。ウクライナリーグ最優秀監督に輝き、その知名度はうなぎのぼりだ。

4位 エストリル
マルコ・シウバ(現ワトフォード)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

レオナルド・ジャルディンにつぎ、当時からの出世具合がハンパないなのが、エストリルを4位に導いたマルコ・シウバだ。クラブの英雄として最期のシーズンを送った13-14の翌年には、スポルティングの監督に就任。クラブ会長との不仲を理由に1年で解任されたが、スポルティングに7年ぶりのタイトルをもたらしていた。またこの年は、田中順也があのブラガ戦での直接FKを披露するなど、日本でもよく知られる監督となった年であった。

その後は、オリンピアコスでリーグ開幕17連勝21戦無敗の新記録を打ち立て、今シーズンはハル・シティでプレミアリーグを席巻するなど、すっかり世界のフットボール界ではホットな監督へと出世。来季はワトフォードを率いることが決まっている。

6位 マリティモ
ペドロ・マルティンス(現ビトーリア・ギマラインス)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

マリティモでの集大成となった13-14シーズン、ペドロ・マルティンスはクラブを6位に導き、翌年にはリオ・アベが監督として抜擢。この中堅2クラブを上位に導いた手腕が評価され、今シーズンはビトーリア・ギマラインスへ。見事、ライバルのブラガを抑え、リーグ4位に躍進した。いよいよポルトガルリーグを飛び越え、オリンピアコスなど海外クラブが注視し始めるなど、国内で知る人ぞ知る優秀な監督という立場から、ポルトガルリーグではトップクラスの名将として評価を高めつつある。

8位 アカデミカ
セルジオ・コンセイサオン(現ポルト)

13-14シーズンにポルトを解任されたパウロ・フォンセッカにとって、当時アカデミカを率いていたセルジオ・コンセイサオンは忘れられない存在となった。僕がこの写真を撮影したコインブラでの一戦でポルトはまさかの敗戦を喫したが、この辺りから、フォンセッカの手腕に疑問が噴出し始め、後の解任へと繋がった。

選手としては有名だったが、13-14シーズンのコンセイサオンは、監督としてはまだまだ駆け出しの存在。しかし、その後はブラガを4位、降格圏に沈んでいたギマラインスを10位に導くなど、国内では指折りの若手監督のひとりに。今季は初めてトップチーム監督として海外リーグに挑戦し、モナコでリーグ制覇を達成したレオナルド・ジャルディンとともに、ナントでその知名度を高めた。そして来季からは、古巣ポルトを指揮する。

10位 ビトール・ギマラインス
ルイ・ビトーリア(現ベンフィカ)

(残念ながら、現地で撮影した写真はなし)

この監督は、まるでノーマークだった。13-14シーズンのギマラインスはリーグ10位で、前掲の監督人事の記事でも、書く内容に困ったのはご覧の通り。

しかし、翌年にギマラインスを5位に導き、そのまた翌年にはベンフィカの監督に就任すると、シーズン序盤は解任の噂が生じるなど苦戦したが、終わってみれば初年度からリーグ制覇とCLベスト8進出を達成。今季はベンフィカにリーグ4連覇をもたらし、すっかり国内No.1の評価を得る名将へと出世した。

このルイ・ビトーリアの手腕は若手育成の面でも発揮され、彼がベンフィカで重宝した若手選手は、下記の通り、続々とビッグクラブへと羽ばたいていった。

・レナト・サンチェス→バイエルン
・ゴンサロ・グエデス→パリ・サンジェルン
・エデルソン・モラエス→マンチェスター・シティ
・ビクトル・リンデロフ→マンチェスター・ユナイテッド(移籍合意が正式発表の段階)

11位 リオ・アベ
ヌーノ・エスピリト・サント(現ウルバーハンプトン)

リーグでは11位ながら、この年ポルトガルカップとリーグカップの2つのカップ戦で決勝に進出するなど、実は大躍進を遂げていたリオ・アベ。そんなクラブを率いていたのが、ヌーノ・エスピリト・サントだ。翌年にはバレンシアへ羽ばたき、日本を含めた世界中のフットボールファンから「誰だ」と声が相次いだが、その実力はスペインで実証済み。前年にポルトガルの中位クラブであるリオ・アベを率いていたとはにわかに信じがたいほどの出世を遂げた。今季はポルトを1年で退任することになったが(辞任とされているが、おそらく独裁者ピント・ダ・コスタ会長の圧力による事実上の解任だろう)、チームは得点力不足に悩まされ引き分けまみれとなるなか、ホームでは無敗と実は良い成績を残していた。継続性のなさというポルトの悪い癖が出た監督人事となったが、ヌーノ・エスピリト・サントは、友人ジョルジ・メンデスのツテで早くも新たな挑戦の場を獲得。来季はイングランドチャンピオンシップのウルバーハンプトンを率い、名誉挽回に挑む。

他にも、13-14シーズン当時はアロウカを率い、その後はアポロン・リマソールを経て、今季エストリル監督に途中就任したペドロ・エマヌエルや、当時はベレネンセスを降格から救い、今ではCLにも度々登場するマッカビ・テル・アビブを指揮するリト・ビディガルなどもいた。

ポルトに住んでいた当時は、アンドレ・ビラス・ボアスも去り、選手としてはラダメル・ファルカオやフッキ、ハメス・ロドリゲス、ジョアン・モウティーニョらも退団し、パウロ・フォンセッカ率いるポルトへの期待感の薄さも相まり、「ポルトガルリーグの谷間の時期に不運にもポルトガルに来てしまった」と物足りなさを感じていた。実は毎週ドラガオン・スタジアムで観戦していたリーグ戦の監督席には、今ではすっかり世界的な名将の仲間入りを果たそうとしている「監督の原石」が大量に眠っていたのは知る由もなかった。

【保存版】21-22季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

メインスポンサーの変更により、新たに「Liga Portugal bwin」へと名称が変わるポルトガル1部リーグ。若き名将に率いられたスポルティングが約20年ぶりにリーグ王者に輝くなど新時代の到来が予感される中、いよいよ2021-22シーズンが開幕する。

今季も例の如く、ポルトガル1部全18チームの監督人事をご紹介する。ちなみに、例年はシーズン途中またはオフシーズン問わず監督交代が多いが、今季は18チーム中14チームが昨季からの監督を継続する珍しい1年となる。是非とも日本で唯一のポルトガルリーグ監督名鑑として、新シーズンのお供にご活用いただきたい。

1位:スポルティング ルーベン・アモリン

ルーベン・アモリン(続投)

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トップチーム監督として初めてフルシーズンを戦った2020-21シーズン。前年のブラガ監督時代から名将としてのポテンシャルの片鱗を見せつつあった元名選手は、ついにクラブの歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。スポルティングにとって、2001-02シーズン以来となるリーグ優勝。「ポルトガルの3強」と称されながら、クラブが約20年間待ちわびたリーグタイトルを、36歳の青年監督が奪還した。優勝決定後、リーグ残り2試合のタイミングで宿敵ベンフィカに敗れて無敗優勝とはならなかったが、それまでに記録した「32試合無敗」の記録は、リーグの過去最多レコード。16チーム・30ゲームで争われていたかつてのコンペティションで、ポルトを無敗優勝に導いたアンドレ・ビラス・ボアスやビトール・ペレイラらが保持していた「30試合無敗」の記録を塗り替え、スポルティングのみならずポルトガルリーグの歴史にもその名を刻んだ。

チームの中心を担ったジョアン・マリオのベンフィカ移籍など、痛恨の選手退団はあったものの、チーム編成は今季も磐石。昨季のように、名門スポルティング・アカデミー出身選手を育成しながら、リーグ連覇とCLでの躍進を成し遂げ、次世代の名将としての世界的な評価を確固たるものにしたい。

2位:ポルト セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(続投)

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後半戦に追い上げを見せたものの、スポルティングに勝ち点5差でリーグタイトルを譲り連覇とはならず。オフシーズンには監督自身にも、インテルやナポリ、エバートンにウルバーハンプトンなど、各国ビッグクラブへの監督就任の噂が報じられたが、結果的にポルトと3年の契約延長を果たした。

リーグタイトルの奪還と、王者チェルシー相手にベスト8で敗退したCLへの再挑戦へ。ローマとのトレーニングマッチではかつての師ジョゼ・モウリーニョと再会を果たし、監督自身も英気は十分だ。

3位:ベンフィカ ジョルジ・ジェズス

ジョルジ・ジェズス(続投)

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昨季は、勝ち点85のスポルティングと同80のポルトと比較し同76と、優勝争いから一歩離脱していた感は否めない。ポルトガルカップでも、ブラガ相手に2-0の完敗を喫し、シーズン無冠。しまいには、オフシーズンにクラブ会長ルイス・フィリペ・ビエイラ氏が脱税容疑で逮捕され、クラブ会長職を解かれる始末。

悪いニュースばかりが報じられる中でも、唯一の光明は副会長であった元ポルトガル代表のレジェンド、ルイ・コスタ氏の新会長就任だろう。テクニカル・ダイレクター時代から信頼を寄せるジョルジ・ジェズス監督については、「昨季はクラブとしてうまくいかなかったが、彼は偉大な成功をしてきた監督」と、その絶大な信頼は揺るがない。若き新会長と老将、国内屈指の2人のカリスマが先頭に立ち、リーグタイトルの奪還を狙う。

4位:ブラガ カルロス・カルバリャウ

カルロス・カルバリャウ(続投)

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ポルトガルリーグ4位、ポルトガルカップ優勝、リーグカップ準優勝、ヨーロッパリーグ32強。勝ち取ったタイトルは1つだが、監督就任1年目にしては十分すぎる成績を残した。狙うはクラブにとって2シーズンぶりとなるリーグ3位以上。就任2年目となる今季は、「出来過ぎ」な昨季を上回る成績を期待したい。

5位:パソス・デ・フェレイラ ジョルジ・シマオン

ペパ(今季:ビトーリア・ギマラインス)

→ジョルジ・シマオン(前:REムスクロン)

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前年13位のパソスを昨季リーグ5位まで導いたペパは、その成績を評価され、1年で強豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれることに。

新たに監督就任したジョルジ・シマオンにとって、パソスは2015-16シーズンにリーグ7位となり自身の名声を高めるきっかけとなったクラブ。前回のパソス退任後、自身初めて率いたビッグクラブであるブラガ時代こそ振るわなかったが、古巣で名誉挽回を図る。

6位:サンタ・クラーラ ダニエル・ラモス

ダニエル・ラモス(続投)

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シーズン途中に加入した日本代表MF守田英正や、3強以外から唯一ベストイレブンに選ばれたFWカルロス・ジュニオールらタレントを揃え、新設されたカンファレンス・リーグへの出場権を獲得。ダニエル・ラモスは、クラブ史上初めてヨーロッパ大会に挑戦する監督となった。昨季以上の成績を残すことは簡単ではないが、今季もリーグを席巻するダークホース候補の筆頭だ。

7位:ビトーリア・ギマラインス ペパ

モレーノ(今季:未定)

→ペパ(前:パソス・デ・フェレイラ)

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クラブへの不信感を理由に、わずか開幕3試合で辞任したかつての名選手ティアゴ・メンデスの監督交代を機に泥沼のシーズンへ。その後、ジョアン・エンリケス、ビノ・マサエンス、シーズン末までの暫定監督モレーノと、1シーズンに計4人もの監督を取っ替え引っ替えし、目標であった欧州の舞台には辿り着かず。

悲願の上位進出へ。クラブは昨季パソスを5位に躍進させたペパを招聘。異例とも言える3年の長期契約は、その期待の表れだろう。40歳の節目で迎える新シーズン、ペパにとってもキャリア初のビッグクラブであり、自身最大の挑戦となる。トンデーラでの3年間ではクラブ史上最高となる11位、昨季はパソスで自身最高となる5位を達成している。自分自身の成績を超えることが、途中解任されず3年の契約を全うするためには必須条件となるだろう。

8位:モレイレンセ ジョアン・エンリケス

バスコ・セアブラ(今季:未定)

→ジョアン・エンリケス(前:ビトーリア・ギマラインス)

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昨季は、リカルド・ソアレス、セーザル・ペイショット、バスコ・セアブラと3人の監督交代を行いながらも中位に踏み止まる。今季は、新たにジョアン・エンリケスと単年契約を締結した。同監督は、昨季大躍進を遂げたサンタ・クラーラの1部リーグでの礎を築いた人物。ギマラインスというビッグクラブでの挑戦は道半ばで終わったが、心新たに中位クラブで再起を図る。

9位:ファマリカオン イボ・ビエイラ

イボ・ビエイラ(続投)

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前年に1部昇格初年度ながら6位とリーグを席巻したファマリカオン。しかし、昨季は開幕から降格圏に沈み、クラブは英雄となったジョアン・ペドロ・ソウザの解任をやむ無く決断。後任となった名ピンチヒッターのジョルジ・シラスは、例の如く結果を残せず、6試合を率いて1勝2分3敗でまたも監督交代。最終的には、イボ・ビエイラのもと無事に残留を決めた。

クラブは、驚異の追い上げを見せ、チームを9位まで導いた同監督と、2023年まで契約を延長。今季こそリーグ6位の奇跡を上回る結果を残せるか。

10位:ベレネンセス プティ

プティ(続投)

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前年の15位から順位を上げたプティは、昨季の最終節ポルト戦を控えた記者会見で、新シーズンの続投を名言。「ここで幸せだし、自分の仕事が評価されていると感じる」とクラブへの忠誠を語った。ベレネンセスでは3年目を迎え、自身にとって3部リーグを中心に戦った2012-16のボアビスタ時代以来となる長期政権に。今年こそは目立つ結果を残し、監督として一皮剥けたい。

11位:ジウ・ビセンテ リカルド・ソアレス

リカルド・ソアレス(続投)

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チームは昨季、新型コロナウイルスのクラスター騒動から新シーズンを迎えた。加えて、9月にはゼネラルダイレクターであるディト氏、11月には前任監督ビトール・オリベイラ氏が立て続けに急死し、普通ではない精神状態で前半戦を戦った。そのような背景もあってか、ルイ・アウメイダは、自ら志したポゼッションサッカーが実現しないまま監督の職を解かれ、チームはリカルド・ソアレス新監督のもと現実的なスタイルで残留を果たした。

それでもやはり、クラブが目指すのは魅力的なポゼッションサッカーだろう。その姿勢の表れとして、東京ヴェルディから期限付き移籍の延長を果たした藤本寛也にチームの10番を託した。今季こそはクラブが標榜するスタイルを1年間貫き通し、上位進出を狙いたい。

12位:トンデーラ パコ・アジェスタラン

パコ・アジェスタラン(続投)

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前年の14位から12位へと順位をわずかに上げたスペイン人監督が今季もチームを指揮。今年も残留を目指して長いシーズンを戦う。

13位:ボアビスタ ジョアン・ペドロ・ソウザ

ジェズアウド・フェレイラ(来季:未定)

→ジョアン・ペドロ・ソウザ(前:ファマリカオン)

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37歳の青年監督バスコ・セアブラから74歳の老将ジェズアウド・フェレイラへ。監督の年齢が倍増するほどの大転換を図り、昨季は何とか残留を手にした。

クラブは確固たるスタイルを築くべく、新たにジョアン・ペドロ・ソウザと2年契約を締結。リーグ6位の奇跡を起こしたファマリカオン時代のように、GKから丁寧にボールを繋ぎ相手を崩すスタイルをボアビスタに植え付け、古豪クラブの復活とともに監督自身の名誉挽回も図る。

14位:ポルティモネンセ パウロ・セルジオ

パウロ・セルジオ(続投)

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2019-20シーズンは数字上2部に降格しながら、他チームのライセンス不備により残留する幸運に恵まれた。昨2020-21シーズンはしっかりと実力で残留を手にし、今季も無事に1部リーグを戦う。日本でも著名なクラブではあるが、昨季は3名所属していた日本人も、今や1人に(権田修一が清水エスパルスに、安西幸輝が鹿島アントラーズにそれぞれ移籍)。唯一の日本人プレイヤーとして、中村航輔は今年こそパウロ・セルジオ監督を納得させ、正GKのポジションを奪取したい。

15位:マリティモ フリオ・ベラスケス

フリオ・ベラスケス(続投)

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途中解任されたリト・ビディガルと暫定監督ミウトン・メンデスを経て、39歳のスペイン人監督フリオ・ベラスケスが、何とか残留を果たす。同じマデイラ島のクラブであるナシオナルは昨季最下位で2部に降格。後を追うようなことがないよう、今季も残留を目標にリーグを戦う。

2部1位:エストリル ブルーノ・ピニェイロ

ブルーノ・ピニェイロ(続投)

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2011-12シーズンにマルコ・シウバ(現フルハム監督)が達成して以来9シーズンぶりに、クラブに2部優勝のタイトルをもたらした。2017-18シーズン以来となる1部リーグへ。マルコ・シウバは、昇格初年度にリーグ5位、翌年に4位と並外れた結果を残し、海外でも名の知れたポルトガル人監督となった。ブルーノ・ピニェイロも、この英雄の足跡を辿れるか。

2部2位:ビゼーラ アウバロ・パシェコ

アウバロ・パシェコ(続投)

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3部に所属していたチームを2部に昇格させ、わずか1年でさらに1部まで引き上げたアウバロ・パシェコ。昨季の2部リーグ最優秀監督に対し、クラブはさらに2年間の契約延長を提示した。クラブにとって、実に36年ぶりとなる1部リーグへの歴史的な挑戦。「パシェコの奇跡」は続くか。

2部3位:アロウカ アルマンド・エバンジェリスタ

アルマンド・エバンジェリスタ(続投)

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昇格プレーオフでは、1部16位のリオ・アベを2戦合計5-0で圧倒。昨季は不調に陥ったポルトガル屈指の名門クラブを引きずり下ろし、2016-17シーズン以来となる1部復帰を果たした。

かつては1部に複数年所属していながら、その後わずか2年で3部まで転落していたアロウカ。しかし、ビゼーラと同様に、3部から最短2年で1部に昇格する快挙を成し遂げることに。2部から1年での昇格の立役者となったアルマンド・エバンジェリスタが、今季もチームの指揮を執る。

日系企業がポルトガル3部クラブの経営権を取得!

2021年5月13日、日系企業Football Innovation Japan 株式会社が、ポルトガル3部相当「ポルトガル選手権(Campeonato de Portugal) 」に所属するアナディアFC (Anadia Futebol Clube)の運営会社(SAD:Sociedade Anónima Desportiva)の株式80%を2020年10月に取得したことを発表した。

Football Innovation Japan 株式会社は、中村彰氏が代表取締役社長を務める。同氏は、愛知県高浜市出身で、刈谷高校、早稲田大学を経て、川崎フロンターレでプレー。引退後は、同クラブのプロモーションスタッフやベンチャー系建設・不動産会社を経て、2019年5月にFootball Innovation Japan 株式会社を設立した。

アナディアFCは、ポルトガル中部アヴェイロ地区で1926年に設立された歴史あるクラブ。2020-21シーズンは、地区ごとに分かれて争われるポルトガル選手権のDリーグで1位となり、現在はポルトガル2部リーグ昇格をかけたプレーオフを争っている。

また、同クラブは、5月22日(土)に千葉県市原市にて、来シーズンの選手登録をかけた日本人選手向けのトライアウトを開催することを発表している。

近年、日本人選手の移籍や活躍が目立つポルトガルリーグ。1部リーグへの昇格を目指すアナディアFCの今後に期待したい。

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ベンフィカGK小久保玲央ブライアンが契約延長!GKコーチも高評価「チームのカリスマ」

ベンフィカのU-23チームを中心にプレーする日本人GK小久保玲央ブライアンが、ベンフィカと契約延長を果たしたことをクラブ公式サイトが発表した。なお、クラブは、契約期間など詳細な情報は公表しなかった。

契約更新にあたり、小久保はポルトガル語で公式サイトのインタビューに応答。「とても幸せです。ベンフィカとチームメイトに感謝したい」「ベンフィカではより長くプレーしたい。Aチームにたどり着けるよう努力を続ける」と、トップチーム昇格に向けて意気込みを語った。

同サイトには、ベンフィカBチームのGKコーチ、ゴンサロ・シモインス氏のコメントも掲載。同氏は、所属3年目を迎えてなお進化を続ける小久保への期待を語った。

「レオは、未だ母国とは異なる文化に適応している最中。よく適応してきているし、人間としても選手としても1歩ずつ成長している。言葉の壁はありながらも、ポルトガル語の習得についてもポジティブな成長を見せている。チームの中でもカリスマ的な選手であり、皆に愛されている。チームメイトと簡単に打ち解け、いつも彼らを助けている。GKというポジションに必要な特徴も備えている。スピードどアビリティは平均よりもずっと優れ、そのため、至近距離でもゴールを守ることができている。また、足元の技術も長所にしており、両足を使える。判断の質にも優れているね。彼自身の目標を叶え、彼の才能とポテンシャルを信じている方々の期待に応えられるよう、毎日学び、進化を遂げようという意思を持っているよ」

オブラクやエデルソン・モラエスら名GKを数多く輩出してきたベンフィカ。特に後者は、このBチームから急激な成長速度で成り上がった選手である。名門の下部チームの監督も認めるその才能を磨き、目標であるトップチームにたどり着けるか。

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日本発!ポルトガルサッカー総合情報サイト

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