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川崎F守田英正が移籍するサンタ・クラーラってどんなクラブ?

J1を圧倒的な強さで制した川崎フロンターレの心臓、守田英正に、ポルトガル1部サンタ・クラーラがオファーを提示した。

このニュースへの反応を見てみると、「サンタ・クラーラって初めて聞いた名前だな」「清水エスパルスに加入するチアゴ・サンターナがいたチームか」など、想像通り、無名チームへの移籍に疑問を投げかける声が多く見られた。

これまで日本人選手が加入してきたポルトガル1部クラブの中で、圧倒的に知名度が低いこのサンタ・クラーラ。日本での無名度で言えば、藤本寛也が移籍したジウ・ビセンテにも勝るのではないかとさえ思うこのサンタ・クラーラ。今回はそんなサンタ・クラーラについて解説したい。

クラブ情報編

ポルトガルには有名な島が2つある。ひとつは、クリスティアーノ・ロナウドの生まれ故郷であり、横浜Fマリノスの前田大然もプレーしたマリティモが拠点を置くマデイラ島。アフリカのモロッコ近郊に位置するリゾート地である。

そしてもうひとつが、マデイラ島のさらに北西に位置するアソーレス諸島。ポルトガル本国からは約1000キロメートルの距離にある。日本で言えば、東京から小笠原諸島までの距離と同程度だ。この島に拠点を置くチームこそが、サンタ・クラーラである。

つまり、同クラブでプレーする選手は、アウェイ遠征のたびに、飛行機で本国まで渡り、そこからバスや電車を乗り継ぐ過酷な移動を強いられる。一方で、よく言えば、サッカー以外には何も誘惑のない、のびのびとサッカーに打ち込める環境とも言えるだろう。

もうひとつ、サンタ・クラーラを語る上で欠かせないのが、そのエンブレム。ご覧いただければ分かる通り、ベンフィカのそれと瓜二つだ。#ほぼベンフィカ なのだ。

ベンフィカのエンブレム
#ほぼベンフィカ サンタ・クラーラのエムブレム

これは、1930年代にサンタ・クラーラが初めてベンフィカと試合をした際に、その強さに衝撃を受け、同クラブのメンバーチームになったことが背景。その際にユニフォームやエンブレムが刷新され、当時の名残のまま現在に至るというわけだ。しかし、サンタ・クラーラも今や1部のクラブ。いつまでもベンフィカと見分けのつかないエムブレムではいられないということで、2020年9月とごく最近、「クラブエムブレムの刷新を検討する会」が発足した。数年後には、新たなシンボルを胸に戦うことになるだろう。

サッカー編

サンタ・クラーラの無名度は、これまでのカテゴリーに起因する部分が大きい。同クラブが1部に定着したのは、2018-19シーズンと、ごく最近だ。

しかし、驚くべきはその成績。昇格してきた2部クラスのチームは1年で再降格するのが常であるポルトガルリーグにおいて、サンタ・クラーラは、1部初年度の2018-19シーズンに10位、続く2019-20シーズンには9位と、降格圏を彷徨うどころか、トップハーフ争いを繰り広げてきた。この2シーズンで優れた成績を残したジョアン・エンリケス監督は、今やポルトガル屈指の古豪ビトーリア・ギマラインスの監督を務めている。

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昇格3年目となった2020-21シーズンは、2020年12月30日時点で10位。マリティモで好成績を残したダニエル・ラモス監督のもと、川崎フロンターレと同じ4-3-3のシステムを駆使し奮闘している。

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チームを構成する選手の多くはポルトガル語圏出身者。ポルトガル人とブラジル人で約77%を占める。一方で、イラン人とイラク人が1人ずつ所属しており、アジア人がスカッド全体の約7%を構成する。仮に守田が加入した場合、アジア人が合計3名となり、ポルトガル+ブラジルのポルトガル語圏勢に次いで、ウルグアイ人とベネズエラ人の合計3名が構成する南米勢に並ぶ、第三勢力が形成されることになる。

以上、サンタ・クラーラの基礎知識をご紹介した。ポルトガルリーグは、川崎フロンターレと同じ4-3-3のシステムで戦うチームが多い。そして、アンカーのポジションは、ポルトガル代表ウィリアン・カルバーリョ(元スポルティング)や、レアル・マドリードのカゼミロ(元ポルト)ら、展開力とボール奪取力に優れる名選手を輩出してきた。攻守両面で質の高い働きを求められるポジションであるが故に、すべてのクラブに必ずしも優れた選手がいるとは限らないポジションでもある。川崎フロンターレの4-3-3の中で、日本ではトップクラスのアンカーとしての名声を手にした守田が、ポルトガルでどこまで通用するのか。楽しみに期待したい。