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【保存版】21-22季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

メインスポンサーの変更により、新たに「Liga Portugal bwin」へと名称が変わるポルトガル1部リーグ。若き名将に率いられたスポルティングが約20年ぶりにリーグ王者に輝くなど新時代の到来が予感される中、いよいよ2021-22シーズンが開幕する。

今季も例の如く、ポルトガル1部全18チームの監督人事をご紹介する。ちなみに、例年はシーズン途中またはオフシーズン問わず監督交代が多いが、今季は18チーム中14チームが昨季からの監督を継続する珍しい1年となる。是非とも日本で唯一のポルトガルリーグ監督名鑑として、新シーズンのお供にご活用いただきたい。

1位:スポルティング ルーベン・アモリン

ルーベン・アモリン(続投)

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トップチーム監督として初めてフルシーズンを戦った2020-21シーズン。前年のブラガ監督時代から名将としてのポテンシャルの片鱗を見せつつあった元名選手は、ついにクラブの歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。スポルティングにとって、2001-02シーズン以来となるリーグ優勝。「ポルトガルの3強」と称されながら、クラブが約20年間待ちわびたリーグタイトルを、36歳の青年監督が奪還した。優勝決定後、リーグ残り2試合のタイミングで宿敵ベンフィカに敗れて無敗優勝とはならなかったが、それまでに記録した「32試合無敗」の記録は、リーグの過去最多レコード。16チーム・30ゲームで争われていたかつてのコンペティションで、ポルトを無敗優勝に導いたアンドレ・ビラス・ボアスやビトール・ペレイラらが保持していた「30試合無敗」の記録を塗り替え、スポルティングのみならずポルトガルリーグの歴史にもその名を刻んだ。

チームの中心を担ったジョアン・マリオのベンフィカ移籍など、痛恨の選手退団はあったものの、チーム編成は今季も磐石。昨季のように、名門スポルティング・アカデミー出身選手を育成しながら、リーグ連覇とCLでの躍進を成し遂げ、次世代の名将としての世界的な評価を確固たるものにしたい。

2位:ポルト セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(続投)

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後半戦に追い上げを見せたものの、スポルティングに勝ち点5差でリーグタイトルを譲り連覇とはならず。オフシーズンには監督自身にも、インテルやナポリ、エバートンにウルバーハンプトンなど、各国ビッグクラブへの監督就任の噂が報じられたが、結果的にポルトと3年の契約延長を果たした。

リーグタイトルの奪還と、王者チェルシー相手にベスト8で敗退したCLへの再挑戦へ。ローマとのトレーニングマッチではかつての師ジョゼ・モウリーニョと再会を果たし、監督自身も英気は十分だ。

3位:ベンフィカ ジョルジ・ジェズス

ジョルジ・ジェズス(続投)

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昨季は、勝ち点85のスポルティングと同80のポルトと比較し同76と、優勝争いから一歩離脱していた感は否めない。ポルトガルカップでも、ブラガ相手に2-0の完敗を喫し、シーズン無冠。しまいには、オフシーズンにクラブ会長ルイス・フィリペ・ビエイラ氏が脱税容疑で逮捕され、クラブ会長職を解かれる始末。

悪いニュースばかりが報じられる中でも、唯一の光明は副会長であった元ポルトガル代表のレジェンド、ルイ・コスタ氏の新会長就任だろう。テクニカル・ダイレクター時代から信頼を寄せるジョルジ・ジェズス監督については、「昨季はクラブとしてうまくいかなかったが、彼は偉大な成功をしてきた監督」と、その絶大な信頼は揺るがない。若き新会長と老将、国内屈指の2人のカリスマが先頭に立ち、リーグタイトルの奪還を狙う。

4位:ブラガ カルロス・カルバリャウ

カルロス・カルバリャウ(続投)

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ポルトガルリーグ4位、ポルトガルカップ優勝、リーグカップ準優勝、ヨーロッパリーグ32強。勝ち取ったタイトルは1つだが、監督就任1年目にしては十分すぎる成績を残した。狙うはクラブにとって2シーズンぶりとなるリーグ3位以上。就任2年目となる今季は、「出来過ぎ」な昨季を上回る成績を期待したい。

5位:パソス・デ・フェレイラ ジョルジ・シマオン

ペパ(今季:ビトーリア・ギマラインス)

→ジョルジ・シマオン(前:REムスクロン)

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前年13位のパソスを昨季リーグ5位まで導いたペパは、その成績を評価され、1年で強豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれることに。

新たに監督就任したジョルジ・シマオンにとって、パソスは2015-16シーズンにリーグ7位となり自身の名声を高めるきっかけとなったクラブ。前回のパソス退任後、自身初めて率いたビッグクラブであるブラガ時代こそ振るわなかったが、古巣で名誉挽回を図る。

6位:サンタ・クラーラ ダニエル・ラモス

ダニエル・ラモス(続投)

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シーズン途中に加入した日本代表MF守田英正や、3強以外から唯一ベストイレブンに選ばれたFWカルロス・ジュニオールらタレントを揃え、新設されたカンファレンス・リーグへの出場権を獲得。ダニエル・ラモスは、クラブ史上初めてヨーロッパ大会に挑戦する監督となった。昨季以上の成績を残すことは簡単ではないが、今季もリーグを席巻するダークホース候補の筆頭だ。

7位:ビトーリア・ギマラインス ペパ

モレーノ(今季:未定)

→ペパ(前:パソス・デ・フェレイラ)

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クラブへの不信感を理由に、わずか開幕3試合で辞任したかつての名選手ティアゴ・メンデスの監督交代を機に泥沼のシーズンへ。その後、ジョアン・エンリケス、ビノ・マサエンス、シーズン末までの暫定監督モレーノと、1シーズンに計4人もの監督を取っ替え引っ替えし、目標であった欧州の舞台には辿り着かず。

悲願の上位進出へ。クラブは昨季パソスを5位に躍進させたペパを招聘。異例とも言える3年の長期契約は、その期待の表れだろう。40歳の節目で迎える新シーズン、ペパにとってもキャリア初のビッグクラブであり、自身最大の挑戦となる。トンデーラでの3年間ではクラブ史上最高となる11位、昨季はパソスで自身最高となる5位を達成している。自分自身の成績を超えることが、途中解任されず3年の契約を全うするためには必須条件となるだろう。

8位:モレイレンセ ジョアン・エンリケス

バスコ・セアブラ(今季:未定)

→ジョアン・エンリケス(前:ビトーリア・ギマラインス)

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昨季は、リカルド・ソアレス、セーザル・ペイショット、バスコ・セアブラと3人の監督交代を行いながらも中位に踏み止まる。今季は、新たにジョアン・エンリケスと単年契約を締結した。同監督は、昨季大躍進を遂げたサンタ・クラーラの1部リーグでの礎を築いた人物。ギマラインスというビッグクラブでの挑戦は道半ばで終わったが、心新たに中位クラブで再起を図る。

9位:ファマリカオン イボ・ビエイラ

イボ・ビエイラ(続投)

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前年に1部昇格初年度ながら6位とリーグを席巻したファマリカオン。しかし、昨季は開幕から降格圏に沈み、クラブは英雄となったジョアン・ペドロ・ソウザの解任をやむ無く決断。後任となった名ピンチヒッターのジョルジ・シラスは、例の如く結果を残せず、6試合を率いて1勝2分3敗でまたも監督交代。最終的には、イボ・ビエイラのもと無事に残留を決めた。

クラブは、驚異の追い上げを見せ、チームを9位まで導いた同監督と、2023年まで契約を延長。今季こそリーグ6位の奇跡を上回る結果を残せるか。

10位:ベレネンセス プティ

プティ(続投)

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前年の15位から順位を上げたプティは、昨季の最終節ポルト戦を控えた記者会見で、新シーズンの続投を名言。「ここで幸せだし、自分の仕事が評価されていると感じる」とクラブへの忠誠を語った。ベレネンセスでは3年目を迎え、自身にとって3部リーグを中心に戦った2012-16のボアビスタ時代以来となる長期政権に。今年こそは目立つ結果を残し、監督として一皮剥けたい。

11位:ジウ・ビセンテ リカルド・ソアレス

リカルド・ソアレス(続投)

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チームは昨季、新型コロナウイルスのクラスター騒動から新シーズンを迎えた。加えて、9月にはゼネラルダイレクターであるディト氏、11月には前任監督ビトール・オリベイラ氏が立て続けに急死し、普通ではない精神状態で前半戦を戦った。そのような背景もあってか、ルイ・アウメイダは、自ら志したポゼッションサッカーが実現しないまま監督の職を解かれ、チームはリカルド・ソアレス新監督のもと現実的なスタイルで残留を果たした。

それでもやはり、クラブが目指すのは魅力的なポゼッションサッカーだろう。その姿勢の表れとして、東京ヴェルディから期限付き移籍の延長を果たした藤本寛也にチームの10番を託した。今季こそはクラブが標榜するスタイルを1年間貫き通し、上位進出を狙いたい。

12位:トンデーラ パコ・アジェスタラン

パコ・アジェスタラン(続投)

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前年の14位から12位へと順位をわずかに上げたスペイン人監督が今季もチームを指揮。今年も残留を目指して長いシーズンを戦う。

13位:ボアビスタ ジョアン・ペドロ・ソウザ

ジェズアウド・フェレイラ(来季:未定)

→ジョアン・ペドロ・ソウザ(前:ファマリカオン)

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37歳の青年監督バスコ・セアブラから74歳の老将ジェズアウド・フェレイラへ。監督の年齢が倍増するほどの大転換を図り、昨季は何とか残留を手にした。

クラブは確固たるスタイルを築くべく、新たにジョアン・ペドロ・ソウザと2年契約を締結。リーグ6位の奇跡を起こしたファマリカオン時代のように、GKから丁寧にボールを繋ぎ相手を崩すスタイルをボアビスタに植え付け、古豪クラブの復活とともに監督自身の名誉挽回も図る。

14位:ポルティモネンセ パウロ・セルジオ

パウロ・セルジオ(続投)

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2019-20シーズンは数字上2部に降格しながら、他チームのライセンス不備により残留する幸運に恵まれた。昨2020-21シーズンはしっかりと実力で残留を手にし、今季も無事に1部リーグを戦う。日本でも著名なクラブではあるが、昨季は3名所属していた日本人も、今や1人に(権田修一が清水エスパルスに、安西幸輝が鹿島アントラーズにそれぞれ移籍)。唯一の日本人プレイヤーとして、中村航輔は今年こそパウロ・セルジオ監督を納得させ、正GKのポジションを奪取したい。

15位:マリティモ フリオ・ベラスケス

フリオ・ベラスケス(続投)

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途中解任されたリト・ビディガルと暫定監督ミウトン・メンデスを経て、39歳のスペイン人監督フリオ・ベラスケスが、何とか残留を果たす。同じマデイラ島のクラブであるナシオナルは昨季最下位で2部に降格。後を追うようなことがないよう、今季も残留を目標にリーグを戦う。

2部1位:エストリル ブルーノ・ピニェイロ

ブルーノ・ピニェイロ(続投)

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2011-12シーズンにマルコ・シウバ(現フルハム監督)が達成して以来9シーズンぶりに、クラブに2部優勝のタイトルをもたらした。2017-18シーズン以来となる1部リーグへ。マルコ・シウバは、昇格初年度にリーグ5位、翌年に4位と並外れた結果を残し、海外でも名の知れたポルトガル人監督となった。ブルーノ・ピニェイロも、この英雄の足跡を辿れるか。

2部2位:ビゼーラ アウバロ・パシェコ

アウバロ・パシェコ(続投)

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3部に所属していたチームを2部に昇格させ、わずか1年でさらに1部まで引き上げたアウバロ・パシェコ。昨季の2部リーグ最優秀監督に対し、クラブはさらに2年間の契約延長を提示した。クラブにとって、実に36年ぶりとなる1部リーグへの歴史的な挑戦。「パシェコの奇跡」は続くか。

2部3位:アロウカ アルマンド・エバンジェリスタ

アルマンド・エバンジェリスタ(続投)

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昇格プレーオフでは、1部16位のリオ・アベを2戦合計5-0で圧倒。昨季は不調に陥ったポルトガル屈指の名門クラブを引きずり下ろし、2016-17シーズン以来となる1部復帰を果たした。

かつては1部に複数年所属していながら、その後わずか2年で3部まで転落していたアロウカ。しかし、ビゼーラと同様に、3部から最短2年で1部に昇格する快挙を成し遂げることに。2部から1年での昇格の立役者となったアルマンド・エバンジェリスタが、今季もチームの指揮を執る。

早くも監督解任のギマラインスとアカデミカ。両クラブともに経験豊富な名将に触手

『Record』

今節、チームの低迷を受け、開幕から1ヶ月ほどながら早くも監督解任を敢行したギマラインスとアカデミカ。

昨季5位と上位進出したものの、ルイ・ビトーリア監督をベンフィカに引き抜かれたギマラインスは、若手監督のアルマンド・エバンジェリスタをトップチームへ昇格させた。しかし、チームは開幕から低迷を続け、クラブは7試合で若手監督に見切りをつけた。アカデミカは、昨季チームを残留に導いたジョゼ・ビテルボを続投させたが、ここまでリーグ最下位と振るわず、同監督は解任の道を辿ることになった。

早くも監督解任に踏み込んだ両クラブだが、すでに後任をリストアップしているようだ。両クラブともに、昨季は1部リーグを戦った経験豊富な名将の招聘を目論んでいる。

ギマラインスは、セルジオ・コンセイサオンを後任に選択。同監督は昨季ブラガを4位に導いたものの、ポルトガルカップ決勝のタイトルを悲劇的な形で逃したこともあってシーズン終了後に解任されていた。自身も「ビトーリア・ギマラインスのようなクラブを率いることに、ノーという監督など想像できない。ビトーリアの歴史を知る者は断ることなどできないのだ」と語っており、すでに監督就任へ意欲を見せている。もし実現すれば、昨季率いたブラガのライバルチームの監督を務めることになる。

アカデミカは、ジョゼ・コウセイロとリカルド・シェウの2名をリストアップ。前者は、昨季エストリルを率いていたが、成績不振によりシーズン途中に解任されていた。それでもポルトやスポルティングなどポルトガルを代表する名門クラブを率いた経歴は色あせず、新監督の第一候補として挙げられている。後者は、現在2部リーグ所属のACビゼウの監督を務めている。アカデミカとも関係が深く、2010-11シーズンにジョルジ・コスタ監督率いるテクニカルチームで、フィジカルコーチとして活躍していた過去を持っている。

ともに上位進出を目指しながら開幕を不調で迎えたギマラインスとアカデミカ。これら名将の招聘に成功し、巻き返しを図れるだろうか。

©FutePor -ふとぽる-

【保存版】2015-16ポルトガル1部リーグを戦う18チームの監督人事

ベンフィカのリーグ2連覇及び2冠達成とともに幕を閉じた2014-15シーズンのポルトガルリーグ。プレシーズンに突入し、来季の躍進に向けて各クラブが監督人事に着手している。すでに、歴史に名を残すような禁断の監督移籍も実現しており、今季も例に漏れず、ポルトガル人監督の動向に注目が集まる。

昨季は多くのクラブで玉突き移籍が発生した(筆者過去記事: 『ポルトガルリーグ激動の監督大移動』』参照)。今季は、国内移籍や、Bチームからの昇格、海外をめぐる監督の輸出入など、様々な移籍パターンが見受けられた。そこで、昨年に続き、来季1部リーグを戦うクラブの監督情報をまとめてみた。1部残留15チームのみだった前回とは違い、今回は、2部からの昇格組も含めた全18チームを網羅している。

☆紛らわしいので、使用語の定義を一度共有

「昨季」=2013-14シーズン

→(ベンフィカがリーグチャンピオン)

「今季」=2014-15シーズン

→(ベンフィカがリーグ2連覇)

「来季」=2015-16シーズン

 

<1位 ベンフィカ>

ジョルジ・ジェズス(来季:スポルティング)

→ルイ・ビトーリア(前:ギマラインス)

6年間でベンフィカに10タイトルをもたらした老将ジョルジ・ジェズスの退任が決定。今季は、ベンフィカを2年連続でリーグ王者に導き、自身もリーグ最優秀監督に選出された。退任は、契約延長交渉で約半額の減棒を提示されたのが決定的であったようだ。また、本人曰く「ベンフィカでの仕事はやり切った」とか。国内外のビッグクラブからの関心が伝えられた中、ライバルのスポルティングへ、歴史的な禁断の移籍を決断。ポルトガル全土を震撼させた。

後任には、ギマラインスを5位に導いたルイ・ビトーリアが就任。3年契約を結んだ。同氏はベンフィカのユースチームを率いた経歴があり、クラブへの適応には問題ないだろう。懸念点があるとすれば、ヨーロッパ大会での実力が未知数なところか。先日、ルイス・フィリペ・ビイエラ会長がCL制覇の夢を語った。その実現とまではいかずも、リーグ3連覇とCLグループリーグ突破は全サポーターから求められる結果。過酷なプレッシャーに打ち勝つことができるか。

<2位 ポルト>

フレン・ロペテギ(続投濃厚)

前パウロ・フォンセッカ監督期に続き、ロペテギ監督下でも優勝トロフィーを掲げられず、2シーズン連続で主要タイトル無冠に終わったポルト。しかし、CLではベスト8と大躍進を果たし、バイエルン相手にホームで3-1と歴史的な勝利を挙げたロペテギの実力を、ピント・ダ・コスタ会長は高評価。ミランやレアルなど国外クラブからの関心が集まったが、会長が売却不可の姿勢を貫いた。来季の続投は濃厚である。今季は、監督の意向により多くの新選手がレンタルで加入し、連携面を含めたチーム作りに時間を費やした。来季のチームの完成度には期待がかかるが、ポルトの監督に就任した宿命であろうか、例年通りに主力選手の退団に頭を抱えている。不動のRSBダニーロと、中盤を支えたカゼミロのレアル行き(後者はレンタルバック)の影響は大きく、特筆すべきは3年連続リーグ得点王に輝いたジャクソン・マルティネスの退団であろう。このリーグ最強ワントップの個人技で「何とかなった」試合は、枚挙にいとまがない。歴代史上最高のエース退団により、ロペテギ流チーム作りの手腕が再び試されることになる。仮にワントップの後任人事に失敗し、勝ち星を落とすような状況が続いたとしたら、会長から高評価を得ている監督の電撃解任というシナリオも絵空事ではない。

<3位 スポルティング>

マルコ・シウバ(来季:オリンピアコス)

→ジョルジ・ジェズス(前:ベンフィカ)

スポルティングに7年ぶりのタイトルをもたらしたマルコ・シウバが、クラブ会長ブルーノ・デ・カルバーリョとの不仲を理由に解任された。両者は、プレシーズンにはすでに方向性の食い違いを感じていたようである。サポーターからも愛されていたポルトガルNo.1若手監督の解任については、勿体無いの一言に尽きる。監督とクラブ間の契約破棄に関する交渉が難航したが、先日ようやく双方が合意。フリーの身になったマルコ・シウバは、ビトール・ペレイラ現フェネルバフチェ監督(元ポルト監督)の後任として、ギリシアのオリンピアコスへ移籍。オリンピアコスからスポルティングの監督へ就任したレオナルド・ジャルディン現モナコ監督とは、真逆方向の移籍が実現した。

後任には、ベンフィカのジョルジ・ジェズスを電撃獲得。ミランやレアルなど国外ビッグクラブへの監督就任も噂された中、ライバルチームへの歴史的な禁断の移籍を選択した。しかし、同監督は根っからのスポルティンギスタであり、青年期はユースチームに所属し、トップチームでプレーした経歴も持つ。キャリアの終盤に心のクラブを率いたいと願うのも当然か。ホームスタジアムで行われた就任会見では、満員のソシオが見守る中、「眠っているライオンを起こさなくてはならない!」と力説した。国内有数のワールドクラスの名将が、ベンフィカとポルトに遅れをとる3強の一角を、宣言通りに復権へと導くのか。それとも、マルコ・シウバという若き実力者の解任が凶と出るのか。来季もスポルティングの動向には大注目だ。

<4位 ブラガ>

セルジオ・コンセイサオン

→パウロ・フォンセッカ(前:パソス・デ・フェレイラ)

リーグ4位と大健闘ながら、コンセイサオンを解任。ポルトガルカップ決勝のスポルティング戦で、試合を圧倒的優位に運びながらまさかの敗北を喫したのが、会長の逆鱗に触れたようだ。

後任には、パソスを率いたパウロ・フォンセッカを指名。2年契約を結んだ。今季は、愛するクラブを8位に躍進させ、前年にポルトで失った評価を取り戻した。「パソスで満足しており、その愛情を超えるほどのプロジェクトが提示されない限りは、チームを離れることはない」という趣旨の発言をしていたが、ころっと移籍。ブラガが抱く野心は相当なものだったのだろう。自身2度目となるビッグクラブでの挑戦となる。ポルトでの反省を活かし、有力選手の多いチームをうまくまとめることができれば、3強撃破も夢ではない。弱小クラブを3位へと躍進させた「パソスの奇跡」を再現したい。

<5位 ギマラインス>

ルイ・ビトーリア(来季:ベンフィカ)

→アルマンド・エバンジェリスタ(前:ギマラインスB)

ルイ・ビトーリアをベンフィカに引き抜かれたギマラインス。注目の後任には、Bチームのアルマンド・エバンジェリスタを昇格させた。41歳の同監督は、6年間Bチームを率いた、まさにチームを知る男。トップチーム昇格を果たしていきなりELにも挑戦する。Aチーム経験の浅さが足を引っ張らないと良いが。

<6位 ベレネンセス>

ジョルジ・シマオン(来季:パソス・デ・フェレイラ)

→サー・ピント(前:アトロミト(ギリシア))

昨季は辛うじて降格を免れたベレネンセスが、今季はEL出場圏内の6位に大躍進。シーズン途中に暫定指揮を執ったジョルジ・シマオンはパソスへ移籍。新監督サー・ピントと2年契約を結んだ。同監督は、42歳と若手ながら、スポルティングやレッドスターなどを率いた過去を持つ経験豊富な人物。元ミランのガットゥーゾが監督就任して注目を集めた、ギリシアのOFIクレタを、彼の前に指揮した監督でもある。躍進の体制は整った。ELとリーグの両立が鍵となる。

<7位 ナシオナル>

マヌエル・マシャード(続投濃厚)

昨季の5位に続き、今季も7位と健闘。マシャード監督への信頼は厚く、今季も残留が既定路線。

<8位 パソス・デ・フェレイラ>

パウロ・フォンセッカ(来季:ブラガ)

→ジョルジ・シマオン(前:ベレネンセス)

パウロ・フォンセッカがチームを3位という奇跡の順位に導いたのも今は昔。クラブの英雄がポルトの監督に就任した昨季は、最下位から2番目の15位に沈んだ。そこで、今季はフォンセッカを呼び戻し、クラブと監督自身の名誉回復に尽力。無事、上位に返り咲いた。ポルトでは不遇の時を過ごした同監督も汚名を返上。移籍市場を賑わす人気監督となり強豪ブラガへ羽ばたいた。

後任には、昨季ベレネンセスの監督に途中就任し、9試合を指揮したジョルジ・シマオンを抜擢。38歳という来季の1部リーグ最年少タイ監督に、英雄フォンセッカの再現を託した。英雄が去りチームが大暴落した昨季の再現だけは避けたいところ。

<9位 マリティモ>

イボ・ビエイラ(続投濃厚)

パウロ・ベントのもとでポルトガル代表アシスタントコーチを務めたレオネル・ポンテスが、馴染みのないクラブチームを率い、失敗。目標の上位進出とはならずも、後任のイボ・ビエイラがチームを立て直した。すでに同監督主導でチームの補強が行われており、プレシーズンのフランス遠征も決定。続投は濃厚であろう。カルロス・ペレイラ会長が掲げた目標であるEL出場圏内の6位を目指す。

<10位 リオ・アベ>

ペドロ・マルティンス(恐らく続投)

リーグ序盤の勢いはどこへ。上位躍進を意気込んだものの、最終的には昨季とあまり変わらない10位に落ち着いた。前監督ヌーノ・エスピリト・サントは、移籍先のバレンシアで高評価を得ており、ペドロ・マルティンスとしては、現監督の威信を、サポーターを始めポルトガル全土に見せつけたいところ。ただ、今のところは監督について移籍の噂も解任の噂もなく、注目度が低い感は否めない。

<11位 モレイレンセ>

ミゲル・レアル(続投)

昇格初年度ながらリーグ11位と、思いの外、上位をキープ。その功績が認められ1年間の契約更新。

<12位 エストリル>

ファビアーノ・ソアレス(続投)

マルコ・シウバが築き上げたエストリル帝国を、大方の予想通りジョゼ・コウセイロが崩壊させ、途中解任。マルコ・シウバのテクニカルチームにも所属していたブラジル人ファビアーノ・ソアレスが、暫定監督としてチームを降格の危機から救った。

新監督が決定しないままプレシーズンに突入し、早くも出遅れた感があった中、ファビアーノ・ソアレスの続投が明かされた。今季限りの暫定監督のはずであったが、このタイミングでの残留発表。後任が見つからず、やむを得ない選択だったのかと推測せずにはいられない。マルコ・シウバが、3強に肉薄するチームに育てたエストリルを、再び2部常連の弱小チームに戻すことだけは避けたい。

<13位 ボアビスタ>

プティ(続投)

ポルトガル代表の功労者プティが、1年の契約延長を果たした。2006年ドイツワールドカップで、ポルトガル代表の一員としてベスト4を達成したのは記憶に新しい。2012年からボアビスタで選手兼監督を務め上げ、昨季は3部からの1部特殊昇格(八百長の疑惑が晴れたため)に貢献。今季は1部初年度ながら13位と大健闘した。来季も1部残留が現実的な目標だろう。

<14位 ビトーリア・セツバル>

ブルーノ・ヒベイロ(来季:ルドゴレツ)

→キン・マシャード(前:トンデーラ)

今季は、ドミンゴス・パシエンシアが結果を残せずに途中解任。ブルーノ・ヒベイロがチームを残留へ導いた(パシエンシアは来季よりアポエルの監督に)。来季は、トンデーラを2部優勝に導いたキン・マシャードに指揮を託す。2部優勝の勢いそのままに、上位戦線に食い込みたい。

<15位 アカデミカ>

ジョゼ・ビテルボ(続投濃厚)

パウロ・セルジオの途中解任に揺れたアカデミカは、ジョゼ・ビテルボのもと、何とか残留を決定。ジョゼ・エドゥアルド・シモインス会長が、同監督への信頼を強調しており、残留は濃厚。

<16位 アロウカ>

ペドロ・エマヌエル(来季:アポロン・リマソール(キプロス))

→リト・ビディガル(今季:ベレネンセス途中解任)

ポルト時代にアンドレ・ビラス・ボアスの元でアシスタントコーチを務めたペドロ・エマヌエルが、キプロスへ移籍。今季ベレネンセスを途中解任されたリト・ビディガルが新監督に就任した。同監督は、昨季のベレネンセスを残留に導いた「残留請負人」としての期待がかかる。来季も弱小クラブを1部残留に導くのが使命だ。

<2部1位 トンデーラ>

キン・マシャード(来季:ビトーリア・セツバル)

→ビトール・パネイラ(前:バルジン)

チームを1部昇格に導いたキン・マシャードが、セツバルに引き抜かれた。後任には、49歳のビトール・パネイラを招聘。今季シニアリーグ所属のバルジンをポルトガル2部リーグに昇格させた手腕が評価され、2013年10月以来のトンデーラ復帰となった。同監督は、ポルトガル代表では44試合出場のキャリアを誇るものの、監督としては、ポルト近郊のバルジンやゴンドマルなど弱小クラブから抜け出せていなかった。強豪並み居る1部での実力は、かなりの未知数と言えよう。

<2部2位 ウニアオン・ダ・マデイラ>

ビトール・オリベイラ

→ルイス・ノートン(前:シャービス)

ウニアオンを1部昇格に導き、2部リーグ最優秀監督に輝いたビトール・オリベイラ。61歳の老将は、2012-13シーズンのアロウカや、2013-14シーズンのモレイレンセなどを含め、15回の2部リーグ挑戦において、8つのチームを昇格へ導いたことになる。2部クラブの昇格成功率が53%にも上る「昇格請負人」は、任務を終えお役御免となった。

老将の後任として、今季マリティモを途中解任されたレオネル・ポンテス元ポルトガル代表アシスタントコーチなどに興味を抱いたが、最終的には前監督と同じ61歳のルイス・ノートンと1年契約を結んだ。同監督は、ベンフィカB、ビトーリア・セツバル、ビトーリア・ギマラインス、ギニアビサウ代表などを率いた経歴を持つ。昨季は2部のシャービスを率いていた。経験豊富な指揮官のもと、まずは1部残留を果たしたい。

 

<注目監督ベスト3>

1位 ジョルジ・ジェズス(スポルティング)

愛するクラブへ禁断の移籍を遂げた。ここ10数年低迷する3強の一角を、真の強豪に成長させることが使命である。ベンフィカで3度のリーグ優勝に輝いた手腕に、全スポルティンギスタの期待がかかる。彼が去ったベンフィカが失墜しないかどうかにも注視したい。

2位 パウロ・フォンセッカ(ブラガ)

ポルトでは失意のシーズンを過ごしたが、その実力はパソスで証明済み。リーグ3位となった「パソスの奇跡」を、新チームであるブラガで再現したい。3強の一角を崩す可能性は十分にある。今季の大注目ポイントだ。

3位 ジョルジ・シマオン(パソス・デ・フェレイラ)

9試合ながら、ベレネンセスの大躍進に貢献。38歳という若さで、実力者パウロ・フォンセッカの後釜を務めることに。まずは、今季同監督が築いたチームを維持すること。そこに自分自身のスタイルを融合させ、結果を残すことができれば、若さを武器に一気に注目監督の仲間入りを果たす可能性も。過去3年間で、3位、15位、8位と浮き沈みの激しいチームに安定をもたらしたい。

 

<年齢順>

38歳 プティ(ボアビスタ)

38歳 ジョルジ・シマオン(パソス)

39歳 イボ・ビエイラ(マリティモ)

41歳 エバンジェリスタ(ギマラインス)

42歳 サー・ピント(ベレネンセス)

42歳 フォンセッカ(ブラガ)

44歳 ペドロ・マルティンス(リオアベ)

45歳 ルイ・ビトーリア(ベンフィカ)

45歳 リト・ビディガル(アロウカ)

48歳 ロペテギ(ポルト)

48歳 キン・マシャード(セツバル)

49歳 ビトール・パネイラ(トンデーラ)

49歳 ファビアーノ・ソアレス(エストリル)

50歳 ミゲル・レアル(モレイレンセ)

53歳 ジョゼ・ビテルボ(アカデミカ)

59歳 マヌエル・マシャード(ナシオナル)

60歳 ジョルジ・ジェズス(スポルティング)

61歳 ルイス・ノートン(ウニアオン)

 

ちなみに…

マルコ・シウバ(オリンピアコス)がスポルティングの監督に就任した際の年齢は36歳。ビラス・ボアス(ゼニト)のポルト監督就任に至っては32歳の時。両者の特異的な若さが際立つ。