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【保存版】21-22季、ポルトガル1部全18チームの監督人事を紹介

メインスポンサーの変更により、新たに「Liga Portugal bwin」へと名称が変わるポルトガル1部リーグ。若き名将に率いられたスポルティングが約20年ぶりにリーグ王者に輝くなど新時代の到来が予感される中、いよいよ2021-22シーズンが開幕する。

今季も例の如く、ポルトガル1部全18チームの監督人事をご紹介する。ちなみに、例年はシーズン途中またはオフシーズン問わず監督交代が多いが、今季は18チーム中14チームが昨季からの監督を継続する珍しい1年となる。是非とも日本で唯一のポルトガルリーグ監督名鑑として、新シーズンのお供にご活用いただきたい。

1位:スポルティング ルーベン・アモリン

ルーベン・アモリン(続投)

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トップチーム監督として初めてフルシーズンを戦った2020-21シーズン。前年のブラガ監督時代から名将としてのポテンシャルの片鱗を見せつつあった元名選手は、ついにクラブの歴史を塗り替える偉業を成し遂げた。スポルティングにとって、2001-02シーズン以来となるリーグ優勝。「ポルトガルの3強」と称されながら、クラブが約20年間待ちわびたリーグタイトルを、36歳の青年監督が奪還した。優勝決定後、リーグ残り2試合のタイミングで宿敵ベンフィカに敗れて無敗優勝とはならなかったが、それまでに記録した「32試合無敗」の記録は、リーグの過去最多レコード。16チーム・30ゲームで争われていたかつてのコンペティションで、ポルトを無敗優勝に導いたアンドレ・ビラス・ボアスやビトール・ペレイラらが保持していた「30試合無敗」の記録を塗り替え、スポルティングのみならずポルトガルリーグの歴史にもその名を刻んだ。

チームの中心を担ったジョアン・マリオのベンフィカ移籍など、痛恨の選手退団はあったものの、チーム編成は今季も磐石。昨季のように、名門スポルティング・アカデミー出身選手を育成しながら、リーグ連覇とCLでの躍進を成し遂げ、次世代の名将としての世界的な評価を確固たるものにしたい。

2位:ポルト セルジオ・コンセイサオン

セルジオ・コンセイサオン(続投)

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後半戦に追い上げを見せたものの、スポルティングに勝ち点5差でリーグタイトルを譲り連覇とはならず。オフシーズンには監督自身にも、インテルやナポリ、エバートンにウルバーハンプトンなど、各国ビッグクラブへの監督就任の噂が報じられたが、結果的にポルトと3年の契約延長を果たした。

リーグタイトルの奪還と、王者チェルシー相手にベスト8で敗退したCLへの再挑戦へ。ローマとのトレーニングマッチではかつての師ジョゼ・モウリーニョと再会を果たし、監督自身も英気は十分だ。

3位:ベンフィカ ジョルジ・ジェズス

ジョルジ・ジェズス(続投)

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昨季は、勝ち点85のスポルティングと同80のポルトと比較し同76と、優勝争いから一歩離脱していた感は否めない。ポルトガルカップでも、ブラガ相手に2-0の完敗を喫し、シーズン無冠。しまいには、オフシーズンにクラブ会長ルイス・フィリペ・ビエイラ氏が脱税容疑で逮捕され、クラブ会長職を解かれる始末。

悪いニュースばかりが報じられる中でも、唯一の光明は副会長であった元ポルトガル代表のレジェンド、ルイ・コスタ氏の新会長就任だろう。テクニカル・ダイレクター時代から信頼を寄せるジョルジ・ジェズス監督については、「昨季はクラブとしてうまくいかなかったが、彼は偉大な成功をしてきた監督」と、その絶大な信頼は揺るがない。若き新会長と老将、国内屈指の2人のカリスマが先頭に立ち、リーグタイトルの奪還を狙う。

4位:ブラガ カルロス・カルバリャウ

カルロス・カルバリャウ(続投)

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ポルトガルリーグ4位、ポルトガルカップ優勝、リーグカップ準優勝、ヨーロッパリーグ32強。勝ち取ったタイトルは1つだが、監督就任1年目にしては十分すぎる成績を残した。狙うはクラブにとって2シーズンぶりとなるリーグ3位以上。就任2年目となる今季は、「出来過ぎ」な昨季を上回る成績を期待したい。

5位:パソス・デ・フェレイラ ジョルジ・シマオン

ペパ(今季:ビトーリア・ギマラインス)

→ジョルジ・シマオン(前:REムスクロン)

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前年13位のパソスを昨季リーグ5位まで導いたペパは、その成績を評価され、1年で強豪ビトーリア・ギマラインスに引き抜かれることに。

新たに監督就任したジョルジ・シマオンにとって、パソスは2015-16シーズンにリーグ7位となり自身の名声を高めるきっかけとなったクラブ。前回のパソス退任後、自身初めて率いたビッグクラブであるブラガ時代こそ振るわなかったが、古巣で名誉挽回を図る。

6位:サンタ・クラーラ ダニエル・ラモス

ダニエル・ラモス(続投)

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シーズン途中に加入した日本代表MF守田英正や、3強以外から唯一ベストイレブンに選ばれたFWカルロス・ジュニオールらタレントを揃え、新設されたカンファレンス・リーグへの出場権を獲得。ダニエル・ラモスは、クラブ史上初めてヨーロッパ大会に挑戦する監督となった。昨季以上の成績を残すことは簡単ではないが、今季もリーグを席巻するダークホース候補の筆頭だ。

7位:ビトーリア・ギマラインス ペパ

モレーノ(今季:未定)

→ペパ(前:パソス・デ・フェレイラ)

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クラブへの不信感を理由に、わずか開幕3試合で辞任したかつての名選手ティアゴ・メンデスの監督交代を機に泥沼のシーズンへ。その後、ジョアン・エンリケス、ビノ・マサエンス、シーズン末までの暫定監督モレーノと、1シーズンに計4人もの監督を取っ替え引っ替えし、目標であった欧州の舞台には辿り着かず。

悲願の上位進出へ。クラブは昨季パソスを5位に躍進させたペパを招聘。異例とも言える3年の長期契約は、その期待の表れだろう。40歳の節目で迎える新シーズン、ペパにとってもキャリア初のビッグクラブであり、自身最大の挑戦となる。トンデーラでの3年間ではクラブ史上最高となる11位、昨季はパソスで自身最高となる5位を達成している。自分自身の成績を超えることが、途中解任されず3年の契約を全うするためには必須条件となるだろう。

8位:モレイレンセ ジョアン・エンリケス

バスコ・セアブラ(今季:未定)

→ジョアン・エンリケス(前:ビトーリア・ギマラインス)

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昨季は、リカルド・ソアレス、セーザル・ペイショット、バスコ・セアブラと3人の監督交代を行いながらも中位に踏み止まる。今季は、新たにジョアン・エンリケスと単年契約を締結した。同監督は、昨季大躍進を遂げたサンタ・クラーラの1部リーグでの礎を築いた人物。ギマラインスというビッグクラブでの挑戦は道半ばで終わったが、心新たに中位クラブで再起を図る。

9位:ファマリカオン イボ・ビエイラ

イボ・ビエイラ(続投)

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前年に1部昇格初年度ながら6位とリーグを席巻したファマリカオン。しかし、昨季は開幕から降格圏に沈み、クラブは英雄となったジョアン・ペドロ・ソウザの解任をやむ無く決断。後任となった名ピンチヒッターのジョルジ・シラスは、例の如く結果を残せず、6試合を率いて1勝2分3敗でまたも監督交代。最終的には、イボ・ビエイラのもと無事に残留を決めた。

クラブは、驚異の追い上げを見せ、チームを9位まで導いた同監督と、2023年まで契約を延長。今季こそリーグ6位の奇跡を上回る結果を残せるか。

10位:ベレネンセス プティ

プティ(続投)

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前年の15位から順位を上げたプティは、昨季の最終節ポルト戦を控えた記者会見で、新シーズンの続投を名言。「ここで幸せだし、自分の仕事が評価されていると感じる」とクラブへの忠誠を語った。ベレネンセスでは3年目を迎え、自身にとって3部リーグを中心に戦った2012-16のボアビスタ時代以来となる長期政権に。今年こそは目立つ結果を残し、監督として一皮剥けたい。

11位:ジウ・ビセンテ リカルド・ソアレス

リカルド・ソアレス(続投)

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チームは昨季、新型コロナウイルスのクラスター騒動から新シーズンを迎えた。加えて、9月にはゼネラルダイレクターであるディト氏、11月には前任監督ビトール・オリベイラ氏が立て続けに急死し、普通ではない精神状態で前半戦を戦った。そのような背景もあってか、ルイ・アウメイダは、自ら志したポゼッションサッカーが実現しないまま監督の職を解かれ、チームはリカルド・ソアレス新監督のもと現実的なスタイルで残留を果たした。

それでもやはり、クラブが目指すのは魅力的なポゼッションサッカーだろう。その姿勢の表れとして、東京ヴェルディから期限付き移籍の延長を果たした藤本寛也にチームの10番を託した。今季こそはクラブが標榜するスタイルを1年間貫き通し、上位進出を狙いたい。

12位:トンデーラ パコ・アジェスタラン

パコ・アジェスタラン(続投)

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前年の14位から12位へと順位をわずかに上げたスペイン人監督が今季もチームを指揮。今年も残留を目指して長いシーズンを戦う。

13位:ボアビスタ ジョアン・ペドロ・ソウザ

ジェズアウド・フェレイラ(来季:未定)

→ジョアン・ペドロ・ソウザ(前:ファマリカオン)

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37歳の青年監督バスコ・セアブラから74歳の老将ジェズアウド・フェレイラへ。監督の年齢が倍増するほどの大転換を図り、昨季は何とか残留を手にした。

クラブは確固たるスタイルを築くべく、新たにジョアン・ペドロ・ソウザと2年契約を締結。リーグ6位の奇跡を起こしたファマリカオン時代のように、GKから丁寧にボールを繋ぎ相手を崩すスタイルをボアビスタに植え付け、古豪クラブの復活とともに監督自身の名誉挽回も図る。

14位:ポルティモネンセ パウロ・セルジオ

パウロ・セルジオ(続投)

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2019-20シーズンは数字上2部に降格しながら、他チームのライセンス不備により残留する幸運に恵まれた。昨2020-21シーズンはしっかりと実力で残留を手にし、今季も無事に1部リーグを戦う。日本でも著名なクラブではあるが、昨季は3名所属していた日本人も、今や1人に(権田修一が清水エスパルスに、安西幸輝が鹿島アントラーズにそれぞれ移籍)。唯一の日本人プレイヤーとして、中村航輔は今年こそパウロ・セルジオ監督を納得させ、正GKのポジションを奪取したい。

15位:マリティモ フリオ・ベラスケス

フリオ・ベラスケス(続投)

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途中解任されたリト・ビディガルと暫定監督ミウトン・メンデスを経て、39歳のスペイン人監督フリオ・ベラスケスが、何とか残留を果たす。同じマデイラ島のクラブであるナシオナルは昨季最下位で2部に降格。後を追うようなことがないよう、今季も残留を目標にリーグを戦う。

2部1位:エストリル ブルーノ・ピニェイロ

ブルーノ・ピニェイロ(続投)

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2011-12シーズンにマルコ・シウバ(現フルハム監督)が達成して以来9シーズンぶりに、クラブに2部優勝のタイトルをもたらした。2017-18シーズン以来となる1部リーグへ。マルコ・シウバは、昇格初年度にリーグ5位、翌年に4位と並外れた結果を残し、海外でも名の知れたポルトガル人監督となった。ブルーノ・ピニェイロも、この英雄の足跡を辿れるか。

2部2位:ビゼーラ アウバロ・パシェコ

アウバロ・パシェコ(続投)

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3部に所属していたチームを2部に昇格させ、わずか1年でさらに1部まで引き上げたアウバロ・パシェコ。昨季の2部リーグ最優秀監督に対し、クラブはさらに2年間の契約延長を提示した。クラブにとって、実に36年ぶりとなる1部リーグへの歴史的な挑戦。「パシェコの奇跡」は続くか。

2部3位:アロウカ アルマンド・エバンジェリスタ

アルマンド・エバンジェリスタ(続投)

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昇格プレーオフでは、1部16位のリオ・アベを2戦合計5-0で圧倒。昨季は不調に陥ったポルトガル屈指の名門クラブを引きずり下ろし、2016-17シーズン以来となる1部復帰を果たした。

かつては1部に複数年所属していながら、その後わずか2年で3部まで転落していたアロウカ。しかし、ビゼーラと同様に、3部から最短2年で1部に昇格する快挙を成し遂げることに。2部から1年での昇格の立役者となったアルマンド・エバンジェリスタが、今季もチームの指揮を執る。

【保存版】16-17シーズン、ポルトガル1部リーグ全18チームの監督人事と注目監督

ベンフィカのリーグ3連覇で幕を閉じた15-16シーズンのポルトガル1部リーグは、監督人事に関して言えば、まさに「歴史的な」1年だった。6年間ベンフィカを率いたジョルジ・ジェズス監督が、宿命のライバルであるスポルティングへ禁断の電撃移籍を果たし、ポルトガル全土を震撼させたのだった。(参照:【保存版】2015-16ポルトガル1部リーグを戦う18チームの監督人事)

来る16-17シーズンの監督人事最大の注目は、史上稀に見る3強の名監督対決である。14-15シーズンのジョルジ・ジェズス(ベンフィカ)、マルコ・シウバ(スポルティング)、ロペテギ(ポルト)の三つ巴も見応えのある激戦ではあったが、今季は彼ら以上の実力者が揃った(ジョルジ・ジェズスはチームを替え再び激戦へ)。ベンフィカを率いるは、昨季就任1年目でリーグ制覇やCLベスト8の偉業を成し遂げたルイ・ビトーリア。スポルティングを率いるは、国内トップのタイトルホルダー、ジョルジ・ジェズス。そして、ポルトの新監督に就任したのは、バレンシアで歴代最多勝ち点を稼ぎ、CL経験も有するヌーノ・エスピリト・サント。名実ともに名将に相応しい3者が、16-17シーズンのポルトガルリーグを席巻することは確実だろう。

さて、前置きが長くなってしまったが、今季も例年通り、新シーズンの1部リーグを戦う18チームの監督人事をまとめてみた。今回の特徴は、国内名監督の「名誉挽回」、そして2部クラブからステップアップを果たした若手監督らの「下剋上」であろう。ぜひ、3強以外のクラブを率いるこれら監督にも刮目いただきたい。

(以下、かなりの文量になりますので、閲覧したい項目に絞ってご覧いただくなど、名鑑としてご活用ください)

16-17シーズン18チーム監督一覧

ベンフィカ-ルイ・ビトーリア

昨季1位 ベンフィカ
ルイ・ビトーリア(続投)

6年の長期政権を築いたジョルジ・ジェズスが最大のライバル、スポルティングへ。10つのタイトルを獲得した名将の後釜として迎え入れられたルイ・ビトーリアへの期待値は当初は微々たるものであった。リーグ開幕直後の第2節アロウカ戦では早速黒星をつけられ、前半戦の不調から解任騒動までもが巻き起こった。
しかし蓋を開けてみれば、後半戦に失速したスポルティングとポルトを尻目に破竹の連勝でリーグ3連覇を達成。リーグカップでも優勝を果たし、自身初となるCLではベスト8の快挙を成し遂げた。
当初の期待値を大幅に上回ったルイ・ビトーリアだったが、その功績はタイトルだけにとどまらない。同監督が抜擢し、ポルトガル代表に選ばれたゴンサロ・グエデスやネウソン・セメード、バイエルンに移籍し、クラブに莫大な資金をもたらしたレナト・サンチェス、そして、ベンフィカの控えGKからブラジル代表にまで登り詰めたエデルソン・モラエスなど、フットボール界の未来を担う若手選手をわずか1シーズンで大量に輩出した。
EURO2016で大ブレイクを果たしたレナト・サンチェスこそ失ったが、その他有望な若手選手は残留が有力。2年目となる今季も、ベテランと若手が高度に融合し、ユースから次々と新戦力が台頭する理想的なチームになるだろう。リーグ4連覇へ、「絶対王者」の地位を確立するとしたら、今季はまたとない機会だ。

スポルティング-ジョルジ・ジェズス

昨季2位 スポルティング
ジョルジ・ジェズス(契約更新)

名将ジョルジ・ジェズスに率いられ、2001-02シーズン振りのリーグタイトル奪還が期待されたスポルティング。チームはシーズン序盤から好調を維持し、スリマニやジョアン・マリオら中心選手も、キャリアでベストと言えるパフォーマンスを発揮した。しかし、シーズン後半にベンフィカの猛追撃に屈し、最終的には勝ち点2差でリーグ王者の座を逃した。それでも、ブルーノ・デ・カルバーリョ会長のジョルジ・ジェズスへの信頼は厚く、シーズン終了後には2019年までの契約延長を結んだ。
これにてジョルジ・ジェズス政権は2年目に。チームの完成度はポルトガルリーグでも随一である。主力選手の大量引き抜きが噂されているからこそ、ベンフィカ時代に多くのスターを失いながらも国内3冠を達成したその手腕になおのこと注目が集まる。

ポルト-ヌーノ・エスピリト・サント

昨季3位 ポルト
ジョゼ・ペゼイロ(来季:ブラガ)
→ヌーノ・エスピリト・サント(元:バレンシア)

シーズン前半、リーグ無敗をひた走ったチームの好調が嘘かのように、後半戦に大失速したロペテギ率いるポルト。事態がさらに悪化する前にと、ショック療法として招聘したジョゼ・ペゼイロは、大半のポルティスタの予想通り、チームをさらなる泥沼へと陥れてしまった。
当然ながら途中解任となったペゼイロの後任には、クラブの元GKヌーノ・エスピリト・サントが就任。バレンシアをCLの舞台に引き戻し、クラブ歴代最多勝ち点数を獲得するなどスペインで一躍脚光を浴びた若き指揮官と2018年までの契約を結び、クラブの再建を託した。同監督は、中小クラブであるリオ・アベを2つの国内カップ戦で決勝に導くなど、ポルトガルでの実績は合格ライン。ルイ・ビトーリアとジョルジ・ジェズスがシーズンをかけて「仕上げた」ベンフィカとスポルティングを相手に優勝戦線に割り込めるか。クラブ会長ピント・ダ・コスタの目にはもう、3年連続でベンフィカに譲り渡したリーグ王者のタイトルしか映っていない。1年目であろうと絶対的な「結果」が求められる。

ブラガ-ジョゼ・ペゼイロ

昨季4位 ブラガ
パウロ・フォンセッカ(来季:シャフタール・ドネツク)
→ジョゼ・ペゼイロ(前季:ポルト)

ブラガを最低限のミッションであるリーグ4位に導き、ポルトガルカップではクラブに50年ぶりのタイトルをもたらしたパウロ・フォンセッカが、さらなる挑戦を求めて辞任を表明。国内リーグの戦績とともに躍進を遂げたELにおいて、ベスト8で敗れた対戦相手シャフタール・ドネツクと2年契約を結んだ。
後任には、昨季途中ポルトに就任したジョゼ・ペゼイロが抜擢。昨季はポルトを不調から救うどころかさらなる泥沼に陥れ、ポルトガルカップでは新たに就任することとなったブラガ相手に決勝で敗れた同監督。他の後任候補であったロペテギらと比べ、期待値はどうも低そうだ。監督自身の名誉挽回もしたいところだが、フォンセッカが再び強豪クラブへと復興させたブラガを、まずはリーグ4位に「維持」することが現実的な目標だろう。

アロウカ-リト・ビディガル

昨季5位 アロウカ
リト・ビディガル(契約更新)

誰がアロウカの5位など予想しただろうか。そして、誰がリト・ビディガルのこれほどまでの躍進を予想しただろうか。世間の期待を良い意味で裏切りまくったビディガル率いるアロウカ。今季はEL挑戦でヨーロッパ全土を轟かせたい。2年の契約延長を果たした監督自身も「昨季成し遂げたことはもう関係ない」と、さらなる進化に向け意気揚々としている。ただ、近年のパソスやベレネンセスなど、ポッとEL圏に進出してしまった中小クラブは、ELとの両立に失敗し、リーグでも低迷するのがトレンドではあるが…

リオ・アベ-ヌーノ・カプーショ

昨季6位 リオ・アベ
ペドロ・マルティンス(来季:ビトーリア・ギマラインス)
→ヌーノ・カプーショ(前季:バルジン)

2シーズンに渡りリオ・アベを率い、無事上位戦線に引き上げたペドロ・マルティンスは、強豪クラブの復活を任される形でギマラインスへ。後任には、2年契約を結んだヌーノ・カプーショが選ばれた。
同監督は、選手として長らくポルトガル代表を支え、2002年の日韓W杯にも出場した元名選手。監督になってからは、選手時代を捧げた古巣ポルトでユース監督やアシスタントコーチを務め、昨季は2部のバルジンを指揮していた。監督として初の挑戦となる1部リーグで結果を残せるか。前任者の結果が結果だけに、ハードルは極めて高い。

パソス・デ・フェレイラ-カルロス・ピント

昨季7位 パソス・デ・フェレイラ
ジョルジ・シマオン(来季:シャービス)
→カルロス・ピント(前季:サンタ・クラーラ)


最終節に6位を逃し、念願のEL出場の夢が儚く散ったパソス。しかし、ジョルジ・シマオンは、前シーズンの8位からひとつ順位を上げ、クラブの英雄パウロ・フォンセッカの後任という難しいタスクを若手監督ながら存分にやり切った。その手腕を買われ、2年の契約更新を提示されたという報道もあるが、新たな挑戦を決意し、昇格組のシャービスへ移籍した。
39歳の青年監督の後任には、こちらもまだまだ若い43歳カルロス・ピントが就任。1992-94シーズンを選手として過ごした古巣へ、約20年ぶりの復帰となった。二桁得点を記録し、チームの絶対的エースに君臨したワンダーボーイ、ディオゴ・ジョッタ(アトレティコ・マドリード)の退団を補えるかが鍵となる。

エストリル-ファビアーノ・ソアレス

昨季8位 エストリル
ファビアーノ・ソアレス(契約更新)

クラブを3強に迫る地位に押し上げた英雄マルコ・シウバが去った後、次なる監督ジョゼ・コウセイロ解任後の「暫定監督」としてファビアーノ・ソアレスが監督就任してからはや2シーズン。約半年と見積もられていた同監督の暫定政権は、周囲の期待を裏切り、ついには3シーズン目に到達。クラブも期待を込めて4年の長期契約を用意した。目標はELリーグ出場。監督のみならず、クラブとしても「サプライズ」を起こしたい。

ベレネンセス-フリオ・ベラスケス

昨季9位 ベレネンセス
フリオ・ベラスケス(契約更新)

サー・ピント監督のもと、ELとの両立に苦しみ下位に沈んだベレネンセス。古豪クラブに途中就任したスペイン人監督は、見事にチームを一桁順位まで建て直した。シーズン途中に2018年までの契約延長を果たした昨季後半戦の勢いそのままに、上位返り咲きを目指す。

ビトーリア・ギマラインス-ペドロ・マルティンス

昨季10位 ビトーリア・ギマラインス
セルジオ・コンセイサオン
→ペドロ・マルティンス(前季:リオ・アベ)

前年5位のギマラインスは、ルイ・ビトーリアをベンフィカに引き抜かれ、後任監督アルマンド・エバンジェリスタのもとで大失速。そうして降格圏に沈んでいたクラブに途中就任したコンセイサオンは、破竹の勢いで勝ち星を重ね、一時はリーグ5位へと躍り出た。しかし、シーズン後半に失速し、最終的には二桁順位に。監督自身にも、ギマラインスで監督を続ける意思はなく、両者は別れの道を歩むこととなった。
国内屈指の名将の後任には、ペドロ・マルティンスが就任。リオ・アベでの手腕が評価され、ブラガと双璧をなす北の強豪クラブと2018年までの契約を結んだ。1994-95シーズンに選手としたプレーした古巣をELの舞台に引き戻すことが最低限の目標となる。

ナシオナル-マヌエル・マシャード

昨季11位 ナシオナル
マヌエル・マシャード(続投)

年々順位が下降気味のナシオナルだが、マヌエル・マシャードはポルトガルの中位クラブでは「異例」の監督5年目に突入。変化を避けたクラブの決断が吉と出るか凶と出るか。

モレイレンセ-ペパ

昨季12位 モレイレンセ
ミゲウ・レアウ
→ペパ(前季:フェイレンセ)

当時の昇格組モレイレンセを1部にキープさせたミゲウ・レアウが、さらなる経験を求めて2シーズンを過ごしたクラブを退団。
後任には、今季の1部リーグで最年少監督となる35歳のペパが就任。1年の延長オプションが付いた単年契約を結んだ。昨季は、3月に7戦2勝と不調に陥って突然の解任を宣告されるまで2部フェイレンセを指揮しており、今季から1部に昇格する同クラブの土台を形成。3名の2部リーグ最優秀監督賞候補にもノミネートされた。

マリテイモ-パウロ・セーザル・グスマオン

昨季13位 マリティモ
ネロ・ビンガーダ(来季:ノース・イースト・ユナイテッド(インド))
→パウロ・セーザル・グスマオン(前季:ジョインビレ(ブラジル))

イボ・ビエイラの途中解任にともないマリティモへ到来した64歳の老将ビンガーダ。カルロス・ケイロスのアシスタントコーチとして、1989および1991のU-20ワールドユースで母国の優勝に貢献した同監督は、不調に陥るマリティモをリーグ杯で決勝に導くなど、暫定監督としては十二分な成績を残した。
新監督に選ばれたのは、ブラジル人監督パウロ・セーザル・グスマオン。母国ではフラメンゴ、ボタファゴ、セアラー、パウメイラスなど、数々の強豪クラブを率いた経歴を持つ54歳にクラブの再建を託した。

ボアビスタ-エルウィン・サンチェス

昨季14位 ボアビスタ
エルウィン・サンチェス(契約更新)

プティ監督の突然の辞任から、降格の危機にあった古豪を見事残留に導いたかつての名プレイヤー。選手時代を過ごした古巣と1年の契約延長を果たし、上位進出を目指す。

ビトーリア・セトゥバル-ジョゼ・コウセイロ

昨季15位 ビトーリア・セトゥバル
キン・マシャード
→ジョゼ・コウセイロ(元:エストリル)

トンデーラを2部優勝に導き、鳴り物入りでセトゥバルの監督へ就任したキン・マシャード。前半戦こそ好調を維持したが、チームのエースFWソク・ヒョンジョンがシーズン途中にポルトへ引き抜かれてからは大失速。契約を1年残し、無念の退団となった。
後任に選ばれたのは、マルコ・シウバ政権後のエストリルを率いて以来となる現場復帰のジョゼ・コウセイロ。すっかりコメンテーターとしての印象が強くなった同監督と、2年契約を締結した。エストリルでは無念の途中解任となったが、2013-14以来の復帰となるセトゥバルにて名誉挽回し、フットボール監督としての威厳を取り戻したい。

トンデーラ-プティ

昨季16位 トンデーラ
プティ(契約更新)

昨季は、2度の監督交代の大ナタを振るったトンデーラ。2部優勝の成績を引っさげ1部に臨むも、高い壁を越えられず下位に沈んでいた。しかし、昨季途中に突然ボアビスタを辞任し、チームにやってきた「3人目の監督」プティのもと、見事残留に成功。その功績が認められたかつての名プレイヤーは、2018年までの契約延長を果たした。今季も1部残留が現実的な目標となる。

シャービス-ジョルジ・シマオン

昨季2部2位 シャービス(1位は昇格権のないポルトB)
ビトール・オリベイラ(来季:ポルティモネンセ)
→ジョルジ・シマオン(前季:パソス)

3年連続で2部チームを1部に導いていた「昇格請負人」ビトール・オリベイラが監督就任したシャービス。その実力は噂に違わず、同氏9チーム目・4年連続となる2部昇格を果たした。当の監督自身は、例年通り昇格のミッションを果たしてお役御免。昨季は最終節に昇格を逃し、リーグ4位となったポルティモネンセの監督に就任した。日本では金崎夢生が所属したことで有名な同クラブの昇格を請け負うこととなった。
後任には、昨季パソスをEL出場圏目前の7位に導いた39歳の青年監督ジョルジ・シマオンと2年契約を締結した。パソスは、アトレティコ・マドリードに移籍したディオゴ・ジョッタらタレントが揃ったチームであったが、今回は2部上がりのシャービス。残留に向け、我慢強い戦いが求められる。

フェイレンセ-ジョゼ・モッタ

昨季2部3位 フェイレンセ
ジョゼ・モッタ(続投)


順調に勝ち星を重ねたペパ率いるフェイレンセは、年明けに急失速。監督は突然の不調を理由に解任された。後任に選ばれたジョゼ・モッタは、ポルティモネンセとの昇格をかけた接戦を制し、同クラブの敗北を尻目に最終節に辛うじて1部昇格を果たした。
その功績が認められた同監督は続投が決定。1部挑戦の権利を手にした。しかし、強豪並み居る1部リーグである。チームの残留よりも、まずは監督自身が解任されないことが現実的な第一目標だろう。

注目監督ベスト3

同率1位 ルイ・ビトーリア、ジョルジ・ジェズス、ヌーノ・エスピリト・サント

今季は、例年にも増して「3強によるタイトル争い」の様相が強まることだろう。3強による独占体制を切り崩す有力候補ブラガは、パウロ・フォンセッカを招聘した昨季とは違い、ジョゼ・ペゼイロ率いる今季は順位を下げる可能性が否めない。ベンフィカ、スポルティング、ポルトを打ち負かす有力クラブがおらず、また、3強のチーム力が拮抗していることから、今季は熾烈なタイトル争いが見られることだろう。リーグ4連覇で名実ともに名将の仲間入りを果たしたいルイ・ビトーリア、今季こそは是が非でもタイトルが欲しいジョルジ・ジェズス、失墜したポルトのタイトル奪還を課せられたヌーノ・エスピリト・サント。三者三様の使命を課せられた監督によるただ1つのタイトル争いは、史上かつてない激戦が予想される。

ダークホース監督候補

ペドロ・マルティンス(ビトーリア・ギマラインス)
昨季はルイ・ビトーリア→アルマンド・エバンジェリスタと、監督交代の失敗をあからさまに露呈したギマラインス。しかし、前半戦を降格圏に沈みながら、後半戦は一時5位に躍り出るなど、チームの実力は衰えず。リオ・アベを6位に導いたペドロ・マルティンスがうまくハマれば、リーグ4位も夢ではない。

フリオ・ベラスケス(ベレネンセス)
ポルトガルで異彩を放つスペイン人監督ベラスケス。途中就任ながらベレネンセスを一桁台に引き戻した実力はお見事。シーズン開始からチームを率いられる今季は、昨季築いた土台もあり、上位進出が予想される。

以上、新シーズンを控えた監督人事と注目監督を紹介した。ぜひ本コラムを片手に、今季も熱きポルトガルリーグに注目していただきたい。

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サー・ピント解任のベレネンセスがスペイン人新監督を招集へ。リーグ最年少監督誕生か

『Record』

ELではフィオレンティーナが同居する熾烈なグループで善戦しながらも、リカルド・サー・ピント監督を国内リーグでの成績不振を理由に解任したベレネンセス。その新監督に、スペイン人若手指揮官フリオ・ベラスケスの就任が濃厚となっているようだ。

同監督は、昨日にリスボン入り。数時間後には、ポルトガルの首都に拠点を置く古豪クラブとの契約が発表されると推測されている。

昨季エストリルを率いたジョゼ・コウセイロなど、経験豊富な監督への関心も伝えられる中、ベレネンセスは、かつてベティスやビジャレアルを指揮した34歳の若手監督に残留の使命を託した。もし実現すれば、ポルトガルリーグ最年少監督の誕生となる。

昨年の11月から無所属の状態が続いていたというベラスケス監督。最年少外国人監督への賭けは吉と出るか凶と出るか。

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